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2009.04.27 (Mon)

フクロウの卵にカナリアのフライとは、かなりブッ飛んでいるような<古代ローマ人

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.54 ~ P.55

 たぶん、酒と言うものが発明(あるいは発見)されて以来、人類は二日酔
いに苦しんできた。大博物誌という著作を残した古代ローマのプリニウスは、
その本の中に、二日酔いの特効薬をいくつか列記している。それによると、
ローマワインの飲み過ぎには、森へ行ってフクロウの巣を見つけ、その中
の卵を二個、生でのむといいのだそうだ。
 聞いただけでゲッとなりそうだが、しかし森へ散歩に出かければ、適度の
運動で発汗がうながされるだろうし、新鮮な空気をたっぷり吸うことにもな
る。また、生卵はかっこうのタンパク質である。案外、この民間療法はいい
ところをついているかもしれない。
 別のローマ人によると、本当に二日酔いにいいのはフクロウの卵ではなく、
フクロウのひな鳥の目なのだそうだが、これはいくら自然に恵まれていた
古代ローマ時代とはいえ手に入れるのが難しかったのではあるまいか。
ほかの鳥でなく、フクロウがやたらもてはやされているのは、そのパッチリ
した目が、二日酔いのドンヨリした目を明るくしてくれるというイメージなの
だろう。

×大博物誌 ○『博物誌』
の件は「澁澤龍彦もお気に入りだったんですかのプリニウス『博物誌』」で。

少なくとも、「ほかの鳥でなく、フクロウがやたらもてはやされて」いたわけではない。

フクロウの生卵 2 個がよいというのは、言及している資料が結構ある。探してみたら、
こういうのが↓まずあって。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2552139/3630811
> ローマ時代の大プリニウス(Pliny the Elder)に言わせれば、ふくろうの生卵が効果
>覿面(てきめん)。エリザベス朝の英国では、生きたままワインに漬け込んだウナギ
>2匹が特効薬ともてはやされ、ウナギが苦手な人には代用品としてアオガエルが勧め
>られた。


他の日本語のサイトは、あまり見つけられなかったけど、「"Pliny the Elder" hangover
egg」などで探すと、英文のサイトはぞろぞろ見つかる。それらの有力なネタ元のひとつ
が、1998 年刊の『The Hangover Handbook』 (David E 著)。

http://www.forbes.com/1998/01/01/feat_side1.html
> Pliny the Elder
> 2 owl's eggs, raw
> To be taken neat.
> The Plinys, like many other top-drawer Roman families, enjoyed the pleasures of
> good food and drink. Fortunately, they could also pen a word or two on the
> subject so that we are left with a little knowledge of their tastes.


では唐沢俊一のトリビアは正解ということでよいではないか――とも言いきれなくて。

唐沢俊一は「森へ行ってフクロウの巣を見つけ、その中の卵」を食べるように書いてい
るが、これを支持する資料は見あたらない。特に入手方法が明記されていないかぎり、
貴族や富裕層は、召使いなどに命じるなどの手段をとったと考えるのが自然だろう。

また、たとえプリニウスが森の散歩をすすめていたのだとしても、「発汗がうながされる
だろう」から、「この民間療法はいいところをついている」と評価するのは、ちょっとどうか
と。軽い運動は気分をすっきりさせるにはよいかもしれないが、アルコールは汗で排出
されないし、静かに寝ている方がアルコールが抜けるのは早いとされる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/二日酔い
>睡眠が効果的な対処法である。他にも風呂やサウナに入って汗として有害物質を出
>してしまうという方法を取る人もいるが、心臓の弱い人には勧められない上に、睡眠と
>比べて血中アルコールの減少速度は遅いというデータもある(参考:[1])。血流が全
>身に拡散してしまい、肝臓に血液が集まらないためとされる。


http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1224071437
>ただ飲んだアルコールは肝臓で代謝されますので、
>汗になって排泄されることはありません。
>アルコール臭い息がするので、汗と一緒に排出している様に思うだけです。



もっと問題と思われるのは、「別のローマ人」が「二日酔いにいいのは〈略〉フクロウの
ひな鳥の目」としている資料が見つからないのに対し、カナリアのフライというのは、
割と簡単に見つけることができること。

http://bottlegang.blogspot.com/2007/05/undrinkable-hangover-remedies.html
> Fried canary:
> Romans enjoyed a good fried breakfast in the 16th century just as we do today.
> Except, instead of bacon and eggs, they preferred canary to calm their
> stomachs. Forbes magazine provides the following recipe: Cut off the head of a
> canary. Make a small incision in the skin near the breast-bone. Slip a finger
> inside, and deftly pull off the skin with all the feathers attached. Heat cooking oil
> until almost smoking, place bird in the oil, undrawn, and deep-fry for two
> minutes. Remove from the oil, dust with salt and pepper and serve. (Some people
> recommend flamb?ing the canary with cognac immediately upon removing from
> the pan. This step is optional.) This seems a bit tedious after a night of heavy
> drinking. Ancient Roman writer Pliny the Elder may have felt the same, as he
> preferred raw owl eggs to eating fried canaries.


これの示すネタ元も、前出の http://www.forbes.com/1998/01/01/feat_side1.html
確かに同様のレシピが書かれている。塩と胡椒は、油を通す前ではなく後。

上で引用した文章は、飲み過ぎた晩の後にこんなものを食べるのはキツい、プリニウス
もそう思ってカナリアのフライよりもフクロウの生卵を好んだのではないかと結んでいる
が、個人的には、二日酔いの朝でなくとも食べたくないと思う。

とにかく、このカナリアのフライがある (信じ難いけど) ので、唐沢俊一のいう「ほかの
鳥でなく、フクロウがやたらもてはやされている」というのは事実誤認と考えてよいだろう。
それに続く、「そのパッチリした目が、二日酔いのドンヨリした目を明るくしてくれるという
イメージなのだろう」というのも、根拠薄弱な思いつきでしかないということで。
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