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2012.01.04 (Wed)

『唐沢なをきのうらごし劇場』に登場する唐沢俊一先生または兄

京本政樹とショッカーO野と唐沢俊一」に、『唐沢なをきのうらごし劇場』は、「『唐沢
俊一先生』は一登場人物として 3 回ほどチラリと登場する微妙な本」と書いたのだが、
どう微妙なのか説明してみるテスト。

『唐沢なをきのうらごし劇場』 P.20 「初出:B-CLUB vol.110 1995年1月号」
>「あれ「アーチーじゃなくっちゃ」ってハンナ・バーベラだっけ」

>「「サブリナ」で「ドボチョン一家」と「アーチー」のキャラが共演してたのみたことあるぞ」
>ハンナバーバラだろ、アレも

>↑じょうほうていきょう唐沢俊一せんせえ


「ハンナバーバラ」は原文ママ。この本の他の箇所では、すべて「バーベラ」表記になって
いるのだが、なぜか「唐沢俊一せんせえ」のお言葉だけ「バーバラ」となっている。

これ、単なる書き間違いではない可能性があって、唐沢俊一は、2007 年の裏モノ日記
にも「ハンナ・バーバラ版」とか書いていて (ここを参照)、一貫して「バーバラ」の人かも
しれないのだ。(←変な日本語)

それはともかく、唐沢俊一が、例の帽子と渦巻きメガネの似顔絵つきで登場するのは、
上に引用した「じょうほうていきょう唐沢俊一せんせえ」のページ (P.20)、この一箇所のみ
である。……そして、その 1 年後に、唐沢なをきは以下のようなことを書いている。

『唐沢なをきのうらごし劇場』 P.34 「初出:B-CLUB vol.122 1996年2月号」
>以前この連載の第10回でCD「ハンナバーベラ日本語盤主題歌衆」をとりあげたときに
>「幽霊城のドボチョン一家」「かわいい魔女サブリナ」「アーチーじゃなくっちゃ」
>…の曲がなんではいってないんだ、ゆるせん!とか書いちゃいましたが、
>当時の日本版プロデューサー高桑慎一郎さんの本を読んだら、これらはHB作品では
>ないそうです.失礼しました
>とほほほ
>イートハーヴ出版「ケンケンと愉快な仲間たち」


「イートハーヴ出版」は原文ママ。本当は「イーハトーヴ出版」というのは、おいといて。

「ハンナバーバラだろ、アレも」という「じょうほうていきょう唐沢俊一せんせえ」は、弟を
相手にもガセで迷惑をかけていたというオチなんだろうか。

http://www.amazon.co.jp/dp/4900779024
>ケンケンと愉快な仲間たち [単行本]
>高桑 慎一郎 (著)
〈略〉
>ハンナ・バーベラ・アニメ初の書籍化。超話題のキャラクター、ケンケンの全貌が今初め
>て明かされる。ケンケンの名付け親・高桑慎一郎が満を持してペンをとった、懐かしい
>のに新しいキャラクターのオン・パレード。チキチキマシン猛レースをはじめとして、電子
>超人Uバード、スカイキッド ブラック魔王、原始家族、などなどハンナ・バーベラ作品勢
>揃い。
〈略〉
>出版社: イーハトーヴ出版 (1995/08)



それから、さらに 1 年とちょっと経ってから、もうほとぼりもさめた (?) との判断か、「唐沢
俊一先生」が再登場。ただし、似顔絵はなし。

『唐沢なをきのうらごし劇場』 P.65 「初出:B-CLUB vol.138 1997年4月号」
>航空情報別冊
>SF・宇宙映画のすべて
>珍資料という意味では当時最高
>「どのくらいヘンであるかは唐沢俊一先生の著作にくわしい」


宣伝してあげているのかなとも思ったが、この「唐沢俊一先生の著作」というのが、どの本
なのかはわからない。『古本マニア雑学ノート』か『トンデモ怪書録』あたりかなとは思うん
だけど……。販促にはならなかったのではないかと想像する。

『唐沢なをきのうらごし劇場』 P.67  「初出:B-CLUB vol.138 1997年6月号」
>では最後にわれらのモリツグが出したレコード、
>コテコテのムード歌謡を紹介してシメたいと思う
> 資料提供は唐沢俊一先生

>「いろいろな意味でタイヘンな歌である」


「われらのモリツグ」というのは、ウルトラセブンのモロボシダン役をしていた森次晃嗣。

「中山大三郎 作詞作曲」で「伊藤雪彦 編曲」の「夢の糸」という歌の歌詞カードらしき
写真が貼付けられているのだが、JASRAC 表記はなし。……そんなことより、これがどう
「タイヘンな歌」なのか、面白さのツボみたいなものが自分にはよくわからなかった。
単なる普通のムード歌謡の歌詞のように思えるし、歌詞の打ち込みは何かと面倒そう
なので、今回はパス。


で、「唐沢俊一せんせえ」「唐沢俊一先生」としての登場は、以上 3 回なんだけど、実は
3 回とも、彼が唐沢なをきの兄だという説明はいっさいないままの登場である。逆に、
唐沢なをきが『宇宙戦艦ヤマト』の思い出を語る箇所では、「兄の紹介でアニメサークル
の連中とつきあうようになるわ」と書いてあっても、「唐沢俊一」の名前も似顔絵も登場
しなかったりする。

『唐沢なをきのうらごし劇場』 P.131 「初出:AX vol.029 2000年9月号」
>あの日以来 私はヤマトのパロディ(笑)マンガを描くようになるわ
>  うへへへー宇宙戦車♪
>アニメ番組をカセットテープに録音したり写真にとったりするようになるわ
>「まだ家庭用のビデオデッキは普及してません」
>兄の紹介でアニメサークルの連中とつきあうようになるわ
>  放課後喫茶店で何時間もダベるやつ
>ヤマトの設定書を文具屋で数百枚コピーするわ
>  (知りあいの店員にオマケしてもらった)
>「すっかり人の道を踏みはずしたマニアになってしまいましたとさ」



唐沢俊一とヤマトについては、ここやそのリンク先を参照のこと。

唐沢なをきが「ヤマトのパロディ(笑)マンガ」を描いていた頃、唐沢俊一は「古代進と森雪
のセックス話をてんでに作って夜の作業に供していたとき、私の作ったストーリィの巧みさ
に全クラスが驚嘆(カトリックの男子校だった)」だったり、「ガッチャマンのパロディ漫画
を、札幌・狸小路のはずれにあった民芸 喫茶で仲間たちと創作していたのが、私のやさ
ぐれ青春」だったりした (ここを参照) のかと思うと、ある意味感慨深い。

唐沢なをきが「ヤマトの設定書を文具屋で数百枚コピーするわ(知りあいの店員にオマケ
してもらった)」だったのが、唐沢俊一となると、札幌のリーブルなにわの十円コピー機が
カウンター方式だったのを、数字をごまかす「ズルの名人」だったと自慢していたりする
(『トンデモ創世記 2000』 P.38、ここに書いたこともある)、その対比も興味深い。

『唐沢なをきのうらごし劇場』 P.131
>…で、私はなぜかその5年後の「ガンダム」には乗りそこねてしまったのだった。
>オタク失格だね。反省。
>  あのころのアニメファンのさわぎようといったらのう
>自分と同年代以降の、「こっちの趣味の方々」とお話しする時はこれが
>よく障害になりますね。



んで、『唐沢なをきのうらごし劇場』に目を通して、ある意味“新鮮”だなあと感じたのは、
「兄の紹介でアニメサークルの連中とつきあうようになるわ」の「兄」という文字以外に、
兄としての唐沢俊一が登場しないこと。

唐沢商会名義の本や、『古本マニア雑学ノート』やなどを読んでいると、唐沢なをきの
描いた漫画で、映画館の中で兄弟隣同士に座っている絵とか、兄弟 2 人きりでオタク話
をしている図とかが数多く出てくるのが当たり前だったりするのだが、『唐沢なをきのうら
ごし劇場』では、ヤマトの話であってもスターウォーズの話でも、何人かの同級生とともに
盛り上がっている唐沢なをきの姿が描かれていて、唐沢俊一らしい登場人物はいない。
映画館の座席には、唐沢なをきが 1 人で座っていたりする。

家の外の話ならともかく、小さい頃、家の中でテレビを見ていたり玩具で遊んでいたとき
の話なら、兄の姿もいっしょに描かれていてよさそうなのに、そういうのもない。まあ、唐沢
商会の本でもないのに、いちいち兄の絵を描き加えて手間をふやすこともないとの判断
なのかもしれないが。


ついでに。描かれていないことに着目するなら、バンダイ時代からの連載で、特撮だけで
はなく必殺シリーズの話題も頻繁に出てくる (担当編集者が必殺ファンだったそうだ) のに
京本政樹がほとんど登場しないのには、何だかなあと思った。自分が見つけたのは,この
一箇所のみ。

『唐沢なをきのうらごし劇場』 P.24 「初出:B-CLUB vol.115 1995年6月号」
>特集第2弾っ
>必殺シリーズと特撮モノとの相関関係
〈略〉
>その4・この人はとりあえずハズせないよね、京本政樹
>仕事人V
>「仮面ライダーBLACK」の」ゲスト役から「スカルソルジャー」まで
>やるしかねえ


いやまあ、扱いが小さいぞ何だかなあと思ってしまうのは、単に自分が、京本政樹ファン
に片足をつっこみかけている、それだけのせいのような気もするが。(←これはこれで京本
政樹ファンの人に怒られるかも……怒らないでください)


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Comment

>ハゲホッピーさん
「ハナ・バーベラ」でググると、「もしかして:ハンナ・バーベラ」と表示される一方、
意図的に「ハナ」表記にしていると思われるもの、
http://www.multilingualarchive.com/ma/enwiki/ja/Hanna-Barbera
のように自動翻訳っぽいものなどが、あるようですね。
昔のアニドウなどでは「ハナ」表記だったのかなとか思いました。(←根拠レス)

kensyouhan さん、そして、
http://d.hatena.ne.jp/sfx76077/20110116/1295133564
で藤岡さんも引用している件のくだり
「子供向けに作った、あの新作と称するハナ・バーベラ製のトムとジェリーの面白くなさはどうでありましょうか!(詳しくは森卓也氏の本でどうぞ。)」
というのは、多分以下でいう「ハンナ=バーベラ第2期」をさしているのでしょうが、
唐沢俊一はこれも嫌いだったのか、と。

http://ja.wikipedia.org/wiki/トムとジェリー
>4 MGM製作分
> 4.1 ハンナ=バーベラ第1期(1940年 - 1958年)
> 4.2 ジーン・ダイッチ期(1961年 - 1962年)
> 4.3 チャック・ジョーンズ期(1963年 - 1967年)
> 4.4 テレビでの放送(1965年 - )
> 4.5 ハンナ=バーベラ第2期(1975年 - 1977年)
> 4.6 トムとジェリー大行進(1980年 - 1982年)
〈略〉
>テレビの厳格な暴力描写の規制のため、トムとジェリーが喧嘩をせず、一緒に
>冒険に出るなどストーリーは大きく変わった。またトム、ジェリーとも蝶ネクタイを
>着用している。これ以降の短編作品群はテレビでの放送を考慮して収録時間が
>きっちり7分となった(The KarateGuard(劇場用)のみ8分)。

『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』では、テレビ向けの表現規制で手を入れた
チャック・ジョーンズに相手にさえ、特に嫌悪感を表明してはいなかったのですけど。
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/blog-entry-420.html
トンデモない一行知識 |  2012年01月07日(土) 18:04 |  URL |  【コメント編集】

ぴあ論争の時は「ハナ・バーベラ」だったみたいですね。

http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20081119/1227075598

>子供向けに作った、あの新作と称するハナ・バーベラ製のトムとジェリーの
>面白くなさはどうでありましょうか!(詳しくは森卓也氏の本でどうぞ。) 
ハゲホッピー |  2012年01月06日(金) 22:45 |  URL |  【コメント編集】

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