2017年03月 / 11月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫02月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2011.08.03 (Wed)

人体冷凍保存の父は二度死ぬか?

http://www.tobunken.com/news/news20110802191100.html

イベント
2011年8月2日投稿
スペース・オペラを読んだ男 【訃報 ロバート・エッチンガー】
〈略〉
元軍人で作家のロバート・エッチンガー23日死去。92歳。
『クライオニクス(人体冷凍保存)』の父、と呼ばれている。
13歳のとき、ニール・R・ジョーンズのスペースオペラ・シリーズ
『ジェイムスン教授』を読んで、冷凍された主人公の遺体が宇宙人に拾われ、
サイボーグ化されて不死の体になるというストーリィに感銘を受け、
第二次大戦への従軍から帰った後、冷凍睡眠を題材にしたSFを書いて
SF雑誌『スタートリング・ストーリィズ』にそれが掲載された。

普通の人間ならそこで満足するだろうが、エッチンガーの場合、よほどその
冷凍保存というアイデアが性に合っていたのか、かれの脳内でそれは年と共に
大きくなっていき、1962年、人体を冷凍保存することにより、現在の医学
では不治とされる病気も未来で治療が可能になり、不死を獲得できるという
思想を展開した『不死への展望』を自費出版、これが大手出版社ダブルデイ社
の目にとまり、アイザック・アシモフの監修のもとで刊行され、ベストセラー
になることでエッチンガーは一躍、時の人になる。そして、実際に自分が死んだ
ら冷凍保存をしてくれるという契約を結ぶ人が現われ、エッチンガーは死体の
冷凍保存を業務とするクライオニクス研究所を設立するに至る。
サスペンデッド・アニメーションはそこの関連会社なのだ。
〈略〉
とはいえ、その道筋は必ずしも順調なものではなかった。遺族は常に、会社
から遺体を取り戻したがって訴訟を起していた。資金不足で冷凍に必要な電力
がまかなえず、クライオニクス社は1979年、保存してあった9体の死体を
溶かしてしまうという事故も起している。それより何より、上記のアイザック・
アシモフはじめロバート・ハインラインら、クライオニクスを指示していた
SF作家たちも、結局自らの死に臨んではその肉体を冷凍保存する道を
選ばなかった。やはり、自分の体を蘇生技術の裏付けもなくカチコチにしたまま、
いつともしれない未来の蘇生技術にゆだねる、というのは、人間としてあまり
愉快な考え方ではないようだ。

http://megalodon.jp/2011-0802-2309-42/www.tobunken.com/news/news20110802191100.html

×『クライオニクス(人体冷凍保存)』の父 ○「クライオニクス(人体冷凍保存)の父」
×13歳のとき ○12 歳のとき
×『ジェイムスン教授』 ○『機械人21MM-392誕生! ジェイムスン衛星顛末記』
×『スタートリング・ストーリィズ』 ○『スタートリング・ストーリーズ』
×アイザック・アシモフの監修のもとで刊行され
○ダブルデイ社はアイザック・アシモフに原稿のコピーを送って科学的整合性を確認させ
×クライオニクスを指示していた ○クライオニクスを支持していた

かつて、唐沢俊一は『トンデモ本の逆襲』 (P.135) に、「肉体の低温保存 (クライオニクス)
についてはエド・レジスの『不死テクノロジー』などを参照のこと」と書いていた。そのため、
今回のネタ本も『不死テクノロジー』かと思ったのだが、今回は (今回も?) あまりこの本の
内容にそった話にはなっていないような。

関連ガセビア
冷凍を例にすると唐沢俊一の史上最強の単細胞生物ぶりがよくわかる……?
不死にまつわる不思議な計算 (←題名負け)
おっしゃる通り『不死テクノロジー』を参照してみましたが?
http://www.alcor.org/ くらいはチェックしておけばよかったのに

『不死テクノロジー』での記述は以下の通り。これを見て唐沢俊一が書いたとするならば、
「まだ一二歳のとき」が「13歳のとき」に、『ジェームソン人工衛星』が『ジェイムスン教授』
にはならないような気がする。

『不死テクノロジー』 P.157 ~ P.158
>だがそのなかで、少年エッティンガーがとくに心を奪われたのは、ニール・R・ジョーンズ
>の『ジェームソン人工衛星』である。それは彼がまだ一二歳のとき、一九三一年七月号
>に載っていた話なのだが、それ以来これを忘れたことはない。このジェームソン教授
>は、死んだら彼の体を宇宙に打ち上げ、軌道にのせてくれという遺言をのこしたのであ
>る。そうすれば宇宙の極寒と真空状態とで、死体は永遠に保存されるだろう。そして人
>類がとっくに滅亡した何百万年かのち、ジェームソン教授の凍りついた体が、機械人間
>という人種に発見される。彼は教授の脳を生き返らせ、それを機械的骨格に移植したと
>ころ、ジェームソンは永遠に生きつづけたという話である。


『不死テクノロジー』 P.159
> 入院中エッティンガーは「最後から二枚目のトランプ」というSF小説を書いている。
>この小説は(「スリル満点」という売り込みで)『アメージング・ストーリーズ』誌の一九
>四八年三月号に載ったが、それなりに驚くべき作品だった。不正な手段で百万長者と
>なったH・D・ハワーズという卑劣な男の話である。その巨万の富をもって、彼は自分の
>寿命をできるかぎり延ばそうとこれつとめるのだが、ついに九二歳で死に瀕することと
>なった。一方仮死の研究をずっとつづけてきたスティーヴンスという名の科学者は、
>やっとのことでそれに成功していたのだ。彼の方法とは、「生きた組織を飢餓によって
>部分的に脱水し、ついでそれを冷凍する」というものである。


Wikipedia の記述を劣化コピーさせた――と考えれば辻褄があうかもしれない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ロバート・エッチンガー
>ロバート・チェスター・ウィルソン・エッチンガー(Robert Chester Wilson Ettinger、1918
>年12月4日 - 2011年7月23日)は、1962年の著書『不死への展望』によって「人体冷凍
>保存の父」として知られる人物。
〈略〉
>アメージング・ストーリーズ1931年7月号に掲載されたニール・R・ジョーンズの The
>Jameson Satellite(日本語題「機械人21MM-392誕生! ジェイムスン衛星顛末記」)で
>は、ジェイムスン教授は死体が地球周回軌道に乗り、ほぼ絶対零度で死体が保存され
>たことになっていた(科学的には正しくない)。そして数百万年後、人類は既に滅亡して
>いたが、脳を機械の体に収めた機械人に拾われる。彼らはジェイムスンの脳を修復し、
>機械の体に入れ、仲間にした。
〈略〉
>1947年、エッチンガーはそのアイデア(一方向の医学的タイムトラベル)を短篇小説の
>形にした。この小説 The Penultimate Trump(最後から2番目の切り札)は『スタートリ
>ング・ストーリーズ』の1948年の号に掲載され、エッチンガーは人体冷凍保存というパラ
>ダイムの創始者となった。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ニール・R・ジョーンズ
>ジョーンズの名が知られるようになった出世作は、アメージング・ストーリーズ 1931年
>7月号に掲載された "The Jameson Satellite"(日本語題「機械人21MM-392誕生!
>ジェイムスン衛星顛末記」)である。
〈略〉
>低温学(cryogenics)の父と呼ばれるロバート・エッチンガーは、ジェイムスン教授シ
>リーズの1作目を読んで人体冷凍保存のアイデアを得たという。


ニール・R・ジョーンズの The Jameson Satellite が「1931年7月号」の掲載で、この 1931
年から、エッチンガーの生年 1918 年を単純に引き算して、「13歳のとき」とやらかして
しまった……とか? エッチンガーが 1918 年 12 月生まれで、雑誌掲載が 1931 年 7 月
だから、 『不死テクノロジー』の記述通り「一二歳のとき」が正解のはずだけど。

で、The Jameson Satellite は、直訳すれば『不死テクノロジー』のように『ジェームソン
人工衛星』となるし、日本語訳されて発表された題を採用するならば『機械人21MM-392
誕生! ジェイムスン衛星顛末記』になる。

主人公の「ジェイムスン教授」を題名と取り違えたか、「ジェイムスン教授シリーズ」と
いいたくて、「スペースオペラ・シリーズ『ジェイムスン教授』」のようなまぎらわしい表記
にしてしまったかの、どちらかではないかと思われる。

――と、ここまで書いて、「『クライオニクス(人体冷凍保存)』の父」という表記も変だよなあ
と気がついた。「人体冷凍保存の父」とは Wikipedia にも書かれているが、唐沢俊一流の
『』のつけ方だと、『クライオニクス(人体冷凍保存)』という題の本か雑誌がどこかにある
みたいだ。

そして、エッチンガーの書いた小説を 1948 年に掲載した雑誌については、『不死テクノロ
ジー』では『アメージング・ストーリーズ』誌、Wikipedia では『スタートリング・ストーリーズ』
と食い違っているが、これは『スタートリング・ストーリーズ』が正解のようだ。

http://www.cryonics.org/bio.html#Robert_Ettinger
> And in the course of that and other reading at Battle Creek, Robert Ettinger
> began to write -- a short story published in March 1948 in Startling Stories called
> "The Penultimate Trump" in which a man is frozen and revived centuries in the
> future.
〈略〉
> In 1962 he sat down and put his ideas into the form of a book, called The Prospect
Of Immortality, which he published privately and sent to friends and scientists. It
> attracted so much attention that Doubleday publishers sent a copy to Isaac
> Asimov to see if the ideas had any validity. Asimov gave it a clean scientific bill of
> health, and Doubleday published it in 1964.


http://www.oldsfbooks.com/sst4803.html
> STARTLING STORIES March 1948
> cover by Earle Bergey
〈略〉
>The Penultimate Trump
>R C W Ettinger


でも、唐沢俊一流表記の、『スタートリング・ストーリィズ』はないでしょう、ということで。
唐沢俊一が「ストーリー」と書くべきところを「ストーリィ」と書きたがるのはいつものことと
しても、「ストーリィズ」はひどいというか、これを「ストーリーズ」と読むことができる人は
かなりの少数派ではないかと。

そして、上に引用した http://www.cryonics.org/bio.html の文章を読んで、さらに気に
なったのが、「Doubleday publishers sent a copy to Isaac Asimov to see if the ideas
had any validity. Asimov gave it a clean scientific bill of health」だからといって、唐沢
俊一のいうように、「アイザック・アシモフの監修のもとで刊行」といえるのかということ。
『不死への展望』がアシモフの監修と書いてある資料は見つからないのだ。

http://fugenji.org/thomas/diary/index.php?no=r441
>そもそも人体冷凍のアイディアを最初にリアルなものとして世に問うたのは、ロバート・
>エッティンガー Robert Chester Wilson Ettinger(注.日本においては「エッチンガー」と
>いう記述がされることが多い)なる人物が1962年に出版した『不死への展望』(原著:
>"The Prospect of Immortality")が最初であると言われている。この本はもともとエッ
>ティンガーが自費出版したものだが、大手出版社であるダブルデイがこの本の存在を
>知り、アイザック・アシモフに内容をチェックしてもらった上で、1964年にダブルデイから
>刊行された。


http://www.cryonics.org/bio.html のリンクから http://www.cryonics.org/book1.html
に飛んでも Asimov の文字はないし、当時ダブルデイ社から刊行された本の表紙
http://www.cryonics.org/pd.html にも Asimov の名前はない。ついでに、本の内容を
ダウンロードして確認したところ、Asimov が出てくるのは巻末の参考文献のところ 1 箇所
のみであった。

> 3. Asimov, I. The Chemicals of Life, New American Library New York, 1954.

ええと、それから、アシモフやハインラインが「クライオニクスを指示していた」わけでは
ないのはもちろんのこと、実は「クライオニクスを支持していた」わけでもないと思う。

そして、支持しない理由は多分、唐沢俊一のいう「自分の体を蘇生技術の裏付けもなく
カチコチにしたまま、いつともしれない未来の蘇生技術にゆだねる、というのは、人間とし
てあまり愉快な考え方ではない」からではない。

『不死テクノロジー』 P.175 ~ P.176
>フリーマン・ダイソンの父が八二歳で亡くなったとき、ダイソンは父の遺体を凍らせて
>もらうべきかどうか、ずいぶん迷ったらしい。さんざん考えたあげく、それはやめにした
>が、このことについてダイソンは次のように言っている。「おやじは安らかにこの世を去っ
>た。彼を一〇〇年後生き返らせるということは、かえっておやじのために親切なことでは
>ないと、私は結論を下したのだ。」
> ダイソン自身も凍らせたのち復活することについては、たいして興味がないらしい。
>「二回も死の経験をなめるなんてまっぴらだよ」と彼は言うのである。

>クライオニシストVS普通の人びと

> ロバート・ハインラインもやっぱりそう感じたようだ。『夏への扉』と題する彼の小説は、
>そのなかで彼が「冷凍睡眠 (コールド・スリープ)」と呼んでいるクライオニック・サスペ
>ションをあつかったものだが、そもそも主人公は凍らせて欲しいなどとは、夢にも思って
>いなかった。彼はだまされて冷凍されてしまったのである。「そりゃ西暦二〇〇〇年が
>どんなものか見たくはあるよ」と彼はあるとき言っている。「だがただじっと座っていたっ
>て、それはちゃんと見えてるんだ。たとえば僕が六〇歳でも、若い女の子に口笛吹く
>くらい気が若いとかね。別に慌てることなんかないさ。とにかく長い昼寝をして、次の
>世紀まで一足飛びにいってしまうなんて、普通の人間にとってはちっとも満足がいか
>ないんじゃないか? 映画の途中をぬかして、いきなり結末を見てしまうようなもんだ
>よ。」
> ところが彼が意思に反して凍らされてしまい、何年かのち息を吹きかえしてみたとこ
>ろ、その世界はもともと彼が想像していたのと、たいして違いはなかった。「未来は、
>繰り返して言うが、未来は決してすばらしいものではない」と彼は言う。未来に旅する
>のと、他国に旅するのとは同じことで、人はホームシックにかかるのだ。「冷凍睡眠の
>一番の欠点は、このひどいホームシックだろう。」
> もっともクリオニシストたちは、そんな批判など鼻にもひっかけはしなかった。


スポンサーサイト

テーマ : 感想 - ジャンル : 本・雑誌

06:53  |  その他の雑学本 間違い探し編 (324) +  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://tondemonai2.blog114.fc2.com/tb.php/706-468b1287

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。