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2011.07.22 (Fri)

「正当にこわがることはなかなかむつかしいこと」なのです

『怪体新書』 P.21

日本でも『放射能X』の影響を受けた(?)巨大白アリの出てくる
『怪物ジオラ』という少年向けSF小説があったが(作者は『ゴジラ』の
香山滋)、その中の博士のセリフ
「放射能を直接浴びると、生物は巨大化し、間接的に浴びると奇形化する」
(ひえ-)
〈略〉
「うーん、すごい放射能だ 幸い人体には無害な放射能らしいから安心だが」
などと言っているマンガが昔あったし
ヒッチコックの『汚名』でも ウランをワインのビンに詰めて密輸する、という
危ないことを している
「昔も今も放射能汚染に関する正しい知識はほとんど一般に伝わっては
いないのだ」


それが「放射能汚染に関する正しい知識」なんですか、唐沢俊一先生
「原発に関する裏モノチックなネタならいくらもありますが」の唐沢俊一先生?
巨大化は放射能だけが原因ではない――たとえ SF 映画の話でも

の続き。これこれとの間にあたる。

最初の部分は、こちらと引用部分が重複しているのに、何で今回も引用したかというと、
その後で『魔空要塞 (香山滋全集)』 (http://www.amazon.co.jp/dp/toc/4380965333)
を入手し、そこに収録されている『怪物ジオラ』の中には、

>「放射能を直接浴びると、生物は巨大化し、間接的に浴びると奇形化する」

などというセリフは存在しないことを発見したため。

ただ、この全集に収録されているのは、 「新聞連載時のものを底本とした」文章であり、
それを「加筆改訂」したという「SFシリーズ〈ジュニア版〉」の方には、似たような記述が
ある可能性もないではないのだが……。

『魔空要塞 (香山滋全集)』 「解題」 P.529
> 放射能による生物の巨大化と凶暴化をテーマとした作品で、ゴジラ同様に、小説の
>形を借りた、作者の原水爆実験反対提起の一つであろう。本編は白井哲のイラストと
>共に新聞連載され、後に加筆改訂の上、昭和四十年二月に、毎日新聞社より「SFシ
>リーズ〈ジュニア版〉」として刊行された。加筆部分には、蟹や鰺、蛤までもが巨大化し
>奇形化する場面があり、核爆発による放射能の恐ろしさが強調されている。今回は、
>初出に戻し、新聞連載時のものを底本とした。


しかし、たとえ本当にそのような記述があったとしても、「放射能を直接浴びる」に「間接的
に浴びる」とは、それぞれどういう浴び方と定義されているのか、それとも定義などされて
いないのかなど、唐沢俊一の紹介では判断がつきにくいことは確か。

そもそも、小説に出てくる『怪物ジオラ』は、巨大化し、かつ、奇形化している――上の引用
でいう「蟹や鰺、蛤」も同様――のだから、巨大化の原因と奇形の原因を厳密に区別する
設定の話でもないような。


で、次は、「うーん、すごい放射能だ 幸い人体には無害な放射能らしいから安心だが」。

ここには、ガイガーカウンター (下に引用の Wikipedia でいう「ガイガー=ミュラー検出器」)
らしきものを手にしている少年の絵が入っているが、唐沢俊一が何をもって、「放射能汚染
に関する正しい知識」がどうのこうのの例にしているのかは、よくわからない。

以前のエントリー (ここ) に引用した、「放射能と放射線の違い」の問題だとしたら、以下の
定義を見る限りでは、「すごい放射能だ」というセリフがあったからといって、「正しい知識
はほとんど一般に伝わってはいない」とはいえないと思う。

http://ja.wikipedia.org/wiki/放射能
>放射能を直接測定することは難しいので、放射線を測定して、放射性物質の量を求め
>ることが多い。
>・α線の測定には、液体シンチレーションカウンタが用いられる。
>・γ線の測定には、Ge半導体検出器やNaIシンチレーションカウンタが用いられる。
>・表面汚染を検出するには、ガイガー=ミュラー検出器が用いられる。
>放射能を直接測定する方法には、加速器を使用する AMS(Accelerator Mass
> Spectrometry = 加速器質量分析計)法などがあり、放射性炭素年代測定に応用され
>ている。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ガイガーカウンター
>ガイガー=ミュラー計数管
〈略〉
>ガイガー・カウンター(Geiger counter)あるいはGM計数管とも呼ばれる。
〈略〉
>ガイガー=ミュラー計数管は、放射能の強弱を放射線の量として数値で表示する事がで
>きる。 〈略〉大きな信号を得られる半面、この電流の強さは、放射線の持つエネルギー
>と比例関係にはならないので、放射線の持つエネルギーを測定することは出来ない。
>発明から80年近くの時間を経ているが、今日でもこの原理を利用し、放射線を計測して
>いる。


それとも、「人体には無害な」が、まずいのだろうか。最近目にする機会の多い放射線
ホルミシスなどというのはトンデモない、とか。

http://www.atomin.go.jp/reference/radiation/body/index05.html
>ラジウム、ラドンなどの放射能の効用をうたう温泉や保養所がたくさんある。これらは温
>泉水中にラジウムやラドンなどが溶けているもので、日本では有馬温泉(兵庫県)、増富
>温泉(山梨県)、三朝(みささ)温泉(鳥取県:写真)が有名である。オーストリアのバードガ
>スタインには、医師の指示に従って入浴・吸入するラドン温泉のサナトリウムがある(写
>真)。


いやまあ、個人的には、上記のような温泉にいきたいかと聞かれると、うーん、だけど。
ただ、上に出てくる「バードガスタイン」は洞窟の中のせいで、漫画の少年が「幸い人体に
は無害な放射能」といっている場面と印象がかぶる。この絵の背景が洞窟っぽいので。


それと、「ウランをワインのビンに詰めて密輸する」件について。「危ないこと」といっている
のは、以下のように考えてのことだろうか。

http://www.logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/sci/1303370316/301-400
>302 : ご冗談でしょう?名無しさん : 2011/04/21(木) 18:33:26.07 ID:??? [986回発言]
>ヒッチコックの「汚名」って映画で
>ウランをワインのビンに詰めて密輸するシーンがあるんだが
>今考えると恐ろしすぎるな

>312 : ご冗談でしょう?名無しさん : 2011/04/21(木) 18:35:16.63 ID:??? [986回発言]
>>>302
>本当にやったら、密輸先に届く前に急性放射性障害なって
>ゲロゲロやるな


しかし、上の書き込みでも唐沢俊一の文章でも、「ウランをワインのビンに詰めて密輸
する」となっているが、実際の映画では地下のワインセラーに隠されていたという話。
まあ、その前後に密輸があっただろうといいたいのかもしれないが、輸送中もワインの
瓶に入れられていたかどうかは、わからないような。さらに、以下の文章を見つけて、
あれっと思った。

http://shisly.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_1a56.html
>ふたりは暗い酒倉で逢引きをする。そしてワインの瓶の中に黒い粉を発見する。
〈略〉
>デブリンの上官プレスコット(ルイス・カルハーン)は瓶の中の黒粉が原子爆弾に使われ
>るウラニウム鉱であることを知って驚く。ドイツもまた原子爆弾の開発に力を入れている
>ことが分かる。


唐沢なをきの絵では、ワインに入っているのは液体 (瓶の底の凹みもはっきり見える) と
いう設定に思えていたけど、実際は黒い粉が入っていた、と。

『汚名』の該当の場面は、http://www.youtube.com/watch?v=M1YEagUNrEs で見ること
ができる。ワインの瓶が割れて、黒い粉が床に散らばる。……確かに、もう少し頑丈な
容器の方が安心だとは思うが、「放射能汚染に関する正しい知識」という文脈で、とりわけ
「危ないこと」というほど危険なことなのかなあ。ウラン鉱石は、そういう意味で取り扱いに
厳重な注意が必要な物質とはみなされていないようなんだけど。

http://ja.wikipedia.org/wiki/閃ウラン鉱
>閃ウラン鉱(せんウランこう、uraninite)は、二酸化ウラン(UO2)よりなる鉱物。等軸晶
>系、硬度は 5 - 6、比重は 7.5 - 10。硫酸、硝酸、フッ化水素酸に可溶。
>全ての閃ウラン鉱は、ウランが崩壊した結果として少量のラジウムを含む。また、少量
>のトリウム、希土類なども含む。
>ウランは、1789年にマルティン・ハインリヒ・クラプロートによりこの鉱物から始めて発見
>された。
〈略〉
>色 黒色


http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/NORMDB/PDF/32.pdf
>これらの鉱石に含まれるウランの量により「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規
>制に関する法律」に基づき、これらの鉱石を使用する場合には規制を受ける事があり、
>規制対象となる場合は文部科学省に届け出が必要となる。
>ウラン鉱石に含有されるウラン量は、一般には0.3~0.7%程度と少量である。



寺田寅彦のいう「こわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしい」ということか。
まあ、それについては、他人のことばかりいっていられないけど……。

http://blog.livedoor.jp/semisigure2011/archives/2761968.html
>『小爆発二件』という随筆の中である。正しくは以下のとおりである。
> 「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎた
>  りするのはやさしいが、正当にこわがること
>  はなかなかむつかしいことだと思われた。」


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