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2009.04.12 (Sun)

黒い瞳のお人形はドバイ生まれのプラスチック

『トンデモ一行知識の世界』 P.51

 イスラム国家で人形を所持していると偶像崇拝の罪に問われることが
あるので、渡航の際は注意が必要である。

 偶像崇拝に厳しいイスラム国家にもテレビはあるが、その公式見解は
「電子的な光の集合に過ぎない」である。


これを読んだとき、異教徒であってもイスラム国家では「偶像崇拝の罪に問われる」こと
があったりするのか、それも仏像とか拝むためのものですらない、普通のお人形を所持
しているだけで――と不思議に思ったけど、それは的外れな疑問ではなかったようだ。

http://www1.doshisha.ac.jp/%7Eknakata/ronbun62.html
>偶像崇拝の禁止のために、イスラーム世界では絵画や彫像が存在しない、といった
>言説は他者の想像力の産物であり現代の「神話」に他ならない。
〈略〉
>またイスラーム法の行為主体はムスリムに限られる。イスラーム法は、イスラーム
>教徒が来世での救済に与るための行為規範のマニュアルであり、来世での楽園の
>報償はイスラームの信仰を条件とする。それゆえ異教徒はイスラーム法の主体となる
>ことはできない。この意味で、イスラーム法は属人法であり、イスラーム教徒にのみ
>妥当する。


上の引用でいう「現代の『神話』」を極端におしすすめたのが、唐沢俊一が書いたような、
テレビは「電子的な光の集合に過ぎない」うんぬんという意味不明の電波文章や、「人形
を所持していると偶像崇拝の罪に問われることがある」という類のデマではないかと。

これがデマでないとするならば、もうイスラム国家では人形 (偶像) の存在自体が忌み
嫌われるものであり、たとえばムハンマドの生誕祭に人形を飾ったり売ったりすることな
どありえないということになるはず (最近は衛生上の問題のため砂糖の人形は禁止で、
プラスチック製のものが使われるという話はあるが、人形を売り飾ること自体は、昔から
ずっと続いている伝統)。

http://plaza.rakuten.co.jp/smurfhanaco/diary/200803230000/
>こちらの去年のニュースにも、このことについての記事がありました。
>→Daily News Egypt
>それによると、伝統的な生誕祭を祝うことが失われつつあるというような記事で、
>『砂糖のお人形を売ることは、溶けたり壊れたりしやすいから、
>売るのが大変だし、飾っておくと蟻が来るし、蟻除けスプレーを
>かけると子供が食べられないし・・といった不都合があるから、
>最近では、その砂糖の人形はプラスティック製のものにとって代わられている。
>ラムセス広場の近くの菓子屋の多くある「Bab Al Bahr」には今でも(去年だけど)
>売っている店がある!っと25年間この人形を売っていたマホメッドさんが
>言ってました。』、だそうです・・



何もエジプトだけが特別というわけではなく、「ムスリムが約60%」というトルコでは、
お祭りに「巨大な人形」の展示や行進があるというし。

http://www7.plala.or.jp/kyoto-nitto/kop/kop42.html
> まず細工物の展示や行進があります。アラビアンナイトに出てくるスィムルグ(鳳凰)
>や巨大な人形、竜などで、これらは江戸のお祭りの籠細工と対比してみると面白いで
>しょう。



「総人口の約90%がイスラム教徒という世界最大のイスラム大国インドネシア」では、
イスラム・ファッションの Arrosa という人形が人気だというし。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2122574/958049
>【ジャカルタ/インドネシア 6日 AFP】
>2億2000万人の総人口の約90%がイスラム教徒という世界最大のイスラム大国イン
>ドネシアでは、イスラム教の伝統衣装をまとった人形「Arrosa(アラビア語で人形の
>意)」が人気だ。値段は1体、5万5000インドネシアルピア(約700円)。写真はジャカル
>タ(Jakarta)のマーケットで6日、店先に陳列された「Arrosa」。(c)AFP/Jewel SAMAD

http://s02.megalodon.jp/2009-0412-1632-38/www.afpbb.com/article/958049

この Arrosa は着せ替え人形で、身長は約 30cm。衣装をバービーとか他の人形に流用
できるかも……とのこと。

http://d.hatena.ne.jp/kenken31/20090106/p1
>前回買い損なった「イスラーム服着せ替え人形」を押さえておく。「民族」衣装なのだけ
>れど、「イスラーム的」とみなされている格好。


http://page7.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/g60076884
>●イスラム教のインドネシア等で人気のアロッサ(Arrosa)ドール用、衣裳です。
>●Arrosaのお人形サイズは高さ約30cmになりますので、サイズが合えばバービー等
>他のお人形にもOKかもしれません。(未確認です。)


そもそも「人形で遊ぶ」のは、預言者ムハンマドその人が「黙認」していたことともいうし。

http://www1.doshisha.ac.jp/%7Eknakata/ronbun62.html
>また法学においても像の禁止は決して厳格なものではない。像の作成、所有などに
>罰則規定がないだけでなく、預言者ムハンマドが幼な妻のアーイシャが人形で遊ぶの
>を黙認したとの、人形の存在を容認するハディースの明文が存在するからである。
>(『日訳 サヒーフ ムスリム』日本サウディアラビア協会、1989年、3巻、421頁参照)
〈略〉
>イスラームにおける像の禁止が必ずしも厳格なものではなかったことしても、イスラー
>ムが、動物の絵や彫刻を嫌う傾向があったのは歴史的事実であり、前近代において、
>西欧だけでなく、中国、インド、日本などの諸文明に比しても、絵画や彫刻などが少な
>かった、と述べることはできよう。特に礼拝の場であるモスクにおいては、他の宗教の
>礼拝施設と比べて、肖像の不在は、特徴的でもある。
>しかしそれは前近代のイスラーム世界においても宗教画がなかったことを意味しな
>い。そしてそうした宗教画の中には預言者ムハンマドの肖像も含まれている。なかでも
>有名なものとして、預言者ムハンマドの昇天に題材をとった「預言者昇天物語」として
>知られる絵物語がある。ちなみにこの絵物語を収録した研究書はエジプトで出版され
>て市販されている。
〈略〉
>預言者ムハンマドの肖像画ですら存在し、動物や人物の絵が巷に溢れていることにお
>いて西欧や日本と全く異なることはない。紙幣を例にとっても、最もイスラーム法の適
>用が厳格であると言われるワッハーブ派のイスラームを国是とするサウジアラビアで
>すら歴代の国王の肖像画が描かれているの。また文字通りの「偶像」も日常的な光景
>であり、エジプトでは古代エジプトの様々な神像が観光の目玉になっているし、マレー
>シアにはヒンドゥー寺院にムルガン神の神像としては世界最大の黄金の像が聳え立っ
>ている。


ただし、やはりイスラーム法の適用が厳格とされるサウジアラビアなどでは、人形に
ついての規制 (?) も多少厳しいのかも。

http://plaza.rakuten.co.jp/alqalam/diary/200710310000/
>ひょんなことからアラブのバービー人形と言われるフッラ(Fulla)人形を見る機会があり
>ました。バービー人形に少し似ていますが、もう少しスリム(私は計ったことはありませ
>んが)で、セクシーさは抑えてあります(のような気がします)。
〈略〉
>普通に売られているものはヒジャブを着せたものですが、着せ替え人形ですから、ス
>カート姿もあります。丈は膝下になっています。当然、水着はありません。サウジアラ
>ビアで売られているのは黒色のヒジャブとスカーフで顔を隠したものですが、それ以外
>の国では普通に顔を出しているようです。なかなかゴージャスなうす紫色のヒジャブを
>羽織ったものも写真にはありました。
>バービー人形はイスラエル資本が入っているため、サウジで販売を禁じられており、
>代わりにフッラ人形が作られたという経緯があります。
〈略〉
>偶像崇拝を禁じるイスラム教の国々では人形も禁じられることが多くなっています。
>でもこのフッラ人形はサウジアラビアでも売られているようです。20年以上の前です
>が、サウジアラビアから帰国の際、何かサウジ風の衣装を着たお人形があればコレク
>ションに加えることができるなと思ってリヤドの町を探したのですが、スーパーや商店
>には売っておらず、現地に住む外国人が手作りで作っていた人形を秘密のルート(?)
>で購入したことを思い出しました。当時は日本からこけしや藤娘などの日本人形を持っ
>てくるのもはばかられた時代で、では、熊がサケをくわえた北海道の木彫りはどうなの
>かなあとか、半分真剣に考えていました(実際、そんなに重いものを日本から持って来
>ませんが)。
>現地ではこどもたちが何か人形を抱えていたような記憶がありますが、まだ当然フッラ
>人形は登場していませんので、布製の粗末な人形を抱えていたような気がしますが
>はっきりしません。スーパーや雑貨屋でも人形は売られていたような記憶はあります。


バービー人形がイスラエル資本でダメなら、リカちゃん人形を売ればよかったのに――と
いうのはおいといて。

『トンデモ一行知識の世界』は 1998 年の出版。まだ Arrosa も Fulla も発売前だし、
その頃は今よりずっと「人形も禁じられることが多」かったという可能性はある。

しかし、「20年以上の前」、「日本からこけしや藤娘などの日本人形を持ってくるのも
はばかられた時代」と書いているこの人でさえ、「現地ではこどもたちが何か人形を抱え
ていたような記憶があります」とか、「スーパーや雑貨屋でも人形は売られていたような」
とか書いてはいるし、単に「人形も禁じられる」というのと、唐沢俊一のいうように「人形を
所持していると偶像崇拝の罪に問われる」というのは、やはりだいぶ違うと思うし。

その他参考 URL:
- http://en.wikipedia.org/wiki/Fulla_(doll)
- http://www.muslimtoysanddolls.com/?p=productsList
- http://www.arrosa.net/index.cfm
- http://store.fastcommerce.com/page_ArrosaIndonesianMuslimDolls-ff8081811b29450d011b443b9ae00bd1.html

それにしても、Fulla も Arrossa も、多少の違いはあっても、衣装やアクセサリーを含めた
ラインナップの発想や売り方はバービー人形そっくり。イスラム教圏内の人たち、よほど
欲しかったのかなあ、バービー人形のようなもの (ただし、イスラエル資本と無関係) が。

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