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2009.04.12 (Sun)

ネタがなければガセを書けばいいじゃない K.T.

『トンデモ一行知識の逆襲』 まえがき

 晋朝四代目の恵帝(司馬衷)は百姓が米が食えず餓死すると聞いて、
「米がなければなぜ肉を食べないのか」と首をかしげた。

 これは、これを聞いた人ならまず全員がマリー・アントワネットが言った
といわれる「パンがないのならお菓子を食べればいいのに」というセリフ
を連想して、イメージを膨らませるだろう。ある人は、
「なるほど、権力者というのは洋の東西を問わず庶民の生活がわからぬ
ものだ」
 と考えるかもしれないし、また別の人は、
「アントワネットのあのエピソードは本当ではない、と聞いたことがあるが、
ひょっとして恵帝のこのエピソードがフランスの知識人に伝わっていて、
アントワネットにあてはめたのかもしれんぞ」
 と、歴史の裏の流れに推理を働かせるかもしれない。
 ところで、岡本さんはこの一行知識を、ちゃんと正史である『晋史』から
とったらしい。


×四代目 ○二代目
×百姓 ○民衆
×『晋史』 ○『晋書』

「恵帝(司馬衷)」は、西晋の初代皇帝である武帝(司馬炎)の息子で、四代目ではなく
二代目の皇帝。ちなみに、父の司馬炎は、三国時代を終わらせ中国を統一したことと、
羊に引かせた車で美女多数の広大な後宮をまわり、その羊の足を自分の家の前で止め
させるため塩を盛りつけておいた者まで出たという、盛り塩のもととなった故事で有名。

http://ja.wikipedia.org/wiki/恵帝_(西晋)
>恵帝(けいてい)は西晋の第2代皇帝。生まれつき暗愚であり、西晋に混乱をもたら
>した。


http://ja.wikipedia.org/wiki/司馬炎
>司馬炎(しばえん )は西晋の初代皇帝。
〈略〉
>また、賈妃に騙され暗愚な息子であった司馬衷を次期皇帝としたことも、八王の乱
>以降の混乱を引き起こした原因ともなった。


で、「正史である」のは『晋史』ではなくて『晋書』。それのもとになった十八の晋代史、
十八家晋史と呼ばれたものは、ほとんどが散逸してしまっている。

http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2004/040514.html
>『晋書』は、晋(西晋・東晋あわせた)の歴史を記した史書である。二十四正史の一
>であり、形式は紀伝体。唐の太宗李世民の勅のもと、房玄齢らが撰した。それまでに
>存在した十八の晋代史をもとに編纂されたものである。


http://ja.wikipedia.org/wiki/十八家晋史
>十八家晋史(じゅうはちかしんし)は、『晋書』成立以前に作られ流布していた18種類
>の晋の歴史書の総称。九家の『晋書』と、九家の『晋紀』から成る。晋代を記述した歴
>史書は、唐の貞観期に、正史の『晋書』が成立して以後、徐々に散失し始め、南宋の
>頃にはそのほとんどが失われてしまったとされる。


そして、「なぜ肉を食べないのか」は、「何不食肉糜?」で、これでググると中国語の
ページが多数ヒットしたりする。

http://ja.wikipedia.org/wiki/恵帝_(西晋)
>恵帝の暗愚さを示す逸話としてこのようなものがある。戦乱で民衆が穀物がなくて
>苦しんでいる時に、恵帝はこう言ったと伝えられている。「(穀物がないのならば、)
>どうして肉粥が食べられないのか(何不食肉糜)」


http://taogate.wordpress.com/2005/09/16/何不食肉糜?/
>「何不食肉糜?」
>乃是出自晉惠帝司馬衷 (259-306) 的「千古名句」。話?晉惠帝執政時,天災人禍不
>斷,很多百姓沒飯吃,活活餓死。惠帝聽見臣下報告這件事,同情之餘也大惑不解,
>問道:「何不食肉糜?」意即那些飢民沒飯吃,為甚麼不用碎肉煮粥來吃??


上に引用した文章を、試しに http://www.excite.co.jp/world/chinese/ にかけてみた
ら、こうなった。↓
-------
ところで晋恵帝が政権を握る時、天災人災は途切れなくて、多くの庶民は食べるご飯が
ない、無残にも餓死します。恵みの帝は臣下がこの事を報告することが聞こえて、あまり
に同情してもまったく理解に苦しんで、道を尋ねます:「ひき肉を食べるようにしたらどうで
すか?」イタリアはあれらの飢餓の民はつまり食べるご飯がない、どうしてばらばらな肉
を使わないでかゆを煮て食べにきますか?
-------

……まあ、なぜか「イタリアは」になってしまっているのはご愛嬌 (?) として、元の文章の
「百姓」は「庶民」と翻訳されている。そういえば、中国語の「百姓」と日本語の「百姓」
とは意味が違っていたんじゃなかたっけと、中国語の辞書を引いてみると……

http://www.excite.co.jp/dictionary/chinese_japanese/?search=百姓&id=416
>【百姓】
〈略〉
>『名』 民衆,庶民:
>[老~]一般大衆.


なので、「百姓」については、自動翻訳の方が正しい。ついでに、同じ辞書で「飯」や
「肉糜」を引いてみると、こんな感じ。

http://www.excite.co.jp/dictionary/chinese_japanese/?search=飯&id=6462
>【?(飯)】
〈略〉
>(1) 飯(多く米飯をいう):
>*一碗~|飯一杯. [米~]米飯.
>(2) 食事:
>*吃三?~|三度の食事をとる


http://www.excite.co.jp/dictionary/chinese_japanese/?search=肉糜&id=21287
>【肉糜】
〈略〉
>『名』
> 《方》ひき肉.


「飯」については、唐沢俊一の書いた「米が食えず」「米がなければ」のように「米」に
限定するのがよいのか、Wikipedia のように「穀物」とするのがよいのかは迷うけど。
まあ日本語の「飯」とニュアンスが似ているので、「ご飯」とでもしてくれればよかった
かも。

最後に、「恵帝のこのエピソードがフランスの知識人に伝わっていて、アントワネットに
あてはめたのかもしれんぞ」については、信憑性が薄い説だとしりぞけられている模様。

http://ja.wikipedia.org/wiki/恵帝_(西晋)
>マリー・アントワネット
>フランス革命前に民衆が貧困と食料難に陥った際、「パンがなければお菓子を食べ
>ればいいじゃない」と発言したため、両国の歴史を知る者からは、恵帝との類似性を
>指摘される事がある。ただし恵帝の場合とは違い、彼女のこの発言は実は全くの冤罪
>であり、信頼できる資料からはこのような発言があったという記録は存在しない。
>その事から逆に、恵帝のエピソードがフランスに伝わり、これが元になったのではない
>かという説も唱えられているが、信憑性に乏しい。現在最有力とされる説は、トスカー
>ナ大公国の公爵夫人の発言であったものが、アントワネットの発言とされたというもの
>である。


他に、最近漫画などでよく見かけるのは、お菓子 (ブリオッシュ) を食べればよいという
のは、実はトンデモな発言ではなかったという説。

http://ja.wikipedia.org/wiki/マリー・アントワネット
>ブリオッシュについて
>ブリオーシュとも書く。形が王冠に似ていることから『王の菓子』と呼ばれている。当時
>のフランス法には、「食糧難の際にはパンとブリオッシュを同じ値段で売ること」となっ
>ていたとの説もあり、そのことがこの発言伝説の下敷きのひとつになったとも考えられ
>る。ちなみに、ブリオッシュがバターや卵を利用したお菓子とほぼ同じとみなされるパ
>ンを示すようになったのは18世紀後半からであり、18世紀初頭まではチーズやバター
>などの各地方の特産物を生地に混ぜて栄養性と保存性を高めた保存食という乾パン
>的位置づけであるため、その元ネタとなる発言は時代によって大きく意味が異なること
>には注意したほうがよい。そのため、ルイ16世の妃の発言説だと、当時の為政者とし
>てはごく当たり前な(むしろ民衆を気遣う内容の)発言であったのを後世の人間が歪
>曲して引用したということになる。
>『オースーパージャンプ』(集英社)にて掲載されている漫画『マリー・アントワネットの
>料理人』においては、別説が紹介されている。当時はパンには質の良い高価な小麦
>粉が使われており、ブリオッシュは質の悪い安価な小麦粉を使った菓子であり、小麦
>粉の質の悪さを補うために卵やバター、砂糖などで味付けがされたもので、当然パン
>より価格が安かった。「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」というのは、
>食糧難の際の窮乏生活を説いた、まっとうな発言だという説である。


その他参考 URL:
- http://slashdot.jp/%7ETarZ/journal/472635
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