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2011.06.25 (Sat)

信長が 梅雨将軍とは つゆ知らず

『唐沢俊一の雑学王』 P.28 「梅雨」のトリビア

 雨の日はラブホテルが満員になるという。まあ、雨の日には観光地に
行ってもつまらないし、他にすることがないからとりあえず……というのが
理由だろうが、果たしてそれだけか。雨で気圧が乱れている日は、女性は
ことに、体調が大きく変化しがちである。心理状態が混乱して、普通なら
ガードが堅い女のコも「もうどうにでもして」といってしまう場合が、よくある
のだ。
 織田信長(いきなり話が飛ぶが)は別名を『梅雨将軍』と呼ばれたという。
桶狭間の有名な奇襲をはじめ、戦った戦のほとんどが梅雨の季節の大雨
の中で行われたためだが、気象庁の技官であった新田次郎の小説『梅雨
将軍信長』ではさらに推理を進めて、信長は雨が近づいてくるあたりの気圧
のときに、最もカンが冴える体質だったのではないか、という説を唱えて
いる。で、一方の明智光秀は“晴れ型人間”であり、二人の気質が合わな
かったことが本能寺の変につながったのでは……というのだ。
 あなたの彼女が晴れ型なら、雨の日は落とすチャンス。
 なお、気圧と体調の関係を重くみているドイツでは、医学関係者に向けた
“医学気象予報”という天気予報放送が、1952年から流され続けている
のだそうだ。


本当に唐沢俊一は「気圧」が好きだ。「【ぜんぶ】盗作屋・唐沢俊一127【気圧のせい】」と
スレタイになったこともあるし、その元となった「すべて気圧のせい」というのもある。

関連ガセビア (気圧ネタ以外もあり)
結局「チャネリングをテーマにした作品」って何だったんだろう
妄想と劣化の花火
気圧の心はナニゴコロ
ハッピーバースディーじゃなくたって梅雨~♪

で、唐沢俊一は、「織田信長(いきなり話が飛ぶが)は別名を『梅雨将軍』と呼ばれたと
いう」と書いているが、これは小説と現実を混同するいつもの癖 (ここここを参照) が出て
しまったものと思われる。

「梅雨将軍 織田信長」でググると、唐沢俊一も本文で紹介している「新田次郎の小説
『梅雨将軍信長』」について語っているページばかりが見つかる。この小説以外の話と
して、織田信長が「梅雨将軍」と呼ばれていたとするものは見つからなかった。むしろ、
そのような発想はユニークだと思う、初耳だったとする感想の方が目についた。

http://www.自分史作成.jp/archives/2210
>戦国時代の小説が好きなので、織田信長を描いた小説は、けっこう読んでいる方だと
>思っている。しかし、織田信長を雨男(ちょっと意味が違うが)とは思わなかった。
>『梅雨将軍信長』は、梅雨の運気を味方に付けたときは幸運で、損気を味方に付けた
>ときに明智光秀に討たれたという仮説の元に描かれた小説だ。
>明智光秀は、信長と逆で、晴れの日は快活で、雨の日は憂鬱だったそうだ。
>快活だった明智光秀! 初耳だけれど。


http://pub.ne.jp/canoe_oyako/?action=comment&entry_id=3303597
>梅雨将軍という言葉と信長の名前が繋がらなくて、題名を見たときに興味を惹かれます。

http://kanaisocho.blog77.fc2.com/blog-entry-161.html
>1編目は、表題作の「梅雨将軍信長」で、桶狭間の合戦から本能寺の変までを書いて
>いる。
>信長の戦における大勝の陰に「気」を見る男がいたと。。。。
>その男の名は、平手左京亮、信長のかつての後見役であった平手政秀の弟であった。
>桶狭間の合戦の前、今川義元の大軍が押し寄せる中、左京亮は、小鼓を打っていた。
>信長が、何をしているのか聞くと、気をうかがっているという。
>そして、その後の大豪雨を予測する。
>信長は、その大豪雨を利用して義元に奇襲を仕掛け、大勝利を手に入れる。
>そして、長篠の合戦でも。。。。というお話である。
>う~ん、唯物論者で合理主義者の信長がそういうことを信じるかなと思うのだが、話とし
>ては面白い。


http://homepage1.nifty.com/kmoon/phase/diary0907.htm
>新田次郎の『梅雨将軍信長』は、桶狭間の戦いにおける信長の勝因を、天気予報に
>求めた点が、ユニークだった。いかにも、気象庁出身の作家らしい。
>(中略)
>▼『梅雨将軍信長』では、後にオーロラを観測した左京亮が、「側臣に乱あり」とも予言
>している。それを信じなかった信長は、本能寺の変で倒れた。きのう、国内で46年ぶり
>に観測された皆既日食が、さらなる天変地異の予兆でなければいいが。 

>つまり、「梅雨将軍信長」というのは、あくまでも新田次郎が書いた小説であって、史実
>そのままというわけではないんだな。何故こうも産経の執筆者というのは、史実とフィク
>ションとを区別しようとしないのだろう。


すぐ上に引用のページの「何故こうも産経の執筆者というのは、史実とフィクションとを
区別しようとしないのだろう」には少し笑った。史実と虚構を混同するのは、唐沢俊一だけ
のお家芸ではないということで。

さらに、「信長は雨が近づいてくるあたりの気圧のときに、最もカンが冴える体質」という
のは、小説『梅雨将軍信長』の記述の紹介としても正確とはとてもいえない。

新田次郎の小説『梅雨将軍信長』には、以下のように書かれている。

『梅雨将軍信長』 P.39 ~ P.40
>「殿みずから備中に出馬される件はお取りやめになってしかるべきかと存じます。それ
>がしずっと殿のおそばにおりました経験によると、殿の御運が飛躍する時は必ず温気
>(梅雨期)の中の戦いでありました。桶狭間の戦では送温気(後梅雨)の豪雨をねらっ
>て今川義元をたおし、長篠の一戦では温気の間休(梅雨の中休み)を利して、武田勢
>をうちくだきました。そして現在は天下統一ほぼ完成という時になって遠く毛利の大軍と
>矛を合わせることになりましたが、その今もまた梅雨の候にございます」
>「なに今が梅雨だと」
>信長はびっくりしたような顔をした。雨はここ二十日あまり見たことがない。
>「はい梅雨に入っておりますが今年は没温気(空梅雨)でございます。言わば温気異常
>とでも申しましょうか、こういう時には強いて動くべきではないと存じます。それに昨夜天
>文所において、赤気が観測されました。古書に曰く、赤気あれば側臣に乱あり」
〈略〉
>「なにか聞き込んだことでもあるのか」
>「ございません、それがしの直感です、異常性格の人間は大気の異常と共にその考え
>が動くものです。殿は雨によって気を動かす性格のお方です。殿が天下を平定したらそ
>れがしは梅雨将軍信長公とお呼びいたしましょう。しかし、世の中には殿と反対の性格
>の人もいます。乾気によって考えが変る人だっているでしょう、この異常乾燥はきっと誰
>かを気違いにさせるでしょう。そんな気がします」
> 天気次第で気が変る男があると言われて、信長は亀山にいる明智光秀のことをちらっ
>と頭に思い浮かべた。明智光秀は雨の日はひどく憂鬱になり、晴れた日は別人のよう
>に快活になる男だった。
>(まさか光秀が)
> 信長は浮びかけた想像を頭をふって追い払うと大きな声で側臣を呼んで酒の用意を
>命じた。


上で平手左京亮という登場人物がいっている「御運が飛躍」というのを、「カンが冴える」と
表現してよいかどうかというのも疑問だし。

「長篠の一戦では温気の間休(梅雨の中休み)を利して」というのに「雨が近づいてくる
あたりの気圧のとき」と唐沢俊一が書いているのは変な話だし、その少し前に唐沢俊一の
書いている「戦った戦のほとんどが梅雨の季節の大雨の中で行われたため」というのから
してガセだったということに。(http://ja.wikipedia.org/wiki/長篠の戦い を見ると、「3000丁
という量と三段撃ち戦法については史料上の問題が多く、否定する学説が大勢」と書いて
ある一方、「当時としては最大規模の鉄砲隊が投入されたということは肯定」されていると
いう話だから、鉄砲があまり役に立たない梅雨の大雨の戦とは、やはり考えにくい)。

そして、「殿と反対の性格の人」のことを、「乾気によって考えが変る人」、「この異常乾燥
はきっと誰かを気違いにさせるでしょう」と表現していることから、問題とされているのは
主に湿気であると考えてよいだろう。唐沢俊一のいう「雨が近づいてくるあたりの気圧の
ときに」とかいう「説を唱えて」いるわけでも何でもないのだ。

その他参考 URL:
- http://www.shinchosha.co.jp/book/865370/
- http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-69.html
- http://www.ikkojin.net/blog/blog15/post-8.html

以前に、ここのエントリーに「唐沢俊一の言い方だと、もっぱら気圧だけが健康に影響して
いるかのようだが、すぐに引用した文章の方には、気圧の他に、『気温・湿度』というのも、
しっかり含まれていたりするし」――と書いたことがある。

雨で「体調が大きく変化しがち」なのも「心理状態が混乱」するのも、唐沢俊一はすべて
気圧のせいとして、気温や湿度をいっさい無視する傾向がある。

http://www31.atwiki.jp/karasawafan/pages/28.html にリストアップされている分を見ると
「気圧」が 76 ヵ所に対し「湿気」は 3 件のみ。

いや、裏モノ日記を「湿気」でググると、それなりの数がヒットはするのだが、唐沢俊一は
それを不快感と結びつけることはあっても、単独で体調不良と結びつけることはほとんど
ないようなのが、「気圧」とは異なるところである。

http://www.tobunken.com/diary/diary20010526000000.html

昨夜の酒のせいか、腹具合少しおかしい。朝から気温も高いが、湿気もえらく
あってムシムシする。


http://www.tobunken.com/diary/diary20020612000000.html

本格的な梅雨入りか、朝から凄まじい湿気、外は当然雨。しかし来るモノが
来た、という感じで、体はむしろ開き直っている。


http://www.tobunken.com/diary/diary20080615114452.html

入浴。湿気のせいか、執筆作業が長いとお尻の部分に
アセモが出来る。ムーニーでもするか。


http://www.tobunken.com/diary/diary20090809120957.html

1時間ほどで説明は終り、私は地下鉄で帰宅。
むっとする湿気。

午前中に動くのはいいことだと思う。
精神が賦活され、テンションがあがる。


まあ好意的に (?) 補完すると、唐沢俊一は自宅や自分の仕事場で原稿書きをすることが
多く、そこでは温度や湿気はエアコンや除湿器などである程度制御可能であるから、原稿
の遅れの言い訳には使いにくい→勢い「気圧」を絡めた言い訳が多くなるというだけの話
かもしれないのだけど。


で、「ドイツでは、医学関係者に向けた“医学気象予報”」というのまではよいのだが、
「天気予報放送が、1952年から流され続けている」というのは、唐沢俊一の間違いでは
ないかと。

以下に引用するページの記述が正しいとしたら、「ドイツの『医学気象予報』という情報
サービスの対象は、医療機関および医師に限られて」いて、「1992年頃からメディアを
通してバイオウェザーが一般市民に提供されるようになりました」とのこと。

http://www.asahi-net.or.jp/~va5m-ys/kisyoubyo.htm
>医学気象予報(medical weather forecast)
>予想される天気図や、天気予報を利用して、発病や病状の悪化・回復傾向などを予想
>すること。
>健康な人間でも、その日の天気によって肉体的、精神的に影響をうけることがある。
>また、既に述べてきたように天気や季節の変化が、病気の発症や進行に関わりを持つ
>場合も少なくない。
>「医学気象予報」の実例としては1952年から西ドイツ(当時)のハンブルク気象台で発
>表されたものが有名である。(のちに1978年からはドイツ気象庁が発表している。)
>その”予報対象”は、心臓・循環器障害、呼吸器疾患、リウマチ、神経痛、アレルギー
>疾患、抑鬱気分、頭痛、倦怠等々まことに多岐にわたります。
>但し、ドイツの「医学気象予報」という情報サービスの対象は、医療機関および医師に
>限られている。


http://kenkotenki.jp/contents/about/
>古くからドイツなどで発達していた病気と原因になる気象との関係を調べる学問は、
>1955年に国際生気象学会総会が開催されこの時に「生気象学」と定義されます。ま
>た、それより前の1952年ドイツのハンブルグ気象台から「医学気象予報」がすでに行わ
>れていました。元々は「心臓循環器障害」などの患者のための情報で、サービスの提
>供は現地の医療機関などに限られていましたが、予防医学の一環として1992年頃から
>メディアを通してバイオウェザーが一般市民に提供されるようになりました。


唐沢俊一のいう「天気予報放送が、1952年から流され続けて」いたのならば、一般市民
もラジオかテレビを通じてそれを見聞きすることができたはず。放送として流されていたの
ならば「現地の医療機関などに限られて」というのは不自然な話になると思う。

そして、「気圧と体調の関係を重くみているドイツ」だから、医学気象予報を早くから提供
していたかどうかは不明。ことさらに気圧について述べた資料は見つからなかった。

http://www.bioweather.net/bws/info/bc_net.htm
BIO WETTER(ドイツの医学気象予報)
> ドイツを6つの地域に分け、虫垂炎、出血、気管支炎、うつ病、かぜ、てんかん、心筋
> 梗塞、頭痛、興奮のし易さ、血栓など、約30の項目について予報。


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