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2009.04.08 (Wed)

「山本は自慢」の山本は山本嘉次郎じゃない山本だったりして……

『ダメな人のための名言集』幻冬舎文庫 P.62

あるときPCL(後の東宝)撮影所で、蓮っ葉であることは誰もが知っている
女優が、撮影の最中に誰かが持ってきた弁当のおかずのカマボコを見て
こうのたまった。そのあまりのわざとらしさは山本嘉次郎(黒澤明の師匠)
たち、当時のPCLに集まっていた才人監督たちの大喜びするところとなっ
て、たちまちカマトトという言葉がはやり、ついには日本語として広辞苑に
記載されるまでになったと、山本は自慢している。実際にはカマトトは江戸
時代からある言葉なのだが、人口に膾炙したのは確かに山本らの功績
(?)かも知れない。


前ページ (P.61) に表題として書かれた、「カマボコってオトトかしら?」の解説部分。

まあ、唐沢俊一本人も書いている通り、「カマトトは江戸時代からある言葉」というのは、
よいとして。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=カマトト&dtype=0&dname=0na
>かま‐とと【×蒲▽魚】
>知っているくせに知らないふりをして、上品ぶったりうぶを装ったりすること。また、
>その人。多く女性についていう。
>◆蒲鉾(かまぼこ)は魚(とと)か、と尋ねたことに由来するという。近世末、上方の遊里
>で用いはじめた。


問題は、「たちまちカマトトという言葉がはやり、ついには日本語として広辞苑に記載され
るまでになったと、山本は自慢」の部分。

カマトトの語源について語っているようなところでは、だいたい上に引用した「近世末、
上方の遊里」でうんぬんという話が紹介されていて、山本嘉次郎との関連を述べたもの
は見あたらないんだけど、それだけではなくて。

2ちゃんねるのスレの指摘書き込み (Read More 参照) にもある通り、この女優のエピ
ソードが「PCL(後の東宝)撮影所で」ということなら、P.C.L.映画製作所が東宝と合併
する 1937 年よりも前の話となる。対して、『広辞苑』の初版は 1955 年。

『広辞苑』に新語・流行語が「すぐに採用されることは決してない」、「最低でも改訂
間隔の約10年ほどは様子を見る」という。だからこそ、「日本語として広辞苑に記載
されるまでになった」となれば、ある種のステータスとして「自慢」の種にもなるという
ことだろう。

ただし、山本嘉次郎の存命中に、それが自慢として成立しえていたかどうかは疑問。
山本嘉次郎は、『広辞苑』第二版 (1969 年) の 5 年後、『広辞苑』第二版補訂版
(1976 年) の 2 年前の 1974 年に亡くなっている。

唐沢俊一の話だと、その山本嘉次郎本人が、20 年程前に自分らが流行らせた「カマ
トト」 という言葉が「広辞苑に記載されるまでになった」んだぞと「自慢」していたことに
なってしまうのだが……。

さらに唐沢俊一は、「実際にはカマトトは江戸時代からある言葉なのだが」「人口に膾炙
したのは確かに山本らの功績(?)かも」と続けている。この書き方ではまるで、博学で
有名で著書も多数の山本嘉次郎が、唐沢俊一でも書ける「カマトトは江戸時代からある
言葉」というのを、1935 年前後はもちろん 1955 年以降もずっと知らないまま、自慢して
いたかのようなんだけど。

http://ja.wikipedia.org/wiki/P.C.L.映画製作所
>株式会社ピー・シー・エル映画製作所(P.C.L.、-えいがせいさくしょ、1933年12月5日
>設立 - 1937年9月10日 合併)は、かつて東京に存在した映画会社である。


http://www.nttcom.co.jp/comzine/no042/long_seller/index.html
>岩波書店の『広辞苑』。初版の刊行は1955(昭和30)年。
〈略〉
>新語・流行語については、それが日本語として一般に定着しているかどうかが採用
>基準となる。どんなに良く使われる言葉であっても、それがすぐに採用されることは
>決してない。最低でも改訂間隔の約10年ほどは様子を見るのが『広辞苑』なのだ。


http://ja.wikipedia.org/wiki/広辞苑
>1955年(昭和30年):『広辞苑』初版発行
>1969年(昭和44年):『広辞苑』第二版発行
>1976年(昭和51年):『広辞苑』第二版補訂版発行


http://ja.wikipedia.org/wiki/山本嘉次郎
>山本 嘉次郎(やまもと かじろう、1902年3月15日 - 1974年9月21日)は、日本の映画
>監督、俳優、脚本家、随筆家。
〈略〉
>非常に好奇心が強く、博学で、グルメでもあったため、姓名をもじって「ナンデモカジ
>ロウ」とあだ名された。著書も多い。


まあ、以上のことから、「広辞苑に記載されるまでになったと、山本は自慢」というのは、
ガセ認定してよいのではないかと。万が一、山本嘉次郎がそのような自慢をしていたと
しても、「山本は自慢している」の出典を書きもしなかったことが、唐沢俊一の犯した間違
いということで。

それと、地味に疑問なのは、1935 年頃の蓮っ葉 (?) な女優が、「カマボコってオトトかし
ら?」などという言葉を発するかどうか。江戸時代の遊女が、魚を「トト」というのはわかる
けど、戦前とはいえ昭和になってからも、かわいこぶって魚をいうときに「トト」という言葉
が、普通に使われていたんだろうか。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1310735868
>江戸時代の大阪で、あるとき遊女が客に、
> 「かまぼこは、トトからできているの?」と聞きました。
>トトとは、昔の幼児語で、魚のことです。
>遊女は庶民の食べるかまぼこの事など何も知らないというふりをしたのですが、だい
>たい、遊女の出身は貧しい庶民あがりがほとんどなので、かまぼこを知らないはずは
>なく、知っているくせに知らないふりをすることを「かまとと」と呼ぶようになったというこ
>とです。


http://zokugo-dict.com/06ka/kamatoto.htm
>かまとととは女性が世間知らずを装うために言った「カマボコはトト(魚)から出来てい
>るの?(文句の内容は諸説あり)」という文句から出来た言葉で、知っているのに知ら
>ないフリをすることである。幕末の花柳界で普及したことから女性を対象に使われた
>かまととは、後に「うぶを装うこと」や「うぶな人(この場合『かまとと女』ともいう)」と
>いう意味で使われるようになる。一旦は死語となったかまととだが、宝塚歌劇女優の
>楽屋言葉(ヅカ言葉)として使われていたことから、現代に受け継がれた。


そもそも「カマボコってオトトかしら?」のエピソードが本当だとしたら、その面白さは、
「あまりのわざとらしさ」よりも、元からあった「カマトト」という言葉との偶然の一致では
ないかと思うんだけど。「トト」の使用頻度によって、その偶然の一致ぶりのすごさが
変わってきそう。


その他参考 URL:
- http://ja.wikipedia.org/wiki/カマボコ


More...


http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1238538849/83-

83 :無名草子さん:2009/04/01(水) 13:24:33
『ダメな人のための名言集』幻冬舎文庫 P62

カマボコって、オトトかしら? ある女優(カマトトの語源)

>(前略)
>あるときPCL(後の東宝)撮影所で、蓮っ葉であることは誰もが知っている
>女優が、撮影の最中に誰かが持ってきた弁当のおかずのカマボコを見てこう
>のたまった。そのあまりのわざとらしさは山本嘉次郎(黒澤明の師匠)たち、
>当時のPCLに集まっていた才人監督たちの大喜びするところとなって、たち
>まちカマトトという言葉がはやり、ついには日本語として広辞苑に記載され
>るまでになったと、山本は自慢している。実際にはカマトトは江戸時代から
>ある言葉なのだが、人口に膾炙したのは確かに山本らの功績(?)かも知れ
>ない。

東宝の前身PCLは1937年に関連会社と合併し東宝映画株式会社となっているので
この話は1937年(昭和12年)以前の話。
広辞苑の初版は1955年(昭和30年)に発行。


84 :無名草子さん:2009/04/01(水) 13:27:02
その 『ダメな人のための名言集』にある立川談志の言葉

>立派な芸人になりたかったら、まず人にたかれ。
>それから、女に貢がせろ。それも出来なかったら……泥棒しろ。


人にたかる処までは出来たが、その次がダメだったので
泥棒になってしまったという事で。
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Comment

●オタクアミーゴスの本も昔買った気がするけど発掘できていない……

一応細々と活動は続けているようですが、今世紀に入ってからは元気がないようですね<オタクアミーゴス
http://homepage3.nifty.com/mindy/amigos/oa-koen.html

かなりレトロなw 雰囲気のページですが、2008年 9月のイベントの告知とか、後進されていたのにびっくり ↓
http://homepage3.nifty.com/mindy/amigos/oa-menu.html

http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10788&pg=20030716
> 本書のコンセプトは基本的に大好きなのだが、やや文章が雑なのと、ケアレスミスや
>誤植が多いのがちょっと気になるところだ。「徳川夢声」がやたら「徳川“無”声」と誤植
>されてるのは困りものだし、あまりきちんと調べてないなあ、と思われる記述も多い。
> 「カマトト」という言葉について、「カマボコって、オトトかしら?」とPCL(のちの東宝)の
>ある女優が語ったのが語源、とあるが、これは俗説である。『日本国語大辞典』(小学館)
>には、既に江戸時代末期に、この言葉があることが次のように示されている。
> 「近世末に上方の遊里で用い始めた語。※人情穴探意の裡外(1864頃)三『年に
>似合ずかまととばかり云ふ妾さん』」
> 他にもツッコミどころがやたらあるんだけれど、字数がオーバーしちゃうんでやめとく。
>まあ、こういう細かいところは誰か親切な人が唐沢さんにご注進するでしょ(^o^)。

> こういうヒネクレた名言、ということになると、アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』や
>バーナード・ショーあたりのセリフが真っ先に浮かぶのだが、そういった有名どころをあえ
>て外して、唐沢さんが実際に見聞した知人や名もなき人々の迷言も収録しているところ
>が本書の幅を広げている成因だと思う。

「徳川“無”声」となっていた箇所は見つけられなかったですが……手元にあるのが第二版のせい?

「誰か親切な人が唐沢さんにご注進するでしょ」って、そんな親切な人はいなかったのか、いたんだけど唐沢俊一の脳にまでその言葉は届かなかったのか。まあ、どちらも考えられますわね。

「有名どころをあえて外して」の「あえて」というのも、今の目で見ると過大評価っぽい気が。単に知らなかったり見る目がなかったりでスルーしたもの多数、では。それにより、あたかも独自の世界をもっているかのように読者に錯覚させていたとか。いや唐沢俊一の世界の独自性って、ある意味他の追随を許さないものだから錯覚ではないのかもしれませんが。パクリ多数でなおかつ独自の世界というのがスゴいところで。
トンデモない一行知識@レス遅延気味すみません |  2009年04月11日(土) 06:44 |  URL |  【コメント編集】

●無責任賛歌

 このサイトの主催者は、九州でオタク・アミーゴズのプロデュースしていて、後に唐沢と喧嘩別れしたはずです。この人物もモンダイアリって感じですけどね。
 そーいや、オタク・アミーゴズはどうなったんでしょうか。解散したんでしょうかね。大切な飯のタネだったのに。
藤岡真 |  2009年04月10日(金) 06:09 |  URL |  【コメント編集】

●2003年に

こんなことを書かれていたんですね。

http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10788&pg=20030716

私も、「デコ」ちゃんはヒデコのデコだと思います。
ハヤタ隊員 |  2009年04月09日(木) 17:04 |  URL |  【コメント編集】

いえいえ、高峰秀子は、ウチの親とかがしょっちゅう「デコちゃん」「デコちゃん」いっていたので、何か懐かしくてうれしかったです。「デコちゃん」というほどオデコが目立っているわけじゃないと思うけどなあ――といっては、いつも他の家族に否定されたりしていた思い出が。(名前がヒデコだからデコというのは、わかるとして)。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%e9%ab%98%e5%b3%b0%e7%a7%80%e5%ad%90
>デビューから1937年までの子役時代を過ごす。日本のシャーリー・テンプルと呼ばれ
>る。共にオデコであったのでデコちゃんの愛称がつく。この時代に既にスターとしての
>人気を博しており、島津保次郎監督『愛よ人類と共にあれ』(1931) では男の子役を
>演じるなど、天才子役の名を欲しいままにしている。

Wikipedia によると、「『良人の貞操』(山本嘉次郎 監督、1937年)」というのがありますが、仮に彼女が「カマボコはオトト」といったとしても、まだ 13 歳の子どもなのだし、いくら唐沢でも、「そのあまりのわざとらしさ」と書くほどのオニではないでしょう。自信ないけど。
トンデモない一行知識 |  2009年04月09日(木) 03:44 |  URL |  【コメント編集】

●女優さんって誰なんでしょう?

女優さんといえども、昭和の人間、しかも大の大人が、「カマボコってオトトかしら?」なんていいますかね?
カマボコなんて、珍しい食べ物でもないし。

まあ、山本嘉次郎は随筆家としても有名ですから、このような内容の文章を書いた可能性もないとは言えませんが。

それよりも、この女優さんが誰なのか気になります。
(ちなみに、私も「蓮っ葉」をどういう意味で使っているのか疑問です。)

高峰秀子だったら言いそうだなあ。まだ子供だし。
デコちゃんは、子役が忙しくて学校にほとんど行けなかったから、漢字があまり読めず、二桁の計算も出来なかったと自著に書いてます。30歳で結婚してから旦那さん(松山善三)に計算や漢字を教わったらしい。それで「わたしの渡世日記」等の本を出しちゃうんだから、スゴイですね。
どうでもいい話で申し訳ありません。
ハヤタ隊員 |  2009年04月08日(水) 10:48 |  URL |  【コメント編集】

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