2011.02.12 (Sat)
去年マーチン・ベンソンで
30日
日曜日
古い映画をみませんか・3 【Battle Beneath the Earth】
『Battle Beneath the Earth』モンゴメリー・タリー監督(1967)
MGM配給のイギリス映画。
日本版は出ていないので原語版ビデオで見た。
とはいえ、ストーリィは英語版でもまったく支障なくわかる
程度に単純きわまりない。
要するに、60年代の冷戦ノイローゼが生んだ侵略もので、
中国共産軍が太平洋の底をハワイ経由でアメリカまでトンネルを
掘り(凄い根気!)、原爆をアメリカ各都市の地下に仕掛けて
同時に爆発させようとたくらむ話である。
こんな現実性のない計画であっても、中国人ならやりかねない、
娯楽映画のネタになるくらいのリアル性はある、と60年代の
イギリス人は思っていたのだろう。それくらい、当時の文化差は
東西で遠いものがあった、ということだ。
最初にその計画に気付く男が、ラスベガスの大通り(ロケかと思って
いたらセット撮影。金だけはかけている)の地面に寝そべって耳を
道路にあて、
「聞こえる……確かに聞こえる。何かが地面の下を通ってる!」
と騒いで狂人扱いされる、というオープニングが何とも。
ラスベガスの騒がしい大通りでそんな音が直に聞こえるような
計画ならすぐばれてしまうだろうが。
その計画を阻止する主人公のアメリカ海軍の士官を演じるのは
『シンドバッド七回目の航海』(58)でシンドバッドを演じた
カーウィン・マシューズ。その部下に『謎の円盤UFO』(70)で
ブレイクする前のエド・ビショップ。
だが、真の主人公はこの計画を立案・実行する責任者、中国軍の
チャン・ルー将軍だろう。この役に『007/ゴールドフィンガー』
(64)で、乗ったキャデラックごとプレスされてしまうギャングを
演じたマーチン・ベンソン。なぜかベンソン、『王様と私』(56)
の大臣など、アジア人の役を演じることが多い。太平洋の地下の基地に
まで仏像だの掛け軸だのツボだのを運び込み、ペットのタカを飼って
いる。これがイギリスにおける中国人のイメージなのだろう。
中国軍兵士たちはみんなイギリス人俳優が目の吊り上がった黄色い
顔のメイクをし、中国訛りの英語をしゃべっている。
テレビムービーなみの安っぽいセットで、ベニヤで作られたとおぼしい
原爆運搬車やレーザー光線車(これでトンネルを掘っていたらしい)が
がったんごっとんと石膏と発泡スチロール製の地下トンネルをのんびり
移動していく光景は何とも牧歌的で楽しく、私はこのB級(いや、C級
かな?)映画が嫌いじゃない。差別描写も、ここまでバカバカしく
徹底すればツキヌケたイメージになって嫌味がなくなる。むしろ、
大衆心理の裏にある黄禍感覚をうまくすくい取って商売にする
たくましさこそエンタテインメント業界のパワーの根源だろう。
ところで、ヒロインのヴィヴィエンヌ・ヴェンチュラという女優さん、
ワンシーンだけ肉感的な胸チラを見せてくれるが、どういう人かと
IMDbを調べてみても、ほとんど個人データがなく、ただ
「ブルネイの国王とデートした」とだけあった。おお、ブルネイですか。
村上麗奈の先輩ですね。
×アジア人の役を演じることが多い ○イギリス人以外の役が多い
×黄色い顔のメイクをし ○黄色人種を装うメイクをし
×キャデラック ○リンカーン
×個人データがなく ○トリビアがなく
ほとんどの情報は IMDb と Wikipedia が元のようなんだけど、そこから少しはみだしている
部分が、いくつか引っかかった。
「要するに、60年代の冷戦ノイローゼが生んだ侵略もので、中国共産軍が太平洋の底を
ハワイ経由でアメリカまでトンネルを掘り(凄い根気!)、原爆をアメリカ各都市の地下に
仕掛けて同時に爆発させようとたくらむ話」というのは、IMDb のプロットの項に書かれて
いることと、似たような感じ。
http://www.imdb.com/title/tt0061387/plotsummary
> A Chinese general goes berserk and has a system of tunnels made all the way from
> China to USA, under the Pacific Ocean! Wherever there is an important military
> base, he places atomic bombs... Written by Mattias Thuresson
「ハワイ経由で」というのは書かれていないけど、どうなんだろう。ハワイを通ると、いくらか
遠回りになるような気がするんだけど……。
参考: http://www.arukikata.co.jp/weather/
同じく他には書かれていない「60年代の冷戦ノイローゼ」。まあ、「"冷戦ノイローゼ"」と
二重引用符でググってヒットするのは、当ブログのエントリーとその引用元である唐沢俊一
の文章――それも、今回の「古い映画をみませんか・3 【Battle Beneath the Earth】」と、
翌日 1 月 31 日の「古い映画をみませんか・4 【ビッグ・コンボ(暴力団)】」のみ――という
ものでしかない。唐沢俊一が適当にひねりだした造語と思われるし、この映画を生み出し
たものが「ノイローゼ」というにふさわしい心理状態だったかどうかは真面目に考えなくても
よいだろう多分。
・レプリカントには消えない薔薇を
・なぜかルパン三世を思い出した<『ビッグ・コンボ』のサーチライト
「リアル性」というのもどうかと思った。「リアリティ」か「現実味」とか書くべきところでは
ないかと。
上から 4 番目の段落「その計画を阻止する主人公の」以降の記述は、最初は、
http://en.wikipedia.org/wiki/Battle_Beneath_the_Earth からリンクをクリックしていって
情報をたどったのかと思ったが、それよりも goo Wikipedia(ウィキベディア) を起点とした
可能性が高そう。「Battle Beneath the Earth」でググるとトップにくる日本語ページだし、
唐沢俊一の書いている「黄色い顔のメイク」の元になったと思われる「yellowface」という
のが、現在の英語版 Wikipedia の記述には存在しないため。
Yellowface の定義は以下の通りで「黄色い顔のメイク」というのとは少し違う。また、この
項で使用されている写真の多くはモノクロだったりする。
http://wpedia.goo.ne.jp/enwiki/Yellowface
> Yellowface is the practice in cinema, theatre, and television where East Asian
> characters are portrayed by predominantly white actors, often while artificially
> changing their looks with makeup in order to approximate East Asia facial
> characteristics; it also describes situations in which non-Asian people contro
> l what it means to be Asian on stage and screen.[1]
「主人公〈略〉を演じるのは〈略〉カーウィン・マシューズ」で、「『謎の円盤UFO』(70)
でブレイクする前のエド・ビショップ」も出演していて、「中国軍兵士たちはみんなイギリス人
俳優が」というあたりは、以下のページから拾える。
http://wpedia.goo.ne.jp/enwiki/Battle_Beneath_the_Earth_(1967)
> Battle Beneath the Earth (1967) is a British sci-fi-espionage movie starring
> Kerwin Matthews. It was released by Metro-Goldwyn-Mayer. The film also features
> character actor Ed Bishop who would later go on to star in the Gerry Anderson
> cult-tv show UFO.The film is remarkable for its decidedly politically-incorrect
> depiction of the Red-Chinese, played mostly by English actors in yellowface. The
> action scenes―especially for a low budget matinée programmer―are brisk and
> occasionally bloody.
「『シンドバッド七回目の航海』(58)でシンドバッドを演じたカーウィン・マシューズ」という
のは、上の引用にある「Kerwin Matthews」のリンクをクリックすればよい。
http://wpedia.goo.ne.jp/enwiki/Kerwin_Matthews
> Kerwin Mathews (January 8, 1926 ? July 5, 2007) was an American actor best
> known for playing the titular heroes in The Seventh Voyage of Sinbad (1958),
> The Three Worlds of Gulliver (1960) and Jack the Giant Killer (1962).
「チャン・ルー将軍だろう。この役に〈略〉マーチン・ベンソン」は、以下に書いてあるし:
http://wpedia.goo.ne.jp/enwiki/Battle_Beneath_the_Earth_(1967)#Cast
> Al Mulock as Sgt. Marvin Mulberry
上の「Marvin Mulberry」のリンクをクリックすれば、「『007/ゴールドフィンガー』(64)」、
「『王様と私』(56)」というのも……。
http://wpedia.goo.ne.jp/enwiki/Martin_Benson_(actor)
> He is remembered for his role as the Kralaholme in the original London production
> of The King and I, a role he recreated in the Oscar winning film version.
〈略〉
> In 1964, he appeared as Mr. Solo, the gangster who refused to take part in the
> title villain's plan and is later shot by his henchman Oddjob in the James Bond film,
> Goldfinger.
と、ここまでは好調 (?) だったんだけど、「『007/ゴールドフィンガー』(64)で、乗った
キャデラックごとプレスされてしまうギャングを演じたマーチン・ベンソン」の「キャデラック」
というのが Wikipedia には書かれていない。
http://wpedia.goo.ne.jp/enwiki/Goldfinger_(film)
> Martin Benson as Mr. Solo: The lone gangster who refuses to take part in
> Operation Grand Slam and is later killed by Oddjob and crushed in the car which
> he is riding in.
で、Martin Benson は 2010 年 2 月に亡くなっている。
http://wpedia.goo.ne.jp/enwiki/Martin_Benson_(actor)
> Martin Benjamin Benson (10 August 1918 ? 28 February 2010)[1] was an English
> character actor, who appeared in films, theatre and television. He appeared in both
> British and Hollywood productions.
となると、唐沢俊一のことだから、去年の訃報にあたって何か書いていなかったっけ――と
思ったら、やはり書いていた。
http://www.tobunken.com/news/news20100307145211.html
同人誌
2010年3月7日投稿
押しつぶされた男(訃報 マーチン・ベンソン)
〈略〉
……言うまでもなく『王様と私』の冒頭シーンだが、その裸の大臣、
クララホームを演じたのが俳優マーチン・ベンソン。
もちろん、シャム人ではなく、生粋のイギリス人である。
ただし、顔が濃い。太い眉毛、ぎょろりとした目。
わが国の高松英郎にかなり似たご面相で、英米人にとってはよほど
エキゾチズムを感じさせる顔なのだろうか、何故かよく気がつくのは
外国人役である。『クレオパトラ』ではエジプト人、『ザ・メッセージ』
ではアラブ人、『オーメン』ではイタリア人神父、『暗闇でドッキリ』
ではフランス人、といってもこの映画は全員がそうだが、なんと
『Battle Beneath the Earth』ではアメリカ侵略をたくらむ
中国人の将軍役までやっている。
『怪獣ゴルゴ』ではゴルゴを見世物にする興行師、ドーキン。
太い眉毛をさらに描き足して、気障な口ひげ、べったりとなで付けた
髪の毛などはイタリア系なのだろう。
〈略〉
『王様と私』の次に有名なのは『007/ゴールドフィンガー』で、
ゴールドフィンガーのフォート・ノックス襲撃計画のための
レーザーの密輸に協力するアメリカ・ギャングのミスター・ソロ。
他のギャングたちが金につられて計画に賛成する中、ひとりだけ
反対して、報酬の金塊を手にゴールドフィンガーのもとを去るが、
空港に送られる途中ハロルド坂田に殺され、自動車(リンカーン!)
ごと廃車プレス機で押しつぶされて鉄の固まりにされてしまう。
運ばれてきたその固まりを見てゴールドフィンガー曰く
「ボンド君失礼するよ、ソロ君から金をより分けないとならんのでな」
……考えて見ればそんな面倒くさいことしないでも、殺した死体を
どこかに放棄してしまえばすむだけの話なのだが、007の世界観
の中では、悪人は常に一般人の考えも及ばないことをしでかさなくては
ならず、この、死体ごとの圧縮プレスはその代表例であったのだ。
〈略〉
(写真右)探したらこんなミニカーがあった。
廃車プレス機で押しつぶされて金塊とソロの死体入りになった
リンカーンを乗せたトラック(笑)。
フォード・ファルコンのランチェロだそうだ。
去年の記事を使い回ししたのかと予想していたら、唐沢俊一自身が 1 年近く前に書いた
文章を、だいぶ劣化させたのが今回の「古い映画をみませんか」だったというオチ……。
去年は「何故かよく気がつくのは外国人役」で、シャム人、エジプト人、アラブ人、イタリア
人、フランス人に加えて「中国人の将軍役までやっている」だったのが、今年になって書い
た文章では「アジア人の役を演じることが多い」である。シャム人と中国人の 2 つだけで
「多い」もないもんだと思うし、アラブ人を入れたとしても 3 つだし。
http://ja.wikipedia.org/wiki/アジア
>古代では、現在の小アジアを指したが、現在では一般的にヨーロッパを除くユーラシア
>(EuroAsia) 大陸全般を指すが、政治的・経済的な立場の違いにより、異なった様々な
>定義がなされる場合がある。
〈略〉
>ヨーロッパ諸国ではトルコ以東(中東)を指すことが多い。ただしロシアのアジア地域
>(シベリア)はしばしば除外される。
>アラブ諸国ではアラブが自称であり、アジアといえば東南アジア及び東アジアを指す
>ことが多い。 (トルコ人・アラブ人・インド人(アーリア系)は、人種的にはコーカソイド
>《白人》を含んでいる)
>日本では逆に、しばしば中近東ならびに中央アジアや南アジアを含めず、極端な場合
>には東南アジアも除いた、東アジアのみをさすことがある。
『ゴールドフィンガー』でマーチン・ベンソン演じるソーローごとスクラップにされた車も、去年
唐沢俊一が書いた「リンカーン!」の方が正しかったようだ。まあ、「キャデラック」だとして
いるページもあるのだけど。
http://ja.wikipedia.org/wiki/007_ゴールドフィンガー
>グランド・スラム計画に乗らなかったシンジケートのボスの一人ソーローは、オッド・ジョブ
>に殺され車(リンカーン・コンチネンタル)ごとスクラップにされてしまった。
http://homepage2.nifty.com/kiriko/movies/goldfinger.htm
>ゴールドフィンガーの計画に反対したマフィアの親分がオッド・ジョブに殺されてキャデ
>ラックもろとも廃車置場の巨大プレスで潰されて小さな直方体の固まりになってしまう
>場面はなかなか凄まじい。
ちなみに、以下のページは、去年の唐沢俊一の有力ネタ元候補で突っ込み方も似ている。
http://1-43cu-in.blog.ocn.ne.jp/blog/lincoln/index.html
>上のモデルはゴールドフィンガー所有の'64年型リンカーンコンチネンタルで、映画の中
>では、哀れアメリカン・マフィアのソーロー氏諸共圧縮機でぺちゃんこにされてしまいま
>す。何も人一人を始末するのにそんな手の込んだ事をする必要もない気もするのです
>が、(しかも後で金をより分けなきゃいけない・・・)当時のアメリカの機械文明のスケー
>ルの大きさ(大袈裟さ?)を表現したかったのかもしれません。
ええと、それから、今年の唐沢俊一が「IMDbを調べてみても、ほとんど個人データがなく、
ただ『ブルネイの国王とデートした』とだけあった」と書いている「ヒロインのヴィヴィエンヌ・
ヴェンチュラという女優さん」。
唐沢俊一 の書いたものだけ読むと、他の出演作の情報も何もないかのように思えるが、
IMDb の Vivienne Ventura の項目には、生年月日もあれば、合計 19 作品の出演情報も
ある。「Dated The Sultan of Brunei」としか書いていないのは「Trivia:」の項目である。
http://www.imdb.com/name/nm0893387/
> Born: December 5, 1947 in London, England, UK
> Trivia: Dated The Sultan of Brunei.
〈略〉
> Actress (19 titles)
> 1986 Sins (TV mini-series)
> Odette
> 1973 Docteur Caraïbes (TV series)
> Rosa (as Viviane Ventura)
〈略〉
> Personal Details
> Publicity Listings: 1 Magazine Cover Photo | See more »
> Alternate Names: Viviane Ventura | Vivian Ventura
この「Alternate Names」を見逃したから、英語版 Wikipedia の、Viviane Ventura 名義の
ページも見つけられなかったんだろうなあ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Viviane_Ventura
> Viviane Ventura is a British actress. She was born on December 5, 1947, in
> London, but spent her childhood in Bogotá, Colombia. In 1958, she returned to the
> UK, where she started her film career. Ventura has made films for 20th Century
> Fox including High Wind in Jamaica and Lord Jim. She has worked with actors who
> include Anthony Quinn, Cliff Richard, Peter O'Toole, Omar Sharif, Victor Lownes,
> and Julio Iglesias. She now lives in London in the UK. Her youngest daughter is t
>he British environmentalist Sheherazade Goldsmith. She also the author of two
> books April Fool, a novel, and Guide to Social Climbing (1983)
そこには本人サイトへのリンクもあるのだけど。
http://vivianeventura.com/home.php
その他参考:
http://miwako-f.web.infoseek.co.jp/spy/uk01.htm
> 太陽をつかもう! Finders Keepers
〈略〉
> ヴィヴィエンヌ・ヴェンチュラ/Vivienne Ventura、
wikiによれますと、
英仏海峡トンネルの最初のアイデアが出たのが1752年。
実際に試掘されたのが1881年(1883年に中止)。
戦後、改めて海峡トンネル研究会 が発足したのが1956年。
1969年に「海底トンネル委員会」発足。
と、あります。
>『Battle Beneath the Earth』モンゴメリー・タリー監督(1967)
>MGM配給のイギリス映画
ということですから、当時のイギリスには海底トンネルについて、話題になる土壌があった…ということではないかと思います。
そこからイメージをふくらませて、この映画のアイデアになったのではないでしょうか?
ちなみに、
>中国共産軍が太平洋の底をハワイ経由でアメリカまでトンネルを
>掘り(凄い根気!)、原爆をアメリカ各都市の地下に仕掛けて
>同時に爆発させようとたくらむ話である。
これ、視点を変えてみれば、ウルトラセブンの最終回のゴース星人の地底ミサイルですよね。
(セブンのゴース星人の回は、1968年9月放映)
また、中国(アジア)を絡めるなら、シャンバラは全世界と地下でつながってる伝説とか、いろいろ書きようがると思いますが…。
あと、今まで見過ごしていましたが、
>むしろ、
>大衆心理の裏にある黄禍感覚をうまくすくい取って商売にする
>たくましさこそエンタテインメント業界のパワーの根源だろう。
1967年のイギリス映画を語るのに、黄禍論を持ち出すのはいかがなものかと思います。
>ナチスと日本軍がドイツからアラスカへの地下トンネル
( ・∀・)つ〃∩ へぇ~
そちらは知りませんでしたが、秘密地下トンネルというのはいろいろ興味をひかれるネタだし、『Battle Beneath the Earth』は「British sci-fi-espionage」で、それも科学考証をきっちりやった SF というより、イギリスがアメリカをおちょくったような映画でしょうから、中国人がどうこうとか、「それくらい、当時の文化差は東西で遠いものがあった、ということだ」というのは、おっしゃる通り唐沢俊一の言いがかりと考えてよさそうな……。
こちらはリアルのラスベガスの地下トンネル:
http://www.zaeega.com/archives/51267381.html
娯楽映画のネタになるくらいのリアル性はある、と60年代の
イギリス人は思っていたのだろう。
戦時中のマーヴル・コミックで、「ナチスと日本軍がドイツからアラスカへの地下トンネルを掘っているを、スーパーヒーローが破壊する」というのがあったらしいです。
アレックス・ロスの「マーヴルズ」にニュース映画として、そのエピソードが出て来ますので、実際に戦時中にそういうストーリーで出版されたコミックスがあったのでしょう。
つまり、長大な地下秘密トンネルなどというネタは、昔からあるし、中国人がどうのということは、ただの言いがかりですね。
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http://ja.wikipedia.org/wiki/英仏海峡トンネル
>1751年 : アミアンアカデミーが新しい海峡横断交通のアイデアを募集する
>1752年 : 鉱山技師アルベール・マチュー (Albert Mathieu) が海峡トンネル
>案をアミアンアカデミーに送る
>1802年 : アルベール・マチューがナポレオン1世に海峡トンネルを提案
>1833年 : トム・デュ・ガモン (Thome du Gamond) が最初の地質調査を行う
>1855年 : パリ万博に海峡トンネルの模型が展示される
真偽はともかく「フランス側から英国へ攻め込むためのアイディア」とする説も。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~j-yone-1/15585654/index.html
> 英仏海峡(ドーバー海峡)にトンネルを掘ろうという構想の歴史は遥か昔に
>遡る。初めはフランス側から英国へ攻め込むためのアイディアで、フランス
>大革命に先立つこと36年、1753年ルイ15世の時、フランスの地質学者が
>提案した。
>ウルトラセブンの最終回のゴース星人
http://ja.wikipedia.org/wiki/ゴース星人
>地球人の海と空の守りは堅いものの地底からの攻撃には何の備えを持って
>いないことを利用し、超強力な地底ミサイル150発を使って全世界の首都を
>破壊する人類抹殺計画「30億人皆殺し計画」を実行しようとした。
地下からの攻撃は備えも何もないから怖いと心理ははたらくかもですね。
同じ地球人相手ならともかく、宇宙人が地下から攻撃かよとは思わないでもないですが……。
>シャンバラは全世界と地下でつながってる伝説とか
『ムー』あたりが好きそうな秘密の一大地下帝国とか。
>1967年のイギリス映画を語るのに、黄禍論を持ち出すのはいかがなものかと
>思います。
あはは、私も見逃していました。^^;
まあ好意的に補完すれば黄禍論でアタフタする (?) アメリカ人の姿を生き生きと描いたものだから、とか。
または、いや黄禍論は日露戦争の頃、イギリスが火元だったぞ、とか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/黄禍論
>ところが、1900年に義和団の乱が起こり、1904年に日露戦争が起ると、まず、
>イギリスで黄過論が頻繁にジャーナリズムに登場するようになり、それがロシ
>ア、フランスに波及していった[1]。