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2010.11.02 (Tue)

3 世紀後に書いたラブレター

『ウラグラ! ベスト・オブ・裏モノの神様』 P.25

 ちなみに、歴史上最も金のかかったラブレターは代筆だった。フランスの
フィリップ三世が自分の恋人に送る詩をデポルトという詩人に作らせたもの
で、「もし貴女と一緒にいられるなら名前もいらず、名誉もいらず、むしろ
天国のようなところに生まれたい」という、たったこれだけの詩だったが、
フィリップ国王のその恋愛がうまく成就したために、このデポルトは、現在の
金額に直して20億円以上の褒美をたまわったということである。


まず、大胆王 (le Hardi) とも呼ばれたフィリップ 3 世は、13 世紀の人。

http://ja.wikipedia.org/wiki/フィリップ3世_(フランス王)
>フィリップ3世(Philippe III, 1245年4月30日 - 1285年10月5日、在位:1270年 - 1285
>年)は、フランス王国カペー朝第10代の国王。ルイ9世と王妃マルグリット・ド・プロヴァ
>ンスの次男。大胆王(le Hardi)と呼ばれた。


そして詩人のフィリップ・デポルトは「16、17世紀」の人……となると、「フィリップ三世が
自分の恋人に送る詩をデポルトという詩人に作らせた」なんてことは不可能なわけで。

http://www.chartres-tourisme.com/ja/rubrique/歴史/063176257b42477f69a79a853106dafc/
>文学の世界では、シャルトルは3人の著名な文学書を16、17世紀に輩出しました。詩
>人フィリップ・デポルト、マチュラン・レニエ、そしてモラリストのピエール・ニコルです。


どうも「フィリップ」というのは、デポルトの名前から取ってきてしまったもののようで、
フィリップ・デポルト (Philippe Desportes) と交流のあったのは、フィリップ 3 世ではなく、
アンリ 3 世 (Henri III) だったという……詩の訳は正しいのか、「20億円以上の褒美」
とは本当かというのが気になって調べはじめたのだけれど、唐沢俊一のガセ生産力を
過小評価していたようだ。

http://www.seidosha.co.jp/index.php?%A5%D5%A5%E9%A5%F3%A5%B9%BB%ED%C2%E7%B7%CF
>ルネッサンスのフランス詩
〈略〉
>フィリップ・デポルト


http://www.litterature.jp/ronsard/amours/index.php?%A5%ED%A5%F3%A5%B5%A1%BC%A5%EB
>シャルル9世の死後、アンリ3世の治世が始まるや王の側近デポルトが時代の嗜好に
>適う詩人となり、ロンサールは次第に宮廷から遠ざかる。


http://en.wikipedia.org/wiki/Philippe_Desportes
> Philippe Desportes (1546 – 5 October 1606) was a French poet.
〈略〉
> Nine months in Poland satisfied the civilized Desportes, but in 1574 his patron
> became king of France as Henry III. He showered favours on the poet, who
> received, in reward for the skill with which he wrote occasional poems at the
> royal request, the abbey of Tiron and four other valuable benefices.


http://ja.wikipedia.org/wiki/アンリ3世_(フランス王)
>アンリ3世(Henri III, 1551年9月19日 - 1589年8月2日)は、ポーランド最初の選挙王
>(在位:1573年 - 1575年)、およびヴァロワ朝最後のフランス王(在位:1574年 -
>1589年)。アンリ2世の四男、母はカトリーヌ・ド・メディシス。フランソワ2世およびシャ
>ルル9世の弟。ポーランドではヘンリク・ヴァレジ(Henryk Walezy)と呼ばれる。


しかし、デポルトについての記述は、上記の日本語版 Wikipedia にもないし、英語版
http://en.wikipedia.org/wiki/Henry_III_of_France の方にもない。

「デポルト ラブレター 代筆」で検索しても何もヒットしない。「唐沢俊一 ラブレター 代筆」ならば:

本当は怖い高師直の人妻に横恋慕話

というのが、ちゃんと引っかかってくれるのだが。

その他ラブレターの出てくるガセビア:
いったんはふられたけど結婚していますが何か?
真珠湾攻撃の 3 日前に書いたラブレター

ええと、そして、デポルトはフランス国王のラブレターを代筆して大金をもらったのか、
「もし貴女と一緒にいられるなら名前もいらず、名誉もいらず、むしろ天国のようなところ
に生まれたい」とか書いたのかという問題については、いろいろ捜してはみたのだけど、
それらしい話は全然見つかりませんでした、捜し方が悪かったせいかもしれません、
ごめんなさいということで……。

- http://www.answers.com/topic/philippe-desportes
- http://www.sonnets.org/desporte.htm
- http://encyclopedia.jrank.org/DEM_DIO/DESPORTES_PHILIPPE_1546_1606_.html
- http://sedulia.blogs.com/sedulias_translations/2006/11/philippe_despor.html
- http://victorian.lang.nagoya-u.ac.jp/victorianweb/authors/swinburne/harrison/notes/2in03.html
- http://en.wikipedia.org/wiki/French_literature_of_the_17th_century

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Comment

鳩パックの件ですか。
http://tondemonai2.web.fc2.com/200.html
これはずいぶん後になって、『超辞苑』や『アシモフの雑学コレクション』に載っているようなネタを恐ろしく変形した結果なのかも……とわかった (?) のですが、今回の世界一高額報酬なラブレター代筆の件も、実はどこかに元ネタがあるのかもしれません。
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/blog-entry-240.html

シラミの件の方も
http://tondemonai2.web.fc2.com/191.html
『超辞苑』の「アメリカインディアンの黄疸療法に、兄弟中7番目の男の子に擦り潰してもらったシラミ」というのがありましたし……。
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/blog-entry-243.html

「アメリカインディアン」の話がフランスやイタリア貴族の話になったのは、

>ヨーロッパの王朝同士の複雑な関係から、「これだけゴチャゴチャなら、
>テキトーなことを書いても分からないだろう」という思いがあるのではとも
>思います。

というのが、なるほどあるかもしれないですねー。


ちなみに英語版 Wikipedia en.wikipedia.org/wiki/Henry_III_of_France によると、戦争嫌いのせいかホモセクシャルの噂を立てられたが美人の愛人も多かった人とか、結構ゴチャゴチャ (?)。

> For a long time after his death, Henry was assumed to have been
> homosexual or at least bisexual[2]. Although there are many credible
> references which document Henry's homosexuality, it is still disputed[3].
> For example, some modern historians, such as P. Erlanger[4], J.F. Solnon,
> Nicolas Le Roux [5] and J. Boucher [6], found evidence to support the
> idea that, not only was Henry not homosexual (though still perhaps
> bisexual), but he had many famous mistresses. They found that there
> were no men named with whom he could have had sex, and that he was
> well-known at the time for his taste in beautiful women. They concluded
> that the idea of his supposed homosexuality was based on his dislike of
> war and hunting being interpreted as effeminate, an image cultivated by
> political opponents (both Protestants and ultra-Catholics) to turn the
> opinion of the French people against him. The scholar Louis Crompton
> provides substantial contemporary evidence of Henry III's homosexuality,
> and the associated problems at court and politics.[7]
トンデモない一行知識 |  2010年11月03日(水) 14:29 |  URL |  【コメント編集】

●フランスよい国

 唐沢のフランスネタもガセが多いですね。シラミをパンに載せて喰ったとか、鳩の腹を割いて顔面パックに使ったとか。ヨーロッパの王朝同士の複雑な関係から、「これだけゴチャゴチャなら、テキトーなことを書いても分からないだろう」という思いがあるのではとも思います。第一次大戦のとき英国の敵国ドイツの皇帝はヴィクトリア女王の甥だし、エリザベス女王の夫、エジンバラ公はギリシア人だし、エカチェリーナ女王はドイツ人でロシア語が不自由だったし、日本の皇室とは全く考え方が違うのでしょうね。
藤岡真 |  2010年11月02日(火) 11:55 |  URL |  【コメント編集】

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