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2010.10.17 (Sun)

「重要な個人的情報の想起が不可能」……うーん……

『ウラグラ! ベスト・オブ・裏モノの神様』 P.188 ~ P.189

 現在は多重人格という病名は正式には「解離性同一性障害」と呼ばれる。
多重人格で現われる別の人格が、完全な人格としての統合性を持たず、
人格の一部、または断片的なものも多いということから、このように名称が
変更になった。
 しかし、そうなると、一般人の中にもそう診断される例が極めて多くなって
しまうのも事実で、果してこの症例、どこまでが病気か? となると、線引き
が難しそうだ。ちなみに、多重人格診断テストというものの項目には「買った
覚えのないものが部屋にいくつもある」というのがあるが、こんなの、オタク
にとっては日常茶飯のことだろう。どんなに経済状態が切迫しても、レアもの
フィギュアなどの前に立つと、フイに人格が変わり、気がつくと大枚の金を
支払って、両手に大きな紙袋を下げている。……このエッセイの読者なら、
そういう経験、月に一度くらいは体験しているのでは?


「しかし、そうなると、一般人の中にもそう診断される例が極めて多くなってしまうのも
事実」というのが、何度読み返しても、なぜ「そうなると」なのかさっぱりわからないわけ
だが……。

最初の段落に書かれていること自体も、解離性同一性障害の説明としては、どうかなと
首をひねるところはあるけど、それは後述するとして。

多分、最初の段落では、「多重人格」と呼ばれなくなった理由は、個々の“人格”が人格
と呼ぶには不完全だからと説明しているつもりではないかと思うのだが、それがどうして
「一般人の中にもそう診断される例が極めて多くなってしまう」につながるのかと。

どういうことかと読んでいくと、「買った覚えのないものが部屋にいくつもある」というの
が、「オタクにとっては日常茶飯のこと」と続く。なるほど、たくさんのものを買いまくって
いると、こんなの買ったっけというものが部屋にいくつも……という事態が発生するのかと
思ったが、それなら解離性同一性障害とは関係ない話となるし、そんな穏当な (?) 方向
に話をもっていく唐沢俊一でもない。

それにしたって、「レアものフィギュアなどの前に立つと、フイに人格が変わり、気がつくと
大枚の金を支払って、両手に大きな紙袋を下げている」の、「フイに人格が変わり、」の
部分って必要ですか――と思わないではいられないのだが。普段はフィギュアに興味の
ない主人格が表に出ているとかいうのなら、人格が交替しないかぎりフィギュア購入に
いたらないだろうけど。フィギュア収集に熱意を傾けている人が購入するなら、場合に
よったら買い物依存症の疑いはかけられるものの、「完全な人格としての統合性を持た
ず」などという心配は無用だろう。

http://ja.wikipedia.org/wiki/買い物依存症
>買い物依存症(かいものいそんしょう、かいものいぞんしょう)とは精神疾患の一つで
>あり自身にとって不必要、あるいはすでに同様の物を所持しているにも関わらず大多
>数の物品を購入してしまうという症状。買い物依存症の主な原因としてはストレスが
>挙げられており、イライラしたり不機嫌になる毎にデパートなどに行き買い物をし、物
>質的に満たされるという快楽を得ることで心を癒している。
〈略〉
>自己顕示欲の強い人に多く見られる症状であり、自身の経済力を省みずにブランド品
>や高級品を購入してしまいカード破産やローン破産に陥ってしまったという事例も存在
>する。


「このエッセイの読者なら、そういう経験、月に一度くらいは体験しているのでは?」との
唐沢俊一の言い草も結構失礼で、この本を購入した、または、元の連載があった『週刊
アスキー」の読者は、「どんなに経済状態が切迫しても」の人だらけという想定なのかと。
いやそれは単なる仮定の話といわれるかもしれないけど、「経済状態が切迫」という条件
をはずすと、自分の収入に見合った範囲で趣味にそこそこの金をつぎこむというだけの
話になるため、障害だの病気だのとは無縁の話となってしまうのだ。

その他参考 URL (「買った覚えのないものが部屋にいくつもある」でググってみたら):
- http://www.unkar.org/read/yutori7.2ch.net/news4vip/1269250685
- http://anond.hatelabo.jp/20090824134902
- http://horrorstorys.blog40.fc2.com/blog-entry-3531.html


そして、最初の段落に書かれていることについての件。

「多重人格で現われる別の人格が、完全な人格としての統合性を持たず、人格の一部、
または断片的なものも多い」というのは、現在の Wikipedia には、該当する記述はない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/解離性同一性障害
>解離とは、記憶や意識、知覚など、本来ならば一人の人間が連続して、かつ、統合
>して持っているべき精神機能がうまく統一されていない状態を指す。白昼夢に耽って
>ふと我を忘れるのは軽い解離の一例である。
>一方、人間は想像を絶する苦痛に見舞われた場合に防衛機制として解離を起こす
>ことがある。痛覚などの知覚や、記憶、意識などを自我から切り離すことによって苦痛
>から逃れるのである。現実逃避と混同されがちだが、現実逃避が単なる遁走である
>のに対し、解離は実際に痛みを全く感じなくなったり、苦痛の記憶が丸ごと消失したり
>する点で大きく異なる。

>同一性
>人間は成長するに従って、その身体に対応した1つの確固とした人格とそれに対応し
>た記憶がそれぞれ形成されてゆき、時間や場所が変わってもこれらが変化することは
>ない。自分の体は自分だけのものであり、自分の記憶は全て自分だけのものであり、
>いつどこにいようともそれが変化することはない。これを自我同一性と呼び、この疾患
>を持たない者にはごく当然のことである。

>解離性同一性障害
>解離性同一性障害は、この解離が高度に、かつ繰り返し起こることによって自我の
>同一性が損なわれる(同一性が複数存在するとも解釈できる)精神疾患である。
>人間は(特に幼児期に)、繰り返し強い心的外傷(トラウマ)を受けた場合、自我を守る
>ために、その心的外傷が自分とは違う「別の誰か」に起こったことだとして記憶や意
>識、知覚などを高度に解離してしまうことがある。心的外傷を受けるたびに「別の誰
>か」になり代わり、それが終わると「元の自分」に戻って日常生活を続けるのである。
>解離が進み、「別の誰か」になっている間の記憶や意識の喪失が顕著になり、あたか
>も「別の誰か」が一つの独立した人格を持っているかのようになって自己の同一性が
>高度に損なわれた状態が解離性同一性障害である。事実、解離性同一性障害の患
>者は「別の誰か(以降、交代人格と呼ぶ)」になっている間のことを一切覚えていない
>事が多く、交代人格は交代人格で「普段の自分(主人格と呼ばれる)」とは独立した
>記憶を持っている事がほとんどである。
〈略〉
>診断
>診断基準にはDSMやICDが使われることが多い。両者に共通するものとして、次の
>ような症状が挙げられる。
>・2つ以上の複数の明確な人格状態が存在する
>・その複数の人格状態が患者の肉体を入れ替わり支配している
>・人格間の記憶は独立しており、これにより、物忘れでは説明できないほどの強い
> 記憶喪失を伴う
>・薬物のような物質的作用や生理的作用によるものではない


一方、唐沢俊一の記述にかなり似ている説明をしているページは存在する。このサイト
は 2000 年前後から存在していたと思われるもので、唐沢俊一のネタ元となった可能性
が高い。

http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/DID.htm
> 日本の一般の精神科医にとって多重人格(Multiple Personality Disorder; 略称
>MPD)という診断名を聞くようになったのは、DSM-III(1980、アメリカの精神障害診断
>統計マニュアル)でこの疾患が取り上げられてからです。この診断名はDSM-IV
>(1994)では、解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder; 略称 DID)と
>名称変更されました。この変更は、多重人格の「分身」のそれぞれが「人格」としての
>統合性を持っているとはいえず、中には人格の断片に近い状態もあるという観察と認
>識によります。一方、ICD-10(国際疾病分類、精神および行動の障害、1992)では、
>多重人格障害(Multiple Personality Disorder)が使われています。このように、多重
>人格障害と解離性同一性障害は同義語です。このページでは、診断名には「多重人
>格」または「DID」を用い、オリジナル人格と主人格以外の「分身」については、できる
>だけ、「人格」でなく、「人格状態」か「同一性」という語を用いました。


なるほど、Wikipedia の記述が「2つ以上の複数の明確な人格状態が存在する」――と
「人格状態」と表記されているのは、こういう事情があってのことなのかな、と。

こちらのサイトでいう「完全な人格としての統合性を持たず、人格の一部、または断片的
なものも多い」の例とすれば以下のようなものになるだろうか。

http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/DID2.htm
>[猫人格について、随想と分析 ――― この項目、01/04/19追加]
〈略〉
> 私の治療体験では、半人半獣の「猫人格」(ないし、猫好き幼児人格)を有する患者
>が4、5人もいました。名前は「子猫」、「にゃん子」、「ニャ-」、「猫美」などです。私の
>経験では、これらはすべて、主人格の幼児期イメージであるか、主人格をサポートする
>役割を持っていました。猫のしぐさをしたり、ねこっぽい仕草をしたりしますが、ほとん
>どの場合、人間の言葉が理解できますし、喋れます。そのうちの2人は、時々私にE
>メールをくれます。ひとりだけ、「ニャー」としか言えない「猫人格」にも会いました。
>理論的には、悪意の化け猫人格というものもあり得るとは思いますが、私はまだ会っ
>たことがありません。また、「猫人格」があるなら、「犬人格」があってもよさそうにも思
>いますが、これも会った事がありません(後述しますが、その後数例に会いました)。


「どんなに経済状態が切迫しても、レアものフィギュアなどの前に立つと、フイに人格が
変わり、気がつくと大枚の金を支払って、両手に大きな紙袋を下げている」とか、それに
類するようなことは、当然ながら (?) どこにも書かれていない。

その他参考 URL:
- http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/dissociation_example.htm
- http://kairiseishougai.web.fc2.com/
- http://ameblo.jp/mpdid/

で、「多重人格で現われる別の人格が、完全な人格としての統合性を持たず、人格の
一部、または断片的なものも多いということから、このように名称が変更になった」と
いうのは、もっぱら DSM-IV の方の話で、ICD-10 の方は「多重人格障害(Multiple
Personality Disorder)が使われています」とのこと。つまり、唐沢俊一のいう「現在は
多重人格という病名は正式には『解離性同一性障害』と呼ばれる」は、ICD-10 を無視し
正確さに欠けるきらいはあるが、まあ多重人格は古い名称のようにいいたがるのは、
Wikipedia も似たようなものだったりする。

http://dissociation.xrea.jp/disorder/dissociation/disorder_dsm-3.html
>解離性同一性障害の定義
>(DSMとはアメリカ精神医学協会が、ICDは世界保健機構がそれぞれ刊行している
>診断基準)

>DSM-4
>A 2つ以上の異なる自我同一性または人格状態の存在(その各々は、環境および
>自己について知覚し、かかわり、思考する比較的持続する独自の様式をもっている)。
>B これらの同一性または人格状態の少なくとも2つが反復的に患者の行動を統制す
>る。
>C 重要な個人的情報の想起が不可能であり、ふつうの物忘れで説明できないほど
>強い。
>D この障害は、物質(例:アルコール中毒時のブラックアウトまたは混乱した行動)
>または他の一般身体疾患(例:複雑部分発作)の直接的な生理学的作用によるもの
>ではない
>注:子供の場合、その症状が、想像上の遊び仲間または他の空想的遊びに由来する
>ものではない

>ICD-10
> この障害はまれであり、どの程度医原性であるか、あるいは文化特異的であるかに
>ついて議論が分かれる。主な病像は、2つ以上の別個の人格が同一個人にはっきり
>と存在し、そのうち1つだけがある時点で明らかであるというものである。おのおのは
>独立した記憶、行動、好みをもった完全な人格である。それらは病前の単一の人格と
>著しく対照的なこともある。
> 二重人格の一般的な形では、一方人格が通常優位であるが、一方が他方の記憶
>の中に入る事はなく、またほとんど常にお互いの人格の存在に気づくこともない。1つ
>の人格から他の人格への変化は最初の場合は通常突然に起こり、外傷的な出来事
>と密接な関係をもっている。その後の変化は劇的なあるいはストレスの多い出来事に
>しばしば限られて起こるか、あるいはリラクセーション、催眠、あるいは除反応[解除反
>応]をもたらす治療者との面接中に起きる。

> 解りやすく言うと一人の人間のなかに同一性(多面性)として存在する物とは別の人
>格が存在する、と言うこと。


http://ja.wikipedia.org/wiki/解離性同一性障害
>なお、一般に使われている「多重人格(たじゅうじんかく)」(もしくは「二重人格(にじゅ
>うじんかく)」)という語は必ずしもこの疾患を指しているとは限らない。かつてはこの
>疾患を多重人格障害(略称MPD, Multiple Personality Disorder)と呼んでいたが、
>これはDSM-IIIにおける旧称、または、ICD-10における呼称である。


それと、「一般人の中にもそう診断される例が極めて多くなってしまう」どうこうを追求する
なら、買い物依存症もどきの方にいくのではなく、上に引用の「DSM-4」でいう「想像上の
遊び仲間または他の空想的遊びに由来するもの」や、Wikipeia で「軽い解離の一例」と
してあげられている「白昼夢」とかじゃないかなあとも思った。

または、「C 重要な個人的情報の想起が不可能であり、ふつうの物忘れで説明できな
いほど強い」の方。たとえば、自分の卒業した大学の学部学科があいまいとか……。

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