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2010.09.04 (Sat)

モーリーの森またはピクルスモーリーモリー

『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』 P.178

「アメリカの人気テレビ番組」という動画がよくユーチューブに上げられて
います。それを見ると、「日本ではまずこういう番組は作られないだろう」
というような常識はずれの、あるいは「日本では絶対に許されないだろう」
という作品がたくさんあって、驚くことが多々あるのですよね。
 最後にそういうものをざっとご紹介していきたいと思うのですけれども、
まずは「ザ・モーリー・ショー」という番組です。

「ザ・モーリー・ショー」というのは、モーリー・ポビッチという人をキャスターに
して1991年から続いている人気トーク番組で、現代の病理のようなものを
常に扱うのが特徴です。不倫や売春、未婚の母、性転換者、いじめ、虐待
といったテーマですね。そして、それを深刻に討論するのではなく、ここが
アメリカ的というかモーリー・ショー的なのですが、“エンタテインメントとして”
視聴者に提供する番組なんですね。番組には必ず、その扱う問題の当人、
つまり不倫中のカップルやティーンエイジャーの売春婦、いじめの加害者と
被害者といった人物を呼んで語らせ、それぞれの主張を観客にアピール
させるわけです。


×「ザ・モーリー・ショー」 ○「ザ・モーリー・ポヴィッチ・ショウ」
×キャスター ○ホスト

まあ http://www.mauryshow.com/ というサイトもあるし、YouTube にアップされている
動画のタイトル等は The Maury Show となっているものが多数なんだけど、最初の説明
のところくらいは正式名称を使いましょうよ、ということで。

http://americatvfilmnotes.web.fc2.com/A_Current_Affair.html
>因みに当初の番組ホストは、現在シンジケーションで自分のトーク・ショウ「ザ・モー
>リー・ポヴィッチ・ショウ (The Maury Povich Show)」を持っているモーリー・ポヴィッチ
>である。


http://en.wikipedia.org/wiki/Maury_(TV_series)
> Maury (formerly known as The Maury Povich Show) is a syndicated American
> television show hosted by Maury Povich.When the series first aired in 1991, the
> show was called The Maury Povich Show and was produced by MoPo Productions
> in association with Paramount Domestic Television.


http://en.wikipedia.org/wiki/Maury_Povich
> Maurice Richard "Maury" Povich (born January 17, 1939) is an American TV talk
> show personality who currently hosts his self-titled talk show Maury. He is
> married to journalist Connie Chung.


「ザ・モーリー・ショー」だけだと、他の番組とまぎらわしいし……というのもある。試しに
「"ザ・モーリー・ショー"」でググると、下記のページしかヒットしなかった。

http://www.guinnessworldrecords.com/2010/data/onThisDay_JP.xml
>もっとも短いラジオ番組は、モーリー・シャーマンの「ザ・モーリー・ショー」で、2008 年
>9月17日にカナダ、トロントのヴァージン・ラジオで初回の1分間の放送が流された。


ちなみに、「"モーリー・ショー"」だと、トップにくるのがこれ↓
http://www.youtube.com/watch?v=iiSo1yiVZU4
>2008.05.03 加東市
>ジャグラーモーリーさんのショーを観にいきました。


ついでに、口笛を吹く牡蠣の方は、「モリー」だったりする。
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/blog-entry-225.html

「"モーリー・ポヴィッチ・ショー"」でググってもヒット数はさほど多くない (7 件) けど、まあ
「"モーリー・ショー"」よりはマシな感じ。

http://japan.techinsight.jp/2009/10/yokote2009102209410.html
>16日、NBCの「モーリー・ポヴィッチ・ショー」に出演したリンジーの父マイケルは、
>「アリ(リンジーの妹アリアナ)もリンジーと同じような道を今進もうとしている。タレント
>として彼女もやっていけると思っているんだろうか」と、“売り出し中” がやけに長い
>まだ17歳のアリを心配した。


http://www37.atwiki.jp/southparkwiki/?cmd=word&word=放送&type=normal&page=あごちんボール症候群
>モーリー・ポヴィッチ・ショーではたぐいまれなる障害を持って生まれてきた人たちを
>スタジオに招いては、話を聞き、賞品を出していた。それを見た子供達は(何とかケ
>ニーにしようと訓練中の)バターズのアゴにキンタマをつけ、テレビに出す事に成功す
>る。



そして、Maury (Maury Povich Show) は、上に引用した英語版 Wikipedia では「TV talk
show」と記述されているし、唐沢俊一自身も「人気トーク番組」と書いている。で、報道
番組でもないのに、「キャスター」というのには激しく違和感があるのだが。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ニュースキャスター
>ニュースキャスターとは、報道番組に出演し、ニュースを紹介しながら司会・進行する
>役割の呼称、または職業。
〈略〉
>なおニュースキャスターを単に「キャスター」と略すのは和製英語。「日本のニュース
>キャスター」の節を参照。



それと、上に引用した P.178 の記述だけ読むと、「その扱う問題の当人、つまり不倫中
のカップルやティーンエイジャーの売春婦、いじめの加害者と被害者といった人物を呼ん
で語らせ、それぞれの主張を観客にアピール」するような内容のものは、「日本ではまず
こういう番組は作られないだろう」「日本では絶対に許されないだろう」と唐沢俊一が思っ
ているかのようにも思える。

いやまあ唐沢俊一が「絶対に許されないだろう」といっているのは主に、次ページ以降で
紹介している「恐怖症」ネタの方なのだろうとは思うのだけど、日本ではダメだろうとして
いる、その説明の部分がちょっと首をひねるものであって。

『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』 P.179

 中でもこの番組名物なのが、さまざまな恐怖症を持っている人たちを集めて、
その実体を皆さん方にお見せするという特集です。実際にスタジオにいろんな
恐怖症の人を呼び、その恐怖の対象となっているものを目の前につきつけたり
する。もちろん、恐怖症患者たちは泣いてわめいて、スタジオ中を逃げ回ったり
するわけですね。つまり精神の病をギャグにしちゃうわけです。話は聞いてまし
たが、この番組自体をユーチューブで見たときには、「マジかよ」と思わず声を
上げてしまいまいたね。


『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』 P.185

「ピクルス恐怖症」とか、そういう病気が本当にあるとするならば、自分の
恐怖症を人前に晒すのが果して精神的な治療として役に立つのかさまざま
な議論が湧き起こり、たぶん日本ではあっと言う間に放送中止、裁判沙汰に
なって放映できなくなってしまうのじゃないでしょうか。
 ところがアメリカという国はそうではないのですね。マスコミが強く、個人が
マスコミに出るのが当然のことで、いったんテレビで「視聴率が取れる」
「スポンサーがつく」ということになれば、たとえそこで晒すものが本人の心の
病気であろうと何だろうと――もちろん、本人の意思で契約書を交わすので
しょうが、こういうふうに人前に出すということを誰も不思議に思わないのです。


本人の同意の確認がもしあやふやだったら、アメリカでこそヤバそうだし、いったん同意
したのになお裁判沙汰にするというのは日本人的でないような気が。アメリカの番組の
方を買って放映するなら、そういう心配はあまりなさそうだから、単に日本では受けそうも
ないから広く紹介されていないだけでは。

参考 (アメリカでは「誰も不思議に思わない」わけでもないような):
- http://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&langpair=en%7Cja&u=http://www.tvsquad.com/2009/07/16/maury-povich-investigates-peach-and-pickle-phobias/

実際、「モーリーショー ピクルス恐怖症」でググってみると、検索結果の最初 10 件は
「新宿・ネイキッドロフトで行われた唐沢俊一氏のひとりトークライブ『 ユーチューブの
ハマり方』の模様」の一人勝ち状態。逆に言えば、これに興味を持って言及している
日本のページというのが他には見あたらないような……。


なお、ピクルス恐怖症の動画は削除されているものばかりだった。これ↓は後日談か。

http://en.kendincos.net/video-dtfvpjdh-maury-pickle-phobia.html

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Comment

>藤岡真さん
>チーコさん

そうですね、この番組が特異なところは、「恐怖症患者たちは泣いてわめいて」や「恐怖症を人前に晒す」の方ではないような気がしています。

本文にもリンクした:
http://en.kendincos.net/video-dtfvpjdh-maury-pickle-phobia.html
に登場するビクルスの大群に感動 (?) して、このエントリーのタイトルをつけた次第ですが、他の恐怖症ネタのときも、この番組、物量作戦してくれています。

自称桃恐怖症の男性が登場したときには、桃がどどっと出てきたり。
http://en.kendincos.net/video-ljtjjjdh-maury-show-man-is-afraid-of-peaches.html

日本で問題になるとしたら、食べ物をオモチャにするんじゃない!の方じゃないかという勢いです。

食べ物とはかぎらず、風船というのもありますが↓
http://en.kendincos.net/video-rdvflddh-maury-show-women-scared-to-death-of-balloons.html

犬でこれをやるとコストがかかり過ぎ、蛇などでは視聴者側の心理的ダメージが無視できないかなあ、と思いました。ある意味都合のよい恐怖症の人が続々出てきてくれたわけで、これはヤラセ疑惑が出てくるのも無理はないかと。
トンデモない一行知識 |  2010年09月06日(月) 02:01 |  URL |  【コメント編集】

>猫遊軒猫八さん
いじめ問題については、遅くとも 80 年代には、当事者同士が語り合うという番組があったと記憶しています。

いじめる側の主張を語る役の女の子が、とにかくいじめられる側の暗さに問題がある、私は明るい性格だし、嫌だと思ったらすぐ顔に出るタイプだから、いじめられる側には絶対ならないとか主張していたのを、よくわからん理屈だなあと思いながら聞いていたり。

>ビューティーコロシアム

The Maury Povich Show の方は、そんなマトモな路線とはまたちょっと違うようで、唐沢俊一いうところの「恐怖のおっぱい」 (P.70) ↓とかが出てきます。

http://video.tellytube.in/video/Iy6FiaXYaAY/watch.html
トンデモない一行知識 |  2010年09月06日(月) 01:27 |  URL |  【コメント編集】

昔、和田アキ子が大型犬(大きくてモコモコしてて可愛いかったような)にスタジオ中追い掛け回されて本泣きしてたと思うんですけど、ああいうのは「恐怖症を人前に晒す」ということにはならないのかなぁ?高所恐怖症の人をジェットコースターに乗せたり、嫌いなものを無理矢理食べさせる罰ゲームとかも昔からの定番ですよね。
チーコ |  2010年09月05日(日) 16:35 |  URL |  【コメント編集】

●蛇が嫌いな人って多いよね

>恐怖症患者たちは泣いてわめいて、スタジオ中を逃げ回ったりする

先日も「ひみつのアラシちゃん」でゲストの中島美嘉が首に蛇巻いて、メンバーを追い回してましたが。
藤岡真 |  2010年09月05日(日) 10:32 |  URL |  【コメント編集】

●日本のバラエティ

家庭のネタや過去にいじめられていた経験なんかは日本のバラエティでもよく取り上げられる題材ですね。容姿だとビューティーコロシアム。家ならビフォーアフター。地域の問題は噂の東京マガジンとか。
テレビをあまり見ないのかなぁ。
猫遊軒猫八 |  2010年09月04日(土) 23:33 |  URL |  【コメント編集】

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