2017年07月 / 06月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫08月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2010.08.29 (Sun)

大系や体系よりスッキリした体型を気にした方がよい場合もありますね

『トンデモ創世記2000』 P.235

唐沢● 学問っていうものは、真実であるところから抜け落ちた部分や、
こぼれ落ちた部分というのが、やたら多いんですよね。そういうものこそ
面白いっていうのが昔からあるんですけどね。学問とは大系化すること
ですよね。大系化するっていうのはスッキりさせることですけど、その
スッキリさせることを目的とした大系化と、贅肉をボロボロ落として、こぼれ
落ちたものを全部並べて、そこに含まれる膨大な内容を読み解く大系化の
二通りがある。この場合、大系化というより、曼陀羅化ですね。
 南方学が大系ではなく曼陀羅化だというじゃないですか。一本の系統樹
じゃ筋が通ってないんですよね。あの人の書くものって理解するのに死んで
から何十年もかかったわけですよ。他の学問とは違って、どっからどう
分け入っていいかわからない。しかしその全体像っていうのはすさまじく
知の枠組みになっているという。そのような形に、なんとかうまく踏み込む
ことができねえかって。


×大系化 ○体系化

「大系化」でググると、「もしかして: 体系化」と表示されたりする。

まあ、「ある方面の著作や論文を広く集めて体系的にまとめた一群の書物」を作成する
ような作業であるなら、「大系化」と呼んでも差し支えないと思うけど、上に引用した唐沢
俊一の文章中で使うのは、文脈からいって「体系化」ではないかと (文脈というものが
あれば、だが)。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=体系&stype=1&dtype=0&dname=0ss
>[1] 個々のものを秩序づけて統一した組織の全体。
>[2] 〔専門〕 哲
>   〔補説〕 system
>  一定の原理に基づいて構成され、内的整合性をもっている科学的あるいは哲学的
>  命題の集合。システム。系。


http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=体系&stype=1&dtype=0
>たい‐けい【体系】
>1 個々別々の認識を一定の原理に従って論理的に組織した知識の全体。
>2 個々の部分が相互に連関して全体としてまとまった機能を果たす組織体。


http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=大系&stype=1&dtype=0&dname=0ss
>たいけい0 【大系】
>ある方面の著作や論文を広く集めて体系的にまとめた一群の書物につける名称。


http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=大系&stype=1&dtype=0
>たい‐けい【大系】
>ある分野の主な文献や著書を体系的にまとめ編集したもの。「国史―」


まあ、大系だ体系だという問題以外に、「真実であるところから抜け落ちた部分や、
こぼれ落ちた部分」こそが「面白い」とかホザいているから、ガセまみれの本を平気で
出すことができるのかなあ、というのもあるんだけど。

それと「南方学が大系ではなく曼陀羅化だという」のが、「一本の系統樹じゃ筋が通って
ない」ためというのも地味に気になる。唐沢俊一は、体系 (大系) 化というのは、何でも
かんでも系統樹のように木構造の図で表現できるように整理する (スッキりさせる) ことだ
と信じているように読めるため。

http://ja.wikipedia.org/wiki/系統樹
>21世紀初頭である現在は、一般向けにわかりやすい系統樹を書くには、とても困難な
>状況にあると言える。系統分類学は、いくつもの分野で、新しい方法によって旧来の
>体系の問題を指摘し、しかし新しい知識は完全な代替案を提出できていない。分岐分
>類学は、これまでの手法では思いつかなかった分類群間の類似点を指摘することに
>なる場合も多く、さらにそれを分子遺伝学的情報が裏打ちする場合もあれば、さらなる
>見直しを要求する場合もある。
>今日の進化的知見に基づく、系統樹作成の問題のもう一つが、細胞内共生説であ
>る。つまり葉緑体やミトコンドリアが独立生物起源であり、独自のゲノムを持つことが
>わかったことである。
>これまでの進化論では生物進化は種分化の積み重ねと考えられてきた。したがって、
>その系統を図示すれば樹状になるのは当然と考えられてきた。しかし、共生によって
>二つあるいは三つの生物が一つにまとまるとすれば、この根拠は崩れる。ただし、当
>初はこの共生は、真核細胞形成段階の一回きりのものと見なされ、それ以外の部分
>での変更はなかった。むしろ、葉緑体やミトコンドリアの系統を明らかにすることで、新
>たな展開が開けた部分がある。
>しかし、その後、共生がさらに何度も独立に起こったらしいことが知られるようになっ
>た。しかも細胞内共生をおこなった真核細胞が細胞内に共生している例など、大変に
>入り組んだことが起こっているのがわかってきた。個々の部分ではとにかく、これに
>よって原生生物全体の系統樹は非常に描きにくいものとなった。
>さらには、遺伝子の水平伝播も細菌などでは普遍的に起こっていることが明らかにな
>り(他の生物にもそれらしい例がある)、これを厳密に考慮すれば、系統「樹」ではなく
>甚だ複雑なネットワークとなってしまう。


一方、知のマンダラといえば、以下に引用するような記述が思い起こされる。

http://d.hatena.ne.jp/muranaga/20090413/p1
>これから、現代の知のビッグバンのただ中に入っていこうとしている若い読者には、
>だから、とりあえずは自分が引きつけられる切り口を、この本のどこかに見つけてもら
>いたい。巨大な現代の知のマンダラへの、百余りの入り口が、この本の中に並んで
>いると思ってもらいたい。そのどれかの中に、いや、一つでなくてもいいだろう、ともかく
>どこかから、臆することなく入り込んでいって、複雑なネットワークの中を歩み出して
>ほしい。そしてときに道に踏み迷ったら、また視点を広くとって、たとえばこの本を、
>自分の現在位置を教えるナビゲーションとして使ってみることだ。そんな読み方をされ
>た時、この本の最良の使命が果たされたことになるだろう。
> 「書物の知の自律分散協調系」(『東大教師が新入生にすすめる本〈2〉』)


しかし、唐沢俊一のいう「曼陀羅化」は、「贅肉をボロボロ落として、こぼれ落ちたものを
全部並べて、そこに含まれる膨大な内容を読み解く大系化」という次第になる。ここで、
マジで気になるのは、贅肉ではない部分、「こぼれ落ちたもの」でない部分は、唐沢俊一
の曼陀羅とやらに含まれるのかどうか。

しかも、その「そこに含まれる膨大な内容」というのが、木構造では表現しきれない部分
とか複雑な網構造になっている部分とかいうのならよいが、唐沢俊一が前段でいって
いる「真実であるところから抜け落ちた部分や、こぼれ落ちた部分」に含まれるものだと
したら……そんな曼陀羅化には意味がない、というか、むしろ有害ではないか。

おまけ:
Google で「大系」単独で検索したときに、「他のキーワード:」として表示されるのは、
「四畳半神話大系」「新釈漢文大系」「聖闘士聖衣大系」「日本城郭大系」「喜劇新思想
大系」。「聖闘士聖衣大系」がくるのか、うーん。

スポンサーサイト

テーマ : 感想 - ジャンル : 本・雑誌

16:53  |  その他の雑学本 間違い探し編 (324) +  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●大系を英語で言うと Compendium?

>NNT さん
>こぼれ落ちるって何よ?って思います。

単純化した図式からこぼれ落ちたものとか何とか好意的に解釈できればまだよいのですが、唐沢俊一定義だと、真実以外のもの、贅肉にあたるもの、ということになりますからねえ。そういうものばかりを集めた知の曼陀羅だか痴の曼陀羅だかも、ある意味面白いかもしれませんが、何が怖いって、この文章、唐沢俊一はギャグではなくマジで書いているようなところが怖いです。

家政学は「実は理系」という方の印象が強かったのですが、実は文系要素もかなり入っているのですねと、へぇ~∩
トンデモない一行知識 |  2010年09月04日(土) 12:01 |  URL |  【コメント編集】

『聖闘士聖衣大系』を『セイントクロスシリーズ』とちゃんと読めてしまうのは良いことなのかなぁ、自分…。

それはさておき、唐沢氏の言う知の体系?大系?は正直良く分からんです。
何の為に大学は一般教養過程と専門過程があるかご存知無いのかなとか、概論と各論の授業が別であるのもご存知無いのかなとか。
唐沢氏が少しは学んだとされる薬学と分野が隣接する看護学は学際的分野って聞きました。

自分は絶滅危機の家政学の出身なんで、学際的でしたね。栄養学・被服学は実は理系分野だし、発達心理学・生活経済学は文系だし。

こぼれ落ちるって何よ?って思います。
NNT |  2010年08月30日(月) 23:07 |  URL |  【コメント編集】

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://tondemonai2.blog114.fc2.com/tb.php/513-8a9cf124

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。