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2010.05.03 (Mon)

女装くらいで精神の病認定しなくても < シュヴァリエ・デオン

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.99

 エオニズム、という言葉が未だに残っている。服装倒錯症という意味
である。男性が女装をして満足を感じたり、また、女性が男性の服装を
まとって性的な快感を得る精神の病のことを指すが、シュバリエ・ド・
エオンこそ、その典型的症例とされているのである。


「エオニズム、という言葉」が一種の性的倒錯である「衣装倒錯」の意味をもち、それが
18 世紀、ルイ 15 世の時代にフランスの外交官だったエオン=ド=ボーモン(Éon de
Beaumont、唐沢俊一のいう「シュバリエ・ド・エオン」) にちなむ名称だというのは正しい
として。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?stype=0&ei=UTF-8&dtype=0&p=エオニズム
>エオニズム【eonism】
>異性の服装を好む性的倒錯。42歳以降、女装で通した18世紀のフランスの外交官
>エオン=ド=ボーモンにちなむ称。衣装倒錯。


http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=エオニズム&dtype=0&stype=1&dname=0ss
>エオニズム3 【eonism】
>異性の服装をしたがる一種の性的倒錯。装趣味。
>〔補説〕 ルイ一五世時代のフランスの外交官エオン=ド=ボーモン(Éon de Beaumont
>1728-1810)が四二歳以降女装で通したことからいう



続いて唐沢俊一の書いた「性的な快感を得る精神の病のことを指すが、シュバリエ・ド・
エオンこそ、その典型的症例」というのは、まあ間違いといってよいだろう。

シュヴァリエ・デオン (Chevalier D'Éon)、唐沢俊一のいう「シュバリエ・ド・エオン」に
ついては、以前に以下のエントリーで取り上げたことがある。

色仕掛けのオスカル
世紀末はロンドンだったシュバリエ
つまり妻は妹ではなく自分自身だったというオチ

その際に、窪田般弥『女装の剣士シュヴァリエ・デオンの生涯』、澁澤龍彦『妖人奇人館』
とネット上のサイトのいくつかを参考にしたが、シュヴァリエ・デオンが女装により「性的な
快感を得る」ことがあったとは、どの資料にも書かれていなかった。当の唐沢俊一による
『トンデモ一行知識の逆襲』の文章にも、そのような記述はない。

また、異性装により「性的な快感を得」ていたとしても、「生活に支障を来す程の重度の
もの」でもないかぎり、「精神の病」とはみなされない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/異性装
>性嗜好
>  異性装を行うことによって性的に興奮したり快感を覚えたりする者がいる。多くは
>  男性による女装であり、女性による男装には見られない。しかし、男装した女性に
>  欲情する男性や、男性に女装をさせて辱める行為を通じて性的快感を得る女性な
>  ど、間接的に本人以外の性欲を煽るケースは男女共にも存在する。また、現実の
>  男性や既存の男性キャラクターを女装させたり、女装した男性を見ることに「萌え
>  る」女性も居る。男性の中にも女装した男性を好む同性愛傾向にある者も存在する。
>アメリカ精神医学会『精神障害の診断と統計の手引き』第4版 (DSM-IV) によれば、
>生活に支障を来す程の重度のものは「302.3 服装倒錯的フェティシズム」としてパラフィ
>リアの一種に分類される。


http://ja.wikipedia.org/wiki/性的倒錯
>性的倒錯 (せいてきとうさく、英語:Paraphilia) とは、人間の性的行動において、病理的
>とみなされる種類の嗜好やその実践のことである。大正時代の精神医学では、変態性
>欲などとも呼ばれていたが、その後、異常性を強調する表現から、より中立性のある表
>現として現在の性的倒錯となった。
>しかし、この言葉でもなお、中立性に欠けるとの考えで、国連のWHOなどが定めるICD
>や、アメリカ精神医学会の定めるDSMなどでは、精神疾患に関しては、「性嗜好障害」
>や、mental disorder(障害)という用語が使われている。更に、以下で説明しているよう
>に、Paraphilia, Paraphile と普通、英語やフランス語などでは云い、日本語でも「異常」
>の意味合いが多い性的倒錯よりも、パラフィリアと呼ぶことが望ましいとの考えもある。


本人が苦しんでいるわけでもなく周囲が困っているわけでもない、いわば適応している
状態では、病気とみなして治療や矯正の対象にする必要もない――という考え方が現在
では一般的となっていると思ってよいだろう。その手の考え方は遅くとも 1980 年代には、
素人も読むような心理学の本に書かれていたことであるし、『トンデモ一行知識の逆襲』
の出た 2000 年には、性同一性障害についての話も広く知られるようになっていたはず
であるのに、ちょっと配慮に欠けた記述ではなかったかと思う。

そもそも、シュヴァリエ・デオンの女装は、どこかの女装クラブなどで、罪悪感に苛まれな
がら秘かにおこなわれていたようなものとは異なる。ロシア宮廷に派遣されていたときの
女装は業務上の都合といえるものだっただろうし、フランス宮廷に女装で出入りしていた
のは国王命令によるものという話もあり、少なくとも周囲が困惑して止めさせようとして
いたような性癖ではなかったことは確か。

澁澤龍彦『妖人奇人館』 P.29
> ところで、ここに奇怪な事実が存在するのである。すなわち、騎士デオンがようやく
>許されて、ドーヴァー海峡を渡ってフランスの土を踏めるようになったとき、彼は帰国の
>条件と引き換えに、今後死ぬまで、絶対に女装をしていなければならない、と申し渡さ
>れたのである。いったい、どうしてこんな奇怪な命令が、フランス国王の名によって発せ
>られたのだろうか。


このような状況だったのに、「精神の病」の「典型的症例とされているのである」と主張
するのは、あまりに無理があるだろう。


……そういえば、唐沢俊一って、三島由紀夫のことも気軽かつ強引に、「精神が病み
始めた」 だの「精神のあきらかな崩壊の兆候」だの、「精神の病」扱いするようなことを
書いていたなあ……という件もあわせて思い出されたり。

ボディビルで精神崩壊したのは三島由紀夫の方じゃない

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テーマ : 感想 - ジャンル : 本・雑誌

20:16  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(5)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

>まず結論ありで内容が無い説明をしてくれる疑似ライター

その結論の設定が、本当に読者の求めるものなのか、それを言い訳にした貧しい編集者の趣味なのかというのも疑問です。

http://tondemonai2.blog114.fc2.com/blog-entry-433.html

でいえば、ジャニーズのメンバーの悪口とか、そんな需要があるものなのかとかw
あるとして、もっと上手く書ける人間に頼めなかったものなのかとか。なので

>唐沢氏はそこにも (質・量ともども)達していないのが問題かと。

には、ただ同意するしか。

>「(薬学部中退?だが)自分は医学的知識が豊富」

「薬学部」については、駆け出し時代には、おそらくお父様のコネでしょう、薬局関連の業界紙くらいにしか書く場所がなかったことが影響しているのではないかと思います。
トンデモない一行知識@レス遅延気味すみません |  2010年05月09日(日) 20:19 |  URL |  【コメント編集】

唐沢氏は「(薬学部中退?だが)自分は医学的知識が豊富」,
「“おかしな人”と偏見を持つのではなく“心(精神)の病”だと
認識・理解している」知識人であると主張したいのでしょうか?

60~70点レベルの文章を量産できる人を出版社・読者ともに
求めているのは(たぶん)事実ですが、唐沢氏はそこにも
(質・量ともども)達していないのが問題かと。
 |  2010年05月06日(木) 09:45 |  URL |  【コメント編集】

●文章を書くのが嫌いなライター

唐沢氏はこれに尽きてしまうのかな…。
世の中渡ってきて世間が分かった気になってるオヤジどもが、自分の理解を超えたモノが世間に出てきた時、
自分が世間からかけ離れているのではなく、それが価値のないものだから理解の必要が無いと安心させる為に、
唐沢氏のようにまず結論ありで内容が無い説明をしてくれる疑似ライターが必要なのかと思っています。
文章書くの嫌いだから、適当にインタビューを答えるのも性にあってるんでしょうし。
商業誌に何かを書くのはもう無理だろうから、追討文書くのやめてしまえば楽になれるんでしょうね…。

>いや真に同情するべきは、その文章によって生み出されてしまった被害者の数々の方なのですけれども。
全く同意です。ガセを書かれてしまった対象の方、パクられてしまった原著作の方がお気の毒です。
特にガセはリサイクルされる可能性もあるので、こちらのブログの存在が心強いです。
NNT |  2010年05月05日(水) 20:35 |  URL |  【コメント編集】

>NNT さん
小中高校生のときに、作文や感想文を提出しなければいけないのに書きたいことがない / 書くことが思いつかない→しょうがないので何かデッチあげて原稿用紙の升目を埋めたという経験は私だけのものではないと思いますが、唐沢俊一という人は、 ほぼ毎回そういうふうに文章を書いては発表しているのではないかと私は思っています。

そして唐沢俊一自身は、確かどこかで、先生の受けがよい文章を書いて出すのは得意だった小学生時代のことも自慢しています (実はこれって田口ランディパターン――と類型化してみたり)。

で、ご指摘の「類型化しすぎ」も、パクリも、使い回し (セルフパクリ) も、根はこのあたりにあるのではないかなあと思っています。「先生」役の編集者の中には、「類型化しすぎ」やそれにともなうガセの発生を嫌がるどころかむしろ歓迎する人もいるのではないかとも。唐沢俊一の「類型化」というのがまた、彼が若い頃のオヤジ週刊誌のそれに近いので、いまどき貴重な書き手と喜んで用いる化石な媒体 (週刊新潮とか?) もあるかもしれません。

田口ランディについては以前、ある女性作家さんに、ランディさんが書くことの快感について書いた文章を読んでは、この人はどうして平気でこんなはしたないことを書けるのか不思議に思っていたけど、盗作が発覚してわかった、この人は本当の快感をしらないから平気で快感について書いていたんだ、書くことのあの快感をしっている人は盗作なんか絶対にしない――とか聞いたことがあります。(←記憶だけが頼りなのでいろいろ間違っているかも)

まあ、その作家さんのいうような、めくるめく快感の方には残念ながら私は縁がないですが、唐沢俊一がデッチ上げの文章を書くにあたって味わっているであろう (と勝手に想像する) 砂を噛むような思いは、学生時代の宿題の経験などから類推できないこともなく、あーあ可哀想な人なのだなあと思えてきたりもします。

いや真に同情するべきは、その文章によって生み出されてしまった被害者の数々の方なのですけれども。
トンデモない一行知識 |  2010年05月05日(水) 11:00 |  URL |  【コメント編集】

●血液型占い

セクハラのケーススタディを読んだり実際に被害にあった方から話を聞くと、
セクハラの加害者は『こういう女はこういう事を望んでいるはず』と女性を勝手に類型化していて、
それに基づく自分の性的ファンタジーを押し付けるだけで、目の前にいる女性を一個人として理解しようとしていない事が多いと感じました。
まるで血液型占いの性格判断を押し付けられているようです、A型ならそんな性格おかしい、みたいな。
自分もまたセクハラ加害者を類型化しているわけですが、すべてがそれに当てはまるわけではないと思ってます。

以上前置き、本題です。
唐沢氏は人を類型化しすぎで、『こういう人ってこんな人だからこういう事引き起こすんだ』って先入観しか持たないから、ガセ書きまくりというか。
個々人を深く掘り下げる事の無い数々の追討文、そしてこのシュバリエ・ド・エオンに関するエントリでのガセの数々、
物語を紡ぐ作家であると自身が思っているなら、そういった先入観だけで物事や人物像に当たってどうするよ?と思います。
>典型的症例
って言い方にすべてが表れている気がします。
『俺はなんでもお見通しだぜ』なんでしょうけど、見ようとして無いのに見えているとしたら、そりゃ妄想に他ならないかと。
NNT |  2010年05月04日(火) 22:56 |  URL |  【コメント編集】

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