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2010.03.24 (Wed)

ウインザー・マッケイのアニメは「どれも夢オチでお茶を濁す」だと……?

『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』 P.204

Interplanetary Revolution - Soviet Propaganda

凄い!1924年製作のロシア共産党のプロパガンダ・アニメ。革命が
進む地球でブルジョアたちが火星へ逃亡し、彼らを追ったコミンテルン
革命軍が火星人と戦って火星でも革命を達成するという話。この数年前
にはウインザー・マッケイがSFぽいアニメをいくつか作っているが、どれ
も夢オチでお茶を濁す中、堂々と火星での革命戦争を描いているこの
作品、世界最初のSFアニメと言っていいのでは。


以前、「5 年遅れの INTERPLANETARY REVOLUTION」で取り上げた 2008 年時点の
トークでは、このアニメを 1929 年の作品だと間違えていた唐沢俊一だけど、2007 年
12月 25日に初版の『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』ではまだ「1924年製作」
と正しく書いている。

ただし、『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』の文章は、以下の裏モノ日記からコピペ
したものと思われるが、その裏モノ日記と比べても、内容はしっかりと劣化しているのが
何とも……。

裏モノ日記 2007年 07月 11日(水曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20070711150411.html

あと、マイミクかきたまさんの日記から。
http://www.youtube.com/watch?v=aSE14cMsDtY
『Interplanetary Revolution』
アニドウサイトからの情報だが、凄い!
1924年製作のロシア共産党のプロパガンダ・アニメ。
革命が進む地球で居場所を失ったブルジョアたちが火星へ逃亡し、
彼らを追ったコミンテルン革命軍が火星人と戦って火星でも革命を
達成するという話。
この数年前にはウインザー・マッケイがSFぽいアニメをいくつか
作っているが、どれも夢オチでお茶を濁す中、堂々と火星での
革命戦争を描いているこの作品、世界最初のSFアニメと
言っていいのでは。少なくとも世界最初の宇宙SFアニメだ。


『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』の「地球でブルジョアたちが火星へ逃亡し」は
少し変だ、「地球から」ではないのかと思ったのだが、これは日記の「居場所を失った」
の部分の削除のみで、文章をいじらなかったせいと思われる。

http://www.youtube.com/watch?v=aSE14cMsDtY という URL は例によって本の中
には存在していないが、この URL でアクセスしても、「利用規約に違反しているため、
この動画は削除されました。」と表示されるので、まあよい (?) のかも。

「利用規約に違反」ということは、「Interplanetary Revolution」をアップすること自体、
著作権に問題があったということかとも思ったが――だとすると、『トンデモ版 ユーチュー
ブのハマり方』の中の画面スナップショットも微妙に引っかかるかも―― You Tube では
このアニメは今もいくつかアップされている。特に 2 番目のリンクのものは画質もよい。

http://www.youtube.com/watch?v=7SFK4Ez2VkI
> Soviet Animation - INTERPLANETARY REVOLUTION (1924),Eng.Subs
>yukkimishima 2007年07月25日


http://www.youtube.com/watch?v=nXVQYHg_sxk
> Animated Soviet Propaganda films - Interplanetary Revolution: An event very
> likely to happen in 1929
> monkeymichel 2009年12月25日



さて、裏モノ日記と比べても『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』の文章が劣化して
いる印象をあたえるのは、「少なくとも世界最初の宇宙SFアニメだ。」の部分を削除し
てしまったことにより、「この作品、世界最初のSFアニメと言っていいのでは」が何の
フォローもなく結論として提示されることになって、「どれも夢オチでお茶を濁す中」と
いうあたりの記述の粗が、より目立つためだと思っている。

先行するウインザー・マッケイの作品が、「夢オチでお茶を濁す」という表現が適切な
くらい低レベルなものなのか、仮に低レベルな「夢オチ」の作品であったとして、それが
「世界最初のSFアニメ」を数年後に発表された「Interplanetary Revolution」にゆずら
なければいけない理由となるか、である。

「夢オチでお茶を濁す」作品は「SFアニメ」とは呼べない――などというのは「SFアニメ」
の定義には含まれないのが通常だろう。というか、そんな定義は聞いたことがない。

そして、上で「低レベル」などと書いたのは、唐沢俊一のいう「お茶を濁す」につきあった
ものでしかなく、そもそも夢オチだから作品の質が「低い次元に留まる」とはかぎらない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/夢オチ
>基本的には伝統・古典に属する手法である。古くは「胡蝶の夢」(中国の古典『荘子』
>の一節)にみられる。典型的作品が『枕中記』の『邯鄲の枕』(一炊の夢)、『不思議の
>国のアリス』。
>もとは作品中に伏線・理由付け、あるいはミスリードを誘うような仕掛けがないと成立
>しない高度なテクニックであり、短編や一話完結型の作品ではどんでん返しの一つと
>して高く評価されることもある。また夢の中で見たものや得たものが、目覚めた時に現
>実に手元にあるという、変形した形の夢オチもよく用いられる。
>しかし大抵のケースでは、諸々の事情で強引に物語を終了させるために用いられた
>り、単に奇をてらう目的で使われるなどの低い次元に留まるものが多く、それまでの
>世界観や話の流れを根底から覆すことに対しては総じて評判が悪い。


そして、唐沢俊一が「この数年前にはウインザー・マッケイがSFぽいアニメをいくつか
作っている」といっているのは、下の引用の「『チーズトーストの悪夢』シリーズ3部作」
をさすものと思われるが、これは Wikipedia でいう「諸々の事情で強引に物語を終了させ
るために用いられたり、単に奇をてらう目的で使われるなどの低い次元に留まるもの」
には該当しない。

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/02/w.html
>1919年から21年にかけて製作された『チーズトーストの悪夢』シリーズ3部作は、ほぼ
>完全なかたちで残されている。これはマッケイの同名のコミックを素材にアニメ化した
>もので、『虫の演芸』『ペット』『空飛ぶ家』の3タイトルがある。うち『空飛ぶ家』には作
>画に息子のロバート・マッケイがクレジットされており、父マッケイは監督に徹したよう
>である。そして、おそらくこれを最後の作品として、彼はアニメ制作を離れた。

>三部作中の最高傑作は『ペット』である。これはマッケイのストーリーテラーとしての才
>能が表出した作品だ。倦怠期を迎えた中年夫婦の、ベッドで見た悪夢がテーマである。
〈略〉
>終盤、巨大化したペットが近代都市を蹂躙するクライマックスは、怪獣映画でおなじみ
>の構図であるが、こうしたビジュアルが登場したのはおそらくこの作品が最初である。
>ということは、マッケイは世界初の怪獣映画監督ということにもなる(…と思うが、筆者
>が浅学ゆえに知らないだけかもしれない。1920年以前にこの種の作品があるのなら、
>ぜひとも識者の教えを乞いたい)。

>謎のペット・キューティは、軍隊の爆弾投下によって死滅するが、同時に、都市じたい
>も壊滅的な破壊を受ける。最後は恒例の夢オチで終わるものの、すべてが瓦礫と化し
>た都市に硝煙がたなびくラストシーンは衝撃的だ。大友克洋の『AKIRA』にまで繋が
>るこうした文明破壊のイメージは、おそらくマッケイが見聞した第一次世界大戦の記憶
>にその端を発しているはずである。『ゴジラ』のビジュアルに広島・長崎や東京大空襲
>の記憶が重ねられているように、怪獣映画の本質は、大規模戦争のイメージと切り離
>せないものがあるのだ。


「たけくまメモ」の別の日のエントリーには、以下のようなことも書かれている。

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_72c3.html
>今年も例年と同じくアニメの歴史から入ります。とりあえずは定番のW・マッケイの作
>品紹介から。約97年前の作品なんですが、作画もアニメートも完璧で、これ見せると
>美大生はイチコロです。って、俺が思ってるだけだったりして。
〈略〉
>マッケイには私もイチコロでした。
> 投稿: あ~ | 2007年4月13日 (金) 22時57分

>3年前に授業をとっていた一人ですが、やっぱりマッケイにはイチコロでした。
>授業の中で一番好きな授業だったのでまた見に行きたいと思います。
> 投稿: k | 2007年4月15日 (日) 23時15分


『Interplanetary Revolution』を「世界最初のSFアニメ」と書きたがった唐沢俊一により、
不当にその作品を貶められたウインザー・マッケイ (Winsor McCay) が気の毒になって
くる……。彼のアニメは、今の目で見ても、すごいと思わせるものなのだ。

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/01/w_1.html
>『沈みゆくルシタニア号』(1918)は、それまでのマッケイ・アニメとは異なり、背景が静
>止画となっている。ここから考えて、部分的に切り抜き法やセル方式も採用されている
>ようである。だが主要な動画部分は、変わらず紙アニメの手法が使われている。セル
>では、マッケイの求める微細なタッチが表現できないからであろう。
〈略〉
>アニメ史的には、「写実」を初めて本格的に試みた作品であり、またメカニック描写
>や、波や風・煙・爆発といったエフェクト・アニメの元祖としても高い評価を下すことが
>できる。特に驚くべきは煙の表現であり、白い高温の水蒸気は勢いよく直上にたちの
>ぼり、重油の燃える黒い煙は重く海面に立ちこめ、煙突からは石炭のグレーの煙が
>マッケイ特有のアール・ヌーヴォー調の曲線を描いて風にたなびく、という具合であ
>る。つまり煙の種類と性質の違いがひとつの画面でちゃんと描きわけられている。ちな
>みに煙の動画にはセルが使われているようだ。


……と、たけくまメモからの引用ばかりを根拠にレベル高いと主張するのもアレなので、
実際にマッケイのアニメを見れるリンク先を年代順に、以下に示しておくテスト。

http://zoome.jp/faou/diary/287
>1911 Winsor McCay Little Nemo

http://www.youtube.com/watch?v=yvzAJouHh7k
>Winsor McCay - How a Mosquito Operates [1912]

http://fcm.blog.so-net.ne.jp/2009-03-21
>●ウィンザー・マッケイ「恐竜ガーティ」1914 87秒 サイレント(無音)

http://www.dailymotion.com/video/x2rw0p_winsor-mccay-the-sinking-of-the-lus_music
>Winsor McCay's classic animated film "THE SINKING OF THE LUSITANIA" a silent
>film with BERNARD HERRMANN music added.


http://memory.loc.gov/cgi-bin/query/r?ammem/papr:@filreq(@field(NUMBER%2B@band(animp%2B4083))%2B@field(COLLID%2Banimat))
>The centaurs--excerpts

竹熊メモに出てきた『チーズトーストの悪夢』シリーズ3部作、『虫の演芸』『ペット』
『空飛ぶ家』は、以下の 3 つ。

http://www.dailymotion.com/video/x2n6ah_winsor-mccay-bug-vaudeville-1921-in_shortfilms
>Winsor McCay - Bug Vaudeville 1921

http://www.spike.com/video/dreams-of-rarebit/2917218
>Dreams of the Rarebit Fiend: The Pet

http://video.google.co.jp/videoplay?docid=-2654035368430959073&ei=6QOpS4jBB4HWwgOB-M3_CA
>1921 - Winsor McCay - The Flying House

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