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2010.03.12 (Fri)

ゾンビだらけとも下手な絵ばかりとも思えないんだけど……のタイ漫画

『アジアンコミックパラダイス』 P.2 ~ P.3

「うわあ、懐かしいなあ!」
 目の前に並んだ数十冊の、ホコリにまみれた冊子を見て、ぼくは心の中
でそう叫んでいた。
 ギトギトしたような色のインクで印刷されたそれらの表紙は、目玉を飛び
出させたゾンビや、キバを剥き出した妖怪、恐怖に身をひきつらせる半裸の
女性、血まみれの人物たちなどが、思い切り派手なポーズでこちらの好奇
心を刺激しようとしている。
〈略〉
 さっき半裸の女性、と言ったが、それが色っぽいかというとまたちょっと違
う。豊満であるが、なんかただれたような、くたびれたような肉体で、ただ
扇情的にこちらに流し目をくれている。その流し目と、彼女の後ろで争って
いる2人のゾンビとは、いったいどういう関係があるのだろうか。
 ともかく、こういう、キッチュな図柄、稚拙なタッチ、俗悪な色使いの表紙
が、いっせいにぼくの目の前にズラリと並んだのである。
 これは友人の編集者、S君がタイからおみやげに買ってきてくれた、タイ
のホラーコミックであった。


唐沢俊一の担当編集などについての、あまり偏執的ではないリスト」のコメント欄
話題になった『アジアンコミックパラダイス』より。

「友人の編集者、S君」については、P.301 にも、「この本を出すキッカケになったのは、
友人の編集者・佐藤亨氏のタイ旅行のおみやげを見たことである。その佐藤氏がこの
本をまとめてくれるのは、実にうれしい」との記述がある。

で、こちらのコメント欄でも少し引用した通り、『唐沢俊一のB級裏モノ探偵団』の中でも
『アジアンコミックパラダイス』の製作および執筆のくだりが語られているのだが、そちら
には、「友人の編集者、S君がタイからおみやげに買ってきてくれた」のが「キッカケ」だ
とは、いっさい書かれていない。「編集者、S君」の存在をうかがわせる記述はなくて、
唐沢俊一がタイに旅行して見つけたコミックに注目し、大量のタイのコミックはすべて彼
ひとりで買い付けてきたかのように書いている。……何だか「“もも色のぴらぴら”は“もも
色のびらびら”に変更
」の件をちょっと思い出したりもする。

それはさておき、この『アジアンコミックパラダイス』の「まえがき」の、「半裸の女性」に
ついての記述は謎である。

「恐怖に身をひきつらせる半裸の女性」、その半裸の女性が「ただ扇情的にこちらに
流し目をくれている」と唐沢俊一は書く。……「恐怖に身をひきつらせ」ながら、「扇情的
に〈略〉流し目」というのは、ずいぶん器用な女性のような気がする。脅えた表情と流し目
の組み合わせかもしれないと思ったが、「ただ扇情的」で、しかも「それが色っぽいかと
いうとまたちょっと違う」とも書いてあるので、よくわからない……。

で、この『アジアンコミックパラダイス』の P.8 から P.38 には、さまざまなコミックスの
表紙が並べられているので、これらの表紙のどれかに、唐沢俊一の書いているような
女性の姿が描かれているかと思って探してみた。

結論からいうと、そんな半裸の女性はいなかったが。

半裸の女性が含まれているコミックスの表紙をすべてあげると、以下のようになる。

・ P.9 右下 ―― 唐沢俊一自身も「下品な色気のネェちゃん」と書いているくらいで、女性
 には色気あり。「恐怖に身をひきつらせ」てもいない。ゾンビはいるが一体のみ。

・ P.10 左上 ―― 下で述べる P.10 右上の表紙と同様、日本のエロ雑誌風の女性で
 色気あり。女性は無表情。化け物はいるが、ゾンビかどうかは不明で一体のみ。

・ P.10 右上 ―― 唐沢俊一いうところの「たぶん、日本のエロ劇画誌を参考にしたんでは
 ないかと思うこの肉体の描き方……ソソる、という言葉がピッタリ」な女性。「扇情的」で
 あるかもしれないが、「恐怖に身をひきつらせ」ている様子はない。ゾンビは一体のみ。

・ P.14 左上 ―― これが一番近くて、背後でゾンビ同士が戦っている唯一の表紙だが、
 「顔半分が化け物となった裸の女」は、「扇情的」とは言いにくいし、「こちらに流し目を
 くれている」ようにも、「恐怖に身をひきつらせ」ているようにも見えない。

・ P.14 右上 ―― こちらの方は、女性が「ただ扇情的にこちらに流し目をくれている」よう
 には見えるのだが、「恐怖に身をひきつらせ」ているようには見えない。背後にいるの
 はゾンビではなく人間で、そのうち一人は生首になって転がっているだけであるため、
 「争っている2人のゾンビ」とはいえない。

唐沢俊一の記述は、P.14 左上と P.14 右上のコミックスの表紙に書かれたものを継ぎ
はぎしたようなものになってしまっているが、そうだとしても「恐怖に身をひきつらせ」が
ちょっと説明がつかない。

そもそも『アジアンコミックパラダイス』に載っているコミックスの表紙には、「恐怖に身を
ひきつらせる半裸の女性」というのが存在しないのだ。「恐怖に身をひきつらせる」女性
は何人もいるのだけれど、そういう女性は全員がしっかり服を着ているし、「こちらに流し
目をくれている」ような表情はしていない。驚いて目を見開いているのが多い。


『アジアンコミックパラダイス』 P..3

 当然、知識人や上流階級の読むものではない。絵の質も、表紙はまだし
も中身のほうはいまの日本なら子供でもこんな下手な絵は描かないという
しろものだし、内容にいたっては、大衆的と言えば聞こえはいいが、要は
エログロナンセンスの極み。ゾンビが血にまみれた手で犠牲者の首をねじ
切ってしまう、というようなものばかりで、さすが、ちょっと前まで死体
写真集が堂々と売られていたお国柄だ、と思ってしまう。


『アジアンコミックパラダイス』には、タイの漫画が 15 作品収録されている (版権が
クリアになっているかどうかは不明)。

「エログロナンセンスの極み」といえるかどうかは疑問で、収録作品を見るかぎりでは、
エロもグロも日本のホラー漫画や実話系猟奇漫画の方が上じゃないかという気がして
たまらないが、おいといて。

唐沢俊一は、「ゾンビが血にまみれた手で犠牲者の首をねじ切ってしまう、というような
ものばかり」と書いているが、収録されている 15 作品の中に、そのような話は存在し
ない。

女性のゾンビが犠牲者の首を折る話と、やはり女性の首なしゾンビが、首から血を滴ら
せながら踊り出す話ならあるので、それが混じったのかもしれない。「犠牲者の首」が
「ねじ切」られるのは、どこかの奥地に探検に出かけて原住民に首を切られる話のみ。
後は、首だけで飛び回る化け物の話が 2 作品ある。


いやまあ、いいたいのは、『アジアンコミックパラダイス』に収録されている表紙や漫画
そのものと、唐沢俊一が「まえがき」等で説明していることとは、だいぶ印象が異なり、
唐沢俊一の解説が、タイの漫画を鑑賞する邪魔になりがちなのが困るということで……。

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