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2010.03.06 (Sat)

カストリ雑誌や仙花紙とか――「単なるジョーク」は多分あなたの方です唐沢俊一先生

『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』 P.11

実際に触ってその感触で、「あ、仙花紙(2)ってこういうのだ」と理解できる。
〈略〉
2 ― くず紙を漉き返して作った粗悪な洋紙。第二次大戦後の物資欠乏の
   時代に作られた。(三省堂『大辞泉』)
   ちなみに私(唐沢)は辞書の定義の、カストリ焼酎は三合でつぶれる、
   というところから三合でつぶれる雑誌なのでカストリ雑誌といった、と
   いう説は単なるジョークで、実際は紙のカスから再生した質の悪い紙
   に印刷されている、という意味でカストリ雑誌と命名された、という説を
   とっています。これも、実物の仙花紙を見せ、さわらせてから話すと
   納得度が極めて高いのですね。


×三省堂『大辞泉』 ○小学館『大辞泉』

「触って」と「さわらせて」の表記不統一は原文ママ。

「2 ― 」以降は、本文中の「仙花紙」の注釈部分であるが、「三省堂『大辞泉』」というの
は間違いで、『大辞泉』は小学館。三省堂だったら『大辞林』。

http://www.amazon.co.jp/dp/4095012129
>大辞泉 (単行本)
>小学館『大辞泉』編集部 (編集), 松村 明


http://dic.yahoo.co.jp/guide/jj/
>大辞泉、著作権
>現代日本語の集大成ともいうべき大型国語辞典『大辞泉 増補・新装版』を土台に、
>世の中の変化に即したデータ更新と、新語の追加立項とによって、常に新しい言葉を
>収録している辞典。23万余語を収録。
>◆著作権
> 書名:大辞泉 増補・新装版(デジタル大辞泉)
> 監修:松村明
> 編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
> 編集協力:曽根脩
> (C) SHOGAKUKAN 2006


http://dic.yahoo.co.jp/guide/jj02/
>大辞林、著作権
>古代から現代まで、あらゆる分野の言葉を網羅した、最新・最大・最高の[国語+百
>科]辞典。23万3000語を収録。「現代語義優先」方式によるわかりやすい語釈が好
>評。他の追随を許さない豊富な用例と格段に役立つ懇切丁寧な解説。
>◆著作権
> 書名:大辞林 第二版
> 編者:松村 明・三省堂編修所
> (C) Sanseido Co.,Ltd. 2006


小学館の『大辞泉』も、三省堂の『大辞林』も、http://dic.yahoo.co.jp/ で参照可能で
あるため、両方を引いてみたら、「くず紙を漉き返して作った粗悪な洋紙。第二次大戦後
の物資欠乏の時代に作られた」は、小学館『大辞泉』からの引用と判明。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=仙花紙&enc=UTF-8&stype=0&dtype=0&dname=0na
>【仙貨紙/仙花紙/泉貨紙】
>1 楮(こうぞ)を原料にして漉(す)いた厚手の強い和紙。包み紙やカッパなどに用いた。
>天正年間(1573~1592)伊予の人、兵頭仙貨(ひょうどうせんか)が作り出したという。
>2 くず紙を漉き返して作った粗悪な洋紙。第二次大戦後の物資欠乏の時代に作られ
>た。


ちなみに、三省堂『大辞林』の方の定義は、以下の通り。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=仙花紙&dtype=0&stype=1&dname=0ss
>[1] 和紙の一。楮(こうぞ)の皮ですいた厚手の丈夫な紙。江戸時代には帳簿・紙袋な
>どに用いた。天正年間(1573-1591)伊予の僧、泉貨が創製したという。せんか。
>[2] 第二次大戦後、故紙や砕木パルプなどを原料としてつくられた、粗悪な洋紙。


「粗悪な洋紙」という意味の他に、丈夫な和紙という意味があるというのも興味深いし、
三省堂『大辞林』の方は、「粗悪な洋紙」は「故紙や砕木パルプなどを原料としてつくら
れた」としているのも面白い。「砕木パルプなど」と記述されると、唐沢俊一のいう「紙の
カスから再生した質の悪い紙」との主張も少し苦しくならないか――とも思った。

だいたい、「紙のカスから再生した質の悪い紙に印刷されている、という意味でカストリ
雑誌」との説をとるのはよいとしても、「三合でつぶれる雑誌なのでカストリ雑誌」説を、
「単なるジョーク」とまでいってしまうのは、ちょっとどうかと思う。

今回、せっかくだから、「粕取り雑誌」を三省堂『大辞泉』で引いてみたら、「3合も飲めば
酔いつぶれる」説は書いてあっても、「紙のカスから再生」という話は書いていない。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=粕取り雑誌&dtype=0&stype=1&dname=0na
>かすとり‐ざっし【×粕取り雑誌】
>第二次大戦直後、相次いで発刊された扇情的で低俗な雑誌。「かすとり2」が劣悪で、
>3合も飲めば酔いつぶれるところから、この種の雑誌が3号ぐらいで廃刊することをひ
>やかしての名。


上でいう「かすとり2」というのは、下に引用する「かすとり」の「2 米・芋などから急造し、
かすだけを除いた下等な密造酒。第二次大戦直後盛んに造られた」のこと。「かすとり」
「粕取り」に、紙のカスだの故紙からつくられた紙だのとかいう意味はない。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=カストリ&enc=UTF-8&stype=0&dtype=0&dname=0na
>かす‐とり【×粕取り/×糟取り】
>1 「粕取り焼酎(しょうちゅう)」の略。
>2 米・芋などから急造し、かすだけを除いた下等な密造酒。第二次大戦直後盛んに
>造られた。


『大辞林』の方も、「粕取り雑誌」や「粕取り」の記述は、『大辞泉』と同じようなもの。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=粕取り雑誌&dtype=0&stype=1&dname=0ss
>かすとりざっし5 【▼粕取り雑誌】
>低劣な記事を主とした雑誌。粕取りを三合飲めば酔いつぶれることから三号でつぶれ
>る雑誌の意という。


http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=カストリ&enc=UTF-8&stype=0&dtype=0&dname=0ss
>[1] 酒粕を蒸留してとった焼酎。独特の香味がある。粕取り焼酎。
>[2] 米またはイモから急造した粗悪な密造酒。第二次大戦直後に盛行。



で、唐沢俊一は、「三合でつぶれる雑誌なのでカストリ雑誌といった、という説は単なる
ジョークで、実際は紙のカスから再生した質の悪い紙に印刷されている、という意味で
カストリ雑誌と命名された、という説」というのは、「実物の仙花紙を見せ、さわらせてか
ら話すと納得度が極めて高いのですね」――と『トンデモ版 ユーチューブのハマり方』の
中で語る。

しかし、「実物の仙花紙」の外見や手触りという理由は、唐沢俊一が、「三合でつぶれる
雑誌」説から「紙のカスから再生した質の悪い紙に印刷」説へと鞍替えした理由を充分
に説明するものではない。

以前、「三合でつぶれるカストリ雑誌について」のエントリーにも引用したように、昔の
唐沢俊一は、「三号でつぶれる」を「ネーミングの傑作」と絶賛していた。その時点で
カストリ雑誌の何冊かは、唐沢俊一の手元にあったはずなのだ。

『トンデモ怪書録』 P.43

 戦後の十年くらいの間にやたらに出た、いわゆるカストリ雑誌という
やつなど、そのテである。カストリとは、これも終戦後にはやったカストリ
焼酎のことで、酒粕から作った粗悪な焼酎である。アルコール分が強く、
少量で酔えるので、戦後の貧しい時代には大いに飲まれた。三合も
飲めば酔いつぶれるところから、三合でつぶれる (三号でつぶれる) と、
出てはすぐつぶれる雑誌類のアダ名として定着した。ネーミングの傑作
といえる。


まあ上の『トンデモ怪書録』の記述は、今見れば、「酒粕を蒸留してとった焼酎」という
定義と、終戦直後の「粗悪な密造酒」という定義をごっちゃにしたうえで、酔いつぶれる
原因を、酒の質の悪さではなくひたすらアルコール分の強さのせいにしているという、
結構トンデモないものなのだが。

http://ja.wikipedia.org/wiki/焼酎
>粕取り焼酎
>もろみ取り焼酎とは別の製法で、清酒かす(日本酒の酒粕)を蒸留して造られる「粕取
>り焼酎」と呼ばれる焼酎がある。
〈略〉
>カストリ
>密造酒としてのカストリ酒本来の粕取り焼酎とはまったく別な、粗悪焼酎に対する俗
>称である。第二次大戦後の社会混乱期、酒不足の世相の中で粗悪な密造焼酎が出
>回った[37]。原料・出所がまったく不明、甚だしい例では人体に有毒なメチルアルコー
>ルを水で薄めたものまで売られる始末で[37]、これら悪酔い確実な代物が俗に「カスト
>リ」と総称された[37]ため、一般にも「カストリ=粗悪な蒸留酒」というイメージが定着し
>た[37]。その影響で、決して粗悪でない本来の粕取り焼酎まで誤解によってイメージ
>ダウンした時期がある[37]。ここから派生した戦後の混乱期を象徴する表現として、
>「カストリ雑誌」という言葉もあった。


酒についての記述に誤りが含まれているのは、上述の『トンデモ怪書録』 (1996 年刊)
だけでなく、『古本マニア 雑学ノート 2冊目』 (1998 年刊) でも同じような感じ。

『古本マニア 雑学ノート 2冊目』 P.172

 三合でつぶれる、というところから、当時これまたはやった、デンプンカス
などから蒸留した酒のカストリ焼酎にひっかけ、カストリ雑誌と呼ばれた。
カストリ焼酎はアルコール度数が強いから、三合も飲めば酔いつぶれる。
そこで“三合で酔いつぶれる”と“三号でつぶれる”とをかけて名称とした
わけだ。戦後傑作ネーミングのひとつである。



で、まあ、酒についての記述はいい加減だったとはいえ、「ネーミングの傑作」、「戦後
傑作ネーミング」と絶賛していた「三合でつぶれる」説を、2006 年の裏モノ日記では、
もの凄い勢いで否定している――というのは、「三合でつぶれるカストリ雑誌について」の
エントリーにも引用した通り。

裏モノ日記 2006年 10月 25日(水曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20061025112458.html

まずはカストリ雑誌を古書市場で入手することが最近困難になってきて
いることから述べ、コレクターと研究者の間の断層について触れ、戦後の
社会事情の概説、そしてそれがカストリという名称に密接に結びつき、
決してカストリ雑誌の名称が“三合(三号)でつぶれる”という洒落から
来たものでなく、戦後の紙類統制期に、統制外品であった仙花紙(着物
の裏地につけて汗を吸わせたり、輸送品の詰め物として使ったりして、
印刷用とは考えられていなかった)に目をつけたアイデアから、クズ紙を
塩酸で溶かした“紙のカス”からとった(再生した)紙、という意味で仙花紙
雑誌のことをカストリ雑誌といった、ということを説明。


このエントリーの最初の方にも引用したが、『大辞泉』の仙花紙の項には、「厚手の強い
和紙。包み紙やカッパなどに用いた」との記述があり、『大辞林』には「和紙の〈略〉厚手
の丈夫な紙。江戸時代には帳簿・紙袋などに用いた」と書いてある。

「印刷用」といえるかどうかは別として、「文字を書く以外の用途」に使われていたのは、
粗悪な洋紙としての仙花紙ではなく、「厚手の強い和紙」の方の仙花紙ではないかと
思うのだが……。「輸送品の詰め物」として使うためなら、わざわざ「クズ紙を塩酸で溶
かし」て再生する手間をかける必要はなく、クズ紙をそのまま使えばよいとも思うし。

http://www2.netwave.or.jp/~h-miyamo/senkasi.htm
>泉貨紙製の帳簿は火事の際、井戸に投げ込んでおいて、後で引き上げても何ら損傷
>がないため評判となったと言われますが、これもおかしな話です。純楮製の厚紙の和
>紙はみんなこうなります。明治十年の「諸国紙名録」を見ると、泉貨紙の用途に帳簿
>はありません。強いという性質を利用して、桐油を塗って傘にするか、袋用にしたよう
>です。石灰袋は今も紙製で二重にしていますね。あんな利用法なのです。今も、四万
>十川沿いには、泉貨紙製の袋やその設計図などが残っています。泉貨紙は、高級紙
>でなく民間で惜しみなく使われる丈夫な紙で、他に敷物や紙衣や張り子など文字を書
>く以外の用途にも利用されていたようです。そして、戦後、漉き返しの粗悪紙に仙花紙
>という名前を利用されてしまいました。その名残で仙花紙といえば再生紙のことを指
>すのです。



つまり、まあ、カストリも仙花紙も、昔からあった意味と、終戦直後のどさくさの粗悪品の
意味とがあって何かとややこしい (?) ので、「三省堂『大辞泉』」とかやらかす唐沢俊一
のような人は、黙っているのが吉だったのではないかと。そうすれば、これって迷惑じゃ
ないかというガセやデマを巻き散らかさなくてもすんだはず。
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