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2010.01.30 (Sat)

「人間な脳の重量」というのは原文ママ

『史上最強のムダ知識』 P.39

 なお、漱石の遺体は、彼の死の翌日、主治医の手により解剖されている。
 この時、摘出された脳と胃は、帝国大学(後の東京大学)に寄贈された。
 現在も、東京大学医学部には、アルコール漬けにされた漱石の脳が保管
されている。その重さは1425グラム。
 ちなみに、人間な脳の重量は1200から1600グラム。量と頭脳は比例
しないので念のため。
 量だけでいうなら、現代人よりもネアンデルタール人(平均1600グラム)
の方が、よっぼど多いのだ。


×人間な脳の重量 ○人間の脳の重量
×アルコール漬けにされた漱石の脳 ○ホルマリン溶液の中の漱石の脳

甘いもの、こってりしたものが好きだった胃弱の夏目漱石」のエントリーに引用した部分
の続き。

「量」を「重量」または「重さ」に置き換えて、「よっぽど多い」は「よっぽど重い」にして
くれた方が、よっぽどわかりやすいような……ということについては、後述するとして。

唐沢俊一は「主治医」としか書いていないが、夏目漱石の遺体を解剖したのは、東京
帝国大学の病理学教授だった長與又郎 (長与又郎)。漱石の主治医は真鍋嘉一郎と
している資料もあるが、彼もまた長与とともに漱石の臨終に立ち会ったという話らしい。

その長與又郎が、「『東洋人の脳は、西洋人に比べ小さい』という説に憤慨」して、
「『日本民族の優秀性』を実証する事例として集めた」「『傑出人の脳』のコレクション」
の中に、漱石の脳の標本も含まれる。長與は、1939年「傑出人脳の研究」で、「生前
優れた能力を示した人の脳は、一般人よりも重く」と結論づけていたが、「今は、脳の
大きさと頭の良さは関係ないというのが常識」というのは、唐沢俊一も書いている通り。

漱石の脳は、「ホルマリン溶液の中」にあるという。唐沢俊一のいう「アルコール漬け」
は、「局方ホルマリン」に含まれるというメタノールとの混同か、Wikipedia の「現在もエタ
ノールに漬けられた状態」からきているものと思われる。で、まあ Wikipedia の夏目漱石
の項目
にある「エタノール」との記述は出典が不明なため、齋藤磐根著『漱石の脳』の
解説にある「ホルマリン溶液の中の夏目漱石の脳」を採用させていただくということで。

そして、漱石の脳は多分今も東大医学部にあるのだろうけど、「東大医学部標本室は
一般には公開されていない」ものであり、「医療関係者は許可を受け閲覧することができ
る」というものだそうで、一般人がその目で実際に確認するのは容易ではなさそう。

1995 年の国立科学博物館「人体の世界」展では漱石の脳も展示されていたという話
だが、今は「故人の尊厳への配慮もあり、現在は、個人が特定される標本の情報は
明らかにしない」ようになっているとのことなのだ。

で、唐沢俊一のいう「人間な脳の重量は1200から1600グラム」の1200から1600
グラム」というのは、Wikipedia の「脳」の項にある「1.2~1.6キログラムの質量」からとして、
ネアンデルタール人の脳については、Wikipedia の「ネアンデルタール人」の項では「男性
の平均が1600cm3」と、重量ではなく容量の記載となっている。

これで、前述の違和感のある表現――「重量」または「重さ」ではなく「量」が、「重い」
ではなく「多い」としている――となった理由がわかったような気が。「平均1600グラム」
と変換してよいのかどうかは不明で、通常は 1cc = 1g では計算していないようだけど。

ちなみに、英語版 Wikipedia ではネアンデルタール人の脳容量は「1,200–1,900 cm3」
となっている。これをとるにしても唐沢俊一のいう「よっぼど多い」が適当かどうかは微妙
なところだなあと思ったりもする。

しかし、まあ、唐沢俊一は、1998 年の『トンデモ一行知識の世界』の時点では、
・ネアンデルタール人とクロマニヨン人の頭のよさは、猿と人間ほどに違っていた。
という意味不明な一行知識を書いているのだから、それと比べれば格段の進歩かも。

http://ja.wikipedia.org/wiki/長與又郎
>夏目漱石の主治医でもあり、1916年(大正5年)、漱石が病死した際には、未亡人
>夏目鏡子の希望で、漱石の遺体を解剖した。


http://ja.wikipedia.org/wiki/眞鍋嘉一郎
>また、中学で漱石に学んだ21年後、長与らと漱石の臨終に立ち会ったほか、大正天
>皇、浜口雄幸など数々の著名人の主治医も務めた。


http://www.jsp51.umin.jp/annai2.htm
>東大医学部標本室は一般には公開されていないが,医療関係者は許可を受け閲覧
>することができる.標本室に入ると,まず文身,刺青の標本が展示されている.その
>中の児雷也の刺青にヒントを得て,高木彬光が推理小説「刺青」を書いたことは有名
>である.
〈略〉
>文身に次いで有名なものとしては「傑出人の脳」のコレクションがある.これは病理学
>の長与又郎教授が「日本民族の優秀性」を実証する事例として集めたものであり,
>「三四郎」の作者,夏目漱石の脳も含まれている.このことから題名を取った本,齋藤
>磐根著「漱石の脳」には,東大医学部標本室の展示物の背景,エピソードが詳しく紹
>介されているので,是非,御一読いただいて,実際に標本室を訪問されることを勧め
>たい.参考のために各章のタイトルを紹介しておこう.文身,骨標本,鋳型標本,人工
>腫瘍,原爆症,漱石の脳,プラスティネーション,学生実習用プレパラートである.あと
>がきにはこう書いてある.「東京大学医学部標本室は,単に標本が並べて置いてある
>というところではない.それだけで精神空間を作っているのである.」
>平成17年度には本館の近くに教育研究棟が完成し,本館には解剖室,講堂,実習室
>を残して,解剖学,病理学,法医学,免疫学教室のすべてが引越しすることになって
>いる.解剖,形態学という枠組みではない,「基礎医学」という精神空間の中で,病理
>学教室(人体病理学)もまた大きな影響を受けることだろう.


http://www.koubundou.co.jp/books/pages/75010.html
>漱石の脳
>(叢書・死の文化 20)
>齋藤 磐根=著
〈略〉
>解説 東京大学医学部標本室─記憶装置としての不思議な精神空間屍体国有論を
>唱えた夢野久作の父の骨やホルマリン溶液の中の夏目漱石の脳が眠る、東京大学
>医学部標本室。鋳型標本から最新のプラスティネーションまで、記憶装置としての不
>思議な精神空間でいま目覚めようとする、死者たちの物語。


http://ja.wikipedia.org/wiki/夏目漱石
>漱石の死の翌日、遺体は東京帝国大学医学部解剖室において長與又郎によって解
>剖される。その際に摘出された脳と胃は寄贈された。脳は、現在もエタノールに漬けら
>れた状態で東京大学医学部に保管されている。重さは1,425グラムであった。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ホルマリン
>ホルマリン (formalin) は、ホルムアルデヒドの水溶液のこと。無色透明で、刺激臭が
>あり、生体に有害。生物の組織標本作製のための固定・防腐処理に広く用いられる。
>また、ホルマリンによって死滅する菌類、細菌類が多いことから、希釈した溶液を消毒
>用にも用いる。
〈略〉
>日本薬局方で定められた局方ホルマリンとして市販されているのは、35~38%ホルム
>アルデヒド水溶液で、安定化剤(にごり防止)として10%以下程度のメタノールが加えら
>れている。一般にはこれを5~10倍程度に希釈して用いる。


http://ja.wikipedia.org/wiki/アルコール
>ヒドロキシル基が結合している炭素原子が結合する炭素原子の数で第一級、第二
>級、第三級という区別がある。酸化すると第一級アルコールはアルデヒドとなり、第二
>級アルコールはケトンとなる。第三級アルコールは酸化されにくい。なお、メタノールは
>炭素原子どうしの結合を持たないが、酸化してホルムアルデヒドとなるので、一般に
>第一級アルコールに含まれる。


http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20061226us41.htm
> かつては、夏目漱石の脳が国立科学博物館の「人体の世界」展に貸し出されて
>公開されたこともあった。しかし、故人の尊厳への配慮もあり、現在は、個人が特定さ
>れる標本の情報は明らかにしない。標本は一般には非公開で、標本室の存在自体も
>ホームページに記されていない。
> 夏目漱石などの脳の標本は、「東洋人の脳は、西洋人に比べ小さい」という説に
>憤慨した医学部教授が集めたものだった。「傑出人脳の研究」(1939年)にまとめら
>れ、「生前優れた能力を示した人の脳は、一般人よりも重く、その能力に相当する中
>枢が発達している」と結論付けた。
> しかし、「今は、脳の大きさと頭の良さは関係ないというのが常識」(金子博士)だ。


http://blog.goo.ne.jp/konstanze/e/a88e1cb85be40fb2924f3400d718ec99
>私は夏目漱石の脳を見たことがある。加賀乙彦氏の著書「雲の都 時計台」で、作者
>のモデルである東京大学医学部の学生、悠太が脳研究所に通いはじめるようになる
>と、標本室にある夏目漱石の脳を見る文章で思い出したのだ。夏目漱石などの脳の
>標本は、、「東洋人の脳は、西洋人に比べ小さい」という説に憤慨した医学部の教授
>が蒐集して、1939年「傑出人脳の研究」にまとめられ、優れた能力を発揮した人物の
>脳は一般人よりも重く、その能力に相当する中枢が発達している」とされていたそう
>だ。悠太が標準より少し重い漱石の脳を見た時代では、すでに先輩の研究者から脳
>の重さと頭脳の優秀さに相関関係はないと説明されている。私が見る機会をえたの
>は、国立科学博物館主催の「人体の世界」展に出品された時である。

>現在、漱石の脳はどこへ行ったのか。
>歴代の教授の胸像や肖像画が並ぶ東京大学医学部本館の3階。厚い鉄の扉で閉め
>られ、日差しをさけるためのカーテンで窓を覆われた300平方メートルほどの標本室
>で静かに眠っている。
〈略〉
>「父さんの体を返して~父親を骨格標本にされたエスキモーの少年」という本が出版
>されて、博物館で骨格標本として陳列されている父を発見して遺骨を取り戻そうとした
>息子の実話が話題になったのは、その後である。今では、個人の尊厳への配慮から
>個人が特定される標本の情報すらもあきらかにされず、標本室の存在自体すらもHP
>にあきらかにされていない。夏目漱石の脳が現存していることすらも、やがて一般の
>人々は誰も知らなくなるだろう。


http://ja.wikipedia.org/wiki/脳
>ヒトの脳は頭蓋内腔の大部分を占めている。成人で体重の2%ほどにあたる1.2~1.6
>キログラムの質量がある。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ネアンデルタール人
>ネアンデルタール人の脳容量は現生人類より大きく、男性の平均が1600cm3あった
>(現代人男性の平均は1450cm3)。


http://en.wikipedia.org/wiki/Neanderthal
> 1,200–1,900 cm3 (73–116 cu in) skull capacity

http://www.shuyukai.or.jp/hanashi_jyuuyousa.html
>約20万年前のネアンデルタール人で1,200cc~1,600ccは現代人の平均1,450
>ccに勝るとも劣らない大きさであった。
〈略〉
>日本人の脳の重さは、男で1,350から1,400g、女で1,200~1,250gで女の
>方が平均で150gほど軽い。


http://mblog.excite.co.jp/user/kappanochi/entry/detail/?id=12158808
>脳の重さはジャワ原人では900g・ネアンデルタール人では1500g。現代人はと言う
>と、1400gです。


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Comment

>トンデモブラウさん
唐沢俊一が、(“もどき”つきでも) 理系といえるかどうかは難しい問題 @_@ と思います。

「トンデモさんをも超えたトンデモ」――というのは、ありますですね。
http://tondemonai2.web.fc2.com/41.html

「質量と重量」問題も、どっかでやっていそうだけど、うまくみつけられませんでした。本文に「質量」という文字列を含むエントリーというだけなら、これ↓があったのですが。

「厚さ2.3ミリ以下なら一円玉以外の硬貨も水に浮くという理論?」
http://tondemonai2.web.fc2.com/670.html
トンデモない一行知識 |  2010年01月30日(土) 16:26 |  URL |  【コメント編集】

●イタい人ですね

理系(もどき?)なのに単位(ディメンション)が解っていないのは、致命的ですね。
きっと唐沢は、質量と重量の区別もできないんだろうなぁ。
一般的なトンデモさんより質が悪そう・・・なるほど「と学会」がトリ認定しないのはそのせいね。
トンデモブラウ |  2010年01月30日(土) 13:27 |  URL |  【コメント編集】

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