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2009.12.19 (Sat)

弁護士が判事に化けた判じ物――それが大統領の書いたミステリ (←違う)

『地上最強のムダ知識』 P.36

推理小説を出版したアメリカ大統領がいる。
それも、リンカーンとルーズベルトの2人。


『地上最強のムダ知識』 P.37

 リンカーンが書いたのは、『トレイラー殺人の謎』というタイトルの小説。
 失踪した金持ちを巡る裁判奇談で、半分は実話。
 リンカーンは、若い頃にスプリングフィールド市で判事をしていた経験が
あったので、この種のネタには事欠かなかったのである。
 また、第32代大統領フランクリン・ルーズベルトは、ミステリのアイデアを
思いついたものの、自分で書く時間がなかったため、『僧正殺人事件』の
S・S・ヴァン・ダインや、『ペリー・メイスン』のE・S・ガードナーなど、7人の
著名な作家に、そのプロットを与え、連作をさせた。
『大統領のミステリ』というタイトルで、できはさすがに、こちらのほうがいい。
 なお、どちらも邦訳が出ていた。


×『トレイラー殺人の謎』 ○『トレーラー殺人事件の謎』
×判事をしていた ○弁護士をしていた

「"トレイラー殺人の謎"」と二重引用符つきでググると、ヒットはわずか 4 件で、しかも
そのうちの 1 件がこれ↓だったという……。

http://www.lares.dti.ne.jp/~hisadome/karasawa_elder/083.htm
>『切手をなめると、2キロカロリー 一生に一度は役立つかもしれない話題のタネ』
>唐沢俊一(監修)
〈略〉
>エイブラハム・リンカーンは、『トレイラー殺人の謎』という推理小説を書いている。


これを「"トレーラー殺人事件の謎"」にすると、下記の国立国会図書館サイト内のコラム
など、ヒットするページの数は、かなり多くなる。

http://rnavi.ndl.go.jp/kaleido/entry/12202.php
>・トレーラー殺人事件の謎 / アブラハム・リンカーン著 (『探偵たちよスパイたちよ』 
>p.159-169 1981 【KE173-54】)
> 「トレーラー殺人事件の謎」は第16代大統領リンカンが書いた推理小説です。野崎
>孝による邦訳が『探偵たちよスパイたちよ』に収録されています。


http://homepage1.nifty.com/y_nakahara/nw2.htm
> 「トレーラー殺人事件の謎」
>  これは第16代エイブラハム・リンカーンが自分で書いた短編ミステリです。イリノ
>イ州スプリングフィールドが舞台で、トレーラーという兄弟が一人の男を殺したとして、
>死体が発見されないまま逮捕され、一人は自白までしたのですが、結局、被害者が
>生きていたという話です。実際にあった事件のようです。というのはリンカーンはスプリ
>ングフィールドで弁護士をしていた経験があるのです。
>  これは「探偵たちよスパイたちよ」(丸谷才一編・集英社)の中の一編として野崎孝
>氏の訳で集録されています。


で、すぐ上に引用した文章でも言及されているけど、リンカーンといえば、「スプリング
フィールド市で判事をしていた」――のではなくて、弁護士だったでしょう、ということで。

http://www.takaoka.ac.jp/zatsugaku/008/niwa_1.htm
>皆さんがよく知っている、アメリカ合衆国の第16代大統領エイブラハム・リンカーン
>大統領(1809~1865年)を取り上げます。リンカーン大統領は、ゲティスバーグの演
>説、南北戦争時の大統領、奴隷解放宣言、さらには南北戦争が終了した5日後に射
>殺された大統領として知られています。しかし、政界に入る前、23年間も弁護士とし
>て活躍し、高く評価されてもいました。


その他参考 URL:
- http://www.southwind.us/cinderella/6_1_20.htm
- http://www.amazon.co.jp/dp/B00005G12O


そして、フランクリン・ルーズベルトの『大統領のミステリ』について。

唐沢俊一は、大統領が「ミステリのアイデアを思いついたものの、自分で書く時間が
なかったため」、「著名な作家に、そのプロットを与え、連作をさせた」と書いているけど、
これは他の資料に書かれているようなことと、若干ニュアンスが異なる。

http://rnavi.ndl.go.jp/kaleido/entry/12202.php
>・大統領のミステリ / フランクリン・D.ルーズヴェルト他著 ; 大社淑子訳 東京 : 早川書
>房,  1984 【KS141-116】
>当時現職の大統領であったフランクリン・ローズヴェルトが元となる謎を提供し、それ
>をS・S・ヴァン・ダイン、E・S・ガードナーといった当時の作家達が完成させた推理小
>説です。7人の作家による連作形式になっています。


http://www.aga-search.com/rensaku8.html
>1935年の日曜日の夕べ、ホワイトハウスの夕食会では、大統領ルーズベルトが自ら
>あたためた探偵小説の筋を公開していた。「しかし、この筋に対する解決が見つから
>ないのだ」編集者の提案を受けて、大統領は言った。「このアイディアは諸君にあげよ
>う。どんなふうに料理するか見ようじゃないか」─かくして当時のアメリカを代表する
>錚々たる作家たちが、大統領の考えたミステリに挑戦することになった。各作家は1
>章ずつ担当し、筋を展開させながら、解決法をも考えなければならない。趣向を凝らし
>書き継がれた幻のリレー長篇。本邦初訳!


「自分で書く時間がなかったため」と、「元となる謎を提供」できるが「解決が見つから
ない」のでというのは、だいぶ違うと思うがどうだろうか。

「プロット」うんぬんと書いていることから、唐沢俊一の元ネタは、Wikipedia の下記の
記述ではないかと推測。これに「自分で書く時間がなかったため」と余計な記述を追加
しての劣化コピーではないかと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/フランクリン・ルーズベルト
>推理小説の大ファンでもあり、ベーカー・ストリート・イレギュラーズの会員であった。
>また、彼自身が思いついたプロットでS・S・ヴァン=ダインらが『大統領のミステリ』と
>題するリレー長編を執筆したこともある。



ある意味類似のガセビア
ムンクは叫び、唐沢俊一はガセり、そしてパクる
Wikipedia からのほぼ丸ごとコピーと「幼い頃に」はムンクもいいたくなります
最後のパレードは唐沢俊一と中村克、最初のパレードは織田信長と明智光秀

題名からしてガセの『切手をなめると、2キロカロリー』という本の間違いを、訂正なしで
使い回しているのだから、今回はムンクのケース以下、ともいえるかも。


追記: コメント欄にも書きましたが、「時間がなかったから」については、まったくのガセとは
いえないものでしだし、唐沢俊一が独自に追加した記述ではなかったです。お詫びのうえ、
訂正します。(_ _);

『大統領のミステリ』 P.9
>しばらくして、アワズラーが、ご自分でミステリを書こうと考えたことがおありでしょうか、
>と大統領にきいた。
> ルーズヴェルトはくっくっと笑った。それから“ほんの少しきまり悪そうな顔をして”
>言った。「本当のことを言うとね、何度かそれについて考えてみたことはある。実は、
>あるミステリの筋を頭のなかであたためているんだよ」
> アワズラーは、どうしてそれを書かなかったんです、ときいた。「あなたは、その他の
>ことなら何であろうと、やる時間を見つけていらっしゃるようですが。
>「そうだな、だが、それを書く時間はなかったのさ」とルーズヴェルトは答えた。「しかし、
>それよりほかに、もっと重要な理由がある――つまり、自分で考えた筋に対する解決が
>見つからないんだよ! おまけに、解決をしてくれそうな人も全然見つからない、ときて
>る」アワズラーはその話を聞いてみたいと言い、ルーズヴェルトは快く、その難問を披露
>した。



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テーマ : 感想 - ジャンル : 本・雑誌

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Comment

いえいえ、もはや唐沢俊一と関係なくなったネタも、歓迎ですー。

本文にも引用した http://www.aga-search.com/rensaku8.html の文章は、『大統領のミステリ』の裏表紙に書かれているもので、それによると「本邦初訳!」。

となると、1984 年以前に出版されたものは、もっぱらご紹介の、江戸川乱歩の随筆を元ネタにしていたという話かもしれません。文庫化とか再刊にあたり、絶対修正が必要だろう、という部分ではないですし。

>「大統領ミステリ」の初期バージョンではE・S・ガードナーが
> 参加しておらず、後に加筆

『大統領ミステリ』 P.13
>そして、この版は、特異な挿絵と、アール・スタンリイ・ガードナーによる
>新しい章が付け加わっているので、キャンプ世代がすぐとびついてくる
>成功作品になるかもしれない。

挿絵の方は残念ながら日本語文庫本では割愛されていますが……。ガードナーによる「終結部 (コーダ)」は、《リバティ》誌の連載にはなかったものが追加されたとのことのようです。「この版」以前に、まとまった本として出版されていたことがあるかどうかは、よくわかりませんでした。
トンデモない一行知識 |  2011年02月19日(土) 20:19 |  URL |  【コメント編集】

●追記です

江戸川乱歩推理文庫(52)『続・幻影城』
(講談社・昭和63年発行)でも、この作品を
取り上げていますが、内容は殆ど同じで(そのため引用は
パスします)やはり

>この筋に対する解決が見つからない

に相当する記述はありませんでした。

(初出文章は昭和25年に『宝石』に掲載され、その後
昭和29年に刊行された『続・幻影城』に収録されたとのこと)



*なお、両方とも“六人の合作(分担執筆)”となっていますが、
「大統領ミステリ」の初期バージョンではE・S・ガードナーが
参加しておらず、後に加筆されたようです。




……唐沢氏と関係ない書き込みになり申し訳ありません。
二毛猫 |  2011年02月19日(土) 15:19 |  URL |  【コメント編集】

あ、「時間がなかったから」については、まったくのガセとはいえないです。これは、すぐ後で『大統領のミステリ』を入手して、以下の記述を見つけました。

『大統領のミステリ』 P.9
> アワズラーは、どうしてそれを書かなかったんです、ときいた。「あなたは、
>その他のことなら何であろうと、やる時間を見つけていらっしゃるようですが。
>「そうだな、だが、それを書く時間はなかったのさ」とルーズヴェルトは答えた。
>「しかし、それよりほかに、もっと重要な理由がある――つまり、自分で考えた
>筋に対する解決が見つからないんだよ! おまけに、解決をしてくれそうな
>人も全然見つからない、ときてる」アワズラーはその話を聞いてみたいと言い、
>ルーズヴェルトは快く、その難問を披露した。

これをエントリーに追記済みと思い込んでいました。(←大ボケ)
後で追記しておこうと思います。(_ _);

http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20110217#c1297990302
によると、「藤原宰太郎『世界の偉人は名探偵』」と一字一句同じというコメントも寄せられていますね。

http://homepage3.nifty.com/mystery-quiz/huji2.htm
>『世界の偉人は名探偵 びっくり推理ゲーム』
>  著者:藤原宰太郎  (藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
>  発行:KKベストセラーズ ワニの本  発売:1975年1月5日初版
〈略〉
> まえがきにあるとおり、ガリレオ、ダ・ビンチ、アル・カポネ、アンネ・フランク
>など45人の偉人を紹介し、その後推理クイズで偉人たちのお手並みを拝見する
>構成になっている。
> 推理クイズ自体はミステリで使用されたトリックを移植したものがほとんどで
>あり、一部オリジナルと思われる問題、そして推理というより一般知識を必要と
>するクイズが混じっている。
> 歴史上の偉人を探偵役に据えるというミステリは結構多い。ただ、このように
>複数の偉人たちを登場させる手法は、まえがきにもある通り、シオドー・マシスン
>の『名探偵群像』(創元推理文庫)から取ったものと思われる。
> いずれにしても通常の推理クイズに偉人を絡めさせただけではあるが、シャン
>ポリオン、ニジンスキー、ガロア、アイヒマンなど、あまり知られていない偉人
>たちも取り上げ、その数奇な生涯を簡単に紹介するという部分で、通常の推理
>クイズ本より知的な面白さを与えてくれる本に仕上がっている。

Amazon http://www.amazon.co.jp/dp/B000J8OBO4 では豆本で 1978 年刊となっているようですが、1975年にしても 1978年にしても、1984 年の『大統領のミステリ』の翻訳本より前なので、ご紹介の江戸川乱歩の随筆がソースなのかなあ、と思います。
トンデモない一行知識 |  2011年02月19日(土) 11:51 |  URL |  【コメント編集】

●昔の記事にコメントして恐縮ですが

>フランクリン・ルーズベルトの『大統領のミステリ』
「唐沢俊一検証blog」からリンクが張られていたので
読んでみましたが、私も唐沢氏と同じように覚えていました(笑)。


以下、江戸川乱歩推理文庫(50)『探偵小説の謎』
(講談社・昭和63年発行)162ページより引用
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ことにフランクリン・ルーズベルト大統領はみずから探偵小説の
構想を立てたことさえある。雑誌『リバティ』の記者であり兼ねて
探偵作家であったアントニイ・アボットが、かつて大統領に探偵
小説を書かせようとして訪問したことがある。すると大統領は、
忙しくてとても書くことはできないが、私の考えた面白い筋が
あるから、それを専門家に書かせてはどうかと提案した。そこで
アボットはその筋を貰って、一流作家を動員し六人の合作で
「大統領探偵小説」と銘打って発表した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(初出は昭和21年に『新大阪』に掲載された随筆で、その後
昭和22年に刊行された『随筆 探偵小説』に収録されたとのこと)


*江戸川乱歩の評論・随筆は、当時の情報不足や著者の翻訳ミス
 および思い込みによるガセが多いようです……。
二毛猫 |  2011年02月19日(土) 09:15 |  URL |  【コメント編集】

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