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2009.11.03 (Tue)

ムンクは叫び、唐沢俊一はガセり、そしてパクる

『切手をなめると、2キロカロリー』 P.110

「叫び」は、描かれている人物が叫んでいるのではなく、まわりにいる人間
たちが叫んでいる状況の絵である。


題名からしてガセの『切手をなめると、2キロカロリー』という本から。

「叫び」とは、ムンクの『叫び』のこと。「描かれている人物が叫んでいるのではなく」という
のは正しいとして、「まわりにいる人間たちが叫んでいる」って……その「まわりにいる人
間たち」とは誰のことで、どこにいるのかと。

『叫び』の中には、耳を押さえている人物のすぐ近くには誰もいない。少し離れた場所に、
2 人の人物が小さく描かれているが、静かに歩いているだけという感じで、どう見ても
叫んでいるようには見えない。

munchscream.jpg


大きな画像を見たい人は、http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/munch/ の縮小画像
をクリックして、http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/munch/munch.scream.jpg や、
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/munch/munch.scream2.jpg を参照のこと。

で、以前に、「はやく真人間になりたい――とか?」のエントリーにも書いたことがあるけど、
『切手をなめると、2キロカロリー』 (2003 年) に収録のネタは、『史上最強のムダ知識』
(2007 年) に多数使い回しされている。

『史上最強のムダ知識』 P.263

*本書は、『切手をなめると2キロカロリー』(サンマーク出版)、『本の中の
トンデモ職業大発見(北海道アルバイト情報誌『CLUE』連載)、『唐沢俊一
トリビアな日々』(講談社『FRIDAY』連載)などのほか、著者の既存原稿に
新たな材料を加え、加筆、改稿し、再構成したものです。

×『切手をなめると2キロカロリー』 ○『切手をなめると、2キロカロリー』

自分の出した本の題名くらい、間違えないで書けないものか、というのはおいといて。

実は、『史上最強のムダ知識』では、ムンクの『叫び』についての記述は訂正 (?) されて
いる。

『史上最強のムダ知識』 P.35

 ムンクの代表作『叫び』は、中央の人物が「頬に手を当てて叫んでいる」
と思われがちだが、実はそうではない。そもそもこの『叫び』は、ムンクが
体験した幻覚を絵にしたもの。
 ムンクの日記によれば、その幻覚は、
「突然、空が血のような赤色に染まった。私は立ちすくみ、疲れ果てた身体
を柵にもたれかけさせた。青黒いフィヨルドと街の上に血と炎の舌が覆い被
さるようであった。そして、自然を貫く、果てしない叫びを聞いた」
 と、いうようなものだった。つまり、『叫び』とは、ムンクが体験した「果てし
ない叫び」のことなのだ。中央の人物は、この叫びを感じて、耳を押さえて
苦悩しているのである。


上に引用した唐沢俊一の文章は、Wikipedia の記述を下手クソにリライトしたような感じ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/叫び_(エドヴァルド・ムンク)
>この絵は、ムンクが感じた幻覚に基づいており、このときの体験を日記に次のように
>記している。

>>  私は二人の友人と、歩道を歩いていた。太陽は沈みかかっていた。突然、空が
>>  血の赤色に変わった。私は立ち止まり、酷い疲れを感じて、柵に寄り掛かった。
>>  それは炎の舌と血とが、青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。友人は
>>  歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え、戦いていた。そして私
>>  は、自然を貫く果てしない叫びを聞いた。

>しばしば誤解されるが、「叫び」はこの絵の人物が発しているのではなく、「自然を貫く
>果てしない叫び」のことである。絵の人物は、「自然を貫く果てしない叫び」に恐れ慄い
>て耳を塞いでいるのである。


さらに、ググってみたら、こういう↓のを発見。

http://mblog.excite.co.jp/user/hamburg/entry/detail/?id=4597163
>“夕暮れ時、私は二人の友人と共に歩いていた。
>すると、突然空が血のような赤に染まり、私は立ちすくみ、
>疲れ果ててフェンスに寄りかかった。
>それは血と炎の舌が青黒いフィヨルドと街に覆い被さるようだった。
>そして、自然を貫く果てしない叫びを感じた。”
>(※Wikipedia「叫び」から引用)


唐沢俊一の文章の「突然、空が血のような赤色に染まった。〈略〉自然を貫く、果てしない
叫びを聞いた」の箇所と、そっくりである。

実は、Wikipedia の「2007年1月12日 (金) 15:44」の版では、ムンクの日記の記述は下記
の通り。唐沢俊一は、これをほぼ丸ごとコピーしただけという可能性が非常に高い。

http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=叫び_(エドヴァルド・ムンク)&direction=next&oldid=9417234
>>  夕暮れ時、私は二人の友人と共に歩いていた。すると、突然空が血のような
>>  赤に染まり、私は立ちすくみ、疲れ果ててフェンスに寄りかかった。それは血と
>>  炎の舌が青黒いフィヨルドと街に覆い被さるようだった。そして、自然を貫く果て
>>  しない叫びを感じた。


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テーマ : 感想 - ジャンル : 本・雑誌

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Comment

>伊藤 剛さん
了解です。<手紙

http://tabisuke.arukikata.co.jp/mouth/12674/
>ムンク美術館基本データ
〈略〉
>作品以外にも、本や手紙など、ムンクにまつわるさまざまなものが
>コレクションされている。

この美術館↑にあつめられているのは手紙の方みたいですね。


http://www.amazon.co.jp/dp/4622072947
>また、ムンクは大変な読書家だった。文学、哲学、音楽、科学、医学、
>そして当時新興の分野であった心理学の本は、その思想と絵に大きな
>役割を果たしている。同時に、書くことで自己分析を試みたムンクは、
>日記や手紙を多数残した。この本に声を与えているのは、それらムンク
>の言葉である。

ふむ。
トンデモない一行知識 |  2009年11月04日(水) 23:45 |  URL |  【コメント編集】

「ムンクの手紙だったかも?」というのは、ぼくの記憶違いである可能性も高いです。なにせ、ムンクの画集が好きでよく見ていたのは中学のころで、いまその画集は実家にあるので確認ができないのです。
伊藤 剛 |  2009年11月04日(水) 00:37 |  URL |  【コメント編集】

●ムンクなく納得?

>藤岡真さん
http://blog.kodai-bunmei.net/blog/2007/07/000272.html

……これは、写真がスゴいというか、確かに納得してしまいますね。^_^;

http://ja.wikipedia.org/wiki/エドヴァルド・ムンク
>アメリカの美術史家であるロバート・ゼンブラムは、パリの人類史
>博物館に展示されていたペルーのミイラが『叫び』中央の人物の
>モデルであるという説を唱えた。実際このミイラは丸く落ちくぼんだ
>目、開いた口、頬に当てられた手、痩せた体など、『叫び』の人物と
>共通点が多い。


なお、『史上最強のムダ知識』 P.35 には、

> なお、『叫び』の空の部分には、鉛筆で小さく「この絵は狂人にしか
>描けない」という落書きがある。ムンク自身の筆跡だそうだ。

というのがあって、それの真偽も気になっています (「ムンク自身の筆跡」でも「落書き」というのか? というのを含めて) ので、可能ならば、ミイラ問題や、伊藤剛さんのいう日記か手紙か問題を含めて、続きをやりたいと思っています。
トンデモない一行知識 |  2009年11月04日(水) 00:02 |  URL |  【コメント編集】

●Wikipedia ってば……

>伊藤 剛さん
Wikipedia の記述は……やたら内容が充実しているものがあるかと思うと
( http://tondemonai2.web.fc2.com/475.html を書いたときなどは、
http://ja.wikipedia.org/wiki/ポンティアック戦争 の記述とか何かすごいと思いました)、そっけない記述で終わっていたり項目自体がなかったりするものまで、本当にピンキリだと思います。

後者のものについては、英語版をそのまま訳していれておいてくれれば助かるのに……と思うようなものも、かなり混じっていたりします。まあ、だったら自分でやれという話になるような問題でしょうけど。

>誰のどの訳なのかが記されていないのがそもそも問題

これには同意、なのですが、ムンクの日記については、英語版の Wikipedia の記述をもとに、日本語版の執筆者が自分で訳して書いた可能性もあるのではないでしょうか。

http://en.wikipedia.org/wiki/The_Scream
> In a page in his diary headed Nice 22.01.1892, Munch described his
> inspiration for the image thus:
>> “ I was walking along a path with two friends―the sun was
>> setting―suddenly the sky turned blood red―I paused, feeling
>> exhausted, and leaned on the fence―there was blood and tongues
>> of fire above the blue-black fjord and the city―my friends walked
>> on, and I stood there trembling with anxiety―and I sensed an infinite
>> scream passing through nature. ”

ちなみに、唐沢俊一の丸コピした訳が、今の訳に切り替わったのは、「2008年1月8日 (火) 14:28時点」のこと。

http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=叫び_(エドヴァルド・ムンク)&diff=prev&oldid=17243844

「それは血と炎の舌が」にしても、「それは炎の舌と血とが」にしても、どうして「それは」がついているのか、よくわかりませんが。


>ぼくの項目など、明らかに悪意による編集がされています。

これは、善意による編集もされていて、2ちゃんねるのスレで、これは気の毒だと問題になったせいもあってか、唐沢俊一に志願して弟子入りしたというのではなく、「フリーライターとして活動中に唐沢俊一に請われスタッフの一員となる」という記述に変更されたりしているようです。

ただ、http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:伊藤剛_(評論家) を見ると、確かに悪意全開としかいえないような、変な人が混じっていますね……。
トンデモない一行知識 |  2009年11月03日(火) 23:41 |  URL |  【コメント編集】

以前テレビのドキュメンタリー番組で(確か牛山純一がプロデュースしたと思います)、ムンクの発想のもとになったのは、当時ヨーロッパに紹介された、アンデスのミイラだと解説していました。なんとなく納得。
http://blog.kodai-bunmei.net/blog/2007/07/000272.html
藤岡真 |  2009年11月03日(火) 19:46 |  URL |  【コメント編集】

ムンクのこのくだりは有名ですが、当然のことながら訳者によって表現が少しずつ違います。
一般論として、wikipediaを参照するなとは言いませんし、wikipediaよりと明記したうえで引用するのならばいいのかもしれませんが(wikipediaのみを参照する態度については脇に置くとして)、このムンクの「叫び」をめぐる日記の記述(そもそもこれ日記でしたっけ? 手紙とかじゃ? 本当に日記かどうかから検証が必要なような)については、誰のどの訳なのかが記されていないのがそもそも問題だと思います。

wikipediaにはそういうのが多いんですけどね。
ぼくの項目など、明らかに悪意による編集がされています。気分が悪いので自分では一年近く見ていないのですが、「唐沢俊一研究」的には、編集履歴など興味深いものがあるかもしれません。
伊藤 剛 |  2009年11月03日(火) 19:39 |  URL |  【コメント編集】

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