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2009.11.01 (Sun)

いつまでも財務省印刷局と思うなよ、と。

『史上最強のムダ知識』 P.49

 お札の図案デザインと原版の彫刻は、財務省(旧・大蔵省)印刷局の
職人公務員「工芸官」が担当している。
 この職は、高卒以上で美術関係を専攻していたことが採用の条件である。
 紙幣などは、そうそう図案を変えるものでもないので、普段は、証券類
(国債、収入印紙など)、郵券類(切手、ハガキなど)、各種入場券、政府の
刊行物などの絵柄も描いている。
 だいたい25人前後が勤務していて、そのうち半分がデザインを担当、
残り半分が原版の製作を担当している。
 工芸官の持つ技術は、非常に高度で、原版製作に必要な彫刻技術
ひととおりをマスターするには、15~20年かかるとされている。


×財務省(旧・大蔵省)印刷局 ○独立行政法人国立印刷局
×職人公務員 ○国家公務員

財務省印刷局は、2003 年 (平成15年) に独立行政法人に移行して、「独立行政法人
国立印刷局
」となった。2007 年刊の『史上最強のムダ知識』に、それが反映されて
いないのは、ちょっと情けない。

「職人公務員」というのは、唐沢俊一の造語っぽくて、「"職人公務員"」と二重引用符
つきでググると、「職人、公務員」の類いしかヒットしない。

まあ確かに工芸官、特に原図をもとに原版を彫刻する担当は「職人」というのにふさわ
しい――「実際の日銀券では、1 mm間隔に約11本の線が引かれている」そうだ――とも
思うけれど、ここは素直に「国家公務員」と書くのがよかったのではないかと。唐沢俊一
は「半分がデザインを担当」とも書いているが、彼らの方は、職人というよりデザイナー
ではないかと思うし。まあ、お札の原図を「筆と絵の具で」描くような細かい作業は、
これも職人技といっておかしくないかもしれないけど。

http://job.mynavi.jp/11/pc/search/corp86079/outline.html
>特定独立行政法人(身分は国家公務員)として、社会に貢献しています。
〈略〉
>1943年11月  大蔵省所管の「印刷局」となる
>1952年 8月  大蔵省の附属機関「大蔵省印刷局」となる
>2001年 1月  省庁再編により「財務省印刷局」となる
>2003年 4月  「独立行政法人国立印刷局」となる


http://www.mof.go.jp/finance/f1909e.pdf
>財務省本省だけでは、子ども達の関心を惹くイベントを行うことが難しいため、印刷局
>滝野川工場や東京税関への見学を実施してきた。平成15年の印刷局の独立行政法
>人への移行や平成16年の新日本銀行券への改刷等により、国立印刷局が工場見学
>の受入れ自体を停止したため、平成15年度以降は東京税関の見学のみを実施して
>きた。
〈略〉
>本年の「子ども霞が関見学デー」の開催に当たり、多くの方の参加を可能とするため、
>国立印刷局での見学の可能性について検討した。独法移行からある程度経過し、改
>刷も無事完了したこと等から工場見学の受入れを再開したこと、国立印刷局としても
>独自に子ども霞が関見学デーへの参加を検討していたこともあり、東京税関と国立印
>刷局の両機関においてそれぞれ見学を実施することとした。
〈略〉
>国立印刷局では、ビデオによる業務紹介ののち、工芸官の実演が披露された。工芸
>官は、紙幣の原図のデザインや、原図に基づく原版の彫刻などを担当しており、実演
>風景は今回の見学での特別イベントとして実施したもので、通常の一般見学では見る
>ことが出来ない、貴重なものであり、その卓越・熟練した技術には見学者も驚嘆して
>いた。また、子ども達が実際に原版に彫刻する体験も実施したが、1/15ミリくらいの
>線を彫った子がいたり(ちなみに実際の日銀券では、1 mm間隔に約11本の線が引
>かれている)、思わぬ出来の良さに工芸官が驚くなど、こちらが逆に子どもの順応性
>の高さを垣間見るようであった。



「採用の条件」が、「高卒以上で美術関係を専攻していたこと」かどうかは、調べてもよく
わからなかった。国立印刷局の採用情報 http://www.npb.go.jp/ja/recruit/index.html
の「区分」から推測するに、「美術関係を専攻」というのが学歴として反映されている必要
はなさそうだし、工芸官が全員、美術系の高校または大学を卒業していると明記してい
る資料も見つからなかったので……。

「だいたい25人前後が勤務していて」も微妙。2007年 9月 14日 (『史上最強のムダ
知識』の出た 5 ヵ月後) の朝日の記事では、「デザイン担当」と「彫刻担当」が「約10人
ずつ」となっているので、約 20 人の計算になるが、13 歳のハローワークのサイトでは、
「お札は30数名、切手は数名の工芸官」と記述している。唐沢俊一の「25人前後」という
のは、これら 2 つを足して二で割ったわけでもないと思いたいが。

http://kotobank.jp/word/工芸官
>朝日新聞掲載「キーワード」の解説
〈略〉
>国立印刷局所属の国家公務員。お札などの原図を描くデザイン担当と、原図を基に
>原版を手彫りする彫刻担当が約10人ずついる。普段は印紙や証紙、国債などの製造
>で技術を磨き、ベテランの彫刻担当は1ミリ幅に10本以上の線を彫り込むという。工
>芸官の間では「針研ぎ3年、描き8年、美蘭(びらん)咲く(ビュランという特殊な彫刻刀で
>美しいランの花を彫れるようになる)のは18年」と言い継がれる。
>( 2007-09-14 朝日新聞 朝刊 2経済 )


13歳のハローワーク 編集部の職業紹介「工芸官」
http://www.13hw.com/job/J000100115-a.html
>紙幣、切手、国債、収入印紙、国営公園の入場切符などのデザインを行う国家公務
>員。紙幣の場合、原画担当、原図担当、彫刻担当などの分業で作業が行われる。原
>画担当が図柄の原案を作り、原図担当が偽造防止のための技術などを使い、カラー
>の下図案を仕上げる。次に彫刻担当が全て手作業で印刷用の原版を作成する。お札
>は30数名、切手は数名の工芸官によってデザインされ、いずれも少数精鋭で専用の
>執務室で作業する。絵やデザインの知識や企画力、手先の器用さが求められる仕事
>だ。定期的な募集はなく、欠員が出たときにのみ美術大学などに募集があるのが実
>情である。



そして、唐沢俊一が、「原版製作に必要な彫刻技術ひととおりをマスターするには、
15~20年かかる」としているのは多分、上の朝日の記事でいう「針研ぎ3年、描き8年、
美蘭(びらん)咲く(ビュランという特殊な彫刻刀で美しいランの花を彫れるようになる)のは
18年」の「18年」からきていると思われるが、「必要な彫刻技術ひととおりをマスター」と
いうのならば、下でいう「ビュラン研ぎ3年、描き8年」までの 10 年前後をとるのが適切
ではないかとも思う。原版製作の彫刻担当が全員、15 年を超える見習い修行期間を
経た者に限定されるとも考えにくいし。

http://www3.boj.or.jp/nagoya/kaisatsu/world.pdf
>ビュランはすぐに刃先が磨耗するため、常に刃先を研ぐ必要があり、工芸官の世界で
>は「ビュラン研ぎ3年、描き8年」といわれるそうです。



さらに、朝日の記事でいう「普段は印紙や証紙、国債などの製造で技術を磨き」はよい
として、唐沢俊一の書いている「普段は、〈略〉政府の刊行物などの絵柄も描いている」
については、かなり疑問あり。

確かに、独立行政法人国立印刷局では、「官報」をはじめ、「法律案、国の予算書など
の国会用製品を製造」しているとのことだが、工芸官がこの「絵柄も描いている」かどう
かは、また別かと。

http://job.mynavi.jp/11/pc/search/corp86079/outline.html
>◆情報製品製造部門
>国が発行する唯一の法令公布の機関紙・国の広報紙・国民の公告紙としての役割を
>果たしている「官報」の編集、印刷をはじめ、正確性・秘密性・迅速性が求められる法
>律案、国の予算書などの国会用製品を製造しています。


というか、「政府の刊行物などの絵柄」というのが、そもそもどういうものが想定されて
いるかも、よくわからない。小冊子に挿入されるイラストでも描かせるというのだろうか。
少なくとも、彫刻担当の出る幕はあまりなさそうだし、辞書の工芸官の説明に含まれて
はいないのが、「切手・収入印紙・国債」などとは異なる。

http://kotobank.jp/word/工芸官
>デジタル大辞泉の解説
〈略〉
>こうげい‐かん〔‐クワン〕【工芸官】 紙幣・切手・収入印紙・国債などの原画を描き、
>印刷原版を彫刻する技術者。独立行政法人国立印刷局に所属する国家公務員。


(さすがに、唐沢俊一とは違って、「独立行政法人国立印刷局に所属する国家公務員」
と正しく書いている。当然だけど)。


ついでに、13歳のハローワークでは、工芸官が切手のデザインもやっているかのように
書いているけど、これもちょっと疑問。今は、郵便事業株式会社の「切手デザイナー」が
切手の図柄を作成し、「候補の中から、郵便事業株式会社の社長が決定」するそうだ。

http://www.npb.go.jp/ja/museum/kitte.html
>切手の図柄
>郵便事業株式会社(2007年10月1日~)の切手デザイナーが作成しています。十分
>に考証された複数の候補の中から、郵便事業株式会社の社長が決定します。




その他参考 URL:
- http://www3.boj.or.jp/nagoya/kaisatsu/world.pdf
- http://www.npb.go.jp/ja/security/link/documents/sosiki11.pdf

追記: 「郵券類(切手、ハガキなど)、」を抜かしていたので追加。


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Comment

●たぶん本当にトリビアの宝庫

>猫遊軒猫八さん
>国内外の稀少なコイン・紙幣・切手・勲章の常設展示

あ、「紙幣・切手」も展示されているのですか。まとめて見れるというのは、うれしいかも。

脱線 (?) ついでに↓

http://www.mint.go.jp/event/event_091016.html
>造幣東京フェア2009の開催について(2009年10月16日)
〈略〉
>(2) ハンマープレス体験コーナー
>【中世ヨーロッパのコイン作りを体験してみよう】

http://www.mint.go.jp/plant/special/090807.html
> ハンマープレスは、模様をつけるはんこ(金型)を使用し、丸い金属を
>はさみ、上からハンマーで叩くことにより金属に模様をつけるもので、
>中世ヨーロッパではこの方法で貨幣の製造が行われていたとされて
>おり、造幣局における貨幣製造のルーツでもあります。


あと、紙幣にしろ貨幣にしろ、偽造防止関係も興味深いと思っています。ホログラムとか、500円玉の縁の斜めのギザギザとか。
トンデモない一行知識 |  2009年11月03日(火) 02:03 |  URL |  【コメント編集】

●造幣局見学記

 見学に行ったのは池袋のシャンシャイン60のすぐそばの工場でした。
 勲章の形にカットされた純銀を溝?を彫る作業をしていました、実に手慣れたモノでしたよ。他にもビデオの上映や国内外の稀少なコイン・紙幣・切手・勲章の常設展示や小銭が詰った袋を持たせてもらえる体験コーナーなどもありトリビアの宝庫です。ちゃんと取材すればそれこそ本が一冊書けますよ。
 工芸官となると難しいですが、技官や検査は一般求人があるみたいですよ。

 脱線気味で申し訳ありません。
猫遊軒猫八 |  2009年11月02日(月) 16:22 |  URL |  【コメント編集】

>猫遊軒猫八さん
をを、「造幣局」というのも、いろいろ面白そうですね。これも平成 15 年からは独立行政法人、と。

http://www.mint.go.jp/guide/mint-history.html

見学なさったのは、東京支局の工場見学で、

http://www.mint.go.jp/plant/visit_tokyo.html

勲章をつくる過程というのは、こういう感じ↓だったのでしょうか。

http://www.mint.go.jp/operations/order/process01.html
http://www.mint.go.jp/operations/order/process02.html

>紙幣のほうも世代交代が進んでいると聞いたので似たりよったり
>じゃないのかと。

>二十代の技官が勲章を手慣れた手つきで

なるほど、後継者不足で悩むことはあまりないという感じでしょうか。頼もしいことです。

ただ、生活は安定してよさそうな分、採用されるのは大変、結構狭き門じゃないかなと勝手に想像したり。
トンデモない一行知識 |  2009年11月01日(日) 23:43 |  URL |  【コメント編集】

●実際に聞きました。

 昔、池袋の造幣局に見学に行ったとき案内の方に聞いたところ工業高校卒の技官もおられるそうです。ただ、池袋は勲章とコインが主なので紙幣の方はわかりません……ただ紙幣のほうも世代交代が進んでいると聞いたので似たりよったりじゃないのかと。
 驚いたのは二十代の技官が勲章を手慣れた手つきで作っていたことです。
 仕上げは熟練工がやるかも知れませんが、若い技官も大勢おられるそうですよ。
猫遊軒猫八 |  2009年11月01日(日) 19:43 |  URL |  【コメント編集】

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