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2009.10.07 (Wed)

庭には 2 羽、鶏がいたのでニヤニヤとする

『怪体新書』 P,67

彼はとある厳冬のさなか馬車の中から眺めた降り積もる雪景色を見ている
うちこの雪で肉や野菜の腐敗を防止できるのではないかと考えた
「冷凍保存の元祖である」
彼はさっそく馬車を降り、近くの農家から買ったニワトリの腹を裂き、雪を
詰めこんだ
「厳冬のさなかのこの作業のせいで彼はカゼをひき、それがモトで死んだ
という」


あちらのエントリーのコメント欄に書いてから気にかかっていた、『倫敦千夜一夜』にも、
『アシモフの雑学コレクション』にも、書かれていない事柄について。

『アシモフの雑学コレクション』 P.309 ~ P.310
>エリザベス女王時代の、科学に理解のあった哲学者、フランシス・ベーコンは、食料の
>保存法を研究した。鶏肉は、なかに雪を詰めたらいいと、試みているうちにかぜをひ
>き、それがもとで死んだ。


『倫敦千夜一夜』 P.172 ~ P.174
>エリザベス朝の哲学者フランシス・ベーコン卿はその昔にこの地に建っていた教会で
>洗礼を受けた。その六十五年後のある朝、彼は馬車でハイゲイトを走りながら、死後
>どうやって肉体を保存するかという課題を考えて続けていた。その時、ポンド・スクウェ
>アで鶏が眼にとまった。彼は馬車から降りてその首をひねり、死体に雪を詰めた。実
>験は成功したが、おかげでベーコンはひどい風邪をひき、翌月に死んでしまった。


唐沢俊一が繰り返し書いている「厳冬のさなか」というのが、まず微妙。ベーコンが鶏に
雪を詰める実験をしたのは 1626 年 3 月のことだといわれている [1][4]。そして、それで
風邪をひいてしまったベーコンが、数週間後 [1] の「1626年4月9日」に亡くなった [2] と
いう話なのだ。雪が積もっていたくらいだから、とても寒かったのは確かとして、3 月を
「冬のさなか」といってよいかどうか。

また、唐沢俊一は「降り積もる雪景色」と書いていて、唐沢なをきも背景に雪が降って
いる絵を描いているのだけれど、雪が降っている最中に、ベーコンは野外で鶏に雪を
詰めていたとする資料は見つからなかった。『怪体新書』の絵のベーコンは傘もさして
いないけど、さすがに馬車に同乗していた者か御者が、とめるんじゃないかなあ、もし
雪が降っていたのなら。

そして、気になるのが、唐沢俊一のいう「肉や野菜の腐敗を防止」の「野菜」の部分。
他の資料にも "frozen food" [1][3] とか ”freezing could help to preserve food” とか
あるので、『アシモフの雑学コレクション』のように「食料の保存法を研究」と書いてある
ならわかるけど、なぜ「肉や魚」や「肉や果物」ではなく、あえて「肉や野菜」なのかと。

肉や魚だったら、『倫敦千夜一夜』でいう「死後どうやって肉体を保存」も、まあ言い方を
少し変えただけと思える (←乱暴?) が、主な対象に「野菜」があげられるとなると、今度
は『倫敦千夜一夜』の記述が怪しくなる。

ただ、捜した限りでは、ベーコンの雪詰め実験について、特に野菜と関連づけたような
資料は見つからなかった。

それと、「近くの農家から買ったニワトリの腹を裂き、雪を詰めこんだ」の、「近くの農家
から」と「ニワトリの腹を裂き」は、唐沢俊一独自の記述っぽい……まあ、同じようなこと
の書かれた信頼性のある資料が見つかるまでは、信用しないでいるのが無難ではない
かと。

"bought a hen" [1] 、"bought a chicken" [4] としている資料があるので、「買った」 と
いうのはよいとして、それが「農家から」かどうかはわからない。「ニワトリの腹を裂き」
は、最初はもっともらしいと思ったけど、"dressed it" [1] が示唆するように料理の下ごし
らえと似た手順をふんだとすれば、鳥の丸焼きをつくるときと同様に、お尻から詰めて
いったという可能性が高いと思う [5][6]。

[1] - http://www.americanheritage.com/articles/magazine/it/1994/4/1994_4_46.shtml
> IN MARCH 1626 SIR FRANCIS Bacon tried to invent frozen food. The great
> British philosopher and essayist bought a hen, dressed it, and stuffed it with snow.
> The only thing he accomplished, though, was his own death. The sixty-five-year-
> old Bacon caught a chill during the experiment, came down with bronchitis, and
> died a few weeks later.


[2] - http://ja.wikipedia.org/wiki/フランシス・ベーコン_(哲学者)
>フランシス・ベーコン(Francis Bacon, Baron Verulam and Viscount St. Albans、1561
>年1月22日 - 1626年4月9日)はイングランド近世(ルネサンス期)のキリスト教神学
>者、哲学者、法律家である。
〈略〉
>隠退生活の中、鶏に雪を詰め込んで冷凍の実験を行った際に悪寒にかかり、それが
>もとで亡くなった。
[3] - http://www.findagrave.com/cgi-bin/fg.cgi?page=gr&GRid=21647
> Died after catching bronchitis when stuffing a chicken with snow to see whether
> it would be preserved, thus anticipating frozen food.


[4] - http://www.nybooks.com/articles/20241
> Francis Bacon did at least one, and it killed him. On a wintry day in March 1626,
> while traveling from London to his home in St. Albans, in an attempt to find out
> whether freezing could help to preserve food, he stopped his carriage, bought a
> chicken, and stuffed it full of snow. The result of his exertions in the cold and
> damp was not the early invention of the frozen TV dinner but his rapid demise
> from pneumonia.


[5] - http://allabout.co.jp/gourmet/homemade/closeup/CU20011112B/
>3/ たれに漬け込んでおいた鳥を取りだし、おしりからお腹に、先ほど炒めたご飯を
>詰めていきます。スプーンできっちりつめてください。

[6] - http://www.plaisirdelatable.jp/cooking/roast-chicken.html
>1. Bの詰め物を、トリのお尻から中に詰めます。(写真2)

おまけ
http://www.doihamu.com/berkon.html
>ベーコンとの呼び名は、16世紀の末にスペインの無敵艦隊を破ったイギリスで、世界
>に進出する膨大な数の船舶用食料品として塩漬け豚肉の燻製品を、著名な政治家で
>あり哲学者でもあった随筆家のフランシス・ベーコンが大量に作らせたことに由来する
>とも言われています。


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テーマ : 感想 - ジャンル : 本・雑誌

03:26  |  その他の雑学本 間違い探し編 (324) +  |  TB(0)  |  CM(5)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

>知泉さん
はじめまして。(_ _) ブログを楽しみに拝見させていただいています。
# ちょっと、アガっています。

>アルフレッド=ドッド著「フランシス=ベーコンの伝記秘話」

ご紹介ありがとうございます。(_ _) をを、「近くの農家から」と書いてありますね。後述の件ともども、本文の追記・変更も検討しようかと。

……で、なるほどと思って「Francis Bacon Alferd Dodd」でググったら、英語版の Wikipedia のチェックをスルーしてしまっていたという大ポカに気がつきました……。

http://en.wikipedia.org/wiki/Francis_Bacon
> Aubrey's vivid account, which portrays Bacon as a martyr to
> experimental scientific method, has him journeying to Highgate
> through the snow with the King's physician when he is suddenly
> inspired by the possibility of using the snow to preserve meat.
> "They were resolved they would try the experiment presently.
> They alighted out of the coach and went into a poor woman's
> house at the bottom of Highgate hill, and bought a fowl, and made
> the woman exenterate it". After stuffing the fowl with snow, he
> happened to contract a fatal case of pneumonia. Some people,
> including Aubrey, consider these two contiguous, possibly
> coincidental events as related and causative of his death:
>"The Snow so chilled him that he immediately fell so extremely
> ill, that he could not return to his Lodging ... but went to the Earle
> of Arundel's house at Highgate, where they put him into ... a damp
> bed that had not been layn-in ... which gave him such a cold that
> in 2 or 3 days as I remember Mr Hobbes told me, he died of Suffocation."

これだと "preserve meat" となっているので、「野菜」はやっぱりガセっぽいと思います。

また、ベーコンの入った家の "a poor woman" が内臓を取り出した (exenterate) ということで、「ニワトリの腹を裂き」というより、鳥の丸焼きを作るときの詰め物をするときに使うのと同じくお尻の穴を広げて、内臓を取り出したのではないかと想像します。

参考: http://www.mr-cook.net/meat/roast-chickin.php

それと、内臓をとってもらってから、"After stuffing the fowl with snow" の間に、外に出てうんぬんとも書いていないし、雪が降る中を屋外で、傘も雪よけのコートもなしで、雪を詰めたりしたのかなあとも思います。しかし、"The Snow so chilled him" を読むと、やはり外の作業だったのかとも思えますし……。

それにしても、紹介していただいた本にある、「夏の別荘」と「暖房が不十分」というのはムゴい話というか、寒さが身にしみてくるような感じがしました。^_^; 雪を詰める作業のときは寒さもあまり感じないくらいに夢中になっていたのかなと思いますが、それがすんだ後も、ずっと寒いまま……。
トンデモない一行知識 |  2009年10月08日(木) 01:23 |  URL |  【コメント編集】

>通りすがりさん
>新さん

どうもです。(_ _) 本文にも「微妙」と書いたのですが、本当に微妙な話かなと思っています。
[4] の "On a wintry day in March 1626, " の "wintry" も、「冬(特有)の」か、「冬のような」か、どちらにもとれるかなと思いますし。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=wintry&stype=1&dtype=1
win・try[ wntri ]
>[形](-tri・er, -tri・est)
>1 冬(特有)の;冬のような.
>2 〈表情・態度などが〉冷たい, よそよそしい, 寒々とした.

ただ、3 月 (たぶん中旬) だとやはり、唐沢俊一のいう「厳冬のさなか」の「さなか」に違和感が……。冬にいれるとしても、その冬もそろそろ終わろうとしているとかいう頃であり、「さなか (最中)」じゃないんじゃないかなあ、と。ただ、北海道あたりだと、春本番という感じになるのは 4 月後半や 5 月くらいから――という話を聞いたこともあるので、その感覚だと、「冬のさなか」のさす範囲もまた変わってくるかもしれません。

http://sa-osakana.com/hpgen/HPB/entries/11.html
>「いや~暖かくなってきましたね~」
>あなたのお住まいの所はいかがですか?
>「もう春はとっくに来てますよ~もう暑いぐらい・・・」
>とか
>「もう少しで春が来そうです」など、いろいろあると思います。
>そう考えるとなかなか日本も広いのかなと思います。
>ここ、札幌も陽のひかりが強くなってポカポカしてきました。
>庭のクロッカスも咲きました。
〈略〉
>2009-04-20 14:13

んで、話はそれるのですが、氷河期について。

http://ja.wikipedia.org/wiki/小氷期
>小氷期(しょうひょうき、英:Little Ice Age, LIA)とはほぼ14世紀半ば
>から19世紀半ばにかけて続いた寒冷な期間のことである。小氷河時代
>ともいう。

小さい頃読んだ雑学本か何かに、実は今の地球は小氷河期のうちで――とか何とか書いてあった覚えがあります。学者さんによっては、小氷河期はまだ終わっていないと主張している人がいるという感じだったか。

さらに、未来予測として、ずっと昔に戻った感じで暖かくなるとするものあり、いや氷河期に突入して寒くなるとか核の冬が到来とかいうものもあり、子ども心に、だから暑くなって困るのか寒くて困るのか、どっちだよと思っていたような……。
トンデモない一行知識 |  2009年10月07日(水) 23:58 |  URL |  【コメント編集】

いつも「他人事じゃないよなぁ」と氏の行動を反面教師として読まさせていただいてます。

角川書店より出ている『世界人物逸話大事典(平成八年二月二十三日発行)』のベーコンの項では、アルフレッド=ドッド著「フランシス=ベーコンの伝記秘話」を紹介しています。

一六二六年三月の末、ベーコンは医者ジョン=ウェダーバーンと馬車でロンドンの北にあるハイゲートに向かっていた。その日は珍しく大雪が降っていた。ベーコンは、冷凍も塩と同様に腐敗を防止するのではないかと思い、実験してみたくなった。馬車を止めて、近くの農家から一羽の鶏を買い、内臓を取り除いて代わりに雪を詰めているうち、急に寒気がしてきた。帰れなくなったので、ハイゲートの岡にあったアランドル伯の夏の別荘に身を寄せたが、暖房が不十分なために肺炎を併発し、四月九日早朝、息を引き取った。六十五歳の生涯であった。

この文章の中では、大雪が降っていて、おそらく雪景色です。
そして鶏の購入と腹を割くことも書かれています。が「肉や野菜」はオマケっぽいですね。
が、これを見る限りでは唐沢の文章はあまり問題無いような気がします。
知泉 |  2009年10月07日(水) 23:21 |  URL |  【コメント編集】

●小氷期の時代なので

1625年だとヨーロッパは小氷期の時代なので今よりもっと寒かったと考えられているようです。なので3月ぐらいまでは冬と呼んでもよいのかもしれません。当時はいつからいつまでが冬として考えられていたのでしょうかね。


小氷期時代
http://wiredvision.jp/news/200902/2009021221.html
新 |  2009年10月07日(水) 21:18 |  URL |  【コメント編集】

ロンドンは北海道より北です。
年間の平均気温が10度を下回るので4月上旬では雪が残っているのでは?

参考までに。
http://allabout.co.jp/travel/travelengland/closeup/CU20050306B/index.htm
通りすがり |  2009年10月07日(水) 20:34 |  URL |  【コメント編集】

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