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2009.08.26 (Wed)

ブラウンは見えない代わりに勃起不全が見える?

http://www.aspect.co.jp/hakase/03.html

唐沢 〈略〉ただ若返りの薬としては、胎盤以上に睾丸がポピュラーだった
時代もあるんですよ。19世紀のフランスでの話なんですが、犬の睾丸を
とってすりつぶして自分に注射した学者がいまして。

博士 睾丸そのものを…ですか!?

唐沢 そうです。そしたらなんと、自分の勃起不全が治ったらしいんですよ。
セカールという人で、これでテストステロン(男性ホルモン)の発見につな
がったんだけど、今にして思えばあまりに乱暴(笑)。その出来事をきっかけ
にして睾丸療法が一気に広まり、一時期、羊や犬の睾丸のエキスを注射
したり、あるいは直接体に埋め込んだりすることが大流行したんです。


×セカールという人 ○ブラウン・セカール (Brown-Sequard) という人
×勃起不全が治ったらしい ○元気になった感じがすると主張した
×テストステロン(男性ホルモン)の発見 ○ホルモンの発見

唐沢俊一と「テストステロン」や「注射」の組み合わせとなると、余計な先入観をもって
物事をみるのはよくないと思いつつ、何か眉唾だなと思ってしまうわけだが……。

関連ガセビア:
テストステロンをテストする検査
カン違いじゃない「恋愛による興奮」ってのも難しいかも
青酸カリを注射すると死ぬ
注射針の使い回しだけはやめた方が
潮健児のマントの陰に隠れるわけにもいかないヒロポンのネタ

しかし、「テストステロン セカール」でググると、「ブラウン・セカール症候群」ばかりが
引っかかる。このセカール (Charles Edouard Brown-Sequard) は 19 世紀のフランスの
生理学者ではあるが、この人の名前のついているブラウン・セカール症候群は「脊髄を
半側切断すると、対側の痛覚が消失すること」であり、テストステロンの話ではない模様。

http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/anat-tract.html
>○ブラウン・セカール症候群 Brown-Sequard Syndrome--《脊髄半側傷害症候群、
>脊髄性片麻痺》
>1858年 Charles Edouard Brown-Sequard(P 1817~1894、モーリタニア生まれ、
>フランスの生理学者、神経学者)が、脊髄を半側切断すると、対側の痛覚が消失する
>ことを、動物実験で発見した。


「テストステロン」単体で検索してみても、発見者についてとかの情報はみつからないし、
「犬の睾丸をとってすりつぶして自分に注射」とかに似たエピソードは見つからない。
「19世紀のフランス テストステロン」でググってみると、育毛剤としてのノコギリヤシに
ついてのがページがヒットしたりするし……。

しかし、ブラウン・セカールに戻ると、彼は「内分泌系の研究をして」とのことだったので、
試しに「Brown-Sequard dog」で試したら、『The history of clinical endocrinology』と
いう本の P.164 から P.165 にかけて、彼が犬の睾丸をその血と精液および水といっしょ
にすりつぶし、パスツールフィルターを通した抽出液を自分自身に注射するという実験を
していたとの記述があった。1889 年 5 月 15 日から 30 日にかけてのことである。

ただし、唐沢俊一のいう「勃起不全が治った」という記述は見あたらないようで、力、
元気、精神活動の向上、ぼうこうと腸の収縮性の増強を感じたとのみ書いてあるよう
だけど。実験前にブラウン・セカールが勃起不全だったかどうかも不明。

(というか、「雨上がりの夜空に」の件といい、どうしてそんなに「勃起不全」が好きな
のか……)。

http://jp.encarta.msn.com/text_761567832___19/content.html
>フランス系アメリカ人のブラウン・セカールは、内分泌系の研究をして、内分泌学に
>対する関心を高めた。


http://books.google.com/books?ei=C2WUSuTnIZrq7APp54X7AQ&ct=result&hl=ja&as_brr=3&id=zRxQImynEsoC&dq=Brown-Sequard+dog&ots=w2uSXk9G4Z&q=Brown-Sequard+dog#v=snippet&q=Brown-Sequard%20dog&f=false
> Interestingly enough, Brown-Sequard said about his auto-injections with
> testicular fluid-extract: "I have made this experiment with the conviction that I
> would obtain with it a notable augmentation of the powers of action of the
> nervous centres and especially those of the spinal cord". He also believed,
> therefore, that there was a specific action on the nervous centres. He himself
> felt that after receiving eight injections between 15 and 30 May 1889, his
> strength, vigour and mental activity improved and that there was increased
> contractility of the bladder and of the intestine, an added proof that "la pussance
> dynamogenique" was in the spinal cord itself1. The extract was prepared as
> follows: each dog-testicle, with its blood and sperm, was crushed in 2.3 cm3 of
> water, then filtered through a Pasteur filter. About 1.0cm3 of water, then filtered
> through a Pasteur filter. About 1.0 cm3 of extract (equal to 1/4 to 1/5 of
> testicle) was injected subcutaneously.


で、ブラウン・セカール (Charles Edouard Brown-Sequard) を「セカールという人」と
呼んでいるのは、単なる唐沢俊一の間違いということでよいだろう。「戸籍上の名は
Charles Edouard Brown」とのことなので、「ブラウンという人」ならありかもしれない
けど、Brown-Sequard の部分を「ブラウン」のみ、または、「セカール」のみで呼ぶ
習慣はないみたい。

http://homepage3.nifty.com/sinkei/history1.htm
> この問題に踏み込んだのが、ブラウン・セカール(Charles Edouard Brown-Sequard,
>1817-1894)です。
> 彼はなぜこんな名前なのかというと、父親はアイルランド系アメリカ人の船乗りで
>Edward Brown、母親はアフリカ東岸のモーリシャス島に住んでいたフランス人で
>Charlotte Perrine Henriette Sequardという名でした。
> 2人がモーリシャスで出会い、Sequardが妊娠し、どんな事情か父親Brownは子供が
>生まれる前にモーリシャスを去り、悲しい事にその船が沈んで死んでしまったそうです。
> 生まれた子の戸籍上の名はCharles Edouard Brownなのですが、彼のパリ在学中
>の1843年に母が死ぬと、その思い出のために -Sequard を自分でつけて名のりました。
〈略〉
> また1889年に、72歳の彼はイヌの睾丸の抽出物を自分に注射して若返ったぞと
>発表し世間を驚かせました(Compt Rend Soc Biol)。
>  これは結局、老学者の勇み足だったのでしょうが、一概に迷信とも言えません。
>  その2年後の1891年にはマレー(George Redmayne Murray, 生没年不詳)が羊の
>甲状腺抽出液の皮下注で粘液水腫の治療に成功し(Br Med J)、 1893年にはOliver
>とSchaferが副腎抽出物に昇圧作用を発見するのです。 (初めて純物質として単離さ
>れたホルモンはアドレナリンで、1901年の話です。)


そして、確かにブラウン・セカールの実験はホルモンの作用の発見および「純物質として
単離」に貢献したとはいえるだろうけど、唐沢俊一のいう「テストステロン(男性ホルモン)
の発見」という言い方はちょっと変。ステロイド系のホルモンとかアドレナリンとかを無視
して、テストステロンに限定する理由はないと思うが。

それと、唐沢俊一のいう「羊や犬の睾丸のエキスを注射したり、〈略〉が大流行」の
「羊」とは、「マレー(George Redmayne Murray, 生没年不詳)が羊の甲状腺抽出液の
皮下注で粘液水腫の治療に成功」という話が混じったのだろうか、もしかして。


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