2011.03.31 (Thu)
似ているようで違う ―― 贅沢は敵だと贅肉は敵だ
http://megalodon.jp/2011-0329-2244-18/www.tobunken.com/news/news20110329203029.htmlイベント
2011年3月29日投稿
花見をしよう、お祭りをしよう
〈略〉
その一方で、石原都知事は花見の自粛を言い出しています。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011032900919
そして、 「(太平洋)戦争の時はみんな自分を抑え、こらえた。戦には
敗れたが、あの時の日本人の連帯感は美しい」
と、案の定戦争中の話を持ちだしました。
〈略〉
彼らは連帯感と使命感をもって自分を抑え、戦争による生活の
自粛に耐えていたのではありません。命と生活の危機のぎりぎりの
中で、神懸かりとなって国民に耐乏を強いる人々のヒステリック
な糾弾を避けるために、ひっそりと口を閉ざしていただけなのです。
「ぜいたくは敵だ」
という標語に秘かに一字を描き加え、
「ぜいたくは素敵だ」
としたのも日本国民でした。
〈略〉
私は日本を愛します。被災者の皆さんの一刻も早い日常への
復帰を願います。だからこそ、今後もイベントをプロデュース
し続け、娯楽読みものを書き続け、花見を、お祭りを率先して
行おうと決意したことでありました。
都知事(今現在。時期もまた?)が何とおっしゃろうとも。
×時期 ○次期
唐沢俊一は、「花見を、お祭りを率先して行おうと決意したことでありました」に、「都知事
〈略〉が何とおっしゃろうとも」と大見得をきって (?) 文章を締めくくろうとしているみたいなん
だけど、「都知事(今現在。時期もまた?)」が何だか意味不明なんで、今ひとつしまらない
感じ。
一瞬マジで意味がわからなかったのだが、これはやはり、「次期」と書きたかったんだろう。
認めたくはないけれど、次期も石原都知事という可能性はあるからなあ…… (泣)。
そして、「標語に秘かに一字を描き加え、『ぜいたくは素敵だ』としたのも日本国民」につい
ては、2ちゃんねるのスレで (Read More 参照)、これは雑誌『ブルータス』のキャッチコピー
だろう、糸井重里だ、いや「贅沢は素敵だ」という「標語パロディは『ブルータス』創刊前から
あった」、「『暮しの手帖』の花森安治が作ったという説が 1980年より前にすでにあった」
とか議論になっていた。
http://www.zassi.net/navigator_issue_list.php?id=25&issue=29115&banner=11&p=14
>【features】ブルータス30周年企画 ポップカルチャーの教科書
>かつて「贅沢は素敵だ!」という、文字通り、素敵な名キャッチコピーを生んだ『ブルータ
>ス』も創刊30周年です。
http://www.midori-kikaku.com/blog/?p=1110
>さて話は少々古くなるが、かつて「贅沢は素敵だ」というキャッチコピーで華々しい脚光を
>浴びていたのが、コピーライターの糸井重里さんである。いわずもがなの解説になるが、
>戦時中にはお上から強制された「贅沢は敵だ」をもじっている。一言「素」の文字が入っ
>ただけで意味合いは逆転する
http://www.kanshin.com/keyword/634169
>『暮らしの手帖』のイメージが強い花森安治ですが、戦時中は軍の国策広報活動にも
>参加していたらしく、「欲しがりません、勝つまでは」「贅沢は敵だ」といった有名なプロパ
>ガンダのコピーワークは彼によるものだそうです。
〈略〉
>2005/01/10 雲衣。 戦争中、花森安治が大政翼賛会宣伝部にいたのは事実ですが、
>「欲しがりません勝つまでは」とか「贅沢は敵だ」の作者であったというのは事実では
>無いようです。昔からそのような噂はありましたが、ネット上では例えばウィキペディア
>(Wikipedia)等ももっともらしい嘘を流すので問題があります。『贅沢は素敵だ』に関して
>“BRUTUS”でそのタイトルの特集を組もうと言い出したのはテラさんこと寺崎央さんで
>す。「贅沢は(す)敵だ」は戦時中からポスターに落書きされていたと、、、。
で、個人的には、間違っていたらゴメンだけど、「『贅沢は(す)敵だ』は戦時中からポスター
に落書きされていた」というのは、「都市伝説じゃないか」に一票。
ええと、何でそう思っているかというと、まず以下のようなことが書いてあるページを見つけ
たのが最初で。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/yasuaki/misc/cult/cult37.htm
>ウェブで検索したところ、戦時中に作られたという直接の証拠は見つからなかったが、
>間接的な証拠として、朝日新聞社「RONZA」1996年5月号20-25ページの論文中に
> 日本で戦時中に『贅沢は敵だ』というスローガンを『贅沢は素敵だ』
> と書き換えたひそみに何と似ていることかという文章が出現することを見つけた。
>糸井重里氏は1948年生まれだそうだから、 上記のパロディを独立に製作したことは
>あるかも知れないが、 戦時中に最初に作ったことはあり得ない。
なるほど、「戦時中に『贅沢は敵だ』というスローガンを『贅沢は素敵だ』と書き換えた
ひそみ」というのがあるのだなと思ったのだが、同じページには以下のようなことも書かれ
ていて。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/yasuaki/misc/cult/cult37.htm
>山中恒・典子著「間違いだらけの少年H」 (1999, 勁草書房) で知ったが、 「贅沢は敵
>だ」は実際には「贅沢品は敵だ」である。小説「少年H」の中に「ぜいたくは敵だ」の看板
>が町にあふれたという記述があるが、 山中恒・典子は時間関係や記述の正確性に疑問
>を投げている。
上の引用で山中恒・典子の主張していることが本当だとしたら、唐沢俊一のいう「ぜいたく
は敵だ」に「ぜいたくは素敵だ」という組み合わせはなしで、あるとしたら「贅沢品は敵だ」
に「贅沢品は素敵だ」ということにならないかと思った。
「贅沢品は素敵だ」で探してみると、そう書かれた立看板が「東京市内」に配置されたと
いう話も出てくる。
http://www.eonet.ne.jp/~chushingura/p_nihonsi/episodo/251_300/254_01.htm
>8月1日、●国民精神総動員本部は、東京市内に「贅沢品は敵だ!」の立看板1500
>本を配置しました。そして、このスロ-ガンの下に生活の切りつめを強要し、国民服・
>もんぺを奨励しました。
『少年H』と同様、ポスターではなく立看板かと思いつつ、どちらにしても「贅沢は敵だ」で
探したら当時の写真がヒットしないかと画像検索してみたら、いくつかヒットした。
パターンその 1 としては、「日本人なら、ぜいたくは出来ない筈だ!」と書かれた立看板。
http://blogs.yahoo.co.jp/siran13tb/51155473.html
>戦中派の記録(27)「ぜいたくは敵だ」
〈略〉
> ついで、7月7日には「奢侈品等製造販売制限規則」が施行され、このため金糸銀糸
>の入った伊勢崎銘仙などは売れなくなってしまった。そこでメーカーでは学生たちを動員
>して、一度出来上がった製品から金糸銀糸を抜き取る作業に忙殺されねばならなかった。
> また、この「ぜいたく品禁止令」に基づいて、銀座通りをはじめとし、人通りの多い繁華
>街に、計1500本の立て看板が立てられた。それには次のように大書してあった。
> 「日本人なら、ぜいたくは出来ない筈だ!」
http://kurikara1183.iza.ne.jp/blog/entry/1389769/
>↑軍需優先のため、節約を呼びかける立看板があちこちで見られるようになった。
(画像: http://www.iza.ne.jp/images/user/20091228/727070.jpg)
パターンその 2 としては、「贅澤は敵だ」と書かれたプラカード。何かちょっと怖い。
http://heiwa.yomitan.jp/4/3357.html
>贅澤は敵だ 西淀川區 モンペ部隊
そしてパターンその 3 として、「ぜいたくは敵だ!」の立看板。
http://www.asahi-net.or.jp/~uu3s-situ/00/50nen.Mokuzi-2.html
>ぜいたくはス敵だ!
> ぜいたくは敵だ ------との、当時の戦時スローガンを「ぜいたくはステキだ」と書き
>直した反歌?が出回ったとか戦後になって知りましたが、私のまわりでは お目にかかっ
>た覚えはありませんんでしたね。 然し、有り得て不思議でも なかったでしょう。
(画像: http://www.asahi-net.or.jp/~uu3s-situ/PageMill_Resources/image940.gif)
http://ohoshisama.info/syowakarano/06syouwaD/06history/historyS15.htm
>写真15-2は、伯父の写真と一緒に出てきた当時の絵葉書ですが、まさにぜいたく監視
>隊が《ぜいたくは敵だ!》の看板を掲げている図です。
(画像: http://ohoshisama.info/syowakarano/06syouwaD/06history/Dh1502zeitaku.jpg)
で、まあ、「ぜいたくは敵だ!」の立看板が実在したことがわかったのはよいのだけれど、
「ぜいたくは敵だ!」→「ぜいたくは素敵だ!」に書き換えられたという話に出てくるのは
なぜかポスターか貼り紙が多いようで、こちらの方はうまく見つけられなかった。
http://ameblo.jp/tammy91031204/entry-10043700537.html
>帰宅後、我が家唯一の戦争体験者である母ユミコに、私もインタビューをしてみました。
>当時日本では「贅沢は敵だ」というスローガンが掲げられていたことは余りにも有名です
>が、ある時、街に貼られたポスターを見ると小さく「素」の文字が書き加えられていて、
>「なるほど上手いことを言うな」と子供心に思ったそうです。そのポスターを想像して私も
>思わず笑ってしまいましたが、当時こんな落書きをしたことが知れたら、その人は非国
>民として憲兵に連行されていたことでしょう。
http://plaza.rakuten.co.jp/gamzatti/diary/201103200000/
>街中に貼られた多くの「ぜいたくは敵だ」の貼り紙の一つに「素」と落書きし、「ぜいたく
>は“素”敵だ」とした人がいて、通りすがる人たちはみなニヤっと笑ったとか。
以下の動画に張り紙があるかとも思ったが、映っていたのは立看板で、「日本人なら
贅沢はできない筈だ!」と「ぜいたくは敵だ!」の両方の立看板があった。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q117857321
>ありましたよ。しかも動画!!
>最後の方に「日本人なら贅沢はできない筈だ!」の張り紙あり。
〈略〉
> http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/p-rek1/p-sho5/p-s39/p-204.mpg
まあ Web 上にすべてがあるわけではないというのは重々承知しているのだけど、立看板
ではないポスターや貼り紙が、街中に数多く貼られていたわけではないと考えてよいので
はないか。
「ぜいたくは敵だ!」の立看板の方だとしたら、「敵だ!」の部分が赤地に白と反転して
いて、しかも「は」と「敵」の間が狭いので、これに文字を書き加えるのは難しそうな気が
する。
それに、自分が「素」や「ス」の文字を書き加えたという証言や、うるさい人にバレて騒動
になったという話が見あたらないのも気になってくる。
ということで、リアルタイムで「ぜいたくは素敵だ!」を目撃した人は、いたとしてもごく少数
で (だから大騒ぎにならなくてすんだ)、後付けで話が広まっていったのではないかと想像
する。まあ想像でしかないけど。
なお、チャコちゃん発祥説 (?) というのもあったりする。
http://kurikara1183.iza.ne.jp/blog/entry/1389769/ (コメント欄)
>実は「贅沢は素敵だ!」というのはかつて国民的アイドルだった「チャコちゃん」(四方
>晴美さん主演)のシリーズ中での台詞なんです。
>
>「贅沢は敵だ!」って標語の意味を聞かれた両親が、チャコちゃんに「昔は、贅沢なんか
>できなかったんだよ」と説明したら、感動したチャコちゃん、家族中で贅沢を止めようと張
>り切りだして、一切の贅沢が出来なくなった。困った両親が「実は敵の前にもう一字有っ
>たんだよ。素敵だ、ってね」と言って、丸く収まったと言う話。年代がばれてしまいますね
>(笑)
その他参考 URL:
- http://blogs.yahoo.co.jp/takanari919/61991139.html
- http://clubt.jp/product/46782_1266334.html
- http://ichiba.nicovideo.jp/item/azB003FN6J04/
- http://www.jrt.co.jp/tv/ohayo/20C/25warlife/
- http://jerrylove.jugem.jp/?eid=1200