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2009.11.22 (Sun)

一般家庭向けのホームシアター機器を購入した方がよかったのでは

『奇人怪人偏愛記』 P.24 ~ P.25

「ナァおい、家庭用のテレビなんてもの、いくら画面が大きくたって知れた
もんだぜ。オレがいま改築工事している幼稚園に、古い大型テレビがあって
始末する場に困ってんだが、それ買わないか? 二十万に負けとくワ」
〈略〉
ほどなくわが家に運びこまれたその大画面テレビは居間の天井につっか
えるほどの高さがあり、婆さんが座るソファがある場所からその画面を見る
と、ほとんど首を垂直に上に向けないといけないくらいのものであった。
 しかも、その肝腎の大画面の映像というのが極めてボンヤリとした、ピント
の合わない、どうしようもない画質のものだった。これは、なにしろブラウン管
の映像をプロジェクターで投影したものだから仕方がない。赤、青、黄の三
原色ランプの光がにじんで、ちょっと小さいものだと、何が映っているのか
判断に苦しむ体の映像だった。
 おまけに構造上、下側の投影機から斜め上に画像を投影するため、いく
ぶん画面の上半分が大きく、下半分が小さくゆがむのである。親父は強情
をはって、「映画というのは映写機からスクリーンに投影するものだから、
これが一番正しい方法だ」
 と言い、ビデオで映画を見ていたが、この大画面テレビで見ると、クリント
・イーストウッドもジョン・ウェインもカトリーヌ・ドヌーブも、みんな顔の上半分
のみが大きい逆さラッキョウ型の顔になってしまう。


×赤、青、黄の三原色ランプの光 ○赤、青、緑の三原色ランプの光

光の三原色が「赤、青、黄」のはずはないということで。

そして、唐沢俊一は、この大画面テレビが「極めてボンヤリとした、ピントの合わない、
どうしようもない画質のもの」だったのは、「ブラウン管の映像をプロジェクターで投影した
ものだから仕方がない」とか書いているけど、プロジェクターに投影するタイプだから、
「どうしようもない画質」になるとはかぎらないと思うが……。実際、知り合いの家で見た
ことがあるけど、確かにややボンヤリしているな、部屋をよほど暗くしないと見るのは
キツいなとは思ったものの、唐沢俊一が書いているほどひどいものではなかった。

考えられる可能性としては:

1. 唐沢俊一の家にあったのは、よほど旧式のタイプだった
  (『奇人怪人偏愛記』の記述によると、2001 年に取り壊された家に、20 年のあいだ
  存在していたとのことだから、家にやってきたのは 1980 年の頃という計算)

2. その前は幼稚園で使用されていた中古のため、経年劣化がひどかった

3. 設置または画質調整のときに何か失敗していた

特に 3. の可能性は無視できない。唐沢俊一の書いていることから推測すると、この
テレビは、Wikipedia の「プロジェクタ」の項目でいう「CRTプロジェクタ」と呼ばれる種類
のもの (背面投射型、http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Projector02.png の下半分)
と思われるが、このタイプは調整がいろいろむずかしそうなのだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/プロジェクタ
>CRTプロジェクタは、CRTに表示された画像を、光学系を使って拡大し、投影するプロ
>ジェクタである。大まかな構造は図1のようになる。3つの、3原色のモノクロCRT上に
>画像を表示し、それを拡大レンズで拡大し、スクリーン上に投影する。
〈略〉
>また、大型のプロジェクタは、ブラウン管が地磁気の影響を受ける事から、設置する
>場所や方角が変わる度に各発光管の映像調整をする必要がある上に、価格的にも
>数十万円~数百万円(当然、明るい映像を投射できる物ほど高価である)という価格
>のため、一般家庭には殆ど普及せず、行楽施設や企業向けといった限られた用途に
>利用される程度である。特に三原色に分解された映像を、スクリーン上で一つの映像
>に修正しなくてはならないため、任意の位置にスクリーンを設置するタイプでは、三色
>別々に存在するレンズのズームとピントとをそれぞれ調整した上で、ブラウン管上に
>磁気の影響によって現れる映像の歪みを調整しなければ、きれいな映像を楽しむ事
>は出来ない。
>この形式の物は長時間投射しても耐えうるため、現在でもゲームセンターの80~100
>インチ程度の大画面ゲーム機や飛行機内などに多く採用されているが、多くのCRT
>プロジェクタでは、映像のメンテナンスを怠るケースが多く、画面の隅などの映像が
>ひどくぼやけたり色ズレを起こしている物もしばしば見受けられる。


しかし、唐沢俊一の脳内では、とにかく画面を投影するタイプのものはダメだということに
なってしまっているらしい。下記に引用する文章でも、とにかくトンデモ扱いなのだ。

『奇人怪人偏愛記』 P.26

 若い読者の中には、そんな機材があったということ自体を信じない人が
いるかもしれない。しかし、テレビの画面そのものをフラットにして大きくする
という技術が開発されたのはついこのあいだのことであり、それまでは、
かなりトンデモないアイデアの画面拡大化装置というのが考案され、商品化
されていたのだ。テレビ画面の前にレンズ(読書用のフラットレンズを大きく
したようなもの)を置いて大画面ふうにしようとか、壁にそのままテレビ画面
を投影して見ようとかいうアイデアの製品が広告されていた。たいてい謳い
文句に「これであなたの家はミニ・映画館!」などと書かれていたものだ。


しかし、ホームシアター用の機器としてのプロジェクターって、今でも普通に売られていた
りするのだけど。

http://joshinweb.jp/av/stepup3.html?ACK=TOKU
> プラズマテレビで大型といえば50V型超。一部で65V型の機種も200万円近い価格
>で発売されていますが、実は本当に巨大なのはプロジェクターの大画面。右の写真は
>合成ですが、一般的な120型ワイドのスクリーンと50V型プロジェクターの大きさを比
>べたもの。


http://joshinweb.jp/av/600.html
>トップページ > テレビ/レコーダー > ホームシアター機器 > プロジェクター本体

http://www.tokka.com/c/c0A302705/
>ホームシアター用プロジェクター

http://www.tokka.com/g/g4905524419917
>/VPL-VW200 / ビデオプロジェクター〈ブラビア〉
>「映画館」に迫る空間表現をご家庭で。ソニーのビデオプロジェクター


その他参考 URL (プロジェクターを選ぶポイント ):
- http://hp1215.blog21.fc2.com/blog-entry-210.html
- http://kakaku.com/magazine/035/p02.html

で、不思議なのは、自宅にホームシアターって人は、唐沢俊一の知り合いにはいないの
かってこと。その人の家で映画とか見せてもらえば、いくら何でも唐沢俊一の書いている
ようなひどいものばかりではないと、わかりそうなものだけど……。


追記 (コメント欄からコピペの「色」関係ガセビア):
ヨーロッパでは黄色は裏切り者の色
十種類どころか十六種類の色覚細胞
ウグイス色はウグイスの色
失礼だな! ブッシュ大統領のネクタイの色についての真っ赤な嘘
イスラム教の喪の色は白にしろと誰が言い出したかは不明



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