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2011.11.20 (Sun)

遺産を腕ずくで分捕った人もいます

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.153 欄外

・鳥獣戯画で有名な鳥羽僧正の遺言は、「遺産は腕ずくで取りあえ」。


×遺産は腕ずくで取りあえ ○遺産の処分は腕力によるべし

ここのコメント欄に引用したのがきっかけで、そういえば以前に少し調べたような……と
思い出したネタ。

元々は、一行知識掲示板に唐沢俊一自身が投稿したもの。出典は明記されていない。

http://web.archive.org/web/20030720034923/http://www.tobunken.com/oldlog/log0001.html
> 一行知識掲示板、早くも200代に到達しました。皆様のご協力に感謝
>いたします。
>  今さらではありますが、ニフでの一行知識ルール(あったのか)をご存
>じない方もいらっしゃると思うので、基本的注意。
> ・長くて3行まで。出来るだけ短くまとめましょう
> ・意外な視点、が一行知識の命
> ・俳句や短歌と同じく、推敲してから書き込みましょう
> ・あまり専門的なネタは避けましょう
> ・この掲示板を時候の挨拶、ただの感想の書き込みに用いるのは出来るだ
>けやめましょう(近々、意見交換用掲示板も設置の予定)

> 以上。
> ・『鳥獣戯画』で有名な鳥羽僧正の遺言。「遺産は腕づくで取りあえ」


Wikipedia には、以下のように記述されている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/鳥羽僧正
>保延6年(1140)9月15日、覚猷は90歳近い高齢で死去した。その際、弟子から遺産分
>与に関する遺言を求められ、「遺産の処分は腕力で決めるべし」と遺したと伝えられて
>いる。


じゃあ原文はどうなっているんだろうと思って探したら、「鳥羽僧正の秘画『勝画』の発見」
(高島経雄著) の P.168 に、以下のような記述がある。

http://books.google.com/books?id=0tFnwA5e5gEC&pg=PA165&dq=遺言#v=onepage&q=遺言&f=false
>『古事談』
> 覚猷僧正臨終時、可処分之由、弟子等勤之、再三之後、乞寄硯紙等書之。其状云。
>処分可依腕力云々。遂に入滅。


Amazon での「なか見! 検索」http://www.amazon.co.jp/gp/reader/4835500733/
「腕力」を探すと、P.167 に以下のようなことも書かれていた。

> 遺言というものは人がこの世に生をうけ、まさに死を迎えようとする時に遺った人々に
>与える言葉であり、おおむね厳粛なものであろうと思われる。
> 私は、彼がまさに死に臨む人間として「腕力によるべし」という、彼の驚くべき発想が
>何処から生れたか、遺言の意図がどこにあるかいろいろ考えてみたが結局結論を得る
>までには至らなかった。
> それは当然である。
> 恐らく、われわれの考えの及ばない規格外の人物だったのではないだろうか。
〈略〉
> 彼は死に臨んでも全く普段と同じように、ぷいっと隣へ出かけるような気持ちであった。
> むしろ、彼は彼の弟子たちがこの遺言書を見た時の彼らの驚きの表情を想像し、
>にんまりとほくそ笑んで亡くなったのではないだろうか。


その他参考 URL:
- http://www.yuugao.jp/jinpati/lastsong/tobasoujou.html
- http://www1.seaple.icc.ne.jp/kobuna/review/ninngennrinnjyuuzukann.html
- http://blog.goo.ne.jp/yousan02/e/f54b1f0e5d7346cf85a164239cad907b

まあ「遺産は腕ずくで取りあえ」というのも、意訳としてはアリじゃないかというご意見も
あるだろうけど、「取りあえ」と命令したことにしちゃうと、ニュアンスが違って来るんじゃ
ないかと思うので、間違い探し編の方に入れさせてもらおうかと。

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20:13  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

2010.10.08 (Fri)

シリコン川を渡る

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.70

 ちなみに、現在、バナナの皮と同じような効果をもたらす物質としては、
金属摩擦の軽減に使用されるシリコンオイルがある。ほんの一滴、床に
落としても、踏んだ人の足を伝播して三〇畳ほどの広さに広がり、抜群の
滑性で、人をスッテンコロリスッテンコロリと転ばせるそうだ。化学実験室
でよく見られる、ほのぼのした光景だそうである。


「化学実験室でよく見られる」って……火を使ったり劇薬を扱ったりすることもありそう
なのに、「スッテンコロリスッテンコロリ」なんて洒落にならないのではないか……という
のが気になって、ちょっと調べてみた。

なお、「シリコンオイル」でも間違いではないだろうけど、「シリコーンオイル」の表記の
方が、製造・販売する側のサイト等では多数派のようだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/シリコン
>ケイ素(シリコン から転送)
>シリコンは、この項目へ転送されています。ケイ素を構造に含む樹脂については「シリ
>コーン」をご覧ください

>ケイ素(珪素、硅素、けいそ、羅Silicium、英Silicon)は原子番号14の元素である。
>元素記号はSi。地球の主要な構成元素のひとつ。半導体部品は非常に重要な用途で
>ある。


http://ja.wikipedia.org/wiki/シリコーン
>シリコーン (silicone) とは、シロキサン結合による主骨格を持つ、人工高分子化合物
>の総称である。 語源は、ケトンの炭素原子をケイ素原子で置換した化合物を意味す
>る、シリコケトン(silicoketone)から。[1]
〈略〉
>シリコーンオイル:表面張力が小さく不燃性のオイルとして。分子量の違いなどにより
>幅広い粘度で製造される。


で、シリコーンオイルの表面張力は小さく、「物質表面で広がりやすい性質」であることは
確かとしても、小さい値といっても鉱油の三分の二程度。「抜群の滑性で」とかいうのは
少し苦しく、動摩擦係数はせいぜい流動パラフィンと同じくらいであり、すべりやすさでは
オリーブ油などにはかなわない。潤滑油としては普通以下の値といえるのではないか。

さらに、「シリコーンオイルは〈略〉鋼-鋼間の境界潤滑性が劣るため、潤滑油としての
用途は制約を受けます」とのことだから、唐沢俊一の書いている「金属摩擦の軽減に
使用される」も、ちょっとどうかなあと思った。温度変化に強い性質等を買われ、「金属
摩擦の軽減」に使用されることも少なくはないのだろうとは思うけど。

http://www.silicone.jp/j/products/type/oil/detail/about/index2.shtml
>表面張力
>シリコーンオイルの表面張力は、水や一般の合成油などに比べて非常に小さい値を
>示します。そのため、種々の物質表面で広がりやすい性質をもち、離型剤、消泡剤、
>化粧品原料などに応用されています。

>液体の種類 表面張力(dyne/cm)
>KF-96     20~21
>鉱油      29.7
>水        72
〈略〉
>離型性、非粘着性
>シリコーンオイルを物質表面に処理すると、多の物質が粘着するのを防ぐ働き、離型
>性が付与されます。耐熱性に優れ、型や成形材料を汚さないなどの性質も兼ね備え
>ているため、離型剤として幅広く使われています。

>潤滑性
>シリコーンオイルは、温度による粘度変化が小さい、耐熱・耐寒性に優れているなど、
>潤滑油として理想的な性質を持っていますが、鋼-鋼間の境界潤滑性が劣るため、
>潤滑油としての用途は制約を受けます。しかし、鋼-青銅、鋼-アルミニウム、鋼-
>亜鉛、木材-木材、また各種プラスチックの組み合わせなどでは良好な潤滑性を示し
>ます。


http://www.juntsu.co.jp/qa/qa1012.html
>シリコーンオイルは,通常の鉱油系潤滑油がC-C結合であるのに対し,Si-O結合が
>その骨格を成しており,原子間距離が長く従って接触する2物体間に潤滑剤として
>使用した場合,膜圧が薄く境界潤滑性能に乏しいといわれています。
>その乏しい潤滑性を潤滑向上剤,極圧添加剤を使用することにより向上させ,過酷な
>潤滑用途,トルク伝達用途あるいは熱媒として例えば輸送機のトルク伝達ビスカス
>カップリング,ファンカップリング,プラスチック・ゴム成形機の熱媒体に使用されてい
>ます。


http://silicones.momentive.jp/data_sheet/pds/Pdf/Jp/MPMtsf456.pdf
>特 長
>○ 一般のジメチルシリコーンオイルTSF451よりも潤滑性が改善されています。
〈略〉
>動摩擦係数の比較例
>試 料       動摩擦係数*
>TSF456-100  0.186
>TSF451-100  0.286
>流動パラフィン 0.188
>オリーブ油    0.135

>注) *曽田式振子式油性試験機による
> 試験条件:室温、境界油膜におよぼす最大圧力111kg/mm2、最小圧力74kg/mm2


http://ja.wikipedia.org/wiki/摩擦力
>摩擦力は、2つの面の間の凝着の発生と破壊によるものと、柔らかい材質側を変形
>させる力によるもの両方が関係していると思われる。摩擦係数は、金属どうしで0.4
>ぐらいであるが、固体潤滑材(2硫化モリブデン・グラファイト)では、0.2程度まで低下
>する。固体潤滑材は、きわめて壊れやすい構造をもった材料であることが、摩擦力の
>低減に有効である。


ちなみに、シリコーンオイルよりも潤滑性が高いオリーブ油は、古代エジプトで石像を
動かす潤滑剤として使われていたという話もある。

http://ja.wikipedia.org/wiki/潤滑剤
>人類が試行錯誤しながら潤滑油を作って来た歴史は非常に古い。古代エジプトでは、
>石像を動かすのにオリーブ油が用いられたことを示す壁画がある。現在主力である
>石油系潤滑油のほとんどは、油田が発掘された19世紀後半以降開発されたが、
>BC400年代のヘロドトスの「歴史」には石油の精製法とその利用方法が記載されて
>いる。


もし、唐沢俊一のいうように、シリコーンオイルを「ほんの一滴、床に落としても、踏んだ
人の足を伝播して三〇畳ほどの広さに広がり、抜群の滑性で、人をスッテンコロリスッテ
ンコロリと転ばせる」ならば、料理教室でイタリア料理を扱った日などにも、そのような
「ほのぼのした光景」が「よく見られる」という話になりそうであるが……。

シリコーンオイルにかぎった話にしても、「人の足を伝播して三〇畳ほどの広さに広が」
るのだとしたら、化学実験室内での注意事項とするだけでは充分ではなく、周辺の廊下
を歩く可能性のある者にはすべて注意を呼びかけるくらいでないと危なくてしょうがない
のではないかという気も。

「ほんの一滴」で「人をスッテンコロリスッテンコロリと転ばせる」ほどに強力な油ならば、
人を転倒させて怪我をさせたりするためとか、ミステリーの題材に使用されてもよさそう
であるが、そういう話も聞かない。ざっとググったかぎりでは、転倒に対する注意に関する
ものは、ワックスのそれに比べて、ごく少ない。

http://www.combiwellness.co.jp/form/manual/AW2200_manual.pdf
>警告
>●走行ベルトの走行面、サイドステップ、床、カーペットなどにシリコンオイルが付着
>しないよう注意してください。
> 滑って転倒するなどけがの原因になります。
> 付着した場合は、必ず拭き取ってください。


http://www.polisher.jp/product/1179
>ワックス剥離作業時の滑り・転倒・汚れ防止靴カバー
>作業靴を履いた上から装着するだけ。
>ワックス剥離作業時や工事、厨房など滑りやすい床での作業を安心して行えます。


http://itosonet.ocnk.net/product-list/91
>ワックス塗布作業中の転倒防止に。 

http://questionbox.jp.msn.com/qa3535295.html
>タイヤのワックスが原因で転倒した者は知っていますが(後から付けた物で)
〈略〉
>なお、綺麗にするのにタイヤワックスを使う方は接地面には絶対に付かないように
>気を付けましょう(一瞬で転倒するらしいです)


なお、実験室の床材についてはどうかとも思ったが、耐薬品性や耐久性が重視され、
転倒防止について言及されることは、あまりないみたい。

その他参考 URL:
- http://www.hokudai.ac.jp/sisetu/anzenkanri2/hiyarijirei.htm
- http://www.lonseal.co.jp/product/floor/toa.html
- http://blog.goo.ne.jp/amesyun-goo/e/513d5940078ac2057b3e823c1029a3d9
- http://okwave.jp/qa/q5129483.html


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09:00  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(12)  |  EDIT  |  Top↑

2010.05.24 (Mon)

「ペパミントパティ」なら凶悪な顔?

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.63

「ピーナッツ」のペパミントパティの本名はパトリシア・ライチャートという。


×ペパミントパティ ○ペパーミント・パティ

『8匹いる!』はスヌーピー版『11人いる!』か」、「チャーリー・ブラウンの髪はあまりに
細くてきれいなので、単にはっきりと見えないだけなのです
」の、ある意味続き。
掲載箇所は、「漫画『ピーナッツ』の主人公はチャーリー・ブラウンではなく、スヌーピー
であると法律で決められている。
」のエントリーに引用した文章の近く。

Peppermint Patty は、どれを見ても「ペパーミント・パティ」と書かれているし、まあ
「ペパミントパティ」ではないでしょう――ということで。

ちなみに、このページは、眠田直による手書き文字とイラストで描かれているのだけど、
「ペパミントパティ」の顔が、何かの間違いじゃないかとしか思えないくらいに凶悪な顔
になってしまっているという……。

ちょっとよくわからなかったのは本名の方で、英語版 Wikipedia の記述の出典になって
いる http://comics.com/peanuts/1972-01-15/ などを参照するかぎり、元の綴りは
Patricia Reichardt で間違いないとして、日本で出版されている漫画の方はというと、
「パトリシア・ライチャート(Patricia Reichardt)(鶴書房版ではパトリシア・ライクハート。
角川書店版ではパトリシア・レイクハート)」と、出版社によって表記がバラバラらしい。

http://www.snoopy.co.jp/archives/who/
>Peppermint Patty
>ペパーミント・パティ

>野球の実力はプロ級!?大胆不敵なおてんば娘。

>【どんな性格?】 大胆で、ちょっと鈍感。
>【好きなことは?】 野球(男の子にも負けない)。
>【苦手なことは?】 勉強(いつも成績はDマイナス)。

>野球では男の子顔負けの強打者、でも授業中は居眠りばかり…。起きているときは
>たいていテストの問題を予想しているけれど、残念ながら結果はいまひとつ。学校で
>前の席に座っているフランクリンに点数の低さを心配されていますが、彼女自身はた
>いして気にしていないようです。
>行動は大胆で、なまいきで、おてんば。だけど、友達を大切にします。チャーリー・ブラ
>ウンにはじめから「チャック!」と呼びかける突拍子のなさも、彼女の誠実な人柄があ
>るからこそすんなり受け入れられてしまうのです。
>でも、鈍感さは仲間うちで一番かも? はじめてチャーリー・ブラウンのチームで野球
>をしたときに、「ショートを守っているおかしな格好をした子」がビーグル犬だとは、ずっ
>と気づかずにいたのでした。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ピーナッツ_(漫画)
>ペパーミント・パティ(Peppermint Patty)
>本名はパトリシア・ライチャート(Patricia Reichardt)(鶴書房版ではパトリシア・ライク
>ハート。角川書店版ではパトリシア・レイクハート)。1966年8月22日より漫画に登場
>する。


http://harriet2000.cool.ne.jp/peanuts/forum/faq/r0401.htm
>3.1) 「あなたの好きなあのキャラクター」のデビューはいつだったのでしょうか?
〈略〉
>ペパーミント・パティ: 1966 年 8 月 22 日(本名はパトリシア・レイチャード)


http://en.wikipedia.org/wiki/Peppermint_Patty
> Patricia "Peppermint Patty" Reichardt[1][2] is a fictional character featured in
> Charles M. Schulz's comic strip Peanuts.
〈略〉
> 1. ^ Mansour, David (2005). From ABBA to Zoom: A Pop Culture Encyclopedia of
> the Late 20th Century. Andrews McMeel Publishing. pp. 359. ISBN 074075118
> 2. ^ January 15, 1972 strip


その他参考 URL:
- http://www.snoopy.co.jp/archives/who/2006/11/peppermint_patty.html


で、まあ、「Patricia "Peppermint Patty" Reichardt」の方は、唐沢俊一 (眠田直) の
書いているように「パトリシア・ライチャート」でよいとして、Reichardt は普通はどう表記
されるのかというと……本当にいろいろみたいな。

http://ejje.weblio.jp/content/Johann+Friedrich+Reichardt
> Johann Friedrich Reichardtヨハン・フリードリヒ・ライヒャルト

http://homepage3.nifty.com/CinePre/Tp/Tp200805.html
>ケリー・ライハルト(Kelly Reichardt)監督"Wendy and Lucy"が22日、開催中のカンヌ
>映画祭で上映され、主演のミシェル・ウィリアムズらが会場を訪れたようだ。


http://travelinghost.blogspot.com/2008/01/joerg-reichardt.html
>Joerg Reichardt (ヨルグ・ライチャート、ヨーク・ライヒャルト、ヨルク・ライハルト)
>ベルリン (Berlin) 在住。


http://japan.elsevier.com/news/lc/lcvol3no2japanese.pdf
>Randy Reichardt(ランディ・レイチャード) カナダ・. アルバータ州エドモントン アル
>バータ大学キャメロン科学. 技術図書館 情報サービス図書館員(工学担当)


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00:36  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2010.05.03 (Mon)

女装くらいで精神の病認定しなくても < シュヴァリエ・デオン

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.99

 エオニズム、という言葉が未だに残っている。服装倒錯症という意味
である。男性が女装をして満足を感じたり、また、女性が男性の服装を
まとって性的な快感を得る精神の病のことを指すが、シュバリエ・ド・
エオンこそ、その典型的症例とされているのである。


「エオニズム、という言葉」が一種の性的倒錯である「衣装倒錯」の意味をもち、それが
18 世紀、ルイ 15 世の時代にフランスの外交官だったエオン=ド=ボーモン(Éon de
Beaumont、唐沢俊一のいう「シュバリエ・ド・エオン」) にちなむ名称だというのは正しい
として。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?stype=0&ei=UTF-8&dtype=0&p=エオニズム
>エオニズム【eonism】
>異性の服装を好む性的倒錯。42歳以降、女装で通した18世紀のフランスの外交官
>エオン=ド=ボーモンにちなむ称。衣装倒錯。


http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=エオニズム&dtype=0&stype=1&dname=0ss
>エオニズム3 【eonism】
>異性の服装をしたがる一種の性的倒錯。装趣味。
>〔補説〕 ルイ一五世時代のフランスの外交官エオン=ド=ボーモン(Éon de Beaumont
>1728-1810)が四二歳以降女装で通したことからいう



続いて唐沢俊一の書いた「性的な快感を得る精神の病のことを指すが、シュバリエ・ド・
エオンこそ、その典型的症例」というのは、まあ間違いといってよいだろう。

シュヴァリエ・デオン (Chevalier D'Éon)、唐沢俊一のいう「シュバリエ・ド・エオン」に
ついては、以前に以下のエントリーで取り上げたことがある。

色仕掛けのオスカル
世紀末はロンドンだったシュバリエ
つまり妻は妹ではなく自分自身だったというオチ

その際に、窪田般弥『女装の剣士シュヴァリエ・デオンの生涯』、澁澤龍彦『妖人奇人館』
とネット上のサイトのいくつかを参考にしたが、シュヴァリエ・デオンが女装により「性的な
快感を得る」ことがあったとは、どの資料にも書かれていなかった。当の唐沢俊一による
『トンデモ一行知識の逆襲』の文章にも、そのような記述はない。

また、異性装により「性的な快感を得」ていたとしても、「生活に支障を来す程の重度の
もの」でもないかぎり、「精神の病」とはみなされない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/異性装
>性嗜好
>  異性装を行うことによって性的に興奮したり快感を覚えたりする者がいる。多くは
>  男性による女装であり、女性による男装には見られない。しかし、男装した女性に
>  欲情する男性や、男性に女装をさせて辱める行為を通じて性的快感を得る女性な
>  ど、間接的に本人以外の性欲を煽るケースは男女共にも存在する。また、現実の
>  男性や既存の男性キャラクターを女装させたり、女装した男性を見ることに「萌え
>  る」女性も居る。男性の中にも女装した男性を好む同性愛傾向にある者も存在する。
>アメリカ精神医学会『精神障害の診断と統計の手引き』第4版 (DSM-IV) によれば、
>生活に支障を来す程の重度のものは「302.3 服装倒錯的フェティシズム」としてパラフィ
>リアの一種に分類される。


http://ja.wikipedia.org/wiki/性的倒錯
>性的倒錯 (せいてきとうさく、英語:Paraphilia) とは、人間の性的行動において、病理的
>とみなされる種類の嗜好やその実践のことである。大正時代の精神医学では、変態性
>欲などとも呼ばれていたが、その後、異常性を強調する表現から、より中立性のある表
>現として現在の性的倒錯となった。
>しかし、この言葉でもなお、中立性に欠けるとの考えで、国連のWHOなどが定めるICD
>や、アメリカ精神医学会の定めるDSMなどでは、精神疾患に関しては、「性嗜好障害」
>や、mental disorder(障害)という用語が使われている。更に、以下で説明しているよう
>に、Paraphilia, Paraphile と普通、英語やフランス語などでは云い、日本語でも「異常」
>の意味合いが多い性的倒錯よりも、パラフィリアと呼ぶことが望ましいとの考えもある。


本人が苦しんでいるわけでもなく周囲が困っているわけでもない、いわば適応している
状態では、病気とみなして治療や矯正の対象にする必要もない――という考え方が現在
では一般的となっていると思ってよいだろう。その手の考え方は遅くとも 1980 年代には、
素人も読むような心理学の本に書かれていたことであるし、『トンデモ一行知識の逆襲』
の出た 2000 年には、性同一性障害についての話も広く知られるようになっていたはず
であるのに、ちょっと配慮に欠けた記述ではなかったかと思う。

そもそも、シュヴァリエ・デオンの女装は、どこかの女装クラブなどで、罪悪感に苛まれな
がら秘かにおこなわれていたようなものとは異なる。ロシア宮廷に派遣されていたときの
女装は業務上の都合といえるものだっただろうし、フランス宮廷に女装で出入りしていた
のは国王命令によるものという話もあり、少なくとも周囲が困惑して止めさせようとして
いたような性癖ではなかったことは確か。

澁澤龍彦『妖人奇人館』 P.29
> ところで、ここに奇怪な事実が存在するのである。すなわち、騎士デオンがようやく
>許されて、ドーヴァー海峡を渡ってフランスの土を踏めるようになったとき、彼は帰国の
>条件と引き換えに、今後死ぬまで、絶対に女装をしていなければならない、と申し渡さ
>れたのである。いったい、どうしてこんな奇怪な命令が、フランス国王の名によって発せ
>られたのだろうか。


このような状況だったのに、「精神の病」の「典型的症例とされているのである」と主張
するのは、あまりに無理があるだろう。


……そういえば、唐沢俊一って、三島由紀夫のことも気軽かつ強引に、「精神が病み
始めた」 だの「精神のあきらかな崩壊の兆候」だの、「精神の病」扱いするようなことを
書いていたなあ……という件もあわせて思い出されたり。

ボディビルで精神崩壊したのは三島由紀夫の方じゃない

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20:16  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(5)  |  EDIT  |  Top↑

2009.12.06 (Sun)

赤穂浪士の事件は江戸時代の「ひとつのヘソ」……へえ、そうですか。

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.42

 NHKの大河ドラマでは何年かおきに定番で赤穂浪士をとりあげる。
日本人は本当にこのドラマが好きである。というより、江戸時代という
三百年もの長きにわたって続いた時代区分の、この事件はひとつの
ヘソとなっているのだろう。


×三百年もの長きにわたって続いた ○三百年近くも続いた or 二百五十年以上

まあ本当は 265 年しか続かなかった江戸時代だから、300 年近くとか表現するのも、
やや抵抗があったりするのだけど。とにかく 300 年は続かなかったぞ、と。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B9%BE%B8%CD%BB%FE%C2%E5
>江戸時代
>江戸時代えどじだい(一般)
>徳川家康による天下統一と江戸幕府開府から、明治維新までの期間。
>1603年の江戸幕府開府から1867年の大政奉還迄の265年間をさす。


ただし、10 万キロの長さが「地球三周分に相当」 (地球の直径は約 4 万キロ) という
ことになったりする唐沢俊一流計算方法 (「つないだ血管の 95% 以上は毛細血管」を
参照) だと、江戸時代は「三百年もの長きにわたって続いた」でよいのかもしれない。

割と最近の例では、「11時15分に家を出て、新橋に着いたのが30数分後。予定の時
間は12時半。1時間以上時間が余った。」というのもあったし (「何も進まぬままの少し
不思議な唐沢俊一世界を笑う時
」を参照)。


それから、「日本人は本当にこのドラマが好きである」ことに異を唱えるつもりはないが、
「NHKの大河ドラマでは何年かおきに定番で赤穂浪士をとりあげる」といってよいかどう
かは、かなり微妙。

1963 年の『花の生涯』にはじまるNHKの大河ドラマで、赤穂浪士がとりあげられたの
は、1964 年の『赤穂浪士』、1975 年の『元禄太平記』、1982 年の『峠の群像』、そして
1999 年の『元禄繚乱』の 4 回で、何か思ったより少ない。『赤穂浪士』と『元禄太平記』
の間に 11 年、『峠の群像』と『元禄繚乱』の間に 17 年が経過しているので、「何年か
おきに定番で」というのは少し苦しい気がするし……。

だいたい、NHKの大河ドラマに着目すると、日本人ってどうしてこんなに戦国時代から
徳川幕府の初期、幕末から明治維新にかけてが好きなんだろうと思えてくる。それらと
だいぶ離されたその次に源平もの、そして忠臣蔵がくるという感じ。

一方、年末年始の時代劇特番では、赤穂浪士ものはそれこそ「定番」といってよい扱い
なので、何もわざわざ「NHKの大河ドラマでは」なんていわない方がよかったのでは
ないかと思ったり。

http://ja.wikipedia.org/wiki/大河ドラマ
>1960年代 花の生涯 - 赤穂浪士 - 太閤記 - 源義経 - 三姉妹 - 竜馬がゆく -
>天と地と
>1970年代 樅ノ木は残った - 春の坂道 - 新・平家物語 - 国盗り物語 - 勝海舟 -
>元禄太平記 - 風と雲と虹と - 花神 - 黄金の日日 - 草燃える
>1980年代 獅子の時代 - おんな太閤記 - 峠の群像 - 徳川家康 - 山河燃ゆ - 春の
>波涛 - いのち - 独眼竜政宗 - 武田信玄 - 春日局
> NHK新大型時代劇 宮本武蔵 - 真田太平記 - 武蔵坊弁慶
>1990年代 翔ぶが如く - 太平記 - 信長 KING OF ZIPANGU - 琉球の風 - 炎立つ -
>花の乱 - 八代将軍吉宗 - 秀吉 - 毛利元就 - 徳川慶喜 - 元禄繚乱
>2000年代 葵徳川三代 - 北条時宗 - 利家とまつ~加賀百万石物語~‎ - 武蔵
>MUSASHI - 新選組! - 義経 - 功名が辻 - 風林火山 - 篤姫 - 天地人
>2010年代 龍馬伝 - 江~姫たちの戦国~


http://ja.wikipedia.org/wiki/赤穂浪士_(NHK大河ドラマ)
>『赤穂浪士』(あこうろうし)は、1964年1月5日~12月27日にNHKで放映された2作目
>の大河ドラマ。


http://ja.wikipedia.org/wiki/元禄太平記
>『元禄太平記』(げんろくたいへいき)は、NHKが1975年1月5日~12月28日に放送し
>た13作目の大河ドラマ。忠臣蔵をテーマにした大河ドラマとしては『赤穂浪士』(1964
>年)に続き、第2作目にあたる。平均視聴率24.7%、最高視聴率41.8%。


http://ja.wikipedia.org/wiki/峠の群像
>『峠の群像』(とうげのぐんぞう)は、1982年1月10日~12月19日に放送された第20作
>NHK大河ドラマ。忠臣蔵を題材とした作品。放送時の同時代と江戸時代の元禄が同
>じような時代の方向が変化する時期となる「峠」の時代だとする原作者・堺屋太一の
>観点を軸に、忠臣蔵事件を現代的に描いたドラマ。平均視聴率は23.7%、最高視聴率
>は33.8%。


http://ja.wikipedia.org/wiki/元禄繚乱
>『元禄繚乱』(げんろくりょうらん)は、1999年1月10日~12月12日に放送されたNHK
>大河ドラマ。
〈略〉
>江戸時代を扱った作品は1995年の『八代将軍吉宗』以来で、忠臣蔵を題材としたの
>は1982年の『峠の群像』以来、大河ドラマ初期の1964年の『赤穂浪士』以来4作目と
>なる。


http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q117063096
>12月と言えば「赤穂浪士」「忠臣蔵」となります。
>その昔NHKが高視聴率を取ったことや
>紅白の対抗で放送されたものが
>案外健闘した事が原因ですが
>水戸黄門」など日本人のお約束みたいな物を好む人がまだ多いから、とも言えます。



その他赤穂浪士関係
唐沢俊一は「むじん君」というより「むだん君」かな
はかない命?――いいえ七つの墓をもつ男

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2009.11.11 (Wed)

歌の文句ならば、消えない薔薇だったりするけど

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.36

 先日、覚醒剤中毒者で、それを利用されて取り引きの手先に使われ、
逮捕されて二年、刑務所暮らしをしていた女性と会って話を聞く機会が
あった。〈略〉
 幸い彼女は人の手を借りて更生に成功し、いまでは家族とのつながり
も復活して、実の弟さんの経営している店で元気に働いている。しかし、
彼女は覚醒剤をやっていたとき、逃げられないように、と背中に彫り物を
入れられた。それは一生、消えることはない……。


「逃げられないように、と背中に彫り物」とか、「それは一生、消えることはない」とか、
昔のおどろおどろしいタイプのレディコミに、たまにあったかなというストーリーではある
けど、『トンデモ一行知識の逆襲』が出たのは 2000年 9月。その時点での「先日」の
話なのに、刺青は「一生、消えることはない」の一言ですませているのには首をひねる。

暴力団から完全に縁を切るための、「手指の再生手術や刺青を消す手術」について
話題になったのは、暴対法の施行開始 (1992 年) から、そう年月の経っていない頃と
記憶しているのだけど……。

http://www1a.biglobe.ne.jp/boutsui/category/iken/center02.html
> 各都道府県にある暴追センターは、暴力団に関する相談を受ける駆け込み寺とし
>て、専門的知識経験を有する相談委員により様々な相談に応じている。離脱のため
>の交渉援助、脱退妨害の排除、離脱の意志を固めた者に対する採用面接等への同
>道等の支援をはじめ、転居費の貸付や、当面の食費、交通費など緊急の援助を必要
>とする場合には援助金を支給している。
> また、離脱者が手指の再生手術や刺青を消す手術等を受けるための指導も行って
>いる。


で、唐沢俊一といえば「あぁルナティックシアター」といえるくらい (?)、このお笑い劇団
での活動には非常に熱心だが (「あぁルナ掲示板 (ルナティック BBS) でのヒドい削除
も参照のこと)、その演劇祭には高須クリニックがスポンサーになっていたりする。

http://www.tobunken.com/news/news20090427134251.html
>ルナティック演劇祭、無事終了!
〈略〉
>スポンサーである高須クリニックのCMまでを芝居の中に取り込んでしまう


そして、その高須クリニックでも、「入れ墨除去」の治療はメニューに入っていたりする。

http://www.takasu.co.jp/about_operation/faq/otherope/22.html
>Q. タトゥー(刺青)を消したいのですが。背中にタトゥー(刺青/入れ墨)をいれていま
>したが、消すことはできますか?
>A. 黒色の部分はレーザー治療で比較的簡単に取れます。赤、青、黄等の色が入って
>いる場合、レーザーは効果がありません。色彩のついている所は皮膚の縫縮や、面
>積の広い場合は植皮等の手術で改善します。黒色の部分はレーザー治療で薄くして
>いくことができます。レーザーをあてたところは状態によりますが、回数は1回でもかな
>り薄くする事が出来る状態もあります。個人差が有りますがだいたい5~6回以上の通
>院が必要になるケースが多いです。入れ墨の除去は、状態によってはとても難しい治
>療ですから、医師と十分ご相談下さい。


まあ、高須クリニックがスポンサーといっても、それで美容ネタを積極的に収集・取材
するような唐沢俊一だったら、2007 年刊の『地上最強のムダ知識』で、「ボツリヌス菌を
直接注射
」とか、やらかしたりするはずもなく……。

まあ、刺青を消すには費用もかかるという (刺青を入れるときの 20 倍とか) し、完全に
綺麗に消すのは難しいケースもあるようだ。

http://www.loft-prj.co.jp/interview/0501/12.html
>川崎タツキ

>プロになるためには、ハードなトレーニングは当然として、どうしても背中の大きな刺青
>を消す必要がった。200万円の手術費はすべて友人・知人からのカンパで賄われた。
>古川、カズ、コウジもカンパ集めに尽力した。刺青は完全には消えなかったが、ジム
>の有澤会長の熱心な説得で、最初は難色を示した日本ボクシングコミッションもファン
>デーションを塗るという条件でプロデビューのOKを出した。


レーザー照射が有効なのは黒っぽい色の部分のみで、刺青の種類や面積によっては、
「皮膚の縫縮」、植皮などが必要となる。

http://ladys.tokyoisea.com/tattoo/index.html
>・単純切除術
>・分割切除術
>・削皮+術中レーザー術
>・切除+シート植皮術
>・切除+パッチ植皮術
>・切除+メッシュ植皮術


その他参考 URL:
- http://www.tt-c.jp/tattoo/TATTOO
- http://crutonpapa.at.webry.info/200901/article_140.html
- http://kirei.xsrv.jp/archives/cat3/post_93/

しかし、高額であるとか、困難であるというのは、現時点の技術では不可能ということ
とはイコールではないし……唐沢俊一のように「それは一生、消えることはない……」
の一言で終わりにするというのはダメでしょう、ということで。

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2009.11.08 (Sun)

まさか黄金列車と呼ばれたから黄色は「そのなごり」と書いたのではあるまいな

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.97

西武鉄道の前身は「西武農業鉄道」といい、都心部で出た人糞を肥料と
して、練馬の大根畑に運んでいた。

西武の電車が黄色く塗られているのはそのなごりである。


「糞尿輸送列車」を運転していたのは、「西武農業鉄道」のそのまた前身の「武蔵野
鉄道と西武鉄道(旧)と食糧増産の3社」が合併する前の 1944 年に始まり、1945 年
の合併および西武農業鉄道への改称、翌年 1946 年の西武鉄道との改称を経て、
1951 年頃までの話 (書類上は 1953 年まで)。

一方、「西武の電車が黄色く塗られている」というのは、1969 年の「101系」が最初で
ある。何をどうすれば、15 年以上も前に終了した糞尿の輸送の、「そのなごりである」
なんてことになるのかと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/西武鉄道
>また1944年には、東京都からの委託によって糞尿輸送が開始された。当時都内の
>糞尿処理は、トラックで湾岸へ運び船で東京湾へ捨てていたが、人手不足とガソリン
>統制により、処理が追いつかなくなっていた。そこで東京都長官の大達茂雄からの要
>請で、武蔵野鉄道と西武鉄道(旧)と食糧増産の3社が一体となり、専用貨車と積込
>所・貯溜施設を造って大規模な糞尿処理にあたることとなったのである。同年9月10
>日夜から普通貨車による糞尿運搬の臨時運転を開始し、11月21日には専用貨車を
>用いた本運転に入った。この糞尿輸送列車は、「汚穢電車」[7]「黄金電車」「黄金列
>車」などと呼ばれた。
〈略〉
>しかし衛生面などで問題が続出してしまい、糞尿輸送は次第にその輸送量を減らして
>行った。書類上は1953年(昭和28年)3月30日までの契約であったが、実際には1951
>年に輸送が休止して以降再開されないままの廃止で、堤の輸送拡大構想は結局実
>行されないまま終わった。
>なおこの糞尿輸送が行われている最中に武蔵野鉄道と西武鉄道(旧)と食糧増産の
>3社が合併しているが、社名に「農業」を付して「西武農業鉄道」とした由来はこのよう
>なことにある。
〈略〉
>1945年(昭和20年)9月22日 - 武蔵野鉄道は西武鉄道(旧)と食糧増産を吸収合併
>して西武農業鉄道に改称。これは陸上交通事業調整法に基づくものであったが、実
>際の合併は食糧増産に対する運輸通信省の査定に時間が掛かり、終戦後となった。
>1946年(昭和21年)11月15日 - 西武農業鉄道は現在の西武鉄道に改称。バス事業
>を武蔵野自動車(現:西武バス)に譲渡、分社化。


http://ja.wikipedia.org/wiki/西武鉄道
>昭和44年(1969年)には他社より一足早く、自社のイメージの確立に乗り出し、現在
>でも利用者の西武鉄道のイメージである「黄色い電車」の第1号となる101系[2]が登
>場する。


西武鉄道のサイトにあるページによると、黄色の 101 系 (ここから壁紙をダウンロード可)
が登場したのは、「西武秩父線開業に合わせて」であり、「山岳区間の運転からラッシュ
輸送まで幅広く対応」できる車両にしたとのこと。都心から埼玉方面の農業地帯 (?) への
貨物輸送とは、まったく関係がない。

http://www.seibu-group.co.jp/railways/unyu/zukan/zukan.html#301kei
>●101・301系
>1969年の西武秩父線開業に合わせて登場しました。3ドア車体の通勤車両で、山岳
>区間の運転からラッシュ輸送まで幅広く対応できる車両性能を備えています。



で、黄色の 101 系の登場前は、西武鉄道の車両は、「通称赤電色」とも「黄色と茶色の
2トーン」ともいわれていたみたいで。

http://wiki.chakuriki.net/index.php/西武鉄道
>02. 大昔には都心から武蔵野までウンコを運んでいた。ウンコ色か、道理で。
>・戦後直後の西武農業鉄道のこと。肥溜め電車と呼ばれていたらしく、1年で社名を
> 変えた。
>・「黄金電車」とも…
> ・だが、くどいようだがそのころ電車は赤かった
>  ・いや、通称赤電色になったのは昭和30年代半ば以降だよ。それ以前は黄色と
>   茶色の2トーンだった。501系(初代)の保存車を見てくれ。
>   ・赤電→黄色(一部のみ窓周り薄茶)だよ
>    ・ちなみにうんこ電車は事故って貨車の中身をぶちまけたことがあります....


この 501 系というのは、101 系の 1969 年より 15 年も前の 1954 年に製造開始されて
いて、淡い黄色 (101 系の黄色とは違いクリーム色に近い) と赤茶色に塗られた車両で
あった。ただ、1954 年というと、糞尿輸送の契約終了の 1953 年よりも後なので、この
型の車両がそれに使われたわけでもなさそう。

http://www.asahi-net.or.jp/~jy2t-ikze/501.htm
>501系2代目として1957年に登場。

http://www.g-gauge.jp/prototype/seibu/seibu.html
>1954年(昭和29年)より所沢工場で製造された車輌で、17m級車体の電動車です。
>当初はクモハ501を名乗っていましたが、後に新型車に追われてクモハ501→クモハ
>411→クモハ351と名前を変えて行きます。



ということで、捜していたら、「西武鉄道の貨物輸送に乗務員(機関士)として22年余りの
間付き合い、退職して10年近くにもなる」という人のブログを発見。それによると、「糞尿
輸送専用の貨車」は木製だった模様。

http://41-31.at.webry.info/200810/article_1.html
> また、糞尿輸送専用の貨車は、自社所有の無蓋貨車(ト31形)を改造(台枠と走行
>部を利用)し、別途作られた木製のタンク体(船底形の立方体)を載せたものであっ
>た。ちなみに、車体部分(タンク部分)は東京都の所有であったとか。


これは、Wikipedia 中の、以下の記述とも合致する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/西武鉄道
>戦後、西武鉄道の復興は他社に比べ目覚ましいものだった。大手他社が国鉄モハ
>63形の割当てにより体制を整えようとしている中、西武鉄道では国鉄の戦災車や事
>故車、これらが枯渇すると老朽廃車となった木製車を大量に譲り受け、自社(当時は
>復興社のちに西武建設経営)の所沢車輌工場で改造、修繕や木造車体の鋼体化を
>実施した。


ブログに掲載の写真はモノクロで、色まではわからないが、黒っぽくうつっていることから
判断して、黄色く塗られてはいなかったことは確かだろう。

- http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/012/208/46/N000/000/000/122363026653816407108.jpg
- http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/012/208/46/N000/000/000/122363049801516206278.jpg


ところで、唐沢俊一の書いている「練馬の大根畑に運んでいた」というのもまた、ガセ
ではないかと思うのだけど……。以下の引用を見ると、糞尿列車の「取り卸し設備」の
あったという場所は、練馬区と隣接することはあっても、練馬区の中にはないような。

http://41-31.at.webry.info/200810/article_1.html
>糞尿輸送にあたって武蔵野・西武両鉄道では、専用の設備と貨車を用意した。糞尿
>の積み込み設備が長江(当時東長崎~江古田間の下り線から分岐していた貨物駅)
>と井荻に作られ、その取り卸し設備が清瀬、狭山ヶ丘、高麗、田無、東小平(廃止・花
>小金井~小平間)、東村山、入曽、南大塚、小川の各駅にあった。こうした設備構築
>の状況から、本格的な輸送体制で臨んでいたことが覗える。


そうでなくとも、「練馬の大根畑」というのは、限定し過ぎで、少し変だと思うし。

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2009.10.18 (Sun)

歯がゆいで芳賀ゆいってハイスクール奇面組っぽくもある

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.49

 アイドル系では芳賀ゆいというのがいる。いや、いると言っていいのか。
アーティスト連中がでっち上げた架空のアイドルであって、最初はなかなか
正体がわからなかった。それで歯がゆいだろう、というので芳賀ゆい。


「最初はなかなか正体がわからなかった。それで歯がゆいだろう、というので芳賀ゆい」
……って、もともと芳賀ゆいは架空のアイドルという紹介のされ方をしていたと思うんだ
けど。

唐沢俊一の文章だと、まるで、「最初は」架空のアイドルということを伏せて一般視聴者
を騙し、後でネタばらしをした企画のようにも読めてしまうけど、芳賀ゆいの「最初は」、
伊集院光がオールナイトニッポンでいった「はがゆい(歯痒い)って言葉あるじゃない、
これもアイドルの名前だね。」との発言から。

それから「同番組で架空のアイドルを設定するコーナー」がつくられ、リスナーたちから
寄せられた意見などを元に様々な設定がつけ加えられていった。ゆえに、唐沢俊一の
書いている「アーティスト連中がでっち上げた」というのも、何かハズしている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/芳賀ゆい
>芳賀ゆい(はが ゆい)は、架空のアイドル。伊集院光がプロデュースした。
〈略〉
>発端は師匠格に当たる伊集院光が1989年11月1日に、ニッポン放送(以下LF)のオー
>ルナイトニッポン(以下ANN)で発した、「映画監督の大島渚ってアイドルに付けるべき
>名前だよな」という旨の発言から転じて翌週「はがゆい(歯痒い)って言葉あるじゃな
>い、これもアイドルの名前だね。」「"はがゆい"です、ポリスターレコードから『初恋の
>千羽鶴』でデビューした…違うな」と発想が暴走、どんなデビュー曲であるべきかが募
>集され、さらに翌週同番組で架空のアイドルを設定するコーナーが派生した。同番組
>で人気だった『おべんとつけてどこいくの?(おべどこ)のコーナー』に寄せられていた、
>女の子の可愛らしい仕草や言葉を嫌味なく自然にしてくれそうな16歳前後、そして当
>時の伊集院の理想の女の子の容姿(ポニーテールが似合い、少し垂れ目で、やや小
>柄)を主軸に据えた上で、リスナーがその雛形にパーソナリティーを加味していった。


また、上の Wikipedia からは、外部リンクの「芳賀ゆい伝説」というサイトに飛べる。
http://yokohama.cool.ne.jp/nrsaurus/hagayui.htm

そして、そこの「芳賀ゆいのお仕事」コーナー:
http://yokohama.cool.ne.jp/nrsaurus/yuiworks.htm
ここの「★新聞・雑誌」のリンクをたどれば、当時の紹介記事の画像を見れる。

顔が見れないから歯がゆい――という意味のキャプションをつけている記事はあっても、
唐沢俊一のいうような「正体がわからなかった。それで歯がゆいだろう」としているもの
はない。

- http://yokohama.cool.ne.jp/nrsaurus/yuidunk7.htm
- http://yokohama.cool.ne.jp/nrsaurus/yuisponichi.htm

で、まあ、多くの記事は、架空のアイドルとか、伊集院光のオールナイトニッポンが起源
とか説明しているんだけど、そこら辺をあいまいにしているようなものもある。唐沢俊一は
そのような記事を読んで何か勘違いしたのかも。

- http://yokohama.cool.ne.jp/nrsaurus/yuidunk8.htm
- http://yokohama.cool.ne.jp/nrsaurus/yuioricon.htm

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10:02  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2009.10.04 (Sun)

そんないきあたりばったりで製作されたのではないみたいな『白雪姫』

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.146 欄外

・ディズニー映画『白雪姫』は声優が足りなかったため、七人のこびとの中に
 最初から最後まで一言も喋らない者がいる。


「最初から最後まで一言も喋らない者がいる」のは本当として、日本版 Wikipedia の
「実際には、ドーピーのイメージにぴったりの声優が見つからなかったためといわれる」
の記述には、「[要出典]」がついている状態。

また、たとえ「ぴったりの声優が見つからなかった」が本当だとしても、それは唐沢俊一の
いう「声優が足りなかったため」とは、別の話となるような。絶対数が不足していなくとも、
イメージにあう役者が見つからないなんてことは、いくらでもあるだろうし。

http://ja.wikipedia.org/wiki/白雪姫_(アニメ映画)
>ディズニーの長編映画第1作目であり、世界初のカラー長編アニメーション映画。1937
>年12月21日公開。
〈略〉
>ドーピー(エディ・コリンズ Eddie Collins)
>7人の小人の1人。しゃべらない。白雪姫の事が大好き。小人の中で唯一髭が無い。
>日本名:抜け作/おとぼけ
>ウォルト・ディズニー自身によると、ドーピーが喋らない理由は、自分が「喋ろうと試み
>たこともないから」である(実際には、ドーピーのイメージにぴったりの声優が見つから
>なかったためといわれる[要出典])。


で、英語版 Wikipedia の記述を見てみると、ドーピー (Dopey) が話さない理由を、単に
"never tried to speak" だというのは、映画『白雪姫』に登場するこびと (dwarf) のひとり
のハッピー (Happy) が、白雪姫に説明するセリフである。

http://en.wikipedia.org/wiki/Snow_White_and_the_Seven_Dwarfs_(1937_film)
> Voice cast and characters
〈略〉
> Eddie Collins as Dopey:[7] Dopey is the only dwarf that does not have a beard.
> He is clumsy and mute, with Happy explaining that he has simply "never tried to
> speak". Mel Blanc was briefly considered for the role.


となると、日本語版の「ウォルト・ディズニー自身によると」は多少ズレた説明ということに
なるし、「声優が足りなかったため」も「ぴったりの声優が見つからなかったため」もなく、
脚本の段階ではっきりと、しゃべらないという設定と理由が示されているということになる。

ちなみに、英語版 Wikipedia が典拠にしているのはディズニーの公式サイトのページで、
そこには以下のように書かれている。しゃべらない Dopey ではあるが、「Voice cast and
characters」の項目が「Eddie Collins as Dopey」となっている理由は、以下の説明を読む
とわかりやすい。彼のパントマイムの演技をもとにアニメータは絵をおこした。そして、その
ような手法は、今日でも使われているという話。

http://disney.go.com/vault/archives/characters/sevendwarfs/sevendwarfs.html
> DOPEY:
> Dubbed "Dopey" by his brothers, this loose-limbed dwarf has never spoken a
> word; as Happy explains to Snow White, "He never tried." But Dopey isn't really
> dopey, he's just childlike. Is it dopey to try and steal a second and third kiss from
> Snow White on your way to work, or to make yourself tall enough to dance with
> her by climbing on Sneezy's shoulders? Not at all. Dopey's a genius at fun and
> games (and a whiz at the drums to boot). He just doesn't mind looking silly along
> the way. So what if he wiggles his ears and shuffles his feet to his own skippity-
> skip beat? He's simply being himself, and that's pretty smart.In the early
> development process on the film, Dopey was the "leftover" dwarf with no
> particular personality. Then one day animator Ward Kimball discovered vaudevillian
> actor Eddie Collins at a Los Angeles burlesque house. Kimball invited the baby-
> faced Mr. Collins to the studio to perform and improvise pantomimes of Dopey's
> reactions on film. Thanks much to Collins' innovative acting, Dopey assumed a
> very definite personality and soon became one of the animators' favorite dwarfs.
> Collins' pantomime turned out to be one of the first times live-action reference
> footage was shot for an animated film. The technique proved so successful that
> it's still used today. The inspiring Mr. Collins went on to perform live-action
> reference for Gideon in "Pinocchio" (1940).


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2009.09.13 (Sun)

生卵をのみながら頑張っていたフェリーニのカサノバ

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.114

 フェリーニの映画『カザノバ』で、主人公のカザノバが唯一、純粋な愛を
注ぐ対象として等身大の人形が出てくるのをご記憶の方もいらっしゃるだ
ろう。機械仕掛のこの生き人形は、ヴェルテンベルク公爵が道楽で製造
させたもので、ダンスからセックスまで、男性のお相手を全てつとめること
ができる精巧なものであった。


×カザノバ ○カサノバ
×ヴェルテンベルク ○ヴュルテンベルク

http://netcity.or.jp/otakuweekly/BW2.4/column1-1.html にも同じ文章あり。そちらは
「精巧」が「精工」になっているけど。

Casanova は、「カザノバ」、「カサノヴァ」、「カザノヴァ」などと表記されることもあるが、
フェデリコ・フェリーニ (Federico Fellini) の映画の邦題としては、「カサノバ」が正解。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=カサノバ&stype=0&dtype=0
>カサノバ【Giovanni Giacomo Casanova】
>[1725~1798]イタリアの文人。ヨーロッパ各地の貴族の間で漁色・冒険の生涯を
>送った。フランス語の「回想録」は風俗・文化資料として貴重。カザノバ。


http://www.amazon.co.jp/dp/B00117D562
>フェデリコ・フェリーニ セレクション カサノバ [DVD]

「ヴェルテンベルク」の方は、Google にも「もしかして: ヴュルテンベルク」といわれたり
する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ヴュルテンベルク王国
>ヴュルテンベルク王国(Königreich Württemberg)は、ドイツ帝国の構成国としてドイ
>ツ南部を支配した王国。


http://www.visit-germany.jp/JPN/nature_active_recreation/spug_different_styles_and_periods/detail/Ludwigsburg_Schloss_Ludwigsburg.htm?slidebox=
>ルートヴィッヒスブルクの最盛期は、雄大さと豪奢を好む浪費家のカール・オイゲン公
>統治下の1744年からでした。政治家、夫としてはカール・オイゲンは名前を売ることは
>できませんでしたが、その代りに贅を尽したセンセーショナルな宴会を開きました。
>「あの頃、ヴュルテンベルク公の宮廷はヨーロッパ一の輝きだった。華麗な建物とあり
>とあらゆる狂気、あの騒ぎにはひと財産かかった」と有名なイタリアの冒険家ジャコモ・
>カサノヴァが書いています。


ちなみに、映画の中でのカサノバと人形 (オートマタ) とのダンスは、以下で見ることが
できる。

- http://www.youtube.com/watch?v=EotNv1Tsa_Q
- http://www.youtube.com/watch?v=sYt98R7Tq40

で、http://www.audio-visual-trivia.com/2004/09/il_casanova_di_federico_fellin.html
のサイトでいう「メカセックスの写真」は以下で見れる。

- http://www.kantel.de/robot/folio050.html

そして、唐沢俊一の書いているように、「ダンスからセックスまで」ができれば、「男性の
お相手を全てつとめるができる」といってしまってよいかどうかは……面倒なので、深く
突っ込まないようにする。

その他参考 URL (直接関係ないけどオートマタつながり):
- http://www.orgel-hall.com/museum/003auto.html
- http://ja.wikipedia.org/wiki/オートマタ
- http://orgel-horie.or.jp/ga07.html
- http://www.timeroman.com/kobedollmuseum/auto/a-fram.html

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2009.09.12 (Sat)

似ているようで違う ―― 準宝石の螺旋と半可通の付箋

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.191 ~ P.192

 毎年新宿で行われる世界鉱物即売会(ミネラル・フェア)は化石、隕石、
宝石などさまざまな石が展示され、日本ばかりか世界から名うての石マニア
が集まるが、最近、異変が起きているという。
 それまで、地味な石で大して人々の興味を引かなかったネフライト、ゾイ
サイト、クンツァイトなどという石に人気が出て、品薄になって値が上がって
いるというのだ。鉱物マニア界ではさっぱりその理由がわからず、みな首を
ひねっていたらしい。
 ここまで読んで理由がわかった方、あなたはセーラームーン・オタクである。
そう、上記の石の名はみな、『美少女戦士セーラームーン』に登場するキャラ
クター(クイン・ベリルの四天王)の名前につけられているのである。


×世界鉱物即売会(ミネラル・フェア) ○東京国際ミネラルフェア
×化石、隕石、宝石など ○鉱物、化石、隕石など または 鉱物・化石・ジェム・隕石

「最近、異変が起きているという」って、この『トンデモ一行知識の逆襲』は「2000年9月
10日 第1刷発行」で、『美少女戦士セーラームーン』の影響で「最近、異変が」という
のは、ちょっと年数が経ち過ぎているような気がするが。実は、「初出一覧」によると、
この文章の初出は「SPA!」の「1994年7月24日号」。唐沢俊一的には、6 年経っても、
「最近」は最近のままらしいということで。

フェアの名称については、「世界鉱物即売会」を二重引用符つきでググると何もヒット
しない。今年 22 回目をむかえた「東京国際ミネラルフェア」の間違いだろう。

http://www.tima.co.jp/tima/outline/index.html
>鉱物、化石、隕石などの魅力に接していただき、自然科学の素晴らしさ、楽しさなどを
>ご提案するとともに、国内外にディーラーのご協力を得て、これらの学術及び教育的
>標本の適正な国内流通を促進する目的として開催してまいりました「東京国際ミネラ
>ルフェア」は今年で第22回を迎えました。今後とも、ミネラルファンの皆様方のご協力
>とご助言のもと、より満足いただけるフェアへと改善に努めてまいります。
>日程 平成21年6月5日(金)~9日(火)
>   AM10時~PM7時(最終日はPM5時まで )
>会場 新宿第一生命ビル1F スペースセブンイベント会場


http://www.tima.co.jp/daihyou.htm
>当東京国際ミネラル協会は、国内に於けるミネラル(鉱物・化石・ジェム・隕石)という
>自然科学の分野での啓蒙と理解を深める目的で、1988年2月に発足致しました。
>1988年より毎年6月には「東京国際ミネラルフェア」を開催、国内・海外の約150ヶ国
>より有力な専門業者約150社にご参加いただいております。博物館や大学等の研究
>機関はもとより、一般の方々にまで、広くミネラルの魅力を知っていただくための展示
>会も、来場者数が毎年増大し、初年度はわずか3000人ほどの小規模でしたが、現在
>では約30,000人となっております。


唐沢俊一は、「化石、隕石、宝石など」と書いているが、ミネラルなのだし「鉱物」を抜か
したら、まずいでしょうということで。「宝石」といっているのにも多少引っかかる。「鉱物・
化石・ジェム・隕石」のうちの「ジェム」を言い換えたものと思われるが、フェアに展示され
るジェムは、狭義の宝石には含まれない、半貴石 (準宝石) に分類されるのが多いので
はないかと思うので。いや、広義の宝石には違いないので「宝石」でも間違いとは思わな
いが、わざわざ言い換えなくても……という感じ。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=gem&enc=UTF-8&stype=0&dtype=1&dname=1na1
>gem
>(カットして磨かれた)宝石, 宝玉. ▼jewelは通例ダイヤ, ルビーなどprecious stone
>のみをさし, gemはひすい・ざくろ石などsemiprecious stoneも含む.


http://www.rare-stones.com/html/rare-stones.htm
>その前にまず宝石とはどのような石なのかというお話になります。宝石(真珠等の有
>機質を除く)は貴石(プレシャスストーン、狭い意味での宝石)、半貴石(セミプレシャス
>ストーン、準宝石)、その他の鉱物というように大きく三つに分けることができます。


http://ja.wikipedia.org/wiki/貴石
>硬度7未満で貴重ではないが美しさから貴石とされる宝石
>ヒスイ
>オパール
>半貴石とされる宝石
>クォーツ 水晶
〈略〉
>ラピスラズリ 瑠璃(るり)
>タンザナイト
>クンツァイト


上の分類では、唐沢俊一の言及している石のうち「ネフライト」のヒスイは貴石、「クン
ツァイト」、そして「ゾイサイト」の一種の「タンザナイト」は半貴石ということになる。


で、唐沢俊一は、「地味な石で大して人々の興味を引かなかったネフライト、ゾイサイト、
クンツァイトなどという石」と書いているが……まず、翡翠 (軟玉) の「ネフライト」のことを
「地味な石で大して人々の興味を引かなかった」といってしまうのは、かなり違うのでは
ないかと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ネフライト
>ネフライト(nephrite)は、透閃石-緑閃石系角閃石の緻密な集合[1]。軟玉(なんぎょ
>く)[2]ともいう。
>軟玉とは硬玉(ひすい輝石、ジェダイト)に対する言葉で、硬度が硬玉よりわずかに低
>いことからこう呼ばれる。中国では軟玉しか採れず、古くは玉(ぎょく)と呼ばれ、古代
>より中国で価値ある宝石として多く使われていたが、18世紀に入りミャンマーの現カチ
>ン州でジェダイトが発見されたため、ネフライトは軟玉と呼ばれ区別されるようになった。
>ネフライトとジェダイトは、日本では翡翠と総称され、古来は似た鉱物と考えられた
>が、実際は化学的に共通点はない。ネフライトの高級品は中国では、和田玉とされ、
>その中でも羊脂玉は最高級品である。翡翠は本来はカワセミの意味で、最高級品とさ
>れた白と緑の混じった軟玉の色合いがカワセミの羽根に似ていることから名づけられた。



クンツァイトはどうかというと、色が「桃~紫色のもの」のせいもあって、「地味な石」という
感じはしない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/クンツァイト#.E3.82.AF.E3.83.B3.E3.83.84.E3.82.A1.E3.82.A4.E3.83.88
>リシア輝石(りしあきせき、spodumene、スポジュメン、リチア輝石[1])とは、ペグマタイ
>トから産出されるペグマタイト鉱物の一種(ケイ酸塩鉱物)であり、リチウムとアルミニ
>ウムを含む単斜輝石。
〈略〉
>宝石
>美しい色のリシア輝石は、カットされたものが宝石として扱われる。傾向として色付き
>の物が人気が高いが、無色のものでもカットされ販売されている。
〈略〉
>種類
>桃~紫色のものはクンツァイト(kunzite)、黄緑~緑色のものはヒデナイト(hiddenite)、
>黄色のものはトリフェーン(triphane)という。


Google で画像検索するとアクセサリーに加工された写真を多数見ることができて、見た
目はかなり華やかな感じ。セーラームーンのブームが過ぎた今も、そこそこ人気のように
思えるけど……。ちなみに、ネフライトクンツァイトゾイサイトを画像検索して、もっとも
セーラームーン関係の画像がヒットしないのが、このクンツァイト。


そして、ゾイサイトは、濃いブルーのゾイサイトが、タンザナイトの名で「ニューヨークの
宝石店ティファニーで大々的に売り出された」りしているのだから、これも「地味な石で
大して人々の興味を引かなかった」とはいえないのではないかと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/灰簾石
>灰簾石(かいれんせき、zoisite、ゾイサイト)は鉱物(ケイ酸塩鉱物)の一種。黝簾石
>(ゆうれんせき)[1]ともいう。緑簾石グループに属し、緑簾石の Fe3+ が Al に置き換
>わったもの。
〈略〉
>マンガンを含むものをチューライト(thulite、桃簾石)、バナジウムを含むものをタンザ
>ナイト(tanzanite)という。


http://ja.wikipedia.org/wiki/タンザナイト
>タンザナイト (Tanzanite) は青~青紫色を有する多色性の宝石で、灰簾石(黝簾石、
>zoisite、緑簾石グループ)の変種。12月の誕生石の一つ。
〈略〉
>一般的に、タンザニア付近で採掘されたゾイサイトを特にタンザナイトと呼称している。
>近年、タンザニア以外の産地のブルーゾイサイトをタンザナイトとしていることがある
>が、これが適切であるか否かは判断の分かれるところである。


http://kobo-angel.com/jewelryguide/zoisite.html
>ゾイサイト(ゆう簾石)は宝石としてはかなり特殊なもので、鉱物愛好家の趣味の石とし
>て珍重されていた。宝石用といえる種類としてはピンクで不透明なチューライトと、中
>にルビーの大形の六角形結晶を含む、緑色不透明のルビー・イン・ゾイサイトのみで
>あった。ところが一九六七年の夏、タンザニアのアルシア地区で、マニュエル・ト・スー
>ザーという人により、ブルーゾイサイトといわれる石が発見された。美しく透明で、サ
>ファイアのような青紫色をして産出されたこの石は、魅力的にカットされ、その発見地
>名にちなんでタンザナイトと名づけられ、宝石のニューフエースとして市販された。
>ニューヨークの宝石店ティファニーで大々的に売り出されたことと、同店の正面を飾る
>額縁ウインドーとして用いられたことなどからたちまち世界中の話題をさらってしまっ
>た。日本でも活発に取引されている。



で、唐沢俊一のいう「品薄になって値が上がっているというのだ」がガセであることについ
ては、「唐沢俊一検証blog」の「久しぶりだなオタアミさん・後篇。」のコメント欄を参照の
こと。

>goito-mineral
〈略〉
>当時、東京国際ミネラルフェアの招待状をぼくを介して唐沢俊一にも送っていたので
>すが、 この本の記述に関係者が怒り、この年から送られなくなりました。
>当時は困惑し、関係者をなだめるというよりも唐沢をフォローする形になったのですが、
>いまとなっては腹に据えかねる一件です。
〈略〉
>当時の『セーラームーン』はオタク的なものであると同時に、女児向けコンテンツとして
>はスーパーメジャーなものでしたから、「こちらの業界全体を世間知らずのように言うと
>は、馬鹿にしていないか」と怒らせてしまったのです。
>また、唐沢は同じネタを「SPA!」でも書いている(時期など失念。たぶん96年)のです
>が、このネタの真偽自体がかなり怪しく、当時唐沢本人に尋ねたことがあるのですが、
>ミネラルフェアの会場に来ていた石オタに訊いたという返答でした。それも笑いながら
>の答えで、現在でも、この話は唐沢の創作だと考えています。
>鉱物趣味は90年代より一気に広がり、96~7年ごろといえば、ぼくたちのような博物学
>的なコレクター以外に、パワーストーン系の人々など、カジュアルに石を楽しむ人口が
>増大した時期です。そのため、唐沢に適当なことを言ったにわか業者や、お客がいた
>可能性はそれなりにあるのですが、少なくとも、セーラームーンに登場する鉱物種が
>「品薄」になったという話は見たことも聞いたこともありません。
>また、ここで例示されている鉱物種が「ゾイサイト」であることは、かなりの確度で唐沢
>の話がでっちあげであることを示唆しています(それが唐沢の創作なのか、本当に誰
>かから訊いたのかはさておき)。なぜなら、そもそもZoiciteのラベルで商品が売られて
>いること自体がまずなかったからです。だから、新参のお客さんが「ゾイサイトを探して
>も見つからない。これはきっとセーラームーンのせいだ」と早とちりをした可能性自体は
>残ります。

>唐沢の記述に怒ってしまった関係者も、「10年近く国内外のショーを見ているが、ゾイ
>サイトのラベルがついて売られている標本は、ミュンヘンで一度見たことがあるだけ
>だ」と言っていました。その後、多少出回るようになったようですが。一方、セーラー
>ムーンのキャラ名は堀秀道『楽しい鉱物図鑑』に掲載の鉱物から取られていることが
>知られています。ではなんで一般向けの図鑑にゾイサイトが掲載されているかと言う
>と、不純物にヴァナジウムを含み、美しい藍青色となった宝石種「タンザナイト」が紹介
>されているからなんですね。ゾイサイトa.k.a.タンザナイト:
>http://www.mindat.org/photo-49512.html


上記引用のコメントによると、唐沢俊一の書いた「鉱物マニア界ではさっぱりその理由が
わからず、みな首をひねっていたらしい」のような記述は、「『こちらの業界全体を世間知
らずのように言うとは、馬鹿にしていないか』と怒らせて」しまうようなものらしい。

……まあ、確かにセーラームーンなんて、ターゲット層の年頃の子どもをもつ親とかが、
あれこれ話題にしていたりした有名アニメだしなあ。「ここまで読んで理由がわかった方、
あなたはセーラームーン・オタクである」とか、いろんな意味でハズしているようなことを
書いているのが、ちょっと格好わるい唐沢俊一であった、ということで。


そして、2ちゃんねるのスレでも話題になった (Read More 参照) けど、下の引用でいう
「多くのそれほど高価でない宝石類が売れることになった」のはパワーストーンの流行の
影響だったりするわけで。それはセーラームーンよりも時期的に先行しているもの。

http://ja.wikipedia.org/wiki/パワーストーン
>歴史的には、古来から様々な民族のあいだで、貴石、宝石に特殊な力があると考えら
>れてきた。ヒスイはマヤ文明やアステカ文明では呪術の道具として用いられており、
>紫水晶は西洋では魔術や毒を防ぐ力をもっていると信じられていた。
>この宝石の力についての考えが1980年代初期のアメリカでのニューエイジムーブメン
>トに取り込まれ、石に癒し(ヒーリング)の力があると解釈されるようになった。このと
>き、特に癒しの力が大きいと考えられていたのが水晶である。「クリスタルパワー」とい
>う言葉が作られ、水晶による癒しの効果が説かれるようになった。
>これが1980年代後期から1990年代前期にかけてアメリカから日本に、主に占星術者
>の手によって紹介されると、日本にもパワーストーンブームが起こり、多くのそれほど
>高価でない宝石類が売れることになった。


まあ、ニューエイジ系のムーブメントがなくとも、半貴石は普通に宝飾品の材料としてよく
使われてきたものだし、海外SFにも、『時は準宝石の螺旋のように』 (ディレーニ) とかあ
るくらいだし。唐沢俊一はセーラームーンのみを過大に評価し過ぎというか、セーラーム
ーン以前には半貴石を含む鉱物は彼の視界に入っていなかったのかという疑問も少々。

何しろ、「ダイヤモンドは『炭素』の固まりである。」とただそれだけを、一行知識として、
同じ『トンデモ一行知識の逆襲』の欄外に書く
ような人だから……。

関連ガセビア
フランスではパールは 10 月の誕生石
天の光はすべて星、彼の雑学はすべて嘘
「あまりアテにはならないことは覚えておこう」の唐沢トリビア



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14:18  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

2009.08.22 (Sat)

芸ごとだかゲイごろだか洗脳セミナーだかわかったもんじゃないが……

裏モノ日記 2000年 02月 22日(火曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20000222000000.html

紅葉は最初、鏡花に“畠芋之介”というペンネームで書かせた。(バカ)と
同じである。イジメみたいなものだが、人格をある程度否定されたところ
からでなければモノは学べない。芸ごとってみんなそんなもんだ。

http://s02.megalodon.jp/2009-0822-2233-23/www.tobunken.com/diary/diary20000222000000.html

唐沢俊一改不了×× (←多過ぎて書ききれない)」のコメント欄に書いたものを、独立
したエントリーにしておくテスト。

唐沢俊一は、自分の脳内の尾崎紅葉が泉鏡花のペンネームを「畠芋之助」にしたのに
ならって、文豪気取りで弟子いじりをやっていたという話。

http://tondemonai2.web.fc2.com/27.html
>『トンデモ一行知識の世界』P.45 欄外
> ・泉鏡花がデビューしたとき、師匠の尾崎紅葉がつけたペンネームは
>  「畠芋之助」だった。

>泉鏡花は「畠芋之助」名義でデビュー作「冠彌左衞門」や「鬼の角」を発表しているが、
>この名前を「師匠の尾崎紅葉がつけた」という話は、捜しても見つからない。
>「泉鏡花」の名前は尾崎紅葉がつけたという話ならば見つけることができる。


「尾崎紅葉がつけたペンネームは『畠芋之助』」ということ自体がガセというだけでなく、
同じ『トンデモ一行知識の世界』に載っている別の一行知識 (これもガセビア) とも矛盾
している代物でもある。

http://tondemonai2.web.fc2.com/66.html
>『トンデモ一行知識の世界』 P.170 欄外
>・尾崎紅葉の弟子は樋口一葉や小栗風葉のように、皆、名前に「葉」の
> 字がついている。

>「皆」と言われても、まず唐沢俊一が同じ『トンデモ一行知識の世界』 の P.45 で、
>師匠は尾崎紅葉と紹介している泉鏡花 (畠芋之助) が該当しない。

>泉鏡花とともに紅葉門下の四天王と言われた徳田秋声にも「葉」の字はつかない。
>四天王の残り二人は小栗風葉と柳川春葉。



それにしても、「芸ごとってみんなそんなもんだ」って……小説などの文章を書き作品を
発表することを「芸ごと」というのも、何か間違っているような気がしてたまらないが。

しかも、唐沢俊一の場合、「芸ごと」というのは技術の伝承や切磋琢磨などではなく、
自分より下の立場の者をいびりぬく口実にするのだから、酷い。雑誌という媒体を使って
の根拠薄弱な個人攻撃の口実にすることもあったり。

参考:
そんな愛なんていらないというのを許さない人たちもいる
スモールサークルまたは破壊的カルトからの生還


それと、唐沢俊一のこの日の日記の続きを読むと、例によって時系列がおかしいのでは
ないかという問題が。

http://www.tobunken.com/diary/diary20000222000000.html

私の師匠の杉本五郎は人を叱ったりする人物ではなかったが、いわば
総領弟子にあたる並木孝(現・なみきたかし)という男が、それはそれは
徹底して人の人格を否定しまくる、すさまじい言葉いじめ人間であった。
神経症になって田舎に帰ったり、病院に通ったりした奴が何人もいた。
私は落語家の修行を知っているからさほど苦にはならなかったが、それ
でも何度もクヤシナミダで枕を濡らしたもの。あれを体験したからと言って
人生に何かプラスになるわけでは全くないが、人格を全否定され、プライド
を泥まみれにする経験を若いうちにするのは、決して無駄ではないと思う。
とにかく、そんな経験して立ち直れるのは若いうちだけなのだから。もっと
も、全ての芋之介が鏡花になれるわけではない。

http://s02.megalodon.jp/2009-0822-2233-23/www.tobunken.com/diary/diary20000222000000.html

「人格を全否定され、プライドを泥まみれにする経験を若いうちに」したあげく、それを
無駄にするどころか、虐待の連鎖へとしっかりいかしているのが唐沢俊一という人では
ないかとも思うが、おいといて。

参考:
せっかく猿から進化したんだからマウンティングへの固執もほどほどにね

唐沢俊一が「並木孝(現・なみきたかし)」と出会ったのは、『トンデモ創世記2000』の
記述を信じるとすれば、唐沢俊一が上京したての頃である。それなのに、「私は落語家
の修行を知っているからさほど苦にはならなかった」とは、唐沢俊一は高校生の頃には
すでに「落語家の修行を知って」いたのか、それとも話を聞いたり本で読んだりしていた
だけのことだったのだろうか。

『トンデモ創世記2000』 P.42 ~ P.43

唐沢● その日、下宿のおばさんが歓迎会をしてくれるって言うんだけど、
親戚の家に行くって適当にごまかして飛んでいって、『ベティ・ブープ』と
フライシャーの『バッタくん、町へ行く』を見て、愕然としましたよね。俺が
見てた日本映画って何だったんだって。長文の感想を書いて並木孝(現・
なみきたかし)という代表者に送ったんですよ。それから半月位経って、
お茶の水にあった電電ホールでの上映会で「あっ、君が唐沢君か」と出
会うわけです。その頃、アニドウが非常に上り坂で、


「その日」というのは、唐沢俊一のいう大学に「入学した日」のこと。

参考
Baby Betty Boop Boop a Doop

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23:19  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2009.06.10 (Wed)

現在のエジプトでは結婚のためには高額な結納金が必要

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.125 (表題)

最古の結婚証明書は紀元前五世紀頃の遺跡から見つかったもので
パピルスに次のように書かれていた。「健康な十四歳の少女と牛六頭
を交換する」。


×結婚証明書 ○結婚契約書

「紀元前五世紀頃」というのも多分ガセで、古くても紀元前四世紀頃と思われる。

「健康な十四歳の少女と牛六頭を交換する」と書かれた書類のことを、「新郎新婦が
サインする結婚の証明書」である結婚証明書というのは無理がある。

http://wedding.dictionarys.jp/結婚証明書.html
>結婚証明書
>教会式や人前式で、新郎新婦がサインする結婚の証明書。日本では特に証明書自体
>に法的な効力はなく、いわば儀式・演出のひとつで、記念の品としても人気がある。キ
>リスト教会式では神に婚約を誓い、新郎新婦と牧師がサインするのが普通。アメリカ
>などでは、これが公式な書類となり、役所でも通用する。
〈略〉
>フォーマットは、ホテル・式場内のチャペルにて教会式で行なう場合は、会場側が用意
>してくれている。人前式の場合は好きなものを用意するカップルが多い。ペーパーアイ
>テムのショップで多彩なデザインの結婚証明書を取り扱っている。


「牛六頭」とあるから結納みたいなものかとも思ったが、これも少々違うようだ。結納の
起源は平安時代の皇太子、中国の「礼記」など諸説あるが、紀元前のエジプトとは
いわれていない。結納自体、結婚にともなう儀式の一部または婚約のしるしではあって
も、結婚そのものの証明とはいいにくいし。

http://wedding.dictionarys.jp/結納.html
>結納の起源は約1,400年前の平安時代に遡る。仁徳天皇の皇太子(後の履中天皇)
>が羽田矢代宿禰の娘の黒媛を妃とされた際に納菜(絹織物・酒・肴)が贈られたと、
>日本書紀に記されており、これが結納の最古の記述とされる。
〈略〉
>3.中国の「礼記」の中に、婚礼に先立って行わなければならない儀礼として、納采(の
>うさい)・問名(もんめい)・納吉(のうきち)・納徴(のうちょう)・請期(せいぎ)・親迎(し
>んげい)の六礼がある。中でも納采は、媒酌人をもって婚姻の意思を通じさせた後に、
>男家から女家へ贈り物をして挨拶を行うもの。納徴は男家が嫁取りの代償として女家
>へ金品を贈り、婚約成立の証とするもの。これらの六礼が、日本の似通った習慣と結
>びつき、日本語に変化したものが結納の由来。


んで、古代エジプトのパピルスに書かれていたものは、下の引用のように「結婚契約書」
といいうべきだろう。プトレマイオス朝時代のパピルス文書には、裁判の記録や遺言書
など諸々の書類があるとのこと。

http://homepage2.nifty.com/t-nakajima/column50.html
>パピルス文書(パピルスもんじょ)
> パピルス草から作られたパピルス紙(単にパピルスともいう)に記された文書。パピル
>ス紙は羊皮紙、粘土板とともに古代における重要な筆記素材であった。
>〈略〉量的に最も多いのはプトレマイオス朝時代に記されたものを中心とするギリシア
>語文書で、これには哲学書、史書、文学作品、法令、裁判の記録、税務関係書、結婚
>契約書、遺言書などが含まれ、その中にはギリシア史研究に新しい光を与えた、新発
>見のアリストテレスの《アテナイ人の国制》のようなものもある。〈略〉(以上、世界大百
>科事典から)。


http://www2.plala.or.jp/Lian/bookindex/kenbunroku/4daibunmei/egypt.htm
>ボーデ博物館(ドイツ)の大エジプト展
>〈略〉
>契約書などの文書:2点(結婚契約書・裁判の記録)


- http://ja.wikipedia.org/wiki/ベルリン美術館

唐沢俊一の書いているように「牛六頭を交換」すると書かれているものがあるかどうかは
不明だが、「十四歳の少女」が結婚契約書に登場するのは、あり。ただし、プトレマイオ
ス朝の頃の話なら、唐沢俊一のいう「紀元前五世紀頃」というのは、なし。

http://www.geocities.jp/kmt_yoko/QandA-1.html
>E. リュデケンスの調査によると、プトレマイオス時代の結婚契約書から、女性は12~
>14歳ぐらいで結婚したことが知られています。


http://ja.wikipedia.org/wiki/プトレマイオス朝
>プトレマイオス朝は、古代エジプトのヘレニズム王朝(紀元前306年 - 紀元前30年)。

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09:15  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.05.20 (Wed)

多いガセも安心♪

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.104 欄外

・ユニチャームの高原慶一郎社長は問屋回りの際、自らナプキンを股間に
 はさみ、使用感の良さをアピールした。


×高原慶一郎 ○高原慶一朗

http://www.nikkeibook.com/writer/930/
>高原 慶一朗 (たかはら けいいちろう)
>ユニ・チャーム社長。1931年生まれ。53年大阪市立大学商学部卒業。61年に大成
>化工(株)(現、ユニチャーム)を設立し、生理用品と紙オムツの分野でトップシェアを
>持つまでに育て上げた。


そもそも生理用品のナプキンをつけることを、「股間にはさ」むというのだろうかとか、
「問屋回りの際」に「使用感の良さをアピール」って、「股間にはさ」んでいるところを
モロに見せるわけにもいかないだろうにとか、いろいろ気になる一行知識だ。

ググってみて見つかったブックレビューによると、ナプキンをつけて外出したのは「男性
営業職」。「使用感の良さをアピール」するためではなく、「自社製品の品質を確かめ」
るためとなっている。

http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4763197088
> それにしても男性営業職が ナプキンをつけて 外出することで 自社製品の品質を
>確かめたというエピソードは凄い。そういうことをさせる社長のリーダーシップと言って
>良い。


唐沢俊一の書いたトンデモ一行知識とは違って理屈の通った話だが、これはこれで、
なかなかインパクトのある話だなあとも思った。

このエピソードを含む高原慶一朗著『理屈はいつも死んでいる』の該当個所は、Amazon
の「なか見!検索」でも見ることができる。

『理屈はいつも死んでいる』 P.19
> たとえば、お客さまの使用感覚、その快・不快を肌で感じるために、紙おむつやナプ
>キンを、開発部員のみならず男性の営業マンが実際にズボンの下に身に着けてセー
>ルスの現場に出向く。そういうこともめずらしいことではありません。


ナプキンだけではなく紙おむつも対象。

唐沢俊一の一行知識を読んだ時点では、創業時に高原社長が、「私も今つけています
が、いいつけ心地ですよー」と問屋にセールストークしまくっていた姿が頭にうかんだが、
そんな奇人変人っぽいエピソードとはちょっと違っていた模様。

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2009.05.17 (Sun)

羚羊角 (レイヨウカク) の方がワシントン条約との関係が深そう

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.184

他に、牛黄、麝香などの高貴薬も含まれているが、これら動物性の成分は
ワシントン条約以降、安定した供給があやぶまれており、今後の成り行きを
見守りたいところだ。


ワシントン条約で規制されるのは「希少な野生動植物の国際的な取引」。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ワシントン条約
>絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ぜつめつのおそれの
>あるやせいどうしょくぶつのしゅのこくさいとりひきにかんするじょうやく、英:
>Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and
>Flora)とは、希少な野生動植物の国際的な取引を規制する条約である


昔の救心に含まれていたという「ヒグマなどの胆嚢を乾燥した熊胆(ユウタン)や、サイ
の角から採れる犀角(さいかく)」は、このワシントン条約の採択により、「動物胆(ドウブ
ツタン)や羚羊角(レイヨウカク)など」に置き換えられた。

http://www.suginamigaku.org/madein/06/01.html
>オスの麝香鹿の麝香腺分泌物・麝香(ジャコウ)、ウシの胆のう中に生じた「結石」を
>乾燥させた牛黄(ゴオウ)、
〈略〉
>1973(昭和四八)年3月3日に採択されたワシントン条約(「絶滅のおそれのある野生
>動植物の種の国際取引に関する条約」)により、発売当時『救心』に使用されていた
>ヒグマなどの胆嚢を乾燥した熊胆(ユウタン)や、サイの角から採れる犀角(さいかく)
>などは、動物胆(ドウブツタン)や羚羊角(レイヨウカク)など同等の効果があるものに
>代替された。


で、「牛黄、麝香などの高貴薬」のうち、麝香は「ワシントン条約以降、安定した供給が
あやぶまれており」という表現もまあわかるとして、牛黄の方はどうかなあと思う。

前述の通り、ワシントン条約は「野生動植物」が対象なので、ジャコウジカを飼育して
継続して麝香を摂取する分にはかまわない。ただ、「天然品が潤沢に採れるよう」な
「ジャコウジカの人工飼育や繁殖法」は現在研究されているところで、まだ「商業的な
需要を満たすには遠く及ばない」ような状況のようだ。

対して、「ウシの胆のう中に生じた『結石』を乾燥させた牛黄(ゴオウ)」が入手困難に
なり価格が高騰している理由は、救心のサイトの説明によると、「衛生環境の整備され
た牧場が多くなったため、更に胆石持ちの牛が少なく」なったためとのこと。牧場で飼わ
れている「胆石持ちの牛」からとっているなら、野生動植物が対象のワシントン条約は、
関係ないのではないかと。

http://www.kyushin.co.jp/about/syoyaku02_1.html
>ジャコウはこのように永く香りを留め、また他の香科の香りを保つ力があり高級な香水
>にはなくてはならない成分ですが、最近では合成品に置き換えられています。しかし
>ながら合成品は天然ものには及ばないといわれており、また、合成されたジャコウの
>香りであるムスコンのみでは医薬品としても利用できないため、天然品が潤沢に採れ
>るようジャコウジカの人工飼育や繁殖法が研究されています。


http://ja.wikipedia.org/wiki/麝香
>麝香の採取のために殺されたジャコウジカはかつては年間1万から5万頭もいたとされ
>ている。 そのためジャコウジカは絶滅の危機に瀕し、絶滅のおそれのある野生動植
>物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)によりジャコウの商業目的の国際
>取引は原則として禁止された。 現在では中国においてジャコウジカの飼育と飼育した
>ジャコウジカを殺すことなく継続的に麝香を採取することが行なわれるようになってい
>るが、商業的な需要を満たすには遠く及ばない。 そのため、香料用途としては合成香
>料である合成ムスクが用いられるのが普通であり、麝香の使用は現在ではほとんどな
>い。


http://www.kyushin.co.jp/about/syoyaku03_1.html
>牛黄をもった牛は千頭に一頭といわれ、最近では衛生環境の整備された牧場が多く
>なったため、更に胆石持ちの牛が少なくなり、市場での価格は中級品でさえ一グラム
>千数百円と、ほとんど金の価格に近づいています。


その他参考 URL:
- http://www8.cao.go.jp/jyouhou/tousin/h16-12/569.pdf

関連ガセビア:
がまの油が同じでもねえ……の救心と長命丸
早漏防止なんて試していないんでしょう、唐沢俊一先生?
求心力のある広告とか

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22:19  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.05.16 (Sat)

眠田直が描いた大谷育江はあんまり似てないような気が……

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.135

英語版の「ポケットモンスター」でも
ピカチュウの声だけは吹き替えられて
はおらず、そのままである。

したがって世界一メジャーな
日本女優は“ 大谷育江”となる。


ピカチュウの声が外国人声優によって吹き替えられていない――ということから、どうして
「世界一メジャーな日本女優は“ 大谷育江”」って結論にならなければいけないのかは、
意味がよくわからないんだけど。

Wikipedia によると、確かにピカチュウのおかげで声はよく知られているけど、名前は
そんな売れていない模様。「世界一メジャーな日本女優」というのは、ちょっと苦しい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/大谷育江
>ピカチュウの声は世界共通であるため、海外でも声が知られており、「大谷育江」と
>いう名前は知らなかったとしても、「ピカチュウの声の人」と言えば通じることが多い。


「ピカチュウの声だけは吹き替えられてはおらず」の「だけは」というのは間違いで、
トゲピー (英語の表記だと Togepi か Togepy) の声優こおろぎさとみの声も、英語版
アニメでそのまま使用されている。

http://www004.upp.so-net.ne.jp/pandespebo/Animation/POCKET_MONSTER_ENCORE.htm
>ポケモンの声については、ピカチューとトゲピーが日本での放送のまま。基本的に
>呼び名が日本での放送のときのままのポケモンについては、その鳴き声は日本での
>声をそのまま採用している。例外は、人語をしゃべるポケモン。つまりチーム・ロケット
>のしゃべるニャースは吹き替えられている。英語でしゃべる必要があるから当然だぁね
>(笑)。


http://www.pokezam.com/anime/episodes/challenge/321.php
>Misty's Togepi evolves into Togetic, whose voice is of the Japanese original voice

http://ja.wikipedia.org/wiki/トゲピー
>声優はこおろぎさとみ。

それと気になるのは、ピカチュウの声は常に大谷育江ではなく、Rachael Lillis が担当
するものもあるようだということ。

http://voicechasers.com/database/showprod.php?prodid=21
> Pikachu Rachael Lillis  PokÈmon, I Choose You!"
>       Ikue Ohtani   (Episode 2-current)

> Togepi  Satomi Koorogi


追記: コメント欄の指摘を受けて、「こおろぎひとみ」の入力ミスを「こおろぎさとみ」に訂正。



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19:34  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

2009.05.10 (Sun)

「男と女」はダバダバダ、11PM はシャバダバダ

「裏モノ日記」 2009年 05月 04日(月曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20090504131118.html

シャンソン歌手・俳優の高英男、死去、90歳。
『枯葉』などシャンソン歌手として日本を代表する一人で、
『雪の降る街を』などのヒット曲も持つ人だったが、
何故か佐藤肇の『吸血鬼ゴケミドロ』、石井輝男の『恐怖奇形人間』
と日本を代表するカルト映画の二本に出演し、怪優として名を
残している。

化粧して(メイクではなく、目バリを入れたりする正当な化粧)
ステージにあがることでも知られ、美輪明宏とここらはいい
コンビであった。そう言えば『ゴケミドロ』の併映は美輪の
『黒蜥蜴』であったとか……
すごいな、観客にトラウマを与えようという悪意があるとしか思えない。

美輪の恋人は三島由紀夫だったが、対して高のそれは挿絵画家の
中原淳一であり、その関係は三島と美輪よりずっと深く、生涯に
わたるパートナーだった。中原は高の舞台衣装をデザインし、
歌うシャンソンをいくつも訳詩してやっていた。
〈略〉
日本人離れした容貌と、狂気を含んだ眼。
『ゴケミドロ』での、吸血生物に身体を乗っ取られる殺し屋、
『奇形人間』での、半裸の女精神病患者たちを嬉々として鞭打つ看守など
グロテスクな映画にばかり好んで出演した(実際、これらの役を演じる
のはとても嬉しかったらしい)のは、同性愛という、精神的には
どこまでも純粋で美しくあるが、しかし第三者の眼から見れば(高が
同性愛者として生きた当時は殊に)グロテスクに映ってしまう世界に生きる
ものの、半ば自虐的な自己表現だったのかもしれない、と思う。

コサキンがネタにしていた『男と女』の
「♪ダ~バ~ダ、シャバダバダ、シャバダバダ……」
は昭和期にはオトナの愛のメロディの定番だったのだよ。
また、昭和を彩ったユニークな才能が一人、逝った。
黙祷。

http://s02.megalodon.jp/2009-0510-1203-59/www.tobunken.com/diary/diary20090504131118.html

結構、無茶苦茶なことを書いている日記。

「メイクではなく、目バリを入れたりする正当な化粧」というのが、まずわけがわからなく
て……Wikipedia のいう「中原淳一の発案で、男性版宝塚を想定したもの」をとるならば、
唐沢俊一のいう「メイクではなく」というのは意味不明。想像するに、唐沢俊一は、歌舞伎
の目張りを想定していたのではないか。もちろん、高英男が、歌舞伎の化粧をしていた
わけではないけれど。

http://ja.wikipedia.org/wiki/高英男
>あの独特の化粧は中原淳一の発案で、男性版宝塚を想定したもの。化粧をした日本
>人初の男性歌手と言われているが本人は否定。「みんな多かれ少なかれやってたよ」
>との談。ただし、あれだけの舞台化粧は、先には田谷力三(浅草オペラ出身なので)、
>後では美輪明宏など数えるほどしかいない。


そして、「『ゴケミドロ』の併映は美輪の『黒蜥蜴』であった」というのはまあよいとして、
何もそれを、「すごいな、観客にトラウマを与えようという悪意があるとしか思えない」
などと書かなくとも……。

映画自体が怖い『ゴケミドロ』はともかく、併映の『黒蜥蜴』はトラウマ必至の話とは
いえないし、主演の美輪明宏 (この映画の頃は本名の丸山明宏を名のっていた) は
まだ若く、かなりの美形だった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/高英男
>個性を買われ、俳優として石井輝男作品にギャング役などで多数出演。また宇宙人に
>憑依される凄腕殺人スナイパーを怪演した「吸血鬼ゴケミドロ」は、海外でも公開され
>た。
〈略〉
>公開当時、「吸血鬼ゴケミドロ」の併映作品は「黒蜥蜴」であり、美輪と高が楽屋で
>あったときに「何、女演ってんだい」「な~に、そっちこそ、オバケ演っちゃって~」と
>言い合ったそうである。


https://redhotchilipeppersfan.g.hatena.ne.jp/kikumimiariari/20070405
>今じゃ自称ピカチュ―頭のミワッチは、黒髪でスタイル抜群で
>60年代の香りを漂わせながらも、ヨーロピアンないでたちで
>1時間半、スクリーンに釘付け状態。

( ポスター画像: http://f.hatena.ne.jp/kikumimiariari/20070406004244 )

「美輪の恋人は三島由紀夫だった」は、2ちゃんねるのスレでも「要出典」などと突っ込み
が入っている (Read More 参照)。

Yahoo 知恵袋の回答なんかには、美輪明宏が三島由紀夫の恋人と、あっさり断言して
いるものもあるが、出典は不明。美輪明宏本人が、テレビその他で、恋人だったと明言
していたという話も聞かないんだけど……。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1115690951
>が!当時の恋人 美輪明宏の証言も興味深いので記述します。
>美輪が三島と会った時、後ろに誰か立っていたそうです。
>三島が思い当たる人物の名を言い、ある人物の名前を告げるとスーっと消えたそうです。
>その人物は二二六事件の首謀者の一人 磯部浅一です。
>それを知ると三島は「俺の命も長くないなあ~」と語ったそうです。


参考 URL:
- http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1323696388
- http://www.asyura.com/sora/bd4/msg/426.html
- http://nw2.blog112.fc2.com/blog-entry-632.html

それにしても、同性愛がグロテスクとは思わないが、「同性愛という、精神的にはどこ
までも純粋で美しくある」と、どさくさにまぎれてポエムってしまう 50 男は、悪い意味で
グロテスクな存在と思う。そのポエムと、「第三者の眼から見れば(高が同性愛者として
生きた当時は殊に)グロテスクに映ってしまう世界」というのをベースに「半ば自虐的な
自己表現だったのかもしれない」と書かれても、なあ。

http://blog.goo.ne.jp/hakodatenoshito0303/e/0a6b4b749be1f8d50ebfa8c0a488d84d
>>戦後の私の少女時代、中原淳一さんの発行していた雑誌、ひまわり、ソレイユ等に
>も高さんはモデルでも出ていられました~~十代の美輪明宏さんも~~

>中原さんの理想の男性像だったようですね、高さんは。星の王子様(三遊亭円楽師匠
>ではなく)の愛称もあったとか…当時の舞台も華やかなモノだったのでしょうね。


そもそも、高英男が「グロテスクな映画にばかり好んで出演した」からして、単なる事実
誤認ではないかと。『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』 (1969)、『吸血鬼ゴケミドロ』
(1968) だけが彼の出演作ではない。

http://movie.goo.ne.jp/cast/109849/
>やくざ刑罰史 私刑(1969)
>江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(1969)
>吸血鬼ゴケミドロ(1968)
>大悪党作戦(1966)
>特別機動捜査隊 東京駅に張り込め(1963)
>十一人のギャング(1963)
>狙い射ち無頼漢(1962)
>ギャング対ギャング(1962)
>男の挑戦(1960)
>お転婆三人姉妹 踊る太陽(1957)
>ジャズ娘乾杯!(1955)
>ジャズ・オン・パレード1954年 東京シンデレラ娘(1954)
>青春ジャズ娘(1953)
>紅椿(1953)


Wikipedia にも「俳優として石井輝男作品にギャング役などで多数出演」と書かれて
いるんだけどなあ。

そして、唐沢俊一の日記を読んで、個人的に一番気になったのが、『男と女』の歌を、
「♪ダ~バ~ダ、シャバダバダ、シャバダバダ……」と表記していること。

高英男は「ダバダバダ ダバダバダ」と歌っている。「シャバダバダ」では、ない。

http://blog.goo.ne.jp/hakodatenoshito0303/c/6f1b225dfb7aba0d37e84819bebb0c64
>♪き~こえルダバダ ダバダバダ~ で、ラジオ番組「コサキン」リスナーには御馴染
>みの1曲。原曲はフランシス・レイ。フレンチ・テイスト溢れるシャレたバージョンと、妖
>怪変化全開なヴァージョンの二つの録音が存在するが、CD化されているのは後者のみ。


http://kotonoha.cc/no/106725
>男と女なら「ダバダー ダバダバダ ダバダバダ」

http://www.youtube.com/watch?v=j8ZrcRNlPfY




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2009.05.08 (Fri)

シンデレラ城ミステリーツアーは 2006 年で終了

『トンデモ一行知識の逆襲』 裏表紙

東京ディズニーランドのシンデレラ城は大阪城と同じ五十一メートルである。


×大阪城と同じ ○大阪城よりやや低い

今話題のディズニーのネタということで (?)。『トンデモ一行知識の逆襲』の裏表紙には、
この一行知識が書かれているが、本文中には見つからなかった。見落としならスマソ。

東京ディズニーランドのシンデレラ城は 51 メートルで正しいとして、大阪城の方は
54.8m といわれているので、「シンデレラ城は大阪城と同じ」ではない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/シンデレラ城
>シンデレラ城(Cinderella Castle)は、東京ディズニーランドのシンボルであるランド
>マーク。 最高地点の高さは51メートルで、頭頂部には園内業務用無線のアンテナが
>設置されている。


http://www.dreamagic.jp/tdl/walk/cindellerascastle.html
> 東京ディズニーランドの象徴「シンデレラ城」は、東京ディズニーランドのほぼ中央に
>そびえる高さ約51メートルのお城。


http://ja.wikipedia.org/wiki/大坂城
>建物は、徳川大坂城の天守台石垣に新たに鉄筋鉄骨コンクリートで基礎をした上に、
>鉄骨鉄筋コンクリート造にサスペンション工法を用いて建てられた。高さは54.8メートル
>(天守台・鯱を含む)。


http://books.google.com/books?id=lih0-QeXjJIC&pg=PA99&lpg=PA99&dq=大阪城の高さ
>天守閣建物の高さ 54 ・ 8m


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2009.05.04 (Mon)

本当だとしても、どこに面白さを感じてよいかわからないネタですが

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.125 欄外

・秋篠宮妃紀子様の卒論のタイトルは「認知地図の成立に関する規定
 要因について」。


×「認知地図の成立に関する規定要因について」  ○「環境心理」

1 年近く前に2ちゃんねるのスレに書き込んで (Read More 参照)、放置していたネタ
だけど、まあそのときにも書いた通り、読売新聞の1989 年の記事の方を信じましょう
ということで。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/impr/0609article/fe_im_89082603.htm
> 大学は文学部に進み、心理学を専攻した。社会心理学のゼミに属し、卒業論文は
>「環境心理」。


こういうのも↓あるにはあるけど。

http://www.nichigai.co.jp/news/wadai/akishino.html
>専攻は社会心理学で、卒業論文は「認知地図の成立に関する規定要因について」。

1 年前は、「"認知地図の成立に関する規定要因について"」でググると、2ちゃんねるの
皇室ネタのスレが、そこそこヒットしていた記憶がある。しかし、今回やってみたら、上に
引用した日外データベースのページを含めて結果に表示されなくなっていて、唐沢俊一
スレの過去ログ
を入れてわずか 3 件のみに減っていた。


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12:32  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.05.03 (Sun)

「 本草綱目」によると真珠は目を治し肌に潤いを与え皮膚を滑らかにする

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.184

 面白い成分としては、真珠が七・〇ミリグラム(六粒中)含まれているのが
目につく。


× 七・〇ミリグラム  ○ 七・五ミリグラム

まあ 0.5mg の差という小ネタで、唐沢俊一は数字に弱いからなあと、ふと思って確認
してみたら……という話。

http://www.kyushin.co.jp/bland/01.html
>成分 (6 粒中)
〈略〉
>真珠(シンジュ)--------------7.5mg

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