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2012.01.14 (Sat)

ガキの使いでもガセ? < 尿道にライフルまたはスクリュー

唐沢俊一は大晦日の夜にガキの使いに出演するか」の続きまたは後日談。

結局、大晦日には唐沢俊一の出演した部分は放映されなかったが、1 月 13 日に『ガキ
の使いSP 完全版!!絶対に見逃してはいけない空港』の方には、少し出ていた模様。

これについては、2ちゃんねるのスレでも話題になって (Read More 参照)、個人的には
以下の書き込みとかが気になった。

http://toro.2ch.net/test/read.cgi/books/1325472788/851
>851 :無名草子さん:2012/01/13(金) 20:32:58.88
>面白くも無いし、放送された雑学は3つ
>「飛行機は森鴎外」「尿道にスクリュー」「シマウマはワンと鳴く」
>って雑学は唐沢の本ではなく、
>トリビアの泉で放送済みの雑学ばかりだよ。


で、トリビアの泉で放送済みの雑学かどうかを含めて調べてみた。雑学部分については、
唐沢俊一blog」の「唐沢俊一、『絶対に見逃してはいけない空港24時』に登場。」から
孫引用。


まず「飛行機は森鴎外」から。

http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20120113/1326462635
>(1)「飛行機」という言葉を発明したのは森鴎外である。

「飛行機」という表記を確認できる一番古い文書が森鴎外の「小倉日記」なのは確かな
ようだが、「『飛行機』という言葉を発明したのは森鴎外」とまとめてしまうのがよいかどう
かは少し微妙。

http://www.asahi.com/special/wrightbrothers/TKY200311190212.html
>「飛行機」初訳者は鴎外? ライト兄弟飛行の2年前
〈略〉
>鴎外は著作で飛行機に触れたり、独の戯曲を「飛行機」と改題して訳したりしている。
>村岡さんがさかのぼってみると、「小倉日記」の01年3月1日付に「飛行機の沿革を
>説く」とあるのが初出だった。飛行する機械をつくりたい、と訪ねて来た青年発明家・
>矢頭(やず)良一に、留学時代に知った開発の歩みについて熱っぽく語ったことを記し
>た部分だ。
〈略〉
>英語ではエアプレーン(空の板)だが、独語ではフルークツォイク(飛行道具)。村岡
>さんは鴎外がこちらを念頭に訳したとみる。他の訳に「空中翔機械」「飛空機」「浮空
>機」なども登場したが、「代表的知識人だった鴎外の訳だからこそ、『飛行機』が定着し
>たのでは」という。
>(03/04/12)


上に引用の朝日の記事は、「初訳者は鴎外?」と「?」つきになっているが、疑問符付き
なのもある意味納得というか、森鴎外を訪問して話をしていた矢頭良一が「飛行機」だと
いっていたんじゃないのか、その場合「『飛行機』という言葉を発明したのは森鴎外」といっ
てよいのかという素朴な疑問がわいてくる。

んで、矢頭良一に先行する二宮忠八が、「飛行器」という命名をすでにおこなっていたと
いう話を読むと、「言葉を発明したのは森鴎外」というのは、さらに微妙になってくるような
気がしてくる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/飛行機
>現在の日本語の表記である「飛行機」という言葉は、森鴎外が「小倉日記」1901年
>(明治34年)3月1日条に記したのが初出だとされる[3]。
〈略〉
>3. ^ この日、森(当時、第12師団軍医部長)を訪問した矢頭良一が「飛行機の沿革を
> 説く」とある。矢頭良一より早く飛行機の研究を行った二宮忠八は「飛行器」の表記を
> 用いていた。


http://ja.wikipedia.org/wiki/二宮忠八
>陸軍従軍中の1889年「飛行器」を考案。翌年にゴム動力による「模型飛行器」を製作、
>軍用として「飛行器」の実用化へ繋げる申請を軍へ二度行うも理解されず、以後独自
>に人間が乗ることのできる実機の開発を目指したが完成には至らなかった。なお「飛行
>器」とは忠八本人の命名による[注 1]。
〈略〉
>1.^ 「飛行機」という用語は森鴎外が1901年の日記に使用したのが最初の用例である
> とされる。


個人的には、「『飛行機』という言葉を発明したのは森鴎外」というより、二宮忠八の発明
した「飛行器」という言葉の、「器」を「機」に変更した表記を定着させた人が森鴎外という
ふうに思うけど、まあそのあたりの感じ方については人それぞれということで。

「トリビアの泉」でこの話をやっていたとしたら、どういう表現をしていたのだろうと思って
ちょっとググったけど、森鴎外の「飛行機」ネタについては見つからなかった。森鴎外関連
で見つかったのは以下の 3 つ。他にもあるかもしれないけど。

http://www.oride.net/trivia/trivia297-308.htm
>No.300 森鴎外の好物は饅頭茶づけ(番組評価 74/100へえ)
>森鴎外(1862~1922)は明治時代の末期に活躍し「舞姫」や「山椒大夫」など数多くの
>作品を残した文豪です。甘いものが好きで、中でも饅頭が大好物でした。饅頭茶漬け
>は鴎外のオリジナル作品で、食べ方は鴎外の長女の森茉莉(もり・まり)の著書「記憶
>の絵」の中に「饅頭を4つに割ってご飯の上にのせ、煎茶をかけて美味しそうに食べ
>た」と記されています。味は著書の中に「渋く粋な甘味」と書かれています。饅頭はほぐ
>してお召し上がりください。


http://www.oride.net/trivia/trivia400-407.htm
>No.400 森鴎外が初孫につけた名前は「森マックス」(番組評価 71/100へえ)
>森鴎外の長男である森於菟(もり・おと)の著書「父親としての森鴎外」の中に書かれて
>います。真章(マックス)という名前は、森鴎外がドイツで学んでいたマックス・フォン・
>ペッテンコーフェル先生からとってつけました。子どもたちに洋風の名前をつけたのは
>鴎外自身がドイツで生活していたときに「森林太郎」という本名で不自由したからである
>ことと、ドイツなど西欧に対する興味からと言われています。


http://www.oride.net/trivia/trivia.htm
>No.794 森鴎外の「大発見」という作品には「ヨーロッパ人も鼻クソをほじる」と書いてあ
>る(番組評価 67/100へえ)
> 森鴎外(1862~1922)の作品をまとめた「鴎外全集」の「大発見」という作品の結論に
>「僕は謹んで閣下に報告する。欧羅巴人も鼻糞をほじりますよ。」とあります。鴎外は衛
>生学を修得するためにドイツに留学しましたが、その際にドイツ公使に「鼻クソをほじる
>日本人に衛生学もあるか」と罵倒されました。鴎外は「ヨーロッパ人も鼻クソをほじるは
>ずだ」とドイツ留学の3年間、鼻クソをほじるヨーロッパ人をひたすら探し続けました。結
>局見つけることはできませんでしたが、あきらめきれなかった鴎外は20年以上経ったあ
>る日、デンマークのグスタフ・ウィードによって書かれた「2×2=5(和名:ににんがご)」
>という書物の中で「彼はをりをり何者をか鼻の中より取り出している」という記述を見つ
>け、明治42年(1909年)に「大発見」を発表しました。この時の喜びを「キュリー夫人の
>ラジウム発見やコロンブスのアメリカ大陸発見に匹敵する大発見だ」と自画自賛してい
>ます。記述を見ただけであって、実際にその様子を鴎外が見たわけではありません。


ちなみに、鼻クソの「大発見」の件は、唐沢俊一のお気に入りのトリビアで、著作でも目に
した覚えがあるし、裏モノ日記にも言及がある。

http://www.tobunken.com/diary/diary20030615000000.html

先ほど鼻毛を切って血を出した件のことを記したが、西洋人がはたして
ハナクソをほじるか、という問題を大まじめに追求した『大発見』はやは
実に面白い。




次に「尿道にスクリュー」。

http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20120113/1326462635
>(2)男性の尿道にはライフルが切られている。

以下の知恵袋の質問にある「今日、テレビの雑学で」というのは、日付から判断するに
『ガキの使いSP 完全版!!絶対に見逃してはいけない空港』のことだとは思うんだけど、
何か回答が意味不明で、こちらも質問者同様「よくわかりませんでした」という気持ちに
なってくる。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1279331252
>尿道はスクリューの形状なのですか
>今日、テレビの雑学で上記のようなことを言っていました。
>そこで私なりに調べてみたのですが、よくわかりませんでした。
>スクリュー状ってどんななのでしょうか。男も女もですか。
〈略〉
>質問日時:2012/1/13 22:24:23
〈略〉
>そうです。男女共です。
>たまにボケ老人は逆回転しちゃいますから湯船では体が膨らんでシワがなくなるそうで
す。
>ヘルパーが引っ叩くと正常に回転し元に戻ります。


この「尿道にライフル」も唐沢俊一お気に入りのネタらしく、『ウラグラ! ベスト・オブ・裏
モノの神様』でも使っていた。

『ウラグラ! ベスト・オブ・裏モノの神様』 P.195 ~ P.196

神●観察力こそ裏者の基本じゃぞ。よいか、今度トイレでじっくり観察して
みなさい。キトうの先から出る小水はホースの先をつぶして水をまいている
ときのように平たくなり、しかも尿道口から約1センチのところで1回、ヒネリ
が加わっておる。
唐●え? そうなんですか? ちょっと待っててください(トイレへ行き、しば
らくして急いで帰ってくる)……いやあ、ホントだ! 驚きましたね、オシッコ
にヒネリが入っているなんて初めて知りましたよ! なんでこんな具合に
なるんです?
神●その秘密は、尿道にライフル(腔綫と呼ばれる螺旋状のミゾ)が切って
あるからじゃ。これによって小水ははまっすぐに飛び、かつ尿道口が平たい
形なので、ホースをつぶしたときのように、遠くまで飛ぶ。


ちなみに、「トリビアの泉」では、以下のように取りあげられたらしい。

http://www.oride.net/trivia/trivia489-496.htm
>No.496 成人男性のおしっこは出て2cmのところで180°回転している(番組評価
>65/100へえ)
>成人男性が尿を出すスピードは平均で秒速20ml前後、尿道の直径は平均8mmです。
>この条件が重なると放尿して2cmのところで180°回転します。これは表面張力と地球
>の重力のためと考えられていますが、詳しいことはいまだに解明されていません。


で、唐沢俊一は「尿道にライフル(腔綫と呼ばれる螺旋状のミゾ)が切って」とか書いて
いたが、「腔綫」も「ライフル」も「発射弾に回転運動を与えるために、銃身・砲身の内面に
らせん状につけた溝」とのことで、尿道の溝を指し示す言葉ではないようだ。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/0/0na/06104800/
>こう‐せん〔カウ‐〕【×腔線/×腔×綫】
>発射弾に回転運動を与えるために、銃身・砲身の内面にらせん状につけた溝。ライフル。


では、尿道の溝は、専門用語 (?) では何というのか気になって調べたけど、Wikipedia の
「尿道」の項を見ても、よくわからない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/尿道
>尿道には、膀胱を出たあと、尿道周囲の筋肉が発達して、内部の尿の通行を妨げる尿
>道括約筋がある。この筋は随意筋で、意識的に尿を我慢するときに用いられる。
>尿道の壁の構造は、内側に、粘膜があり、その外に主に2層の平滑筋が存在するのが
>基本であるが、男性の尿道海綿体内では平滑筋層は明確ではない。尿道内部の壁の
>潤滑剤としての粘液を分泌する尿道腺と呼ばれる小型の分泌腺が多数存在し、尿道
>の内壁を湿らせている。内側の粘膜は、女性では、膀胱のごく近くでは、膀胱と同じ移
>行上皮であるが、それ以外のほとんどは重層扁平上皮である。一方、男性尿道では、
>膀胱の近くでは移行上皮、その後、前立腺内を通るときは前立腺の上皮と同様の多列
>円柱上皮となり、陰茎内では、独特の重層円柱上皮、亀頭部で重層扁平上皮と、様々
>に形を変える。


そして、さらに探していくと、以下のようなブログの記事を発見。

http://kklabo.ti-da.net/e3118368.html
>高校生の時、まだまだうぶな学生の頃の話。
>先生が、男のおしっこが綺麗にまっすぐ前に飛ぶ理由は拳銃と同じであると話してました。
>尿道内にはライフリング構造があり、おしっこも回転しながら飛び出すので、まっすぐに
>飛んで行くと。
>そして、尿道の病気になると、その螺旋構造が破綻し、乱流が発生し、おしっこが飛び
>散る様になると。
>学生の頃はこの話を聴いて、人間の尿道スッゲー! と感動してました。

>それから10年たち、泌尿器科医になり、膀胱や尿道の中を内視鏡で日常的に見る様に
>なりました。
>そして、さらに10年以上、尿道の中を見続けてきました。
>が、尿道の螺旋構造は見あたりません。
>尿道内はツルンとした単なるホースで、おしっこが回転しながら進む様な構造は全くあ
>りません。
>間違いありません。(たぶんね)


え? と思ったけど、「10年以上、尿道の中を見続けて」きた泌尿器科医の人のいう「尿道
の螺旋構造は見あたりません」に「尿道内はツルンとした単なるホース」は説得力がある
し、先の Wikipedia の記述や、「トリビアの泉」では「表面張力と地球の重力のためと考え
られていますが、詳しいことはいまだに解明されていません」と説明されていることとの
整合性もとれる。

つまり、「男性の尿道にはライフルが切られている」は多分ガセ、ということで。


最後の「シマウマはワンと鳴く」だけはマトモっぽい。

http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20120113/1326462635
>(3)〈略〉唐沢は「シマウマは“ワン”と鳴く」という雑学を披露。

http://blogs.yahoo.co.jp/sayakaxx21/29979334.html
>NO.285 シマウマは「ワン」と鳴く。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1148610056
>シマウマって「ワン」と鳴くと 聞いたのですが、本当でしょうか?
〈略〉
>質問日時:2010/10/13 17:33:44 解決日時:2010/10/16 14:03:19
〈略〉
>確かに「ワン!ワン!ワワン!」と鳴きますよw
>初めて聞いた時には思わず笑いました(^ω^)
http://www.youtube.com/watch?v=kZQLVyooScw


上のリンクは音声だけなので、シマウマの画像つきのものを YouTube からいくつか。

http://www.youtube.com/watch?v=1WOU1PcDOdQ
>Calling Zebra

http://www.youtube.com/watch?v=LQcx8C8Aj_g
>Zebra Noise

http://www.youtube.com/watch?v=w0nOXL8taOw
>Zebra making noise!

さらに探してみると、元ネタらしいものも見つかった。

http://www.e-mimi.com/5_links/14.html
>シマウマの鳴き声を教えてください >>
http://www.jazga.or.jp/jazgaqa/qadata/qa172.html
>「ほとんど鳴くことはありませんが、子どもが群れからはぐれたとき、母親が子どもを呼
>び戻すために鳴くことがあります。イヌに似た鳴き声で「ワン、ワン」または「ホワン、ホ
>ワン」と鳴きます。」


http://www.jazga.or.jp/jazgaqa/qadata/qa172.html はリンク切れで、このページ自体は
WebArchive にも残っていないけど、目次に当たる
http://web.archive.org/web/19990209032526/http://www.jazga.or.jp/jazgaqa/qaruibetu.html
はあった。1999 年の時点では、すでにネット上にアップされているネタというところまでは
さかのぼれた、ということで。

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2011.12.18 (Sun)

下北沢で一番小さな劇場は……?

時間修正作戦以前に、いろいろ修正した方がよいことがあるのでは
キャスティング 8 割なら脚本は何割? の『タイム・リビジョン 時間修正作戦』
当て書き、ただし、主役以外
小劇場イコール笑劇場とはかぎらないですよね……?
二重投稿大ウケ! (って程でもないけどまあ一応)

の続き。

http://www.tobunken.com/news/news20111208105803.html

イベント
2011年12月8日投稿
初日あけました!
〈略〉
本当にたくさんの皆様にご来場いただき、ありがとうございます。
セリフ飛び、暗転ミス、テンポ不合と、初日にありがちなミス
をフルでやっていたような気もしますが(笑)、まあ役者たち
も頑張ってくれました。


「セリフ飛び、暗転ミス、テンポ不合」の初日の次は、「二重投稿大ウケ! (って程でも
ないけどまあ一応)
」であり、「さて、やっと心理的には初日、という感じ」の二日目がきて、
その次に「中日(なかび)の中は中だるみの中」の三日目日がきた、と。……何だかなあ。

その中だるみの内容とは、以下に引用の通り、「ベテラン陣がミスしたり噛んだり、あと、
新人さん二人はちょっとやりすぎが垣間見えたり」とのことだが、これって「ベテラン陣」と
「新人さん」が逆ならまだわかるんだけど……。「ミスしたり噛んだり」はしなかった「新人
さん二人」の方が、「ベテラン陣」よりも優秀っぽく読めてしまうけど、よいのだろうか。

http://www.tobunken.com/news/news20111210115116.html

イベント
2011年12月10日投稿
中日(なかび)の中は中だるみの中。

おかげさまで好評の『タイム・リビジョン/時間修正作戦』、
三日目の昼夜公演で中日、折り返し点を過ぎました。
そろそろ全員セリフも動きも完全に入って、あとはよくなっていくだけ……
かと思うと、そこで必ず中だるみというのは起こるものです。
ベテラン陣がミスしたり噛んだり、あと、新人さん二人はちょっと
やりすぎが垣間見えたり。
そこを念入りに開演前の緒注意でツブしていく。
公演が始まってからの演出チームはリペア(修理屋)になります。

SF色の高い芝居のため、一般のお客様でちょっとついて来にくかった
方もいた模様。とはいえ、アンケートの
「元気をもらいました」
「ストーリィ作りの勉強になりました」
「よくこんな役柄にぴったりの役者を揃えたもんだ」
というような言葉は実にうれしいものです。

今回、役者もがんばっているのだが、それとは別に実にありがたい、
得難い存在と思っているのが受付のYさん(島さんのご友人)。
ご自身も演劇の経験があるので、状況把握が早いし、受付作業に何が
必要かを全部わかってくれている。こっちが説明しわすれた、招待ワクや
スタッフなどの扱いも現場判断でほぼ、ノーミスでやってくれている。
売上金をまとめた封筒には、ちゃんと前売、当日、招待等の分類集計
がなされており、アクシデントに関しての簡潔な説明も添付されていて、
ほとほと感心しました。
この人がいなかったら、現場の混乱はひどいものになっていたでしょう。
影の功労者だと秘かに感謝です。

さて、いよいよあと二日間、四ステを残すのみになった『タイム・リビジョン
/時間修正作戦』。

当日でも、受付でYさんに「唐沢のmixiを見た」とおっしゃっていただければ
前売料金で入れます!


×リペア(修理屋)になります
○リペア(修理)が仕事になります または リペアラー(修理屋)になります
×「唐沢のmixiを見た」 ○「唐沢のmixiを見た」か「唐沢のホームページを見た」

まあ、「リペア(修理)」ならよいけど、「リペア(修理屋)」というのは、和製英語としても
ないでしょうということで。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/3/2ss/106020/
>しゅうり 【修理】
>repair(s)(※「修理作業」の意では通例~s); fixing;(主に衣類の)mending.
> 修理工
> a mechanic; a repairer.


「『唐沢のmixiを見た』とおっしゃっていただければ前売料金で入れます」の方は、mixi
ではなくサイトの方を見たお客予備軍に、自分は対象外かと思わせる可能性が高い
かと……。本当に mixi をやっている人だけが対象のつもりだったのなら、サイトの方に
アップするときに削除するべきだっただろう。まあ、次の「2011年12月11日投稿 4日目
完成形!
」では、「唐沢から、と言っていただければ前売料金で入れます。」に訂正 (?)
されていたし、元々 mixi だけのつもりはなかったのだろうと思うけど。

だいたい、こっちのコメント欄にも書かせてもらった通り、「こっちが説明しわすれた、招待
ワクやスタッフなどの扱い」なんてものは、もしも唐沢俊一の当初の目論見とは違った
扱いがあったとしても、それは「説明しわすれた」唐沢俊一のミスでしかないではないか。
それを「ほぼ、ノーミス」とかミスを受付の人に押し付けるようなことを書き、さらに現場を
混乱させかねない「『唐沢のmixiを見た』とおっしゃっていただければ前売料金で入れま
す!」を直前になって言い出すのは、ちょっとヒドいんじゃないかと思った。

それと、これもコメント欄に書いたことの繰り返しになるけど、『タイム・リビジョン/時間
修正作戦』という題の芝居にわざわざ入場したが、「SF色の高い芝居のため〈略〉ちょっと
ついて来にくかった」という「一般のお客様」や、「ストーリィ作りの勉強になりました」とか
「よくこんな役柄にぴったりの役者を揃えたもんだ」とかアンケートに書くお客様とか、一体
どういう経緯で来場したのかは、ちょっとだけ気になったりする。

それはともかく、「前半にご来場いただいたお客様にはまことに申し訳ないのですが、
本日が完成形でした」とか余計なことを書かなければよいのにの 4 日目。この日を最後
に、唐沢俊一とともに中心人物だと思われていた島敏光という人が「仕事の関係で今日
でお別れ」となる意外な展開 (?) を経て、5 日目の千秋楽を迎えることになる。

http://www.tobunken.com/news/news20111211084153.html

イベント
2011年12月11日投稿
4日目完成形!

『タイム・リビジョン/時間修正作戦』、後半戦の4日目マチソワ。
昼夜とも当日券で入ってこられるお客様が大勢おられ、前売から換算
して客席チラシなどを作っていたこちらが大慌てする場面も。
まあ、嬉しい大慌てではありましたが。

しかも本当にいいお客様で、特にマチネ(昼興業)では、仕込んだギャグが
ほぼ全てウケる、というパーフェクト試合でした。
役者が「え、あそこでウケるの?」と首をひねったくらい(おいおい)。
〈略〉
前半にご来場いただいたお客様にはまことに申し訳ないのですが、
本日が完成形でした。
〈略〉
今回の企画、動き出しから私とタッグを組んで、主役オーディションの
世話をしていただいたり、各方面に声をかけてくださったプロデューサーの
島敏光さんが、仕事の関係で今日でお別れ。島さんの天性の明るさが、
ともすればカリカリしがちな稽古中の雰囲気を本当にやわらげてくれました。
女性陣にことに大人気でしたねえ。


http://www.tobunken.com/news/news20111212210932.html

イベント
2011年12月12日投稿
5日目千秋楽!

『タイム・リビジョン/時間修正作戦』、11日(日)昼夜公演で
無事、千秋楽を迎えました!
稽古開始から小屋入り、本番までトラブルらしいトラブルの見当たらない
まことにスムーズに上演まで持っていけた舞台でした。
役づくりの上でいろいろ苦労していた俳優さんがいましたが、それも
本番にはきちんと仕上がり、ワンステージごとに手に入って来たという
感じです。
〈略〉
演出家が二人、コーチが何人も、では現場が混乱しないかと心配する人も
いるでしょうが、脚本をかなりの程度練っているので、いざとなればそこに
帰れるという安心感をみんなに持たせられたと思います。演劇の原点は
やはり脚本なのですよ。
〈略〉
さて、いろんなご意見をいただきましたが、かけられて嬉しかった言葉
三つ。ひとつは友人の役者、渡辺シヴヲさんからの
「前半で荷物を全部レールの上に乗っけて、後半で重量のついたそれを暴走
させるという展開はやはり、後半の疾走感が違う。前半が退屈とかテンポが
遅いという意見もあるかもしれないがこのまま続けていく方がいいね」
これは私もまさにそう意識して書いた脚本だったので、わが意を得たりと
いう感想でした。アンケートの中にはまま、“前半がテンポが悪い”という
意見があったので、伝わってないのかとちょっとがっかりしていましたが、
やはりわかっている人にはわかってもらえているのだな、と安心しました。
〈略〉
そして、千秋楽、わざわざ博多から観に来てくれた今回の舞台のスポンサー、
ももち浜調剤薬局社長のMさんの
「これ、もう少し大きな劇場用に仕立なおしてこっち(博多)へ持ってこれま
せんか?」
という言葉。千秋楽のやりたい放題芝居に腹を立てられるのではないかと
ハラハラしていたのですが、考えてみれば、彼女はもともと私の著作の
ファンなのでした。ナンセンスが嫌いなわけがない。役者で一番気に入った
のは岡田と右田ひだりだそうです。


「ワンステージごとに手に入って来た」って、「中日(なかび)の中は中だるみの中」と、
その 2 日前に書いたばかりではなかったっけとか、「演劇の原点はやはり脚本なのです
よ」って、キャスティング 8 割説 (ここを参照) は取り下げるのかしらとか、いろいろ首を
ひねる箇所はあるけれど、まあ 4 日目の「完成形」の次は、スポンサーに「腹を立てられ
るのではないかとハラハラ」するくらいの「やりたい放題芝居」だったらしい。

で、2ちゃんねるのスレへの書き込みで、あれこれとネタになったりしているのが (Read
More
参照)、千秋楽の 3 日後に書かれた、以下の雑感。

http://www.tobunken.com/news/news20111214063129.html

イベント
2011年12月14日投稿
振り返っての雑感
〈略〉
幸い、スポンサーさんから準備費が出ました。それで予算の中に通信費、
というのを組んで、役者たちが案内状を自分の知り合いに出すときの
切手代はユニットが持つ、というシステムにしました。それから、これは
どこの劇団もやっていることですが、チケットバックを徹底して、
一枚売れたらいくら、と売った人にキックバックが入るように
しました。結果、発奮して、一人で100枚近いチケットを売って
くれた人もいました。ありがたいことです。結果、ささやかながら
黒字を計上でき、大入り袋を役者・スタッフに出すことが出来ました。
本番数日前に、予想集客人数×チケット代-総予算、で計算してみたら
50万円の赤字、という結果が出て青くなったことを思うと、黒字
が出たのが奇跡みたいなものです。きっと、役者のみんなが、
「いい芝居なんだから人に見せたい」
と思って頑張ってくれたのでしょう。ありがたい。
〈略〉
今回、これまで世話になってきた劇団『あぁルナティックシアター』
から離れて、単独ユニットを組みました。照明・音響などのスタッフ、
そして劇場主に対しても、古いつきあいの劇団と違い、一からお願い
しないといけません。狭い業界です、悪い噂が立ったら二度と仕事
してくれなくなります。もちろん、これまでも劇団がらみで人脈は
つくってきたつもりですが、個人ユニットとなるとまた話が違う。
〈略〉
今回の公演は私にとっては演劇の世界での卒業論文みたいなもの。
決してこれで儲けるつもりではありません(その先に儲けの出る話は
考えていますが、最初から四年間、劇団という実地の大学で勉強する
つもりでやってきました)でした。しかし、卒業論文だからこそ、
スタッフや協力者たちに
「今回は泣いてくれませんか」
とは言いたくなかった。それ(正規の支払)が達成できただけでも
自分としては満足しています。すれすれ合格点とれた、という
ところでしょうかね。

知人・友人の中には、唐沢は趣味の演劇に入れ込んで、身上を
つぶすんじゃないか、と心配してくれる人も大勢います。しかし、
私には私の目算がありました。出版に軸足を置きながら、映画や
テレビ、音楽、イベントなどさまざまな業界に顔をつっこんで、
「今後最もアツくなるのは演劇の世界だ」
という確信を得たということです。ここに地歩を築いておくことは
めぐりめぐって、モノカキとしての自分に絶対有利に働く(少なくとも
サブカルチャーの世界に固執するよりは)という結論を出し、
その世界の勉強を始めました。
〈略〉
下北沢で二番目に小さい劇場から今回、出発しました。
今後の目標はもっと大きな劇場へ、ということで、そういう話も
出てはいますが、あせるつもりはありません。私をはぐくんでくれた
この『楽園』に感謝もしております。愛着もあります。


2ちゃんねるのスレでは、「映画業界に関わっていたっけ? ビデオで発売したアレも映画
業界? さすがに『音楽業界』には顔すらつっこんでいないだろ」とか、「小さな穴に逃げ込
んだ男」「破滅型、消滅型の人はいたけど縮小型の人間ってあんまりいないから面白い」
等々、いろいろ突っ込みが。

「狭い業界です、悪い噂が立ったら二度と仕事してくれなくなります」については「うわの空
藤志郎一座の件はすっかり忘れたのかな?」とか、いわれていたりする。これには同意。

というか、この言い草って、「たとえ他の何を盗んでも、古本だけは盗もうとは思わない。
いったんバレでもしたら、今後の古書集めに差し障りがあるからである」のアレ (ここ
参照) に似ている気が。と学会の例会で発見した置き忘れの本を、会場や交番に届ける
代わりに自宅にもっていってしまった件に相当する何かを、演劇関係でもやっていたりは
まさかしていないだろうな唐沢俊一。

それと、「唐沢は趣味の演劇に入れ込んで、身上をつぶすんじゃないか、と心配してくれ
る人も大勢」というその中には、やっぱり川口友万も含まれているんだろうか。「私個人と
しては、唐沢氏の風向きが悪くなったのは演劇のせいにしか見えない」とか書き込んで
いたこともあったのだけど (ここを参照)。

で、「身上をつぶす」に関連するかもしれないけど、自分がど素人のせいか、「スタッフや
協力者たちに『今回は泣いてくれませんか』とは言いたくなかった。それ(正規の支払)が
達成できただけでも自分としては満足」には少し驚いた。赤字が出たら、主に唐沢俊一が
自腹を切ってでも何とかするのかと思ったら、「今回は泣いてくれませんか」ですませるの
もありだったのかと……。

その赤字については、「本番数日前に、予想集客人数×チケット代-総予算、で計算して
みたら50万円の赤字、という結果が出て青くなった」とか書いてあるので、会場代がそん
なにかかるのかなと思って計算してみたw ら、平日 1 ステージ 2 回、平日 2 ステージ 1
回、土・日・祭日 2 ステージ 2 回に、「仕込・GP」を 1 日分加えて 257,250 円 の計算
となった。

http://www.honda-geki.com/rakuenshou.html
>[劇場使用料]  仕込・GP    公演日1ステージ
>平日        31,500円   42,000円
>土・日・祭日              52,500円
>・1日2ステージの場合は、各料金の25%増となります。
>・延長料金は30分につき、5,250円戴きます。
>・照明・音響・舞台等の付帯設備品は使用料に含まれております。
>・電気使用料金は実費で戴きます。
>・機材の持ち込み料金はかかりません。


ちなみに、唐沢俊一は「下北沢で二番目に小さい劇場」と書いているが、では一番小さな
劇場はどこか、よくわからなかった。http://www.honda-geki.com/gekijo.shoukai.html
を見ると、楽園とシアター 711 が「客席数=約70~90席」で、OFF・OFF シアターが「客席
数=約80席」。http://www.honda-geki.com/711syou.html を見るとシアター 711 が
一番料金が高くて、OFF・OFF シアター http://www.honda-geki.com/offoffshou.html
楽園とほぼ同じだけど、「土・日・祭日」の「仕込・GP」だけは楽園より高い。

http://blogs.yahoo.co.jp/k_tsugunosuke/folder/516720.html
>作中では、下北沢に松多グループという演劇マニアのオヤジの会社が所有する四つの
>演劇場があって、小さいほうから順に、駅の南口正面にある客席数80人の「ミニミニシ
>アター」、同じビルの一階上で客席数150人の「駅横劇場」、南口から少し離れた場所
>にある客席数300人の「ザ・マンパイ」、そして、下北の頂点、北口にある客席数600人
>の「松多劇場」になります。
>人気が出て、集客力が上がるにつれて、上の劇場へ出世していくシステムになってお
>り、彼ら演劇人はこれを「劇場すごろく」と呼ぶ。
>ちなみに、この「松多グループ」というのは、「本多劇場グループ」として下北沢に実在し
>ていて、背景として、そこそこリアルな設定がされているようです。ちなみに実在の本多
>グループが所有する劇場もほぼ同じような構成のようです。


それはさておき、会場代は 30 万円未満として、50 万円の赤字がどうのこうのというから
には、よくわかんないけど、大道具代、小道具代、人件費等々いろいろあるのだろう。
衣装代は、コスチューム・仮装用のサイトを見ると、1 万円未満から、せいぜい 3 万円で
1 人分揃えられるけど、今回唐沢俊一は衣装の特注とかやっているようだし、それから
オープニング映像の製作費というのもありそうだし。

しかし、逆に考えると、全部で 8 回公演で、客席数が最大 90 席。720 × 3,000 円 =
210 万円で、50 万円というのはその 4 分の 1 で。……いや、何がいいたいかというと、
100 万円も用意できれば、スポンサーになるのも夢ではないのかしらと。自営業でも
なければ、店の広告出してもらってどうこうというメリットはないにしても、金をつぎ込む
趣味としては、ありなのかも。w


ついでに、ふと思ったのだけれど、今回の演劇は、唐沢俊一の日誌を読んでえられる
印象よりも、実際はずっと面白かったという可能性もあるかな、と。

考えてみれば、唐沢俊一が朝日の書評で紹介した、『綺想迷画大全』、『日本売春史』、
談志絶倒 昭和落語家伝』等々、他の人の書評で読みたくなって買ったら、唐沢俊一の
紹介で予想していたより、ずっと面白かったというのがある。

本だけではなく、『女ガンマン/皆殺しのメロディ』、『ビッグ・コンボ』、ケン・ラッセルの
サロメ』といった映画についても、そうだった。

唐沢俊一は、自分の本の宣伝をするときにはそうマイナスとなることはいわないのに、
芝居となると、「セリフ飛び、暗転ミス、テンポ不合」だの、「ベテラン陣がミスしたり」
だの、「SF色の高い芝居のため、一般のお客様でちょっとついて来にくかった方もいた」
だの、「伝わってないのかとちょっとがっかりしていましたが、やはりわかっている人には
わかってもらえているのだな」だの、なぜか余計な記述をいっぱい加えてしまう癖がある
ような気がする。なぜなんだろう。自分褒めの射程外となる、他人の功績のウエイトが
本などよりは高いからだろうか。


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2011.07.13 (Wed)

タイムマシンがなくたって、やればできるさ過去の改変

2011 年 7 月 10 日の日テレ『スクール革命』

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/110710.html
>難問(1):「タイムマシンっていつか作れるの?」(東大生の疑問)
>答えを教えてくれるのは…雑学の賢人 唐沢俊一
>クリック!
>正解:理論上作れる
>▼アインシュタインの相対性理論によると、
> 「光速に近い速度で動くと、時間の進み方は遅くなる」という。
>▼実際に行った実験で結果が出ている。
> 1971年ジョー・ハーヘルとリチャード・キディングが行った実験によると
> ジェット機で地球を一周する際に、地上とジェット機内の時計を比べるたもの。
> 飛行機の時計の方が地上の時計よりも0.000000059秒遅くなった。
> この結果を当てはめると、光速の99%で進む超高速ロケットで
> 1年間宇宙旅行をして地球に戻った場合、地球は6年進んでいる計算となる

http://megalodon.jp/2011-0710-2307-11/www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/110710.html

×比べるたもの ○比べたもの
×ジョー・ハーヘル ○ジョセフ・ハフェレ
×リチャード・キディング ○リチャード・キーティング

それは、タイムマシンというより、ウラシマ効果だろう……と思ったら,既に「唐沢俊一検証
blog
」の「賢人全開。」に、「いわゆる『ウラシマ効果』ってやつか」と書かれていた。

で、やはりこれはウラシマ効果で正しかったようで。なお、下記の Wikipedia の項目には、
タイムマシンの文字はない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/時間の遅れ
>特殊相対性理論では、物体が高速で移動するほど、その系における時間の流れが遅く
>なる。速度の上限は光速なので、光速に近い速さで運動する物体はほとんど時間の進
>みがないことになる。
〈略〉
>この状態が、日本のお伽噺である『浦島太郎』において、主人公の浦島太郎が竜宮城
>に行って過ごした数日間に、地上では何百年という時間が過ぎていたという話にそっく
>りであるため、日本のSF作品などではウラシマ効果とも呼ばれる(SF同人誌「宇宙塵」
>主宰者の柴野拓美が命名者と言われる)。
>なお、この現象は何も光速に近い速度でなくとも発生する。現に航空機に載せた原子
>時計の進みがごく僅かに遅れる事が実験によって確認されている。ただし宇宙船や人
>工衛星の場合は、後述の重力場の有無による影響も生じる。


タイムマシンの定義については、2ちゃんねるのスレでも、いろいろと話題になっていた
(Read More 参照)。

自分が気になっているのは、未来への一方通行の旅だったら、何もウラシマ効果だけに
こだわることはなくて、冷凍睡眠 (ここを参照) でもオッケーじゃないかということと、いや
そもそも自由に過去に戻れなくてもタイムマシンといえるのか、いえるとしてそれでは
嬉しさ半分以下じゃないのかということだが、それはいったん、おいておくとして。

とりあえず、Wikipedia でいう「航空機に載せた原子時計」の実験に興味をひかれたので、
何となく「ジョー・ハーヘルとリチャード・キディング」でググってみたら……最初に引用した
『スクール革命』のページ、ただ 1 件しかヒットしなかった。

しかし、この実験の話は昔小耳にはさんだ覚えもあるし、実験のエピソード自体がガセの
はずはないだろうと考え捜してみたら、「ジョセフ・ハフェレとリチャード・キーティング」と
か、「ジョー・ハーフェル と リチャード・キーティング」とか書いてあるものは見つかった。

http://logsoku.com/thread/science4.2ch.net/future/1126412643/
>773 : オーバーテクナナシー : 2009/01/16(金) 11:14:31 ID:T2BL8Dwn [1回発言]
>今でもタイムマシンはあるぞ
>ジョセフ・ハフェレとリチャード・キーティングの実験で
>精密な原子時計を持ってジェット機で世界一周したら0.000000059秒ズレていたんだ
>つまり0.000000059秒後の未来に行けたことになる
>光の速さで動く乗り物があれば、かなり未来にいけると紙の上では証明できている

>ただし
>今人間が知っている以外の時や早さに関する概念が新たに発見されないかぎり
>どうあがいても過去へは行けない


http://astrohouse.fc2web.com/hate403.htm
>1971 年に、物理学者 ジョー・ハーフェル と リチャード・キーティング がやりました。
> 原子時計って知ってるでしょう。セシウム原子線のメーザー発信周波数を利用した、
>超高精度の時計です。 こいつを2つ用意し、ひとつはジェット機に積み、もうひとつは
>空港に残します。
> そして、そのジェット機が地球を一周して戻ったときに、ふたつの時計を比べたんだ
>そうです。なかなかやりますね。うまい方法です
> すると確かに、ジェット機内の時計は、本当に 空港に残した時計よりも 59 ナノ秒
>(0.000000059秒)だけ遅れていた というんです。
> この値はローレンツ式で計算した予測値とピッタリ一致していました。どうです、現実
>に証明されたんですよ。ウラシマ効果が。


以下のように、「ジョセフ・ハフェレとリチャード・キーティング」となっているものも。また、
こちらは、唐沢俊一のいう「ジェット機で地球を一周する際に、地上とジェット機内の時計
を比べる」のではなく、地球の「自転に逆らう西回り」と「自転方向に飛ぶ東回り」が比較
対象になっているようだ。

http://music.yahoo.co.jp/answers/dtl/1310908853/
>宇宙線などはあくまで観測です
>質問者は”実験”ということですから
>1971年,アメリカのジョセフ・ハフェレとリチャード・キーティングが
>ジェット機に原子時計を積み,地球を東回りと西回りに1周しました。

>地球の自転(東回り)を外から眺める立場に立てば,
>自転に逆らう西回りより 自転方向に飛ぶ東回りのほうが速度が速いので,
>特殊相対性理論によると,時計がずれます。
>実際の原子時計のずれが 世界一周で約0.3マイクロ秒で
>相対性理論が予言する数値とほぼ一致しました!

>◆現在では衛星(秒速約4キロメートル)で確認されます
>GPS衛星は高速で飛んでいるため,そこに積まれた原子時計は
>「運動によって時計の進み方が遅れる」という特殊相対性理論の現象が起きます
>しかし,衛星が飛ぶ2万キロメートルという高度では,地上より重力が弱まるので,
>「重力の弱いところでは時計の進み方は速まる」
>という一般相対性理論の効果が起きます
>両方を計算すると,
>GPS衛星に積まれた原子時計は地上の時計に比べて1日あたり38.6マイクロ秒だけ
>速く進みます。
>このずれはGPSによる位置の測定に,1日あたり11キロメートル程度の誤差
>をもたらしてしまいます。
>それで,カーナビが使いものにならなくならないように,
>衛星の原子時計は特殊相対性理論効果によるずれの分だけ補正する
>ように設計されています

>※ちなみに秒速約4キロメートルで飛ぶGPS衛星の
>時間の遅れは,1日あたり約7マイクロ秒です
>※マイクロは100万分の1


以下も「西回りと東回り」。また、これと同様、「ヘイフリーとキーティングの実験」と表記
している例は結構多い。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qa_a96.htm
> 原田氏がことさら強調しているのが、「ヘイフリーとキーティングの実験は捏造だった」
>という主張です。この実験は1971年に行われたもので、商用ジェット機に4個のセシウ
>ム原子時計を積み込み、西回りと東回りで地球を周回したときに、時計の進み方にど
>の程度の変化が生じるかを測定しています(J. C. Hafele and R. E. Keating, Science
>177 (1972) 166-168, 168-170)。


で、上に引用したページのおかげで、人名のスペルは「Joseph C. Hafele and Richard E.
Keating」と判明した。

http://en.wikipedia.org/wiki/Hafele–Keating_experiment
> The Hafele–Keating experiment was a test of the theory of relativity. In October
> 1971, Joseph C. Hafele and Richard E. Keating took four cesium-beam atomic
> clocks aboard commercial airliners and flew twice around the world, first eastward,
> then westward, and compared the clocks against those of the United States Naval
> Observatory.


セシウム原子時計を積んだ商用旅客機を、最初は東回りに、次に西回りに地球を一周
させ、United States Naval Observatory (米国海軍天文台) の時計と比較させた実験が
Hafele–Keating_experiment。唐沢俊一のいう「地上とジェット機内の時計を比べるたも
の」は、「比べるたもの」以外はまあよいとして、「飛行機の時計の方が地上の時計よりも
0.000000059秒遅くなった」は少しどうかと思った。話の都合上、東回りの測定結果のみ
を採用したのはわかるけど。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/yoshida_n/qa_a96.htm
>時計に影響を与える効果として、(1)静止系に対する運動系での時間の遅れ(地表の
>時計に比べて東回りで遅れ西回りで進む)、(2)重力の作用による時間の遅れ(重力の
>強い地表の方が遅れる)の2つを考慮し、速度や高度の変化の影響を取り入れて理論
>的な予測値を計算すると、東回りで 40±23ナノ秒の遅れ(ナノ=10億分の1)、西回り
>で 275±21ナノ秒の進みとなりました。一方、4個の原子時計における時間変化の平
>均値は、東回りで 59±10ナノ秒の遅れ、西回りで 273±7ナノ秒の進みとなり、相対論
>の予測と巨視的な時計を使った実験結果が見事に一致した例として知られています。


で、唐沢俊一のいう「リチャード・キディング」は間違いだと決定。Keating が「キディング」
になるはずもなく、と。まあ、こちらについては、唐沢俊一以外は皆「キーティング」と表記
していたわけでもあるし。

Joseph C. Hafele は人によって表記はいろいろだけど、「ジョー・ハーヘル」は悪い意味で
独自性があり過ぎで、「リチャード・キディング」抜きの「ジョー・ハーヘル」のみで捜しても、
これを採用している人は見あたらないような。

久々に音声出力サービス http://www.research.att.com/%7Ettsweb/tts/demo.php
聞いてみると、話者にもよるけど、ジョセフ、ジョーゼフ、どちらもありという感じ。

以下の研究社新英和中辞典では、発音記号ではジョーゼフまたはジョーになりそうだけど
音声ではジョーセフに聞こえる気が。

http://ejje.weblio.jp/content/Joseph
>Joseph
>音節Jo・seph 発音記号/dʒóʊzɪf|dʒˈəʊ‐/音声を聞く
>【名詞】
>1ジョーゼフ 《男性名; 愛称 Jo,Joe》.


Hafele は、Google 翻訳など一般的 (?) な表記では「ハーフェレ」になることが多いようだ
けど、The Hafele–Keating experiment の訳としては、ヘイフリー、ハフェレ、ハーフェル、
ハーフエル等々が使われているようなのが悩ましいところ。

http://homepage2.nifty.com/AXION/contents/relativity/002.html
>次に、「しかし、時間の遅れは実際に観測されている」という反論に対して、具体的には
>ハーフエルとキーティングの飛行機による実験が登場します。
>注釈
>実際にはハーフエルではなく、ハフェーレの筈。元がJ.Hafele(とR.Keating)なので…。



さて、唐沢俊一が、タイムマシンについて尋ねられて、Hafele–Keating experiment の
実験を持ち出したのは、なぜだろうと思っていたが、もしかしたら下記の本の影響かも
しれない。

http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003584.html
>・タイムマシンをつくろう!

>タイムマシンの作り方を物理学者が本気で考えた本。

>時間旅行が可能であることは疑いないらしい。1971年に精密な原子時計を飛行機に乗
>せて世界を一周させ、地上に置いた同一の時計と進み具合を比べる実験が行われた。
>飛行機に乗せた原子時計は明らかに進み方が遅く、地上の時計と比べて59ナノ秒だけ
>遅れていた。

>59ナノ秒は理論値通りであったそうだ。光速の半分で時間は13%遅くなり、光速の
>99%で7倍も遅くなる。もちろん、現在は人間を光速に近づける技術はないし、できたと
>しても人が生きていることができない。
>そこで、この本では、光速移動を使うのではなく、時空を捻じ曲げるワームホールを利
>用する案を提案する。
〈略〉
>映画のようにタイムマシンという機械装置を作るわけではなく、ブラックホールを操作し
>てふたつの時間とつながった奇妙な時空を作るわけだ。現在の科学技術ではまったく
>不可能だが、理論上は不可能ではないことを証明して見せようとするのがこの本の面
>白さ。

>ただし、このタイムマシンではマシンが製造された時間より前に飛ぶことができない弱
>点はあるのだが...。


光速を超えることはもちろん、唐沢俊一のいう「光速の99%で進む超高速ロケット」の方も
「できたとしても人が生きていることができない」としているところが大きな違いだが。

「マシンが製造された時間より前に飛ぶことができない」という制限があるにしても、唐沢
俊一風のタイムマシンのように、未来にいく時間を短縮するだけの一方通行ではないと
いう点も大違いである。前述したことの繰り返しになるが、未来への一方通行でよいなら、
冷凍睡眠で用が済むわけだし。

そのため、上記の本では前振りに過ぎないウラシマ効果で話を終えるのに比べれば、
ワームホールの方は、立派な (?) タイムマシンと思えるのだが、この仕組みを利用しても
「過去への時間旅行は不可能と否定」している、ホーキングのような学者もいるとのこと。

ソーンはさらにそれに再反論しているようだが、こういうふうに議論になっていることを
考えると、『スクール革命』のサイトにある「正解:理論上作れる」ってのは本当に「正解」
といってよいのか、微妙かも。

http://ja.wikipedia.org/wiki/タイムマシン
>カリフォルニア工科大学のキップ・ソーンは、時空の異なる2点を結ぶトンネルである
>ワームホールを利用するタイムマシンの仮説を発表している。この仮説の原理は、片方
>の穴を光速に近い速度で移動させると相対性理論により時間の進行が静止している穴
>よりも遅延する現象を利用するものである。
〈略〉
>日本ではこの原理を利用したタイムマシンの特許とされるものが合計で5つも出願され
>ている。これは特許庁の特許電子図書館などで確認可能。

>ホーキングの否定説
>ソーンの仮説に対しスティーヴン・ホーキングは、このような仕組みを利用しても閉時曲
>線と量子効果により過去への経路が構成されるのを妨げるため、結果的に過去への
>時間旅行は不可能と否定する仮説を立てている。
〈略〉
>ホーキングの否定説に対し、ソーンは量子的ゆらぎは無視できる範囲と反論しているが
>結論は出ていない。ワームホールを利用するタイムマシンを否定する仮説には、時間
>の遅れが発生するのは移動する穴の周縁部だけで穴の内部には効果が及ばないとす
>る説や、移動した時点で新しいワームホールができるために時間移動には利用できな
>いとする説などもある。
〈略〉
>・ポール・デイヴィス(著)、林一(翻訳)『タイムマシンをつくろう!』(草思社、2003年)
> ISBN 4794212232
〈略〉
>・キップ・ソーン(著)、林一(翻訳)『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインの
> とんでもない遺産』(白揚社、1997年)ISBN 4826900775
>・ラリー・ニーヴン(著)、山高昭(翻訳)『タイム・トラベルの理論と実際』(ハヤカワ文庫
> 『無常の月』収録)ISBN 4-15-010327-5


その他参考 URL:
- http://q.hatena.ne.jp/1204547709
- http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2426112.html
- http://gigazine.net/news/20080207_time_machine/
- http://homepage2.nifty.com/osiete/seito179.htm

で、過去への時間の旅がありだと仮定すると、歴史改変だタイムパラドックスだと話が
いろいろややこしくなる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/タイムトラベル
>SF作家のポール・アンダースンは、歴史に大きく関わる人物の暗殺や史実の妨害な
>ど、未来社会に重大な影響を与える歴史の改変を防ぐための組織のアイデアを、オム
>ニバス長編『タイムパトロール』(Gurdians of Time、1960年)で発表した。
〈略〉
>タイムパラドックスの矛盾を説明するため、時間旅行者による歴史の改変で時間軸が
>分岐し元の世界と並行した別の世界が生まれるとするパラレルワールドの概念があ
>る。この概念を発展させ、時間旅行者の介在がなくとも歴史上の重要なポイントで世界
>が枝分かれしていると解釈する立場もある。
〈略〉
>親殺しのパラドックスを例に取ると、過去に遡り親の殺害を試みようとするが、絶対に
>成功しないことが歴史として組み込まれているか、そもそも過去に移動できないとして
>いる。ロバート・A・ハインラインの短編『時の門』(By His Bootstraps、1941年)など、
>タイム・パラドックスの論理性を追求した一群の作品の中では、「時間旅行者による歴
>史の改変自体が歴史に含まれており、タイムパラドックスは起こり得ない」との解釈が
>なされている。
>またSF作家のラリー・ニーヴンは、『タイム・トラベルの理論と実際』(The Theory and
>Practice of Time Travel、1971年)と題したエッセイの中で、もし歴史の流れが一本道
>であり、時間旅行によって歴史が改変可能であるならば、幾度もの時間旅行者による
>歴史の改変を経た末に、最終的に人類の歴史は、「タイムマシンが存在せず、時間旅
>行者が決して現れない歴史」として安定するのではないか、と述べている。
〈略〉
>【例】『マイナス・ゼロ』(広瀬正)より
>>現代で買った新品のライターを持つ男がタイムトラベルし、過去へそのライターを忘
>>れてくる。実はそのライターは第三者により時を経て現代に存在する忘れてきたライ
>>ターとすり替えられており、新品で買ったライターはタイムトラベルをせず現代に存在
>>する。タイムトラベルをするライターは現代と過去を無限ループとして往来する存在で
>>あるが、現代に新品がある限りそのライターはどこで買ったものでもない。

> このパラドックスではなぜこのようなライターが存在するか、またこのような存在となっ
>た時点でライターの分だけ宇宙の質量が増えたのではないのか、そして時を経ても永
>久に古くならず傷すらつかないのではないか、との問題が提起されている。1960年代
>に書かれたこの小説のパラドックスは小説『存在の環』(P・スカイラー・ミラー、1944
>年)で提示されたものの類型であるが、1990年代にスティーブン・ホーキング博士がこ
>れに類似する概念を持つ閉時曲線と量子効果の仮説を示し、過去へのタイムトラベル
>を否定する論拠としている。小説では言及されていないが、このタイムパラドックスは
>「すり替えた人間の意志が、特異な物質の存在や状態を創出した」という観測問題的
>側面も内包している。


しかし、過去に旅して歴史を改変することがいっさいできないとすると、タイムトラベルの
魅力は半減するという問題が。

http://drupal.cre.jp/node/3377
>「神様、お願いです。
> すべて、なかったことにしてください」

> ラリイ・ニーヴンが『タイム・トラベルの理論と実際』(『無常の月』収録)でいみじくも
>看破したように、タイムマシンが持つ最大最強最悪の力が、この「すべてをなかったこと
>にする」能力である。


http://ja.wikipedia.org/wiki/タイムトラベル
>人間がタイムトラベルに対して抱く願望の一つに、「現在の知識を保ったまま過去に
>赴き、現在にとって有利な結果になる様に過去を改変したい」というものがある。


ある意味関連
非モテ中年は時を歪める

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2011.04.18 (Mon)

「有名なインチキ名字」だそうです<春夏秋冬 (ひととせ)

2011 年 4 月 17 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

日テレ『スクール革命』の番組中で唐沢俊一が担当した「実在する珍しい名字」の一覧。

http://www.youtube.com/watch?v=45EsW0ZL140

名字   読み方
算     かぞえ
二     したなが
朏     みかづき
四月一日 わたぬき
八月一日 ほづみ
春夏秋冬 ひととせ


「朏」が「みかづき」と読むというのは多分正しいとして。

http://kukikei.sakura.ne.jp/myouji.html
>朏 ミカヅキ 月が出たら三日月だったとさ。その三日月という苗字もあります。

http://www.ylw.mmtr.or.jp/~iwaki-j/myoji/name-mi.htm
>朏 みかづき H17.03.10 いとちん 様

唐沢俊一の説明にも番組中のテロップにも、「新月から初めて顔を出す月の形が三日月」
とあったのが意味不明……。新月から 3 日目 (月齢は 2 日) だから三日月というのでは。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=三日月&dtype=0&dname=0ss
>みかづき0 【三日月】
>[1] 陰暦の月の三日目に出る月。また、その前後の細長い弓形の月。特に陰暦八月
>   三日の月についていう。[季]秋。


http://ja.wikipedia.org/wiki/三日月
>三日月・朏(みかづき)は、陰暦3日の夜の月。
〈略〉
>朔(月齢0日)が陰暦1日なので、三日月の月齢は3日ではなく2日である。
〈略〉
>広義には(特に陰暦を使わなくなった現代では)、厳密に陰暦3日の月だけでなく、新月
>と上弦の間の広い範囲の月相を三日月と呼ぶことも多い。


自分が何か勘違いしたのかと、あちこちを見て回ったけど、やはり (狭義の) 三日月は
「新月から初めて顔を出す月」のことは指さないと思う。

- http://www.kaiseikan.jp/astronomy/solorsystem/moon/tuki.htm
- http://koyomi.vis.ne.jp/moonage.htm
- http://ja.wikipedia.org/wiki/月

もしかしたら、「初めて顔を出す月の形が三日月」の「の形」というのが重要 (?) で、辞書
でいう「また、その前後の細長い弓形の月」、Wikipedia でいう「厳密に陰暦3日の月だけ
でなく、新月と上弦の間の広い範囲の月相を三日月と呼ぶことも多い」という、つまり広義
の意味での三日月だということを表現したかったのかもしれない。何だかすごくわかりにくい
説明としか思えないけど。


で、「二 したなが」と「春夏秋冬 ひととせ」というのは、多分「幽霊名字」で実在しない。
(「幽霊名字」については、ここを参照のこと)。

http://mblog.excite.co.jp/user/shosai/entry/detail/?id=1785067
>この日の番組でいえば、六月一日(うりはり)というのはかなり有名な幽霊名字。一
>(にのまえ)や二(したなが)もおそらくいない(芸名ならいます)。


「一(にのまえ)」については、こちらも参照のこと。
一という名字だったら一という名前をつけたくなるかな人情として

http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/yuurei2.html
>   幽霊読み  コメント                             実在の読み
>二  したなが  全国の電話帳に1件だけ「二唐」と「二木」の間にある  にき?
>   すすむ


電話帳は読みの五十音順で並んでいることを考えると、「『二唐』と『二木』の間」に存在
している「二」という名字を、「したなが」と読むというのは確かにありえないだろう。

「春夏秋冬」の方は、姓氏研究家の森岡浩に、「有名なインチキ名字」と断じられている。

http://home.r01.itscom.net/morioka/myoji/jitsurei.html
>有名なインチキ名字
>春夏秋冬(ひととせ)---四季で1年


先の「二」の件で引用した人の意見も同様。こちらの人は「電話帳やウェブ検索」で
調べた結果をベースにしている。

http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/qa20.html
> 一方、日本の苗字は実に多様で、「四月一日(わたぬき)」「小鳥遊(たかなし)」
>「駄阿(だあ)」「鼻毛(はなげ)」「那俄性(ながせ)」「唐桶(からおけ)」などは確かに
>実在しますから、面白げだからといって実在しないと断じることができないのも確か
>です。しかし、ここに挙げた苗字は、電話帳やウェブ検索でちゃんと出てくるので、
>「東西南北」や「春夏秋冬」と違って実在することが容易に確認できます。
〈略〉
> なお苗字研究の大家とされている丹羽基二という人は、著書を読む限り人もいいの
>ですが、それだけに人が言う苗字を検証もせずに片っ端から載せているようで全く信用
>できません。氏の著書を紹介した下記のページだけでも、鳴矢木、三五月、颪、六月一
>日(四月一日、八月一日ならある)、瓜破、左右口(左右田ならある)、右左口、三方一所
>(三分一所ならある)、十二月田は、実在がまったく確かめられません。


すぐ上で引用した人も書いている通り、「四月一日、八月一日」の方はちゃんと実在する
名字と思われ、知泉 Wiki にも記述がある。

http://www.tisen.jp/tisenwiki/?%BB%CD%B7%EE%B0%EC%C6%FC%A4%C8%B8%C0%A4%A6%C9%C4%BB%FA
>・名字の中で『四月一日』と言う物もある。 これの読みは『ワタヌキ』と言う物で、春に
> なって暖かくなったことによって綿の入った服は不要になったと言うことから『綿、抜き
> =四月一日』なのだそうです。 と言ってもこの名前の4月1日とは旧暦なので、現在の
> 5月初旬と言うことになります。
>・同じ様な名前では『八月一日』で「ホズミ」さんもいます。 これは、そろそろ稲の刈り入
> れ時期(穂積み)と言うことからついた名前です。これも当然ながら旧暦が元になってい
> るので9月初旬と言うことになります。


で、まあ、ガウディの件のように知泉から豪快に……という例も過去にあったが、今回は
番組中で「神様に供え」るものとかいう説明をしていたので、また森岡浩がネタ元とされた
(ここここここを参照) のではないかと思ってしまう。

http://www.njg.co.jp/blog_morioka.html?itemid=575
> 「八月一日」姓は「八月朔日」と書くことも多く、ともに北関東の名字。「八月一日」
>が群馬県を中心に分布するのに対し、「八月朔日」は茨城県のつくば市付近に多い。
> この名字は、旧暦の八月一日(現在の九月上旬)に稲の穂を摘んで神様に供え、
>来たるべき台風シーズンを無事乗り切って豊作となるように祈る神事に由来する。
>そのため、「八月一日」と書いて「穂摘み=ほずみ」と読む。


唐沢俊一だか『スクール革命』のスタッフだかは、森岡浩のまとめた結果は使いたい
けど、幽霊名字についてなどは聞く耳をもちたくないのか――などと勘ぐりたくなる。

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2011.03.20 (Sun)

「諸説あります」の鐘の音

日テレ『半径3mの解体新書』

最初に謝っておきます。すみません、自分は見ていません、すっかり忘れて、ぐうぐう家で
寝ていました。

なので、「唐沢俊一検証blog」の「 『映画秘宝』&『半径3mの解体新書』について。
からの引用で。

http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20110319/1300529688
>・日本の学校のチャイムがビッグ・ベンの鐘を真似しているのは、明治時代にイギリス
>に留学していた人々が日本に教育制度を導入したときに、彼らの中にビッグ・ベンが
>「思い出」として残っていたから、と説明。
〈略〉
>思わず笑ってしまったのは、唐沢がビッグ・ベンについて一生懸命説明しているときに
>画面の隅に
> 「※諸説あります」
>とテロップが出ていたことで、これは『給与明細』以来お約束になってしまっているよう
>だ。


なお、『給与明細』のときのガセビアについては、「唐沢俊一検証blog」の該当エントリー
と、以下のエントリーを参照のこと。

ガセビアを 一度数えて あきれ果て
まだまだいそうな人間以外の「正常位をやる動物」
イモリの黒焼きよりもゴールド、これ最強
カン違いじゃない「恋愛による興奮」ってのも難しいかも


んで、前エントリーからはチャイムつながり (?) で、ビッグ・ベンと学校のチャイムについて。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ビッグ・ベン
>鐘の音
>毎日正午に奏でられるビッグベンの鐘のメロディは、四つの音で奏でられる日本の学校
>でお馴染みのチャイムのメロディの基となったとされる。正式な曲名はウェストミンスター
>の鐘という。
>このメロディは、イギリス議会による公式サイトよりダウンロードが行える。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Westminster-and-one-o-clock.ogg で再生すると、
なるほどあの懐かしいチャイムの音が聞こえるぞ、と。

そして、そのチャイム音について、2ちゃんねるのスレには「あのチャイムが使われるように
なったのは戦後からだって聞いたことあるよ」という書き込みがあった (Read More 参照)
のだが、調べてみると、どうもそちらが定説っぽい。

「学校のチャイムの音」でググってみると、以下のようなページが上位に表示される。

http://www.otona-magic.net/zatugaku/100225.html
>「キンコンカンコーン♪キンコンカンコーン♪」 → 「学校のチャイム」(youtube)

>どこの学校も同じようなチャイムが鳴りますよね。
>終戦間もない頃は、現在のチャイム音とは違い、空襲のときに鳴らされたサイレンの音
>が、そのまま学校でも使われていました。

>「ウーーーー!」と長く鳴るやつです。

>空襲のときに鳴らされたサイレンを聞くと、あの頃の辛い思い出がよみがえってきます。
>「やめてほしい」との要望が、多くの生徒から寄せられいました。

>現在の学校のチャイムの音は、「ウェストミンスターの鐘」というクラシック音楽です。
>「ウェストンミンスター宮殿」の跡地に、現イギリス国会議事堂が建てられたのですが、
>そこに設置されている時計塔「ビックベン」から、毎日正午に流れるメロディです。

>たまたまイギリスのラジオを聴いていた産業機器メーカーの石本邦雄さんが「これを
>チャイム音にしよう」と思いたち、1954年にチャイムを製造し販売しました。

>また、同じ時期に警報機メーカーである真島福子さんの旦那さんが「単純だからこれが
>いいのではないか?」とオルゴールに拡張期をつけて学校に販売していたそうです。

>さらに、東京学芸大学名誉教授の井上尚美さんが「ビックゲン」で流れている曲でいい
>のではないか?と提案。

>面識の無い3人が同じ時期に同じ考えを抱いていたそうです。それだけ単純なメロディー
>が、逆にインパクトを与えたのかもしれません。

>参考資料
>中日新聞(2007年10月1日の記事)


http://www.sgm.co.jp/life/sai/2007/07/post_745.html
>これは、終戦後の日本(東京)のある中学校の先生が始業・終業を知らせるジリリリーと
>いうベルの音があまりにもうるさいので当時臨時ニュースで使われていた鐘の音(ウェス
>トミンスターの鐘)を使ったところ、好評でその後全国に広まっていったといわれていま
>す。
>しかしチャイムは時間管理の上で有効ですが、逆に、「自主的に時間を管理し行動する
>ことができなくなる」などの意見もあり、チャイムを鳴らさないノーチャイムに取り組む学
>校もあるそうです。


「明治時代にイギリスに留学していた人々が日本に教育制度を導入したときに、彼らの中
にビッグ・ベンが 『思い出』として残っていたから」とかいう唐沢俊一の説に、似ている話
は見つからなかった。それだけならまだよいが、Wikipedia の「チャイム」の記述を見ると、
1950 年代よりも前に、メロディーのついたチャイムを時報のように使用するのは、技術的
に難しかったのではないかという気がしてくる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/チャイム
>時報としてのチャイムは、昔は単純に手動でスイッチを入れてベルやモーターサイレン
>を鳴らしていた。この方法では手間がかかり自動化が望まれ、時報時計(ベルタイマー)
>が開発された。この時計自体にはチャイム機能はなく、時計の構造は電源周波数に同
>期して回るモーターで時を刻む電気時計、または停電補償対応する機種は電池式振子
>時計や交流電源による自動巻の振子時計であった。動作時刻は時刻設定の大歯車に
>長さ1センチほどのピンを挿し、24時間制で5分ごとに数秒から数十秒ベルを鳴らす設定
>が可能な時間スイッチであった。
>1950年代始めから中頃には、この時報時計と連動して動作する無終端にした磁気テー
>プの再生装置が商品化、一時的に利用された。後にオルゴールもしくは棒状の鈴を槌
>打して鳴らし、音声信号として取り出し拡声できるようにした機械式チャイムが実用化さ
>れ、学校や自治体・企業等の時報装置として普及した。
>1970年代後半、電子機器の急速な進歩と生活様式の多様化はこれらの機器にも波及
>し、時報時計は水晶発振式に、キー操作やマークシートによるプログラムタイマーに進
>化し、チャイムも従来の鈴を打ち鳴らす純機械的な構造から電子チャイムになり、複雑
>なプログラム動作を簡単にかつ複数のメロディー奏鳴可能とした。 また現在のベルタイ
>マーは電子チャイムも内蔵しており、そのまま単体で時報装置として利用可能である。
>これらの電子チャイムは合成音のため、音色や余韻の味わいは薄れてしまった。近年
>機械式チャイムは製造されておらず、建物の新築や機器の更新により電子チャイムに
>置き換えられ、既設の機械式チャイムも現存するものが少なくなっている。


1940 年代以前でも、鐘やオルゴール (というかカリヨン?) の現物があれば使えそうだけ
ど、ヨーロッパならともかく、日本ではそんなものをもっている学校があったとしてもかなり
限定されるのではないかと。


で、まあ、最近では「『偽りの米軍残り物説』をスクール革命で語った唐沢俊一」 (これも
日テレ) のときにも登場した「諸説あります」のテロップだが、これは要するに、この話は
ガセです、または、諸説あるうちの有力ではない説についてのみ述べてしまいました――
ということをソフトに言い換えているだけではないのかと思う。

普通のテレビの雑学紹介番組では、他の説より有力な説、他と同じくらいもっともらしいと
思われている説を紹介するにあたり、いちいち「諸説あります」のテロップを入れるなんて
手間をかけているとは思えないもの。

それに、視聴者からの余計な突っ込み防止のために「諸説あります」と言及しておきたいと
思ったなら、出演者自身に「いや諸説あるんですけどね」と一言言い添えさせればすむ話だ
とも思う。

その他参考 URL:
- http://j-ken.com/category/other/data/699653/
- http://www.nhk.or.jp/creative/material/5d/D0002011518_00000.html
- http://okwave.jp/qa/q1652011.html


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2011.02.03 (Thu)

似ているようで違う ―― 上等な県歌と喧嘩上等

2011 年 1 月 31 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

『偽りの米軍残り物説』をスクール革命で語った唐沢俊一
北海道は離婚率が高い
謎の預貯金額ランキング?

の続きのようなもの。


http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/index.html
>Q1.長野県民はケンカしても ??? する事で仲直りできる
>1人目:山崎弘也「記者会見」
>2人目:八乙女光「粋なシャレ」
>3人目:高地優吾「相手の良い所を見ようとする」

>A.歌を歌う
>長野県民は皆「信濃の国」という県歌が歌える。


どうでもよいけど、Q1.の「???」の部分に、A.の「歌を歌う」というをはめこむと:

長野県民はケンカしても「歌を歌う」する事で仲直りできる

となってしまって気持ちが悪い……。「『信濃の国』を合唱」とか「県歌を斉唱」とかにした
方が、「~する事」とすんなりつなげられておさまりがよかったのではないのかと思うが、
おいといて。

『スクール革命』では、唐沢俊一は、「長野県民は仲直りする時歌を歌う」などといいながら
以下のようなことを説明した。

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/index.html
>この歌に関するある特徴的な事柄
>⇒1948年、長野県は北と南の二つに分裂してしまう危機にあった。
> しかし、県議会の最中、傍聴席から「信濃の国」の大合唱が沸き起こり、
> 分裂が回避された。


「そりゃあ県の歌になりますよねえ」のようにいってもらったりもしていたのだが、長野県の
県歌が正式に「信濃の国」となったのは 1968 年 (昭和 43 年) のことで、件のエピソード
のあったという 1948 年から 20 年も後のこととなる。1948 年の「『信濃の国』の大合唱」
により「分裂が回避」されたという話は、制定の直接的な理由ではなかった模様。

http://www.pref.nagano.jp/soumu/koho/kenka/kenka.htm
> 最初に「長野県民歌」が決定されたのは昭和22年。現憲法施行を記念して公募され
>たものですが、あまり好んで歌われず、ほとんど忘れ去られてしまいました。
> 現在の「信濃の国」は、明治32年浅井洌により作詞、明治33年に北村季晴により
>作曲され、当時の師範学校の行事の時に歌われていました。その時の学生が、教師と
>して県下に散り、「信濃の国」を各小学校で教え、親から子へ、子から孫へという形で、
>事実上の県歌として歌い継がれてきた歌です。
> 昭和41年に県章やシンボルが決定になり、県民意識の高揚のためにも「信濃の国」
>を県歌に制定してはどうかという気運が盛り上がり、昭和43年5月20日に県歌として
>制定されました。こうして「県民のほとんどが歌える」と言われる県歌が誕生したのです。


で、Wikipedia の方の記述は以下の通り。

http://ja.wikipedia.org/wiki/信濃の国
>「信濃の国」にまつわる逸話として以下のようなものがよく語られる。1948年(昭和23
>年)春の第74回定例県議会で、長野県を南北に分割しようとする分県意見書案が中信・
>南信地方(合併前の筑摩県域)出身議員らから提出され、分割に反対する北信出身議
>員の病欠などもあって可決されそうになった。この際に、分割に反対する北信地方と東
>信地方(合併前の長野県域)の住民が占拠する議場の傍聴席から、突如として「信濃の
>国」の大合唱が沸き起こり、分割を求める県会議員たちの意思を潰して、分割を撤回さ
>せたと言われている[2][3]。しかし、仮に県議会で可決されたとしても政府や国会は分県
>を認めない方針であったとされる[3]。
〈略〉
>2. ^ 長野県. “県歌信濃の国4”. 2006年9月28日閲覧。
>3. ^ a b 読売新聞 (2007年5月22日). “県歌 信濃の国 第1部〈5〉県会大合唱伝説の
真相(5月22日)”. 2009年5月18日閲覧。


3. の「県歌 信濃の国 第1部〈5〉県会大合唱伝説の真相(5月22日)」のリンクをたどって
みると、以下のようなことが書かれている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/kikaku/092/7.htm
> 本会議の1か月前、24歳だった大沢さんは上司に指示され、東京に数回出張した。
>県議会で分県の意見書が可決された場合、どう取り扱われるかを、霞が関の官庁街や
>国会の衆院事務局を回って調査した。

> その結果、「可決されても単なる意見書。長野県を二つに分けるなんて簡単にはでき
>ないし、国も国会も許さない」との結論に至った。

>  大沢さんの報告は、本会議前に南信側県議にも伝わった。しかし、「分県は南信の
>意見だから、このままやる」と南信側は言い張った。一方、北信側の議員たちは周到な
>作戦を練っていた。

>    #   #

> 質疑応答の後、採決に入った。南信側議員は29対29の可否同数で、議長裁決によ
>り可決となることを疑わなかった。が、立岩忠一・議会事務局長から投票結果を聞いた
>小松副議長の顔色が変わった。
> 北信側3議員が白票を投じたためだ。29対26となり、賛成が上回ったものの、可決
>には出席議員の過半数が必要。議長裁決にもならず、午後3時59分、時間切れ閉会、
>意見書は廃案となった。
> こうした実例を解説した文書が県議会の図書館にあり、種明かしすれば、当たり前と
>いう意味で後に「コロンブス作戦」と呼ばれた。 

>    #   #

> 大沢さんは本会議中、議長席横に座った立岩議会事務局長の脇にいたが、議事堂の
>周囲で信濃の国が歌われたのは覚えていない。忙しさで、それどころではなかったのだ
>ろう。だが、閉会後、傍聴席から上がった信濃の国の歌声は、鮮明に耳に残っている。


ええと、Wikipedia でいう「仮に県議会で可決されたとしても政府や国会は分県を認めない
方針であったとされる」というだけの話ではないような。「議事堂の周囲」や傍聴席からの
「信濃の国の歌声」とは全然関係なく、南信側議員の 29 人は予定通りに分県に賛成の
票を投じたし、「北信側の議員たちは周到な作戦」の通りに白票を投じて意見書を廃案に
追い込んだというのが真相だったということになる。

ただ、まあ、想像に過ぎないけれど、1948 年の採決には「信濃の国」の合唱が直接影響
したわけではなかったとしても、分県の提案がそれ以降蒸し返されなかったとすれば (これ
も仮定でしかないが)、それに民の声としての「信濃の国の歌声」も大いに影響をあたえた
可能性も無視できないと思う。

つまり、長野県の子ども向けページにある以下の記述 (これは上の記事よりも前に公開
されたものらしい) も、まるきりの嘘とはいえないかもしれないなあ、と。

http://www.pref.nagano.jp/kids/menu1/kenka04.htm
> 長野県は広くて、地域ごとに風土(ふうど)や文化がちがうから、かこに何度も県を分け
>ようという運動があったの。そんな時に、みんなが信濃の国を歌うことで心が一つになっ
>て、県を分けることにはならなかったそうよ。

> 歌声を聞いて、県を分けちゃいけないって思ったのね。

> そうなの。昭和23年に、県議会(けんぎかい)では県を分けるか分けないか話し合わ
>れました。その時、議場(ぎじょう)を取りかこんだ数千人の聴衆から「信濃の国」の大合
>唱が起きたそうなの。それでけっきょく、県を分けることにはならなかったの。


それに、県歌を歌って喧嘩をやめる、って何か語呂がよいと思うし。(←結局これがいいた
かった)


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2011.02.01 (Tue)

謎の預貯金額ランキング?

2011 年 1 月 31 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

『偽りの米軍残り物説』をスクール革命で語った唐沢俊一
北海道は離婚率が高い

の続きのようなもの。

http://tv.yahoo.co.jp/meta/?minnaid=113789&date=20110130
>(預貯金額ランキング)1位・香川県、2位・福井県、3位・富山県、45位・鹿児島県、
>46位・宮崎県、47位・沖縄県、6位・東京。



これ、実は以下のようなデータがあったので、1 位は東京ではないかと思ったのだ。

http://www.stat.go.jp/data/zensho/2004/hutari/gaiyo33.htm
>ア 都道府県別貯蓄現在高
> 全世帯について,都道府県別に1世帯当たり貯蓄現在高をみると,東京都が1958万
>円と最も多く,次いで三重県,福井県,奈良県,愛知県,香川県と続いている。一方,
>沖縄県が507万円と最も少なく,次いで宮崎県,鹿児島県,青森県,長崎県,秋田県と
>続いている。


http://www.tonashiba.com/ranking/pref_budget/save_p/13020001
>貯蓄現在高[1世帯当たり]
>1位  東京都   1,957.7万円
>2位  三重県   1,939.4万円
>3位  福井県   1,911.1万円
〈略〉
>45位 鹿児島県  1,020.4万円
>46位 宮崎県    990.6万円
>47位 沖縄県    506.8万円
> ※ 総務省統計局 『社会・人口統計体系』 (2008)調べ


しかし、上は 2004 年、下は 2008 年のものなので、もっと新しいデータはあるかと思って
捜していたら、以下が見つかった。

http://www.stat.go.jp/data/zensho/2009/hutari/yoyaku.htm
>二人以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高を都道府県別にみると,香川県が最も多
>く,次いで奈良県,神奈川県,愛知県と続いている。一方,沖縄県が最も少なく,次いで
>青森県,鹿児島県,熊本県と続いている。


あ、1 位は香川県でよいのか、疑って悪かった……と思ったら、2 位以下があまり一致して
いないような。

『スクール革命』   総務省統計局
1位  香川県     1位  香川県
2位  福井県     2位  奈良県
3位  富山県     3位  神奈川県

45位 鹿児島県   45位 鹿児島県
46位 宮崎県     46位 青森県
47位 沖縄県     47位 沖縄県

2009 年のそれよりも新しいデータがどこかにあるかもしれないが、上記の総務省統計局
の出している順位は「統計メールニュース(平成22年12月24日)」として送信されている
ものと同じで、つまり去年のクリスマスに公表されたばかりのデータのはずで。

http://www.stat.go.jp/info/mail/101224.htm
>+--------------------------------------------------------------------+

>      ☆ 統計メールニュース(平成22年12月24日) No.411 ☆

>+--------------------------------------------------------------------+

>                 総務省統計局 http://www.stat.go.jp/ 



>*********************************************************************
>*

>*目 次

>* 1.本日公表した統計の要約

>*   ・平成21年全国消費実態調査

>*    二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果

〈略〉
>10 貯蓄現在高は香川県,負債現在高は東京都が最も多い 
> ・二人以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高を都道府県別にみると,
>   香川県が最も多く,次いで奈良県,神奈川県,愛知県と続いている。
>   一方,沖縄県が最も少なく,次いで青森県,鹿児島県,熊本県
>   と続いている。


かといって、2008 年以前のデータなら、1 位が東京都になっていてよさそうな気がするし、
前回エントリーの離婚率の上位 3 つに北海道が入らないランキングと同様に、どこから
引っ張ってきたのか自分には見当がつけられなかった。どこかにあったら、ごめんなさい。

あと、まあ、貯蓄額については、ベスト 10 とワースト 10 に入る都道府県は割といつもの
顔ぶれという感じはあるものの、トップ 3 とワースト 3 だけみるとそれなりに変動が激しい
ように思うので、ある年の上位 3 つと下位 3 つのみで県民性を語るのは、あまり意味が
ないかもしれないと思ったりもする。

いや、番組でいっていた、「香川県人はまじめで堅実で人生設計をしっかりと立てる」という
のを、特に否定したいという気もないのだけれど。


関連ガセビア (?)
1 日 30 円 (現在の通貨価値換算) の貯金で銀行設立は無理
貯金より 同族結婚 ロスチャイルド (字余り)

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2011.01.31 (Mon)

北海道は離婚率が高い

2011 年 1 月 31 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

『偽りの米軍残り物説』をスクール革命で語った唐沢俊一

の続きのようなもの。

なお、前回は書き忘れていたけど、番組を見ながらのツイートは、
http://twilog.org/baudrateRA/date-110130
の方に、当日の実況板の様子は Read More に収録してある。
唐沢俊一検証blog」の「褒殺の美学。」や、以下の YouTube のリンクをあわせて参照
してみるのも面白いかも。

http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/books/1296168381/
>818 :無名草子さん:2011/01/30(日) 20:53:01
http://www.youtube.com/watch?v=fxgL9artnFI

>ユーチューブ(笑)にもUPされてたお



で、本題。今回は、番組でやっていた離婚の多い都道府県について。

『スクール革命』では、沖縄県、大阪府、宮崎県の順で離婚が多いといっていた。この部分
の担当は唐沢俊一である。

http://tv.yahoo.co.jp/meta/?minnaid=113789&date=20110130
>(離婚の多い都道府県ランキング)1位・沖縄県、2位・大阪府、3位・宮崎県、
>45位・島根県、46位・富山県、47位・新潟県。


「離婚の多い」というのは、離婚率の高いという意味と考えてよいだろう。単純に離婚した
人数が多いということなら、人口の多い東京都などがトップにくると思われるため。

そして、当日のツイートでも違和感を表明させてもらったのだけど、上位 3 都道府県に、
なぜか北海道が入っていない。

http://www1.mhlw.go.jp/toukei/rikon_8/repo7.html
>平成10年(1998)
>離婚率の 高率県 Prefectures with high divorce rates
>47  沖縄   2.72
>27  大阪   2.42
>01  北海道  2.38
>40  福岡   2.23
>13  東京   2.21

>離婚率の 低率県 Prefectures with low divorce rates
>32  島根   1.27
>15  新潟   1.34
>06  山形   1.38
>16  富山   1.38
>18  福井   1.45


上に引用したデータは 1998 年のものだから少し古いのだけど、このような形式の、より
新しいデータを、厚生労働省内のページでなかなか見つけることができないのが困った
ところで……。たとえば、「平成21年度 『離婚に関する統計』の概況」には、「都道府県
別協議離婚の割合の年次比較」はあるのだが、「都道府県別離婚率」は見あたらない。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/01.html
>表2 都道府県別協議離婚の割合の年次比較 -平成7・12・17・20年-

「厚生労働省:平成21年人口動態統計月報年計(概数)の概況」の「第9表 人口動態総
覧(率),都道府県(19大都市再掲)別」というのは見つかったので、そこから「離婚率」の
高い都道府県と低い都道府県を、目視で抜き出してみると以下のようになった。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai09/toukei9.html
>2.01 全国

>2.60 沖縄
>2.40 大阪
>2.24 北海道
>2.22 福岡
>2.21 宮崎
>2.13 東京
>2.09 高知

>1.42 新潟
>1.56 秋田
>1.57 富山
>1.58 島根
>1.66 山形
>1.73 岐阜


ここでもやはり、1998 年のときと同様、沖縄、大阪、北海道の順で離婚率が高い結果に
なっている。日テレ『スクール革命』では離婚の多さでは第 3 位の宮崎県は、北海道や
福岡県より下位にきている。

離婚率の低い都道府県についても、『スクール革命』でいう島根県、富山県、新潟県という
のは、1998 年のデータが元だとしたら山形県が、2009年のデータからだとすると秋田県が
抜けてしまっている理由がよくわからない。

実は「都道府県 離婚率」でググると以下に引用したページがトップにくるのだけど、こちら
は 2009 年のデータを元にしているらしい。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7342.html
> 都道府県の中で離婚率が最も高いのは沖縄の2.71(件/千人)であり、大阪(2.43)、
>北海道(2.42)がこれに続いている。
> 逆に、離婚率の最も低い県は、新潟(1.49)であり、島根(1.52)がこれに次いでいる。
>この他、富山、石川、秋田など、北陸から東北の日本海側にかけてで離婚率が低くなっ
>ている。離婚率の高い地域に共通の地域性が認められないのに対して、離婚率の低い
>地域は日本海側という共通性があるようである。


ここでも離婚率の高いのは沖縄、大阪、北海道であり、『スクール革命』でなぜ第 3 位が
宮崎県になっているかという謎は依然として残る。

http://www.tonashiba.com/ranking/pref_population/household_p/07020010
>離婚率[1千人当たり]
>1位  沖縄県  2.69%
>2位  北海道  2.42%
>3位  大阪府  2.38%
>4位  宮崎県  2.31%
>5位  福岡県  2.29%


唐沢俊一は、沖縄県で離婚が多いのは、沖縄の女性は自立心が強いため男性への不満
を我慢しないため、日本海側の県で離婚が少ないのは、雪国の女性は我慢強く、農業は
商業と違い女性一人ではできなくて一家・一村でやるものだから、そこを出てしまうと生活
できないので我慢するしかないとか解説を加えていた。

それだと、北海道の高離婚率や島根県の低離婚率の理由の説明がつきにくいような気も
するのだけど。


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2011.01.30 (Sun)

『偽りの米軍残り物説』をスクール革命で語った唐沢俊一

2011 年 1 月 31 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

・「有数の米所 宮城県民の好物は~」という問題がでた。

・牛タンのことかなといった出演者がいたが、仙台人はそんなに牛タンを食べないらしい
 という話になった。

・そこで唐沢俊一が、駐留していた米軍はタンなどを食べないで捨てていたのだが、
 それまで食べていなかったタンを工夫して牛タン料理にした、とかいう蘊蓄を疲労。

・ちなみに、番組的な正解は東MAXの方がスパゲティと解説。2002年のワールドカップ
 でイタリアのチームが仙台に滞在したところ、パスタブームがおきてそれが今も続いて
 いるという話だそうだ。

で、唐沢俊一が番組で話したような牛タンの由来の話は、ネット上のあちこちで見かける。

http://gyutan.goko-h.com/gyutan.html
>仙台牛タンの発祥の由来は、第二次世界大戦後間もない食糧難の時代「味の太助」
>(本店・仙台市青葉区)の創業者:佐野啓四郎さん(故人)が仙台に駐留した米軍が、
>食料に使わなかった肉牛の舌(牛タン)を、炭火で焼いて客に出したのが始まりでした。


ところが、このような「米軍残り物説」は、実は偽りだったという話もまたネット上にある。

http://chiebukuro.travel.yahoo.co.jp/detail/1347625198.html?p=宮城県&pg=16
>■誤った解釈をされた回答者さんがいらっしゃいますので、補足します
>http://www.gyutown.com/about/history.htm
>↑こちらの『偽りの米軍残り物説』に詳細が書かれておりますよ

>ケータイから閲覧できるかわからないので、一部だけ抜粋しておきますね

>※ 仙台牛タン焼きの誕生は定説では昭和初期に当時、仙台に駐留してたアメリカ兵が
>食べ残した牛肉の余剰部分を利用したのがはじまりとされてきました。しかし調査をして
>みると当時、アメリカ進駐軍は、アメリカ本土から牛肉を解体したものを輸入していたた
>め、牛タン自体はほとんど輸入されていなかったそうです。・・・


おや、と思ってリンク先を見てみると、確かにアメリカ進駐軍は、どうせ捨てることになる
牛タンをわざわざアメリカ本土から輸入していたわけではなく、「宮城県内や山形の農家を
回り、牛タンを集めていました」と、仙台牛タン焼きを誕生させた佐野啓四郎の息子が証言
している。

http://www.gyutown.com/about/history.htm
>偽りの米軍残り物説
> 仙台牛タン焼きの誕生は定説では昭和初期に当時、仙台に駐留してたアメリカ兵が
>食べ残した牛肉の余剰部分を利用したのがはじまりとされてきました。しかし調査をして
>みると当時、アメリカ進駐軍は、アメリカ本土から牛肉を解体したものを輸入していたた
>め、牛タン自体はほとんど輸入されていなかったそうです。

>当時の”牛”事情について
> 宮城県内では裕福な農家しか牛を飼うことが出来ませんでした。
> 宮城県内の畜場や山形のと畜場では一週間にと畜する頭数は平均2、3頭ぐらい。
>と畜予定の牛タン予約をして、確保でき次第それを集めてきて使っていました。アメリカ
>産の余りものを使ったわけではないそうです。

>「旨味 太助」社長 佐野八勇氏の話
> 「お店は第1、3、5日曜が定休日でしたが、平日に電話で各と畜場へ依頼をして休み
>のたびに、おやじのお供で宮城県内や山形の農家を回り、牛タンを集めていました。
>昭和41年の秋口から昭和53年のお盆まで、私が休みをいただけたのは、1年のうちに、
>8月16日(お盆)と正月の元旦だけでした。」

> 仙台牛タンの名前が有名になるにつれて、いつからかこのような米軍残り物説が生ま
>れたようです。


そして、もともと和食の職人であった佐野啓四郎と牛タンという素材との出会いも、アメリカ
進駐軍とは関係なく、「ヒット商品を出しても、周りのお店に次々と真似されてしまう」ことに
悩んで、洋食屋を経営していた友人に相談したら牛タンはどうかと提案されたというお話。
勧めにしたがいタンシチューを食べてみて、その旨さに驚いたものの、焼き料理中心の
店ではじっくり煮込むという調理法を採用するわけにはいかなかったので、牛タン焼きと
いう料理にするまでには独自に試行錯誤を重ねたとのこと。

http://www.gyutown.com/about/history.htm
>人には真似のできないものを
> 当時は食糧難ということもあり、焼き鳥屋といっても鶏肉だけではなく、豚肉や牛肉な
>ど、様々な素材を焼き料理として出していました。
> そんな中、和食の職人として腕をふるっていた啓四郎氏の悩みは、焼き料理は調理方
>法が簡単なので、ヒット商品を出しても、周りのお店に次々と真似されてしまうことでした。
> 「誰にも真似のできない自分だけの料理を造りたい!」
> そんな気持ちが自然と芽生えるようになりました。生粋の職人だった佐野氏にとっては
>必然的ともいえる欲求だったのかもしれません。

>洋食料理の素材「牛タン」 
>啓四郎氏は苦しい胸の内を、洋食屋を経営していた親友の小野氏へ相談しました。
> それから、何日かして小野氏から「お店で牛タンを出してみたら?」と提案されました。
>和食では通常扱うことのない素材でしたが、職人としての好奇心からどんなに美味しい
>ものかと思い、小野氏の勧めに従って、小野氏が知り合いの洋食屋に行き、タンシチュ
>ーを食べてみました。
> 食べてビックリ「コクがあって本当に旨い!」啓四郎氏は、一口で「牛タン」の持つ素材
>の魅力にひかれました。しかしながらタンシチューは3日も4日もかけてじっくり煮込んで
>作る料理のため、焼き料理中心のお店では適さない食材。啓四郎氏の牛タン焼き造り
>の試行錯誤の日々が始まりました。


つまり、唐沢俊一が番組で話していたような、駐留していた米軍と仙台牛タン焼きの発祥
とに関係があるかのような話は、どれもガセ、ということに。


「米軍残り物説」を採用しているページがかなり多いので、これは諸説ありと解釈するべき
話なのだろうかと迷ったけど、そのようなページでも、「太助」の創業者である佐野啓四郎
が牛タン焼きの元祖だとは書かれているのだ。

http://blogs.yahoo.co.jp/makoron205/19436498.html
>太平洋戦争後、仙台にもGHQが進駐した。その際、大量に牛肉を消費する駐留米軍が
>残したタンとテールを有効に活用するために、1948年(昭和23年)、仙台の焼き鳥店「太
>助」初代店主・佐野啓四郎が、牛タン焼きの専門店を開業したことが 「仙台牛タン」 の
>始まりである。


その佐野啓四郎の息子たちが、材料の牛タンは山形などに買い出しにいっていたと語って
いるので、米軍から回してもらったという話は、やはりガセと解釈してよいだろう。

http://www.aji-tasuke.co.jp/history.php?HPSESSID=787633b8b9dc6f5c9a791e8e9abf16a0
>牛タン焼きは仙台が発祥地とされる。「味太助」の初代、佐野啓四郎(故)が昭和二十三
>年、仙台市中心部に牛タン焼きの専門店を開き、全国にその味を広めたことによる。
>佐野啓四郎は、山形県西里村(現河北町)の農家の二男として生まれた。東京で料理
>の修業をしていた二十代の頃(昭和十年頃)、フランス人のシェフからシチューなどに
>使う牛タンの味を教わり、日本人好みの味付けに工夫を重ねた。
>「昭和十年頃だったかねぇ。東京で日本料理の修業をしている時に知り合ったコックが
>言うんだよ。牛の舌ほどうまいものはないってねぇ。まさか、と思って自分で焼いて食べ
>てみたら、これが本当にいい味なんだ。」
>牛タン焼きの生みの親、佐野啓四郎は、初めて牛タンと出会った頃をこう振り返った。
>佐野啓四郎は、戦時中は焼き鳥の屋台を引いたりして花巻市、白石市、宮城県柴田町
>などを転々。戦後間もなく仙台にやってきた。
>開店当時は、物資不足の時代。材料が手に入らず、朝一番の汽車に乗って山形まで
>買い出しに行くことも多かった。物がなくても、牛タン一筋で店を続けていくというこだわ
>りの表れである。
>佐野啓四郎は、平成6年3月15日に他界したが、その後、長男の佐野和男(現店主)
>が「味太助」を引き継いでいる。



参考 (前回 2010 年 9 月に唐沢俊一が「スクール革命」に出演したときのガセビア一覧):
「光宇宙 (ピカチュウ)」は非実在?
オードリー踊るなら
一という名字だったら一という名前をつけたくなるかな人情として
時々でいいからお公家さんのことも思い出してください
実在しない名字をカウントするのは止めましょうということで 10 万種類
元データ不明の「知念」は「約20倍いる」
唐沢俊一に“スミス”を扱わせたのがいけなかったんじゃなかったかという話も
ほにょ、ほんにょ、ほにお、すずきの木
佐藤さんといえば大ムカデ退治と西行法師
天国への梯子だったり天皇の料理人だったりの高橋さん
笑う藤原氏
『キリンヤガ』にはンデミやンガイが出てきたりする
瑠璃の「瑠」は「る」で「璃」は「り」と読むと思うんですが>日テレさん

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2010.10.02 (Sat)

瑠璃の「瑠」は「る」で「璃」は「り」と読むと思うんですが>日テレさん

2010 年 9 月 5 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

「光宇宙 (ピカチュウ)」は非実在?
オードリー踊るなら
一という名字だったら一という名前をつけたくなるかな人情として
時々でいいからお公家さんのことも思い出してください
実在しない名字をカウントするのは止めましょうということで 10 万種類
元データ不明の「知念」は「約20倍いる」
唐沢俊一に“スミス”を扱わせたのがいけなかったんじゃなかったかという話も
ほにょ、ほんにょ、ほにお、すずきの木
佐藤さんといえば大ムカデ退治と西行法師
天国への梯子だったり天皇の料理人だったりの高橋さん
笑う藤原氏
『キリンヤガ』にはンデミやンガイが出てきたりする

の続きみたいなもの。これで 13 エントリー目だけど、どうしてこんなに引っ張るはめに
なったのかは、やっている本人にも、よくわからない。唐沢俊一本人が番組でいっていた
ように、名前関係は雑学の宝庫だからかもしれない。


日テレ『スクール革命』の唐沢俊一担当部分より。

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>■実在する珍しい名前
>光  ⇒ らいと
>原子  ⇒ あとむ
>真珠  ⇒ ぱーる
>紗音璃 ⇒ しゃねる
>七七七 ⇒ ななみ
>光宇宙 ⇒ ぴかちゅう


「しゃねる」と読ませたい場合、「る」に使えそうな漢字はいくらでもあるだろうに、何で
わざわざ「璃」とか、普通は「り」と読む字を使うかなと、ふと思った。「紗音璃」ならば
「さおり」とか読みそうに思うけど……。

ググってみたかぎりでは、「紗音璃」で「しゃねる」と読むとしているのは、当の日テレ
『スクール革命』のサイト、および、番組について語っているブログくらいしかなかった。

『光宇宙 (ピカチュウ)』は非実在?」のときに参照させてもらった、子どもにつけられた
変わった名前を収集している http://dqname.jp/ というサイト。そこにも、「紗音瑠」など
はあっても、「紗音璃」はない。

http://dqname.jp/index.php?md=view&c=si510
>(漢字)   紗音瑠 ( 33画 )
>(読み)   しゃねる ( shaneru )
>(性別)   女
〈略〉
>関連性のある名前
>紗音琉(しゃねる)くん, 沙音瑠(しゃねる)ちゃん, 裟留(しゃねる)ちゃん, 紗寧瑠
>(しゃねる)ちゃん


で、「紗音璃」と「光宇宙」以外は一応、http://dqname.jp/ というサイトには掲載されて
いるのだけど:

http://yomi.mobi/read.cgi/yutori/yutori_news4vip_1222312993
>25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2008/09/25(木) 12:29:00.56
>ID:lxFB5UJf0]
>そのサイト、俺が投稿したネタネームが30個ぐらい混じってる


という話もあるし……。もともと、実在を確認してから登録するタイプのサイトではないよう
だし。

なので、「×紗音璃 ○紗音瑠」とも書きにくかったりするが、まあ「紗音璃 ⇒ しゃねる」
はガセ認定してよいでしょう、ということで。


で、これも前に引用したことのある、日テレ『スクール革命』での「実在する珍しい名字」。

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>■実在する珍しい名字
>前  ⇒ 「すすむ」
>九  ⇒ 「いちじく」 *一字で九と読む
>十  ⇒ 「もぎき」 *「木」の枝をもぐ⇒十(もぎき)
>十八女 ⇒ 「さかり」
>月美里 ⇒ 「やまなし」 *月が美しく見える里⇒山が無い⇒「やまなし」
>小鳥遊 ⇒ 「たかなし」 *小鳥が遊べる⇒鷹がいない⇒「たかなし」


このうち、「十八女」というのは、姓氏研究家の森岡浩 (ここここここここを参照) に
よると「有名なインチキ名字」だそうで……。

http://home.r01.itscom.net/morioka/myoji/jitsurei.html
>有名なインチキ名字   十八女(さかり)---さかりがつく?

なお、別のサイトでは、幽霊名字との見解は同じなものの、地名ならあるとの情報も。

http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/yuurei1.html
>十八女  さかり  地名なら徳島県にある

それなら、日テレ『スクール革命』でも地名ネタの方でやればよかったという気が。

http://yubin.senmon.net/7715178.html
>〒771-5178
>とくしまけん あなんし さかりちょう
>徳島県 阿南市 十八女町


また、やはり森岡浩によると、以前こちらにも引用した通り、「もぎき」と読む字は、
「本当は漢数字の『十』ではありません」という話もあって。

http://home.r01.itscom.net/morioka/myoji/uniq.html
>十
>一見、漢数字の「十」に見えますが、本当は漢数字の「十」ではありません。実は、
>「木」という漢字の両側の払いがなくなっているものです(ここでは漢数字の「十」で代
>用しています)。読み方には「もげき」とも「もぎき」とも言われていましたが、「もぎき」
>が正しいようです。その理由は、「木の払いをもいだ形だから」ということに由来しま
>す。漢数字の「十」は縦棒は先を止めますが、「木」という漢字は行書では縦棒の先
>をはねます。ですから、「もぎき」さんも正しくは縦棒の先をはねるのだそうです。


丹羽基二の著作を参考文献にしているサイトの説明では、以下のような感じになる。

http://www.geocities.co.jp/Playtown-Domino/4406/kiseikanwa.html
>十の縦棒の根元が跳ねた漢字、さん
>  想像して下さい。「十」を書いてみましょう。
>  横棒を引く。そして、縦棒を書く。で、縦棒の根元を跳ねさせる。
> それじゃ、「十」ではないって? そう「十」じゃない。縦棒が跳ねたら、「十」じゃ
>ないんです。漢和辞典にも載らない、苗字にだけ使われる漢字です。
〈略〉
> この字は、表意文字なんです。「木」の枝がもげた様子、または「枝」ない様子を
>あらわしているんです。前者から、「もげき」「もぎき」。後者から、「えだなし」という
>読みが生まれました。
>  そして、棒が重なってることから、木々が茂って、枝が重なっている様子を想像。
>茂る木々で「もきぎ」、またナマって「ももき」と読む。かなり苦しい(^^;
>  なんか、変じゃないですか? なんで、こんな漢字(この苗字の方すみません)
>作る必要があるわけ?って思いませんか?
>  どうやらですね。毛木(もぎ)・茂木(もぎ、しげき、もてぎ…なんでこう読むのか
>な~?)・百木(ももき)・桃木(ももき)・李木(もちき…これもなんで?)・百鬼(ももき)
>・繁木(しげき)・茂樹(しげき)などの苗字が入り混じって、面倒なので「十の縦棒の
>根元が跳ねた字」で表しちゃったみたいです。
>  なんか、強引ですけどそうらしいです(^^;
> 「えだなし」は、この字ができたあとから生まれたそうです。


以下のページは、「もぎき」の字 http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/mogiki.gif
を画像表示してくれている例。

http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/gaiji.html
>注 「十(もぎき)」姓について……「十(厳密には縦画がはねるのでここに収録)」という
>苗字については、「つなし・えだなし・よこだて・にご」など思いつきとしか思えない読み
>方があれこれと広まっていました。ずっと電話帳に全国1件しかなかった苗字にこんな
>に多くの読み方があるわけがありません。管理人は、その1件が「毛利」と「望月」の
>間にあるので、上記の読み方と同列に並べられている「もぎき」か「もげき」が正しい
>と考えていましたが、そのどちらとも決めかねていました。ところが、最近「平成教育
>学院」というテレビ番組に、この苗字と名のる本人が出演して自ら「もぎき」と名のり
>ました。また、電話帳に新たにもう1件がこれまでとは別の地域で載るようになりまし
>た。それが「毛利」と「杢谷」の間にあるので、「もげき」の線も消え、「もぎき」以外の
>読み方はすべて嘘と断定できるようになりました。


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2010.09.27 (Mon)

笑う藤原氏

2010 年 9 月 5 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

「光宇宙 (ピカチュウ)」は非実在?
オードリー踊るなら
一という名字だったら一という名前をつけたくなるかな人情として
時々でいいからお公家さんのことも思い出してください
実在しない名字をカウントするのは止めましょうということで 10 万種類
元データ不明の「知念」は「約20倍いる」
唐沢俊一に“スミス”を扱わせたのがいけなかったんじゃなかったかという話も
ほにょ、ほんにょ、ほにお、すずきの木
佐藤さんといえば大ムカデ退治と西行法師
天国への梯子だったり天皇の料理人だったりの高橋さん

の続きのようなもの。ええと、名前関連のネタだけあって、寿限無みたくなっているのは、
仕様だということで。

http://matodoga.blog24.fc2.com/blog-entry-6407.html で動画を発見し、以前見た
ときに気になった、「藤原」さんその他、「藤」のつく名字について。「佐藤」さんについて
のときに話されていたことだけど、http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
には載っていない。

----------------- (キャプション)
名字
「あとからつけたもの」「先祖伝来」

-----------------

唐沢俊一「そして実は日本で一番そのまあ何と言いますか子孫というか一族というのが
多いというか藤原氏という一族なんです。」

----------------- (キャプション)
藤原氏
日本の古代から近世まで繁栄した貴族

-----------------

----------------- (キャプション)
「佐」という職位をつとめた藤原氏
→「佐藤」

-----------------

唐沢俊一「藤原氏につかえている人間、藤原氏の子孫の人間、藤原氏に何か関係した
人間というのが、あのいわゆるあの藤というのが名前につく字、名字というのが多い。」

----------------- (キャプション)
藤原氏の繁栄で藤が付く名字が多い
藤井・藤本・伊藤・加藤・近藤など

-----------------

唐沢俊一「藤本、藤井、藤田……」
“藤原さんという方は”
唐沢俊一「もちろん」
“直系の”
唐沢俊一「直系のほうです。」

“藤原さんは直系なの”
唐沢俊一「直系です。もちろん直系ばかりではなく、それに憧れて、あやかろうとして、
その名をつけた方もいます。」


……唐沢俊一は二度も「直系」と断言していたが、公家の藤原氏の直系で、現在の名字
が「藤原」という人は、まずいないという話では、なかったっけ。日テレ『スクール革命』の
サイトにこの話が載っていないのは、さすがにまずいと思ったせいなのか。そういえば、
キャプションにも「直系」とか書いてはいなかったですね、と。

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1998707.html
>現在公家の藤原氏の一族で、藤原さんはいないと考えてください。鎌倉時代ごろから
>は、藤原は氏族の総称になり、嫡流は九条家・近衛家・二条家・一条家・鷹司家の五
>摂家になり、その分家も御子左家・四条家・勧修寺家・日野家・中御門家などを名乗
>るようになります。
>現在藤原を名乗る方は、明治維新のときに藤原氏にあこがれて名乗った方と藤原氏
>の部曲(かきべ)や部民(べみん)といった、隷属関係にある方々の子孫で、それに
>ちなんで名乗った方などです。
>加藤とか伊藤という苗字もこういった由来はありますが、直接藤原氏の子孫という訳で
>は無いようです。


http://logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/min/1018538398/
>99 :天之御名無主 :04/01/05 00:16
>藤原さんはね、ほとんど藤原氏とは血縁なかよ。
>いや、交雑の進んでる現代において200代も遡れば皆兄弟って説もあるから、
>中にはどこかでつながってる奴もいるだろうけど。

>藤原氏の「藤原」は姓(かばね)なので、公家の藤原さんはほとんど
>近衛とか九条とかの苗字名乗ってるの。
>公家系藤原氏(道長とか)と武家系藤原氏(純友とか)との違いも意識しないと。

>由来のひとつは、由緒正しい藤原氏に源流をもつものがあるよね。
>それ以外に、武家藤原が地方に任官したときの現地領民が名乗ったパターンもある。
>さらに、地名が藤原という場合も少なくない。地名自体は藤原氏の荘園由来だったり
>するけど。
>あとは、明治時代に国民皆姓で出自を詐称したものも含まれるよね。

>みんな藤原氏に影響されてはいるけど、血縁はほとんどの場合ないやねえ


「藤原氏の嫡流は近衛家・鷹司家・九条家・二条家・一条家の五摂家に分立」したのは
鎌倉時代のこと。これらの家の人たちが明治維新のときに、戸籍に藤原という名字を
登録したという話も聞かない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/藤原氏
>姓から家名へ
>鎌倉時代に入ると藤原氏の嫡流は近衛家・鷹司家・九条家・二条家・一条家の五摂
>家に分立し、五摂家が交代で摂政・関白を独占し続け公家社会においては一定の
>影響力を持ち続けるが、政治の中枢とは隔絶し明治に至る。
>五摂家以外にも、三条家・西園寺家・閑院家・花山院家・御子左家・四条家・勧修寺
>家・日野家・中御門家など数多くの多くの支流・庶流がある。
>公家の他に、北家の藤原道兼の子孫の宇都宮氏流や、同じく北家の藤原長家の子孫
>の那須氏流、同じく北家の藤原房前の子の藤原魚名の子孫の藤原利仁、藤原秀郷
>からは、多くの武家も輩出した。

>現代の藤原(氏)
>現在の研究では、庶民の苗字は明治初めにもともと先祖伝来のものを戸籍に載せた
>場合が多いとされ、現代の藤原氏の多くは全国各地に存在する藤原という地名が発
>祥と考えられる[3]。また藤原氏の部民(部曲。農業労働者)として仕えたという由来
>から、明治新姓の際に登録したケースもあるようだ。
〈略〉
>3. ^ 「姓氏家系大事典」丹羽基二(新人物往来社)



それから、気になったのは、「藤原氏の繁栄で藤が付く名字が多い」ということで挙げら
れていた「藤井・藤本・伊藤・加藤・近藤など」について。

「伊藤・加藤・近藤」のような、漢字一文字+「藤」のタイプについては、斉藤や工藤など
を含め、藤原氏が由来という話はよく聞くところではある。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1244627
>近藤は、近江国の藤原氏。遠藤は、遠江国の藤原氏。というようなことを聞きますが、
>藤が付けばすべて藤原氏の子孫とはいえないでしょう。日本人の8割が百姓だったの
>ですから。


http://ja.wikipedia.org/wiki/藤原氏
>藤原氏の子孫とされる苗字
>ただし、これは苗字の由来であり、これらの苗字だから藤原氏の子孫とはいえない。
>つまり藤原氏の子孫の伊藤氏や加藤氏もあれば、藤原氏とは関係がない伊藤氏や
>加藤氏もある。また、藤を「とう」と読まなかったりする。[4]。
>・伊藤 - 伊勢に移った藤原氏。
>・加藤 - 加賀に移った藤原氏。
>・後藤 - 備後に移った藤原氏。単に藤原氏の後裔を示す場合も[4]。
>・近藤 - 近江に移った藤原氏。
>・佐藤 - 佐渡、佐野に移った藤原氏。藤原氏の繁栄を祈した藤重などがある。左衛門
> 尉(さえもんのじょう)や佐(すけ)など律令制の役職との合体も含まれるとされる。
〈略〉
>4. ^ a b ビーバップ!ハイヒール、2009年7月2日放送(ABCテレビ(朝日放送))


http://www.houbunkan.jp/shopping/10202/index.shtml
>丹羽 基二シリーズ3
>苗字のはなし(I) -苗字は歴史のエッセンス-
>A5判/上製/カバー付/238頁 価格:2,415円(税込み)
〈略〉
>◆第一章:大姓・珍姓いろいろある(代表的な131の苗字を取り上げて解説)
>たとえば、佐藤さん=佐野の藤原氏、加藤さん=加賀の藤原氏、斎藤さん=斎宮頭
>の藤原氏。金持さん=平家が滅んで陰栖、伯耆国の豪族・・・など。


すぐ上に引用したように、姓氏研究家の丹羽基二は、「佐藤」と「加藤」を特定の地名
と藤原氏の「藤」を組み合わせたもの、「斉藤」を「斎宮頭の藤原氏」としているし、
『よくわかる!名字と家紋』 (武光誠) http://books.google.co.jp/books?id=-JV4pjoJiHAC
では、加藤と伊藤、工藤と斉藤を「藤原氏+官職が由来」のものとしている。

しかし、「藤井・藤本」、そして、キャプションにはないが唐沢俊一が口走った「藤田」に
ついては、そういう話はあまり聞かないような……。

ざっとググってみたところ、「藤本」は藤原氏由来らしい。

http://plaza.rakuten.co.jp/context1176/43006
>●中野 高井郡中野郷発祥。
>●小出 伊那郡
>●国分 小県郡国分庄発祥。
>●志賀 佐久郡志賀邑発祥。
>●藤本 小県郡上塩尻の名族

>以上は、藤原氏


「藤井」は、『よくわかる!名字と家紋』 (武光誠) には「藤井は藤原系の名字」と書かれ
ている一方、「卜部氏の流れを汲む堂上家」としての「藤井家」があったり、井戸の側に
藤があったことに由来する地名が存在したりで、ちょっと微妙。

http://books.google.co.jp/books?id=-JV4pjoJiHAC
>藤井は藤原系の名字で、「藤原氏の中に居る」ことを現す藤居が変化したものとされ
>ます。


http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1119320131
>藤井は西日本に活躍した藤原系の武士です。
>自分が藤原氏の流れを示す「藤居」でしたが、字の形がよくないとのことで、「藤井」
>となりました。
>公家(家紋:柏)、清和源氏系(家紋:撫子)、武家(三藤巴)に藤井がいます。


http://ameblo.jp/minami-fujii/entry-10344770087.html
>アナタの苗字SHOWを見ています。
>藤井さん、全国ランキング42位です!!!
>可も不可もない。
>いや・・・多いのか。
>番組はとっても面白かったです
>藤井の由来は「藤の咲く井戸のほとりの意」・・・・・・・まんますぎる。むう。


http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1342756618
>地名に関して言えば、
>・茨城県常陸太田市玉造町の「藤井」は
>『風土記』に見える玉の清井に藤の木があったことに由来しています。


http://ja.wikipedia.org/wiki/藤井家
>藤井家(ふじいけ)は卜部氏の流れを汲む堂上家。代々平野社預かりを兼ねた家で、
>藤井充行(従二位・民部大輔・右京権大夫)(1722年 - 1792年)を祖とする。
> 家格は半家。従二位・非参議を極官とする。
> 江戸時代の家禄は30石。明治時代以降子爵。


「藤田」の方は、藤原氏由来の名字ではない模様。これをキャプションからはずしたのは
賢明だったということか。

http://office-maeta.jp/office/contents/060828.htm
># 順位はなるほど日本知図帳 04-05(昭文社)から → これも第一生命資料から
>のようだ
〈略〉
>藤田
># 名字ランキング33位。
># 武蔵国榛沢郡藤田郷に代表される地名姓。同国の桓武平氏畠山氏の支族で、
>西日本、特に瀬戸内海沿岸に多い。藤原氏由来の名字かと思ったが、植物の藤に
>由来するものの他、「縁」や「淵」由来の地名姓のようだ


その他関連 (多分しない) URL:
- http://logsoku.com/thread/yutori7.2ch.net/news4vip/1267800111/


で、まあ、実際に日テレ『スクール革命』がどのように製作されているかは、外部の素人
は想像するしかできないが、収録の後で、唐沢俊一の話したことをこっそり取捨選択
して、文字情報として出すものと出さないもの、後日サイトにアップするものとしないもの
とを、それなりの手間をかけて分別して (?) いるのかなあ。

貴族がもっている精神の強さ」とかいうのについては、しょうがないので「諸説あります」
で対処したりして。

これは、ネタ集めが唐沢俊一によるものだったせいなのだろうか、それともいざ収録の
際に、唐沢俊一が余計なことを勝手につけ加えてしゃべったりしたせいなのだろうか。

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2010.09.26 (Sun)

天国への梯子だったり天皇の料理人だったりの高橋さん

2010 年 9 月 5 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

「光宇宙 (ピカチュウ)」は非実在?
オードリー踊るなら
一という名字だったら一という名前をつけたくなるかな人情として
時々でいいからお公家さんのことも思い出してください
実在しない名字をカウントするのは止めましょうということで 10 万種類
元データ不明の「知念」は「約20倍いる」
唐沢俊一に“スミス”を扱わせたのがいけなかったんじゃなかったかという話も
ほにょ、ほんにょ、ほにお、すずきの木
佐藤さんといえば大ムカデ退治と西行法師

佐藤さんといえば、狐忠信に平将門討伐ってのもあるよというのは、おいといて、今回は
「高橋」さんについて。

日テレ『スクール革命』の唐沢俊一担当部分より。

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>第3位 「高橋」
>由来:日本の国土の約7割が“山間部”。
>「山」があるという事は「谷」がある。⇒橋を架ける
>高い橋の近くに住んでいるから。高い橋の近くで生まれたから。という事で「高橋」姓
>が生まれたと言われている。


実際に唐沢俊一のしゃべったのは:

山のつく字っていうのが、日本にはすごく名字ってのが多いというじゃない
ですか。山があるからには谷がある。谷があるということは、そこからそこへ
渡るには橋をかけなくちゃいけない。そこでその下の道を通ると、高いところ
に橋がかかっているな、という。それがたくさん多いってんで、その高い橋の
近くに住んでいるから、高い橋の近くで生まれたから、ということで高橋さん。


サイトに書かれているのは、あれでもかなり整理された文章だった、と。

このときテレビに映し出されたのは、何もここまで高い所にある橋の画像を使わなくても
……と思わせる画像で、もう周囲には山しかなく、下を流れている川も細く狭く、付近に
家など一軒も見あたらないような。

これが谷瀬の吊り橋 http://www.mapple.net/spots/G02900080501/photolist.htm
ようなものならまだ、川の幅も広いし、写真によっては人家があるのも確認できるけど、
番組の方で使われていた画像は、五家荘の吊り橋などに近い感じだった。
- http://ssakura812.exblog.jp/6575642/
- https://gazoo.com/g-blog/mizpuri/234473/Article.aspx

これで、「高い橋の近くに住んでいるから。高い橋の近くで生まれたから。」――の「高橋」
さんが、日本で 3 番目になるほど多数誕生したといわれても、ああなるほどと膝を打つ
気には、あまりなれない。

ちなみに、Wikipedia での「高橋」「高橋氏」の説明は以下の通り。

http://ja.wikipedia.org/wiki/高橋
>河川に架かる橋に由来する名称(人名・地名など)

http://ja.wikipedia.org/wiki/高橋氏
>高橋の名の由来については諸説ある。
>1. 筑後国北部の御原郡の国人一族が高橋氏を名乗る。初め大蔵党の一派。のちに
>  豊後大友氏の一族出身の高橋鑑種や高橋鎮種(紹運)が家督を継いだ。筑後十五
>  城の一つ。前段で詳述。
>2. 安芸国・石見国に勢力を張った国人一族が高橋氏を名乗る。高橋興光の代で毛利
>  元就に滅ぼされる。後段で詳述。
>3. 磐鹿六雁命(後世、日本料理の神として尊崇を集めた)を祖とする古代氏族の一
>  で、膳部(かしわで)氏とも称した。代々内膳司を勤めており、同僚の安曇(あずみ)
>  氏との衝突の果てに家記『高橋氏文』(789年奏上。逸文のみ残る)を奏上したこと


3. の「膳部(かしわで)氏」のことを「天皇の料理番」と表現している本 (『よくわかる!名字
と家紋』 著者: 武光誠) もある。
- http://books.google.co.jp/books?id=-JV4pjoJiHAC&q=天皇の料理番

高橋姓の由来を説明する際に、この膳部氏の話や『高橋氏文』のエピソードに、まったく
言及しないのも割と珍しい部類に入るのではないかと思うが、これはまあ佐藤の由来の
とき
と同様、唐沢俊一を起用する番組らしいクオリティということで。


では、鈴木の件と、佐藤の件で、有力ネタ元かなと思った (いや自分が勝手に思った
だけだけど) 森岡浩による説明はどうかというと……。

http://www.nhk.or.jp/r1-night/quiz/archive/kako/091027.html (「2ページ」)
>※高橋さんは、全国的に広く分布。橋は古代においては土地を象徴する建築物。
> 秋田県のある地域を調べたところ、○丁目世帯の全員が高橋さん


http://home.r01.itscom.net/morioka/myoji/ranking.html
> 「高橋」という名字はたいへん古く、古代からあります。万葉歌人の高橋虫麻呂が
>有名ですし、文学史で「高橋氏文」という書名を見たことがあるかもしれません。この
>高橋氏は古代豪族で、天皇家の料理を担当した一族です。同僚の安曇氏と席次で
>もめた際、高橋氏の方が由緒正しく正統である、と書いて提出したのが「高橋氏文」
>なのです。いってみれば家系自慢ですね。系図上では、高橋氏は第8代孝元天皇の
>皇子、大彦命の子孫となっています。ルーツは奈良県天理市の高橋というところです。
> しかし、高橋姓は基本的には「橋」に由来する名字です。でも「橋なんて珍しくもなん
>ともないだろう」と思いませんか? 実はそれは現代人の感覚なのです。江戸時代で
>すら、都市部を除いては、川は渡し舟で渡るものでした。江戸では隅田川にいくつか
>の橋がかかっていましたが、その大半は有料で、結構な通行料がかかったようです。
>つまり、橋とは、そんなに庶民的で一般的なものではなかったのです。名字ができた
>のは、江戸時代よりもずっと前ですから、さらに貴重で目立つ建造物だったことはあき
>らかです。
> では、「高橋」の「高」とはなんでしょう。現在の橋はコンクリートで造りますから、どん
>なに長くても横からみれば一直線です。しかし、昔の橋は木造ですから、大きな橋は
>アーチ状につくりました。そのため、中央部は高くなっています。つまり、「高橋」とは、
>「大橋」という意味なのです。読み方も、今では「たかはし」ですが、古くは「たかばし」
>と読んでいた可能性があるとみています。
> ただ、現在の高橋さんのルーツは、地名由来の方が多そうです。高い橋に由来する
>地名が各地にあり、そこに住んだ一族が「高橋」を名字としたという例がたくさんありま
>す。古代における「高橋」は「姓」で「名字」ではありません。現在では「姓」を名乗って
>いる家はあまりありませんから、現在の高橋さんは別姓で、地名由来の名字の「高
>橋」さんが主流だと思います。(難しくてゴメンナサイ)


さて、日テレ『スクール革命』での説明は、どう解釈するべきか。

すぐ上に引用の文章の最後の段落にある「高い橋に由来する地名が各地にあり、そこ
に住んだ一族」、「現在の高橋さんは別姓で、地名由来の名字の『高橋』さんが主流」、
Wikipedia でいう「河川に架かる橋に由来する名称(人名・地名など)」に重点を置いて
「高橋」さんの由来を説明するのは、よいとして。

「名字の由来の説明は一致していない」のは、前エントリーにも書いた通り。

唐沢俊一「その下の道を通ると、高いところに橋がかかっているな、という。それがたくさん
多いってんで」

森岡浩「でも『橋なんて珍しくもなんともないだろう』と思いませんか? 実はそれは現代
人の感覚なのです。〈略〉橋とは、そんなに庶民的で一般的なものではなかったのです。」

唐沢俊一「山があるからには谷がある。谷があるということは、そこからそこへ渡るには
橋をかけなくちゃいけない。そこでその下の道を通ると、高いところに橋がかかっている
な、という。」

森岡浩「では、『高橋』の『高』とはなんでしょう。〈略〉昔の橋は木造ですから、大きな橋
はアーチ状につくりました。そのため、中央部は高くなっています。つまり、『高橋』とは、
『大橋』という意味なのです。」


さらに、由来説明の他のページを探してみると、今度は「天と地を結ぶ高い柱(ハシ)」
からきている――という話が浮上してくる。

http://harimaya.com/o_kamon1/seisi/best10/takahasi.html
> 佐藤・鈴木についで広く全国に分布する。これは高橋という地名が全国各地に多
>かったからだ。ちなみに奈良県では 約四十もの高橋という地名がある。
> 高橋氏には二つの系統がある。まず孝元天皇の皇孫大稲輿命の子磐鹿六雁命の
>流れ。この命(ミコト)は景行天皇に 新鮮な蛤のナマス料理を差し上げた。天皇はい
>たく喜ばれ、膳(カシワデ)の姓を賜った。この子孫膳臣の支流が高橋氏を名乗った。
>その後、朝廷の食膳を司る家柄として、本家の膳臣をしのぐ勢力となり、高橋朝臣を
>賜姓された。
>  もう一つが大和国添上郡「高橋神社」の所在地高橋邑から出た物部氏の流れで、
>これは地名からきている。 高橋の地名は神社に関係が深い。それは、丸木橋を立て
>れば柱になる。天と地を結ぶ高い柱(ハシ)は神の降臨を願う聖域の目印となる。
>神殿の階(キザハシ)も同じだ。信濃国の一宮である諏訪神社や生島足島神社の境
>内には「御柱」が立てられているが、 これも高い柱に通じるもので、神の降臨を願うも
>のにほかならない。
> また、神の訪れるハシのたもとは、それが柱であろうと橋であろうと、そこは聖なる場
>所である。多くの氏子は、ここで神を待ち、 神を迎えた。そこは神を呼ぶ場所であり、
>かつ神を招く人(神主)の居所であった。こうして、 高橋は氏子たちにとって神聖な宮
>代となり、意義深いことばとなった。そして、名字に転じた。 高橋氏には社家が多い
>が、越後の弥彦大宮司家をはじめ、各地の八幡社や山王社などの神職に就いてお
>り、 とくに北関東・東北に多い。
>  武家の高橋氏は、駿河の紀姓大宅氏族、遠江の藤原南家狩野氏族、近江の佐々
>木氏族、伊予の越智氏族、 筑前の利仁流斎藤氏族や桓武平氏の系統などもある。
>その他、各地の高橋姓をながめてみると、 諸国に多数の氏が出ている。筑後三原郡
>発祥の高橋氏は、渡来系の大蔵氏の流れで、高橋招運の養子となった 立花宗茂は
>柳川藩主となり、高橋元種は延岡藩主となった。


「天と地を結ぶ高い柱(ハシ)」や「神殿の階(キザハシ)」は、「神の降臨を願う聖域の
目印」であり、それが地名となり、「名字に転じた」ので、「高橋氏には社家が多い」と
いう話。つまり、名字の元となったのが「高橋」という地名として、地名としての「高橋」
は、高いところに「橋」があるからつけられたものというより、「神社に関係が深い」と
いうのだ。

「天(神)と地を結ぶ高い柱・階(たかはし)が原義」というのは、『なるほど日本知図帳
04-05』 (昭文社) でも採用しているようで、この本ではさらに「『橋』とは、『川を渡る橋』
では無く『梯子』のことで、天(神)と地を結ぶ高い柱・階(たかはし)が原義」――として
いる模様。

http://office-maeta.jp/office/contents/060828.htm
>* 高橋: 天(神)と地を結ぶ高い柱・階(たかはし)が原義。古代からの大姓。
〈略〉
>(昭文社 なるほど日本知図帳04-05 より)


http://office-maeta.jp/office/contents/060828.htm
># 順位はなるほど日本知図帳 04-05(昭文社)から → これも第一生命資料から
>のようだ
〈略〉
>高橋
># 全国に約145万人で名字ランキング3位。
># そものも「橋」とは、「川を渡る橋」では無く「梯子」のことで、天(神)と地を結ぶ
>  高い柱・階(たかはし)が原義で、古代からの大姓の一つ。
># 高橋姓の中で有名なのは古代豪族の高橋氏で、第八代孝元天皇の皇子である
>  大彦命(おおひこのみこと)の子孫の膳(かしわで)氏の一族で、大和国高橋
>  (奈良県天理市)の地名から高橋姓を名乗った。
># 高橋姓は東西を問わず全国に分布し、岩手県湯田町では人口の1/3が高橋姓
>  と言われている。
># 代表家紋は竹笹。



で、まあ、先に紹介した『よくわかる!名字と家紋』 (著者: 武光誠) では、「高橋の名字」
について、以下のようにまとめている。こちらは、高いところにかけられた橋からきている
高橋さんもいることを、一応肯定している。

http://books.google.co.jp/books?id=-JV4pjoJiHAC&q=高橋の名字
> 現在、高橋の名字が非常に多く、全国各地に分布している背景には、高橋という
>地名が全国にあり、その地名から名字を名乗った人が住んでいた地域、高い橋が
>あるところ、高橋神社があるところなどに、高橋という地名がつけられています。

>   高橋の起源①

> 天まで届く高い梯子→高橋
>       ↓
> 神事を行う人を高橋と呼ぶ
>       ↓
> 全国に高橋神社ができる
>       |   周辺の「村」や「氏子」なども
>       ↓   高橋と呼ばれるようになる
>     高橋氏に


>   高橋の起源②

> 高橋という氏を与える            朝廷の料理人
>天皇―――――――――――――――――――――→ 膳氏
>   膳氏という氏は福井県の膳部山    |
>   が由来とも、逆に支配地にその     |
>   名がついたともいわれている       ↓
>                         高橋氏に


>   高橋の起源③

>   高橋という人が
>   住む村の住人が         「高橋です」
>    高橋と名乗る           高橋村

>  高い橋があるところに住む人


ただし、「高い橋の近くに住んでいるから。高い橋の近くで生まれたから。」しか挙げて
いない日テレ『スクール革命』のサイトの説明には、かなり問題があると思われるし、
谷にかけられた橋が「たくさん多い」からとかいう番組内での唐沢俊一の説明は、ガセと
認定してしまってよいだろう。

それと、鈴木さんの件のときも少し思ったけど、鈴木や高橋といった名字の成り立ち、
および、それが広まった経緯には、神社が密接にからんでいるような気もするのだけど、
番組では、神社の「じ」の字も出さないこととかいうルールでもあったんだろうか。

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2010.09.20 (Mon)

唐沢俊一に“スミス”を扱わせたのがいけなかったんじゃなかったかという話も

2010 年 9 月 5 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

「光宇宙 (ピカチュウ)」は非実在?
オードリー踊るなら
一という名字だったら一という名前をつけたくなるかな人情として
時々でいいからお公家さんのことも思い出してください
実在しない名字をカウントするのは止めましょうということで 10 万種類
元データ不明の「知念」は「約20倍いる」

の続きみたいなもので、前々エントリー前エントリーと同様の名字ランキングネタ。


日テレ『スクール革命』のサイトには、以下のようなことが書かれている。

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>Q.世界で一番多い名字は「スミス」である 「×」
>正解「李(り)」・・中国と韓国を合わせて約1億人以上
>*スミス ⇒ アメリカで1位 約280万人
> 佐藤  ⇒ 日本で1位 約200万人


×約1億人以上 ○約1億人
×約200万人 ○約140万人

まあ日本語版 Wikipedia の方には、以下のような記述があり、李というのが「世界的に
見ても最も多い姓」とは書かれているが、特に出典は記載されていなくて、人数について
の記述もなし。

http://ja.wikipedia.org/wiki/李氏
>李氏(りし、いし)とは、中国、朝鮮、ベトナムの氏のひとつ。現代中国・朝鮮において
>は最も数の多い五大姓[1]の一つに数えられ、世界的に見ても最も多い姓である。
〈略〉
>1. ^ 中国では李・王・張・趙・劉(近年の調査では李・王・張・劉・陳)、朝鮮では
>金・李・朴・崔・鄭。


実のところ、番組の中 http://www.youtube.com/watch?v=cMa2gOdkXnE&NR=1 (今は
もう見れない) で唐沢俊一が「ブルース・リーのリーはもともと『李』」とかいっていたのに
引っかかって、そのとき見た英語版 Wikipedia は以下のように書かれていた。

http://en.wikipedia.org/wiki/Li_(李)
> It is the most widespread surname in China, with about 7.9 percent of the
> Chinese population possessing this family name. As of 2002, there were
> approximately 103 million people in China and 108 million worldwide with this
> surname. As of 2010, this remains the world's most common family name.
>[citation needed]


しかし、9 月 18 日に更新され、「most widespread surname」の「most」が消えて、
「the world's most common family name」の記述が削除されたりしている一方、
[citation needed] (要出典) のタグは残っているというのが現状……。

http://en.wikipedia.org/wiki/Li_(李)
> It is a widespread surname in China, with about 7.9 percent of the Chinese
> population possessing this family name. As of 2002, there were approximately
> 103 million people in China and 108 million worldwide with this surname.[citation
> needed]


で、同じ Wikipedia でも List of most common surnames の方をたどってみるテスト。
こちらは一応、それぞれに出典がついている。

http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_most_common_surnames_in_Asia#China
># Name Romanization Population(2007) Frequency(2007) Population(2006.11)[2]
>1 王   Wáng      92,881,000       7.25%       92,550,000
>2 李   Lǐ       92,074,000       7.19%       91,020,000
〈略〉
>2. ^ http://www.nciic.com.cn/yewufanwei-rksu-mfcp2.htm


http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_most_common_surnames_in_Asia#Korea
>1. .김 (金; Kim, Gim, Ghim)
>2. 이 (李; Lee, Yi, I, Rhee)
〈略〉
>Source: 2000 Census, National Statistical Office, Republic of Korea.


http://www.nso.go.kr/common/CommonAction.do?method=download&attachDir=bm90aWNl&attachName=c3BjZTAwLTguUERG
が Wikipedia の Korea の項の元となっているが、それによると李姓は全体の 14.8% を
占め、6,795 千人で約 700 万人。現在の韓国の人口 4,800 万人で計算しても 14.8%
だと約 730 万人で、中国の 9,200 万人と足したときに 1 億人には少々届かない。

日テレ『スクール革命』のサイトにある、「中国と韓国を合わせて約1億人以上」という
のは、だからガセと考えてよいのではないかと。

実のところ、カナダの名字のトップが Li とのことで、カナダそしてアメリカの Li などを
足していけば、1 億人も軽く突破しそうだとは思ったりもする。

http://www.cbc.ca/news/background/name-change/common-surnames.html
>1. Li
>2. Smith
>3. Lam
>4. Martin
>5. Brown
>6. Roy
>7. Tremblay
>8. Lee


しかし、『スクール革命』のサイトでは「中国と韓国を合わせて約1億人以上」とやって
しまっているし、中国と韓国以外を数えるとするならば、Lee の方は李が由来とは限ら
ないので、 その扱いが難しくなりそう。

http://en.wikipedia.org/wiki/Lee_(English_name)
> Lee is a common surname in English-speaking countries. There are several
> distinct origins of the Lee surname. The most common surname of English
> origin is derived from Middle English lea, meaning "meadow, forest clearing",
> and is therefore a name describing the bearer's place of residence. In Ireland,
> Lee has been used to Anglicise Gaelic Laoidhigh, an occupational surname
> meaning "poet." Spelling variants of both the English and the anglicized Gaelic
> names include Leigh and Lea. The Lees of Shropshire, West Midlands region of
> England, notable as the forebears of the colonial American Lee family (members
> of which include Robert E. Lee, Richard Henry Lee and Zachary Taylor), has a
> name derived from Norman de Lee.



さて、http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_most_common_surnames_in_Asia には、
日本のデータも掲載されている。

http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_most_common_surnames_in_Asia#Japan
> This ranking is based on the average number of the entries in all Japanese
> Yellow Pages for the past three years.[6]

>#  Name  Romanization  No. of entries
>1  佐藤   Sato|Satō     456,430
>2  鈴木   Suzuki       403,506
〈略〉
>6. ^ Source: Nationwide Top 10,000 Surnames[dead link] by Tadashige Murayama.
"The 2006 Japanese Surnames Research". Myōji-kan (苗字舘). Retrieved
> 2007-11-12.


これは『スクール革命』の他の部分で、出典して使われた「村山ランキング」 (ここ
参照) の数字が使用されている。

http://park14.wakwak.com/~myj/lanking/zenkoku1b.html
>順位 苗字 平均件数
>1    佐藤  456430
>2    鈴木  403506


で、これが日テレの番組サイトで「佐藤  ⇒ 日本で1位 約200万人」となっている
理由は、推測でしかないのだが、佐藤は約 50 万世帯 (やや水増し) → 4 倍して人数
を出せば 200 万人という計算をしたのではないかと。

しかし、以下に引用するのは「苗字舘」ではないサイトの説明だが、そこに書かれている
通り、「人口で考えるときは3倍」というのが妥当と思われる。世帯数を 4 倍すると日本
の人口をオーバーしてしまうのだ。


http://www2s.biglobe.ne.jp/~suzakihp/my502.html
>1)このデータは、全国のNTT電話帳に記載されている苗字です。
>2)数は世帯数ですので、人口で考えるときは3倍してください
>3)調査した世帯数は、
>  2000/01/23:漢字 6,000位・2400万軒(全国の54%)
〈略〉
>  2003/12/20:漢字99,035位・3097万軒(70.2%)<読みで128,000種>
>(日本の全国世帯数は、44,107,856軒です)



それから、順番は前後するけど、日テレ『スクール革命』のサイトにある:

>*スミス ⇒ アメリカで1位 約280万人

の方も、記述に難ありという感じ。「アメリカで1位 約280万人」という書き方だと、
アメリカにスミスさんが「約280万人」いるといいたいのか、世界中に「約280万人」と
いうつもりなのか、今ひとつはっきりしないのだ。

「アメリカで1位」としか書いていないのも不親切のきらいがあって、Smith は UK でも
第 1 位で、そこに約 51.5 万人。アメリカでの人口は 2000 Census: Frequently
Occurring Surnames
の 237.6 万人を採用するとして、オーストラリアの 11.5 万人を
加えると、それだけで 300 万人を超える計算となる。

http://en.wikipedia.org/wiki/Smith_(surname)
> Smith is an English-language family name (surname)[3] originating in the British
> Isles. It is the most common surname in the United Kingdom,[1] Australia and
> the United States,[4] the second most common surname in Canada, and the fifth
> most common surname in Ireland.
〈略〉
> At least 3 million people in the United States share the surname Smith, and
> more than ½ million share it in the United Kingdom.[6] At the turn of the 20th
> century, the surname was sufficiently prevalent in England to have prompted the
> statement: "Common to every village in England, north, south, east and west";[7]
> and sufficiently common on the (European) continent (in various forms) to be
> "...common in most countries of Europe."[8]
〈略〉
>1. ^ a b British surnames
〈略〉
>4. ^ 2000 Census: Frequently Occurring Surnames
〈略〉
>6. ^ Citation: Smith surname at YourNotMe.
>7. ^ Citation: Bardsley, 1901.


http://www.britishsurnames.co.uk/surnames/SMITH
>United Kingdom (current)  514897   1  1.121  11211

http://www.census.gov/genealogy/www/data/2000surnames/index.html
>Smith 2,376,206

http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_most_common_surnames_in_OceaniaAustralia
>Statistics are drawn from Australian government records of 2007.[1]

># Name  Number of people
>1 Smith  114,997
〈略〉
>1. ^ IP Australia. "Search for Australian Surnames". Government of Australia.
>Retrieved 2007-05-14.


さらに、人数がはっきりしないカナダ (スミスは 2 位) やアイルランド (スミスは 5 位) が
アメリカと UK の 300 万人に加わるはずだから……よくわかんないけど、全世界では
350 万人くらいはいくんじゃないかなあ。

で、調べていて思ったんだけど、日テレ『スクール革命』のサイトに書いてある「*スミス 
⇒ アメリカで1位 約280万人」というのは、この数字に近い。

http://howmanyofme.com/search/
> There are 2,732,945 people in the U.S. with the last name Smith.

まあ、アメリカのスミスの数として、こちらを採用するのもありだとは思うけど、○×問題
として出題したのが「Q.世界で一番多い名字は『スミス』である」だからなあ……。
この流れで、アメリカに限定した人数を出されても、よい解説にはならないと思う。


というか、今回の日テレ『スクール革命』の唐沢俊一担当分は、やれ名字のランキングだ
人数だと、数字がたくさん出てきているような気が。どこまでが唐沢俊一の仕事かどうか
わからないけど、多少なりとも唐沢俊一を関わらせるのなら、数字のネタは極力少なく
しないとダメだったんじゃないかと思う。考えてみれば唐沢俊一と数字って、とことん相性
の悪い組み合わせだもの。


追記: 数値について勘違いしていた箇所、「×約200万人 ○約 140 万人」等に削除線
をつけました。

およそ 4 倍して、人数の概数が出るという計算でよかったということで……すみません。

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2010.09.19 (Sun)

元データ不明の「知念」は「約20倍いる」

2010 年 9 月 5 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

「光宇宙 (ピカチュウ)」は非実在?
オードリー踊るなら
一という名字だったら一という名前をつけたくなるかな人情として
時々でいいからお公家さんのことも思い出してください
実在しない名字をカウントするのは止めましょうということで 10 万種類

の続きみたいなもので、前エントリーをあわせて参照のこと、の小ネタ。


日テレ『スクール革命』のサイトには、以下のようなことが書かれている。

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>Q.沖縄では「知念」という名字は「佐藤」と「鈴木」を足した数より多い「○」
>⇒約20倍いると言われている


この「約20倍いる」というのは、多分ガセ。

唐沢俊一が今回の番組で、名字のランキング紹介に使用している「村山ランキング」
では、「都道府県別ランキング 沖縄県」のページに「佐藤」と「鈴木」についてのデータ
は載せていない。

http://park14.wakwak.com/~myj/lanking/47.html
>苗字舘
>都道府県別ランキング 沖縄県

>順位 苗字 平均件数 全国順位
〈略〉
>11   知念  2965    119
〈略〉
>300  久田   153   1114

300 位の 153 件よりも、佐藤も鈴木も少ないだろう――というので、「『知念』という名字は
『佐藤』と『鈴木』を足した数より多い」とはいえるかもしれないが、「約20倍」ということの
できるデータは、ここにはない。

静岡大学の城岡研究室の方は、さらに少なく 200 位までの掲載なので、そこから引っ
張ってくるのも無理。

http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~jjksiro/okinawa.html
>順位  姓   全国の件数 沖縄県の件数 パーセント
〈略〉
>11位  知念   3794     3151      83.1%
〈略〉
>200位 国場    341      263      77.1%

で、探してみたら、以下のようなデータが見つかった。

http://www.douseidoumei.net/47/sei01.html
>順位  苗字 件数 全国順位
〈略〉
>11    知念  2890   1211
〈略〉
>315   佐藤   138     1
〈略〉
>373   鈴木   108     2


これが掲載されている「同姓同名辞典」の、「大元のデータはNTT発刊のハローページ
(平成13年(2001年)発行)」とのこと。

http://www.douseidoumei.net/motodata.html
>同姓同名辞典で使用しているデータは、全国電子電話帳CD-ROM(2002年版)
>から抽出したもので、大元のデータはNTT発刊のハローページ(平成13年(2001年)
>発行)です。


「知念」という名字が「約20倍」となるには、上記データと比べて、佐藤と鈴木を足した数
がおよそ 100 件減るか、知念が 2,000 件ほど増えるかしなければならない。

数え方の差や人為的なミス、または人口流出や流入による変動で、そこまで数値が
異なってしまうというのは、まず考えにくいでしょう、ということで。真偽はおいといても、
ここで「約20倍」とかいってくるのは、わかりやすい説明のしかたとも思えないし。


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23:35  |  本以外の媒体 間違い探し編 (13) +  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2010.09.19 (Sun)

実在しない名字をカウントするのは止めましょうということで 10 万種類

2010 年 9 月 5 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

「光宇宙 (ピカチュウ)」は非実在?
オードリー踊るなら
一という名字だったら一という名前をつけたくなるかな人情として
時々でいいからお公家さんのことも思い出してください

の続きみたいなもので、なぜか「毒を食らわば皿まで」という言葉が脳裏にちらつく今日
この頃。いや別に名前ネタをやることが、罪だとか悪だとか思っているわけではないのだ
けれど。

さて、日テレ『スクール革命』の唐沢俊一担当部分では、よくある名字の順位づけという
のもやっていて、これは「*出典:村山ランキングより」となっている。

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>第3位 「高橋」
〈略〉
>第2位 「鈴木」
〈略〉
>第1位 「佐藤」
〈略〉
>4位 「田中」
>5位 「渡辺」
>6位 「伊藤」
>7位 「山本」
>8位 「中村」
>9位 「小林」
>10位「加藤」   *出典:村山ランキングより


http://www2s.biglobe.ne.jp/nazuke/myouji.html
> いろいろな名字の人数、そして順位については、いくつかの調査があります。
> 第一生命では契約者の名字の順位を、上位のものだけ発表しています。ふりがな
>の集計ですので、たとえば堺、酒井、坂井、阪井、坂居さんなどは同じ分類になります。
> また、かつて姓名研究家の佐久間英氏が上位6,000位を発表したいわゆる佐久間
>ランキングも有名です。漢字別の集計ですので、たとえば大谷(おおたに、おおや)
>さんは同じ分類になります。ただしこのランキングは、たとえば推定人数が5万人の
>名字が90種類ある、というようにグループ別で表現しており、同じ人数の名字では細
>かい順位は不明だとしています。
> 佐久間先生が調査されたときは、電話の普及率が地方によって差があったため、
>資料はおもに都道府県別の「教職員名簿」によったそうですが、パソコンもない時代、
>家族全員で8年近い歳月をかけ、まさに気の遠くなるような作業を完成されたのです。
> 今の時代はほとんどの家庭に電話はあり、電話帳での順位は信憑性があります。
>電話帳にのせない人もいますが、ランキングにはあまり影響しません。電話帳はもち
>ろん漢字別ですが、ちがう名字で人数が一致することは少なく、細かい順位が出ます。
> 電話帳では、第一生命発表の順位や、佐久間ランキングとはややちがう順位になり
>ます。
> 全国個人電話帳の検索ソフト、写録宝夢巣ver5以降(日本ソフト販売)では、上位
>10,000位までの名字の順位が表示されるようになっています。
> 名字の順位でもっともくわしく、信頼性の高いのが、熊本県在住の村山忠重氏の調
>査による、村山ランキングです。
> これは写録宝夢巣をはじめ多くのデータをもとに永い年月をかけて集計し、ベスト
>30,000位を確定させたもので、写録宝夢巣の年度版だけでの順位とかなりちがい
>ます。
> この村山ランキングは、別冊歴史読本「日本の苗字ベスト30,000」(新人物往来社)
>で発表されています。ぜひ入手して、ご自分の名字について調べていただくと面白い
>でしょう。このような大規模な集計が個人によって行われたのは前代未聞のことです。


「村山ランキング」の人は「苗字舘」 http://park14.wakwak.com/~myj/ というサイトを
公開していて、そちらで名字の順位を確認することも可能。

先の引用に出てきた「佐久間ランキング」、後述の姓氏研究家の丹羽基二などと同様、
名字関係は一個人が「気の遠くなるような作業を完成」した、その成果を第三者が享受
することが多いのだなと思った。

http://park14.wakwak.com/~myj/kaisetsu.html
>制作方法
> 使用したデータは電話帳です。前回同様日本ソフト販売(株)の「写録宝夢巣」という
>電話帳ソフトをメインの資料として利用させていただきました。
> 十数万種類の苗字を用意してこのソフトを使って件数を割り出し、その3年分の件数
>の平均を出しています。順位の決定にはさらにそれ以前3年分のデータと(株)エンデ
>バーズの「黒船」というパソコン用電話帳データを使用しました。


感動的だったのは http://park14.wakwak.com/~myj/lankings.html の「いろいろな苗字
ランキング」で、「色々な苗字ランキングを集めて、それぞれ100位まで掲載しました」
というもの。子どもの頃に聞いた覚えのある、1 位は鈴木、2 位は佐藤、3 位は田中とか
いう話は、おそらく佐久間ランキングからきていたものだということが今回わかった。

また、日テレ『スクール革命』のサイトでは出典をはっきり書いていない以下のデータも、
村山ランキングからであることもわかった。どの調査でも同じ結果になるとは限らなくて、
たとえば第一生命やユニバックのランキングだと「山田」は 13 位になっていたりするし、
21 位には「長谷川」や「清水」が入っていたりする。

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>▽スクール革命のメンバーで名字ランキング上位は?
>1位 「山田」 ⇒名字ランキング12位
>2位 「山崎」 ⇒名字ランキング21位

>※スクール革命のメンバーで一番珍しい名字は?
>「八乙女」⇒名字ランキング27292位


「八乙女」が 27292 位は http://park14.wakwak.com/~myj/lanking/zenkoku3b.html
に載っていた。実は、素人考えでは、ここまで下位のランキングの名字を調べるのは、
どこかにある特殊な有料 DB で検索するか、名字を多数集めている本をあたらなければ
いけないのかなと何となく想像していたのだが、そんなことはなかったようだぜ、と。


そして、ランキングが出典によって相違があるのと同じように、日本の名字の数というの
も、いろいろな説が混在する。そこで首をひねるのが、日テレ『スクール革命』のサイト
に書かれている「名字が多いと言われている日本でも約15万種類」との記述である。

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>Q.世界で一番名字が多い国は日本「×」
>⇒世界で一番名字が多い国は「アメリカ」で100万種類以上あると言われている:
>アメリカは多くの国から人が移住している移民の国であるので
>*名字が多いと言われている日本でも約15万種類である。


この数字も村山ランキングからきているのならば、名字の順位の蘊蓄と整合性がとれて
一番なのだが、村山ランキングのサイトの方には、「十数万種類の苗字を用意してこの
ソフトを使って件数を割り出し」としか書いていない。この「十数万種類」というのが日本
の名字の数だと主張しているわけでもない。主要な元データとなった「写録宝夢巣」と
いう電話帳ソフトの方で、名字の数としては何件収録とか公表したりもしていない。

下に引用するページの「数え方」の分類でいえば、村山ランキングは「漢字の区別」を
「する」で、「字体の統合」をしない、「方式2」にあたる。となると、名字の件数は「約10
万件」となるはずで、「約15万種類」というのは多過ぎる。

http://www.myj7000.jp-biz.net/q&a/fq&a.htm
>Q1.日本の苗字の数は世界一ですか?
>A1.残念ながら間違いである。
> 何と言っても世界一は多民族国家のアメリカで、姓の数は100万以上と言われてい
>る。(1964年「社会保障番号書類に見られる姓の分布」に関する報告書による)
> 日本が約30万で2位、フィンランドが約6万で3位、英国が1万数千で4位、中国が
>10,129(中華姓氏書法大詞典)で5位、お隣の朝鮮はわずか326姓(現在の韓国
>は258姓あるいは284姓)である。
> 世界で一番人口の多い姓は、中国の王姓で約1億人と言われる。

>Q2.日本の苗字の数は数え方により増減する?                         
>A 2.苗字の数え方の定義は、下記の表に示す様に大まかに四つの方式に分類出来る。

>数え方 漢字の区別 字体の統合 読み方の区別 苗字件数 コメント
>方式1 する      -       する       約30万件 丹羽基二編「日本
>                                       苗字大辞典」が採用
>方式2 する      -       -        約10万件 Webサイト「全国の
>                                       苗字」が採用
>方式3 する      する      -        約6万件 「佐久間ランキング」
>                                       が採用
>方式4 -       -       する       約5万件 「第一生命ランキング」
>                                       が採用


日本の名字の数というだけだったら、丹羽基二の「約30万件」というのもあるが、これは
この番組で採用するわけにはいかなかった数字だろう。「読み方の区別」を「する」タイプ
のため、番組の他の部分で使用した村山ランキングが出典の順位と一致する保証は
ないし、丹羽基二の説を採用しながら、「日本は世界一、姓のバリエーションが多い国」
という方は否定する○×問題をつくるというのもおかしな話となるので。

http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001909.html
>苗字研究の第一人者が語る苗字学。大抵の苗字の由来に触れられているし、珍しい
>苗字の人にも参考になる情報が多い。
>日本人の苗字は30万姓。姓の数は、同じアジアの中国では350、韓国では250と少な
>く、ヨーロッパは全土合わせて5万程度で、日本は世界一、姓のバリエーションが多い
>国なのだそうだ。


日経新聞のコラムに書かれていたというのは 12 万種だという話だし、研究家の森岡浩
は「十数万と考えています」としかいっていないし、「約15万種類」をとなえる者はあまり
見あたらない。

http://questionbox.jp.msn.com/qa1448274.html
>今朝の日経新聞の「一面コラム」に、「日本の姓は12万」と書いてありました。もしか
>して世界一苗字の種類が多い国なのではないでしょうか?


http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1434810809
>日本 30万種
>(姓氏研究家の丹羽基二による。漢字の字体の違いや読みの違いを考慮してカウント
>した場合。同じく研究家の森岡浩は十数万種としている)


http://home.r01.itscom.net/morioka/myoji/kazu.html
> なお、私は日本人の名字の総数は、十数万と考えています。

村山ランキングと同種の数え方をしている Webサイト「全国の苗字」では、約 10 万件を
主張している。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~suzakihp/my502.html
> 全国の苗字数(初期の目標)は、10万種[漢字]であることが推定できました。
〈略〉
>「全国の苗字(名字)」は、10万種。<案外と少ない>
> 苗字に興味のある方々は、おかしいと思われるのではないでしょうか。
>現に、苗字数は10万、12万、15万説や30万説があります。
> 私も日本人の苗字は、30万あると思っていました
>a)年賀状ソフトの筆王が、28万の苗字掲載となっているではないか?
> (漢字数は、126,554種です。<存在しない苗字が含まれています>)
> 28万と言うのは、読みで28万なのです。
>b)でも、漢字で15万説がはあるのでは?
> 発表されている苗字は、15万近くありますが、
> 存在する苗字は、その7割位です。
> (現に、私は3万種の「存在しない苗字」データを保存済みです)
> 難読苗字や珍名の存在は、大変疑問です(3割程度しか存在しません)。

> 苗字数に諸説があるのは、調査した人がいない(できない)からだと思います。
>それならば、30年かけて全国の苗字を調査して見ようと思い立ちました。
> 色々調べて行くうちに、「NTTの電話帳」の電子データ・ソフトが安価(1万以下)で
>入手でき、それらを上手く利用することで、調査ができました
>c)3年弱で9万種の苗字を収集できました。
>d)この1年間で、再度、全国の苗字調査をして2003/6/末にほぼ完了しました
>e)4年弱で当初の目的(全国の苗字数・推定)を達成しました


「15万」という数字が出てくるページも見つかったのだけど、その「15万」というのは、
「静岡大学 城岡研究室」が出典というわけでもない。

http://www.myouji.info/sekai.html
>世界で一番多い名字を持っている国はアメリカでその数約150万といわれてます。
>アメリカは移民の国で、その民族的多様性を見れば名字の多さもうなずけるでしょう。
>日本の名字は読み方の区分も含めてその数27万ともいわれてますが、15万から
>27,8万の間でしょうか。
>ドイツでは15万から30万の幅で推計されているようです。(静岡大学 城岡研究室)
>フィンランドには3万ほどとのことです。


実は「静岡大学 城岡研究室」の「データベースには日本にある姓が約10万種類集め
てあります」とのことで、これが「現在日本に存在するほとんどの姓」としている。つまり、
ここでは日本の名字は約 10 万種類 (読みの考慮なし) としている。

http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~jjksiro/kensaku.html
>データベースには日本にある姓が約10万種類集めてあります.
>特殊な漢字を使わない姓であれば現在日本に存在するほとんどの姓について順位と
>全国の電話番号登録件数が検索できるようになりました.なお,読みの違いは考慮し
>ていません.電話帳には読みが入っていないためです.

>読みの違いと姓の数について(クリックで非表示と表示の切り替え)

>このデータベースの姓は表記形で約10万種類の姓ですが,読みの違いまで考慮すれ
>ばもっと多くなります.姓氏研究で知られる丹羽基二さんは,読みの違いや表記の違
>いをすべて考慮すると日本には30万程度の姓があるとしています.
>日本は韓国や中国とくらべると姓の数がはるかに多いのですが,世界にはもっと多い
>国があるかもしれません.ドイツでは日本と違いあまり大規模な姓氏辞典は出ていな
>いようですが,dtv-Atlas Namenkunde (「名称学」,1998)によると,ドイツの姓の数に
>ついて15万から30万の巾の推定がされていると述べています.アメリカ合衆国のよう
>に世界各国の姓の集まるところでは150万ぐらいになるだろうとも書いていますが,推
>定の根拠はしめしていません.まあ,日本人のかなりの姓もアメリカ移民の姓として
>アメリカ合衆国にはあるわけですし,多くの国からの移民を受け入れているアメリカ合
>衆国に非常に多くの姓があるというのは当然のことかもしれません.
〈略〉
>そんなこんなで2003年12月までに4万姓をちょっと超えるところまでデータベースが
>育っていましたが,そこへ姓氏研究家の村山忠重さんから村山さんが『写録宝夢巣』
>Ver.1 でしらべた約10万姓のリストを提供しましょうという思いもよらぬ申し出をいただ
>きました.村山さんのデータは日本の姓の網羅的なデータです.なぜならテキストファ
>イル で提供されていた別の全国版電子電話帳のデータをもとに『写録宝夢巣』でしら
>べたものだからです.事実,いただいたリストにはわたしが集めた4万姓のリストは3姓
>をのぞいてすべて含まれていました.
> 村山さんのデータを加え,これで一挙に約10万姓のデータベースが完成です.


さらに、上に引用したように、村山ランキングから提供されたリストも「約10万姓」とのこと
なので、村山ランキングを採用するなら、やはり「約10万」という数字となるということで。
したがって、日テレ『スクール革命』の以下のページ:

http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>Q.世界で一番名字が多い国は日本「×」
>⇒世界で一番名字が多い国は「アメリカ」で100万種類以上あると言われている:
>アメリカは多くの国から人が移住している移民の国であるので
>*名字が多いと言われている日本でも約15万種類である。


×約15万種類 ○約10万種類

と、させていただく。

ただ、今気がついたんだけど、日本の名字を 10 万種類だとすると、アメリカだけでなく
ドイツにも抜かれてしまう可能性が高いのかな。まあ 15 万でも微妙、30 万なら勝てる
という感じで。番組ではドイツについて言及していなかった気がするけど。

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2010.09.18 (Sat)

時々でいいからお公家さんのことも思い出してください

2010 年 9 月 5 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

「光宇宙 (ピカチュウ)」は非実在?
オードリー踊るなら
一という名字だったら一という名前をつけたくなるかな人情として

の続きみたいなもので、これはかゆいところに手が届かないどころか、かゆくも何とも
なかったところが、むずがゆくなってくるなあと個人的に思ったところなど。


http://www.ntv.co.jp/s-kakumei/onair/100905.html
>Q.天皇家に名字がない「○」
>天皇家は日本の象徴であり、戸籍には掲載されていない 

>Q.江戸時代には武士にしか名字が無かった「×」
>公式の場で名乗る事が出来なかっただけで少数ではあるが名字を持っている者もいた。
>例:井原西鶴、小林一茶 など


「戸籍には掲載されていない」のは本当だとして、それの前になぜ、「天皇家は日本の
象徴であり」という説明をつけているのかが、ちょっとわからない。

「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存す
る日本国民の総意に基く。」という日本国憲法の条文は第二次世界大戦後のものである
のに対し、「天皇及び皇族は一般国民のような戸籍を持た」ないこと、「皇室の身分関係
(家族関係)を公証」する皇統譜というものが存在していることは、何も戦後にはじまった
ことではなく、明治時代からずっと続いていたことではないかと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/戸籍
>天皇及び皇族は一般国民のような戸籍を持たず、個人情報は「皇統譜」に記載され
>る。非皇族から婚姻して皇族になった者は戸籍から離脱する。


http://ja.wikipedia.org/wiki/皇統譜
>皇統譜は、皇室の身分関係(家族関係)を公証し、皇位継承の順位を定める基礎と
>なる。1889年(明治22年)に定められた旧皇室典範には、「皇統譜…ハ図書寮ニ於テ
>尚藏ス」(34条)と規定されるのみで、明治初年から宮中で行われた皇室系図の取調
>べにおける内規によって運用された。1926年(大正15年)に至り、皇統譜令(大正15
>年皇室令第6号、旧皇統譜令)を定めた。第二次世界大戦の後、日本国憲法の施行
>にあたり、法律たる皇室典範(昭和22年法律第3号)、そして、政令たる皇統譜令(昭
>和22年5月3日政令第1号)が、新たに制定された。
〈略〉
>以上の通り、天皇および皇族の身分関係に関する事項は、皇統譜令に基づく皇統譜
>に記載される。よって、天皇及び皇族は、戸籍法の適用を受けない。


「天皇は日本の象徴」ではなく「天皇家は日本の象徴」と、「家」がくっついているのは、
地味に気になる……とはいえ、まあしょうがないのかなあ。天皇本人だけではなく、家族
の他のメンバーも、戸籍はないし「象徴的な立場にある」しで、「選挙権・被選挙権」など
を行使できない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/皇統譜
>なお、公職選挙法附則2項に、「戸籍法…の適用を受けない者の選挙権及び被選挙
>権は、当分の間、停止する。」と定められているため、天皇及び皇族の選挙権及び被
>選挙権は、同法の規定によって「当分の間、停止」されている、とする学説・見解があ
>る。
>一方、同法に言う「戸籍法…の適用を受けない者」とは、本島人ノ戸籍ニ関スル件
>(昭和8年1月20日台湾総督府令第8号)、又は、朝鮮戸籍令(大正11年12月18日朝
>鮮総督府令第154号)の適用を受ける者、つまり、同法の施行時に日本国籍を有して
>いた台湾籍や朝鮮籍の人々のみを指すのであって、天皇や皇族を指さない、とする見
>解もある[1]。1992年(平成4年)4月7日、宮尾盤・宮内庁次長は、参議院内閣委員会
>において、天皇及び皇族の選挙権・被選挙権は、象徴的な立場にある天皇とその一
>家として「政治的な立場も中立でなければならない」という要請や、天皇は「国政に関
>する権能を有しない」(憲法4条1項)という規定の趣旨などを根拠として、有していない
>とされているのであり、公職選挙法の規定が根拠になるわけではない、とする旨を答
>弁した。


その他参考 URL:
- http://q.hatena.ne.jp/1119233278
- http://www.norio-de.com/kenpou/chapter-1/
- http://pub.ne.jp/bbgmgt/?entry_id=2656994
- http://tondemonai2.blog114.fc2.com/blog-entry-216.html (?)

で、天皇家が「戸籍には掲載されていない」のは、「天皇家は日本の象徴」だからどうの
こうのというより、そもそも戸籍というのは、「国家が個別個人支配」をするためのもの、
「元来は徴税・徴兵のために設けられ」たものだから――と考えた方がすっきりするのでは
ないかと思ったりもする。

http://ja.wikipedia.org/wiki/戸籍
>戸籍(こせき)とは、戸と呼ばれる家族集団単位で国民を登録する目的で作成される
>公文書である。日本国では、戸籍法に定められている。以下に述べるように、東アジ
>ア諸国特有の制度である。
〈略〉
>全国的な安定統治が達成された徳川時代の幕藩体制下でも、住民把握の基礎となっ
>た人別帳は、血縁家族以外に遠縁の者や使用人なども包括した「家」単位に編纂され
>た。帝国時代になると、中央集権的国民国家体制を目指すため、「家」間の主従関
>係、支配被支配関係の解体は急務であった。戸籍を復活させて「家」単位ではなく
>「戸」単位の国民把握体制を確立し、「家」共同体は封建的体制下の公的存在から
>国家体制とは関係のない私的共同体とされ、「家」を通さずに国家が個別個人支配を
>行うことが可能となった。
〈略〉
>戸籍は元来は徴税・徴兵のために設けられ、家制度の根幹であった、第二次世界大
>戦後の民法改正に伴う戸籍法改正により、現在の目的は大きく変わった。国民健康
>保険や国民年金などの行政サービスに用いるデータは住民票を基にしており戸籍の
>果たす役割は低下している。[1]


支配する側は戸籍に登録される必要はなかったということか。

http://ja.wikipedia.org/wiki/明治天皇
>明治15年(1882年)、軍隊を「天皇の軍隊」と規定した軍人勅諭を発し、大元帥として
>軍隊の統率にあたり、軍備の増強に努めた。
>明治17年(1884年)以降は、間近に控えた議会創設に備えて、立憲制に対応する諸
>制度を創設した。内閣制度、市町村制、府県制、郡制の制定など、津々浦々に至る
>官僚制支配体系の整備と並行して、莫大な皇室財産の設定を行なった。
>明治22年(1889年)2月11日、大日本帝国憲法を公布した。


でも、冷静に考えてみれば、日テレ『スクール革命』が○×式の問題にした「天皇家に
名字がない」。これを「戸籍には掲載されていない」と解説するのは、半分しか説明して
いないような気もしてくる。戸籍に掲載するためには名字が必要というのはわかるけど、
「戸籍には掲載されていない」けど実は名字をもっているというのもありではないかと思う
ので。まあ、戸籍に名字として載っていないものは、それは名字ではないという定義を
とってしまえば別だけど。

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/171328.html
> これは、聖徳太子などの飛鳥時代からそうで、大和の大王家には、最初から姓や
>氏族名がなかったようです。(だから大王家とか、大王一族と呼びます)。
> 理由として、蘇我とか物部などの豪族は、一族の総称で姓名としていたのですが、
>姓というのは、例えば、藤原とか橘などは、天皇家が、豪族に与えたもので、天皇家
>は、姓を与える側であったので、天皇家自身には、姓はなかったのです。
> 姓の後で出てきた「氏」とか「名字」なども、天皇家は名乗らなかったので、姓名に当
>たるものがないのです。
> これは、天皇一族、つまり、天皇も含めて、皇族も同様です。


http://oshiete.goo.ne.jp/qa/630890.html
>現在はありません.
>3世紀の卑弥呼の時代から4世紀の頃には確実にあったと思います.まだ,天皇では
>なく,大王といっていました.大和の苗字を持った豪族の中から大王が選出されたと
>思われますから,当然苗字がありました.
>5世紀になって,大王になれる家が一つに固定されると,苗字は残っていても,多分
>徐々に苗字が必要なくなっていったと思われます.
>6世紀の継体大王は別の氏から大王になりましたので,ここで苗字が変わった可能性
>があります.
>8世紀の天武天皇あたりから天皇と呼ぶようになりましたが,この頃には,苗字の必要
>がなくなり,多分この頃天皇家の苗字が消滅したのだろうと思います.この頃の日本
>の状況を書いた中国の「唐書」という歴史の本に天皇の苗字は「アメ」であると書いて
>あるそうです.
>以上,手元に本がないので,細かい点の間違いはあるかも知れませんが,大筋は
>あっていると思います.


http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1311796318
>今も昔も、天皇の一族に「名字(なあざな,みょうじ,苗字)」はありません。「姓(かば
>ね)」もありません。
>しかし、元々「あめ,あま(阿毎,天)」を名乗っていた、ということを聞きはします。血族
>集団を統括する呼称「氏(うじ)」として、その名を用いていたのではないか、ということ
>です。


ざっとググってみたかぎりでは、「教えて!goo」や「Yahoo!知恵袋」系では、上に引用の
通り、「天皇家は、姓を与える側であったので、天皇家自身には、姓はなかった」とか、
大昔は豪族の名字 (氏?) をもっていたかもしれないが「大王になれる家が一つに固定
されると」必要のなくなった名字は消滅したらしいとか、昔の唐の歴史書などに「あめ,
あま(阿毎,天)」と名乗っていた話が伝えられているとかいう話にとどまっている模様。

これが2ちゃんねるの過去ログになると、「あめ,あま(阿毎,天)」も有力で繰り返し登場
するのは似たようなものとして、もっとカオスに (?) いろんな話が出てきているのが何か
面白い。支那朝鮮発祥説が出てくるのは予想通りとはいえ、それだけではないぞという
感じで。

http://logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/min/1043561550/
>>2 :天之御名無主 :03/01/26 15:43
>「天(あめ・あま)」と言う説を聞いたことがあるが

>3 :あらいぐま :03/01/26 15:44
>「姓」は上位にある者が下位の者に下賜するものであり、天皇の上はない。
>ようするに天皇に「姓」はない。

>5 :天之御名無主 :03/01/26 15:48
>阿毎だって隋書になかったかよ。

>6 :山野野衾 :03/01/26 15:51
>支那の史書には2や5で述べられている通り天と書かれています。
>おそらく 易姓革命防止のためでは。「五雑俎」などには「日本に孟子を運ぼうとする
>と船が沈んでしまう」と書いてあります。

>23 :天之御名無主 :03/02/17 22:27
>まず、姓と苗字の違いを認識すべき。
>たとえば、鎌倉幕府を開いた源頼朝も苗字はない。
>源というのは姓であり、苗字ではない。
>平清盛も同じ。平は姓であり、苗字ではない。
>苗字が武家において普及するのは鎌倉時代から。
>つまり自分の領地の地名を苗字にして、その土地が自家の領地であることを示した。

>天皇家は、源家や平家のルーツであるから当然、苗字はない。
>一般には姓もないといわれている。
>姓は、天皇が臣下に与えるものであったから。
>しかし、現皇室の先祖の継体天皇は、息長という姓だったから、
>天皇の姓として可能なのは、息長(おきなが)だろう。

> 61 :天之御名無主 :03/09/19 00:32
> >>23 源も平も姓ではなく氏ですよ。
>源氏の姓は朝臣です

> 62 :天之御名無主 :03/10/10 01:43
>中国で生まれた『姓』の本来の意味と
>日本の『姓』も意味が違うしなぁ・・・。難しいね。

>『姓』の最も古い意味は、一人の女性を祖とする一族(血縁)をあらわす。
>古代中国の『姓』に女偏が多いのはそのため。姫、姜、?、?など。
>中国では皇帝どころか、三皇五帝にもそれぞれ姓がある。

> 206 :天之御名無主 :2005/07/27(水) 20:32:42
>今まで出たのを軽くまとめると・・・
>1.天 阿毎 神様系
>2.伏見宮 閑院宮 旧宮系
>3.金 朴 シナチョン系
>4.山田 田中 普通にある苗字系

>実際に苗字付けてみると
>天明仁 伏見明仁 閑院明仁 金明仁 朴明仁 山田明仁 田中明仁・・・
>山田が一番なじむかも

> 288 :天之御名無主 :2006/06/25(日) 22:16:38
>あめ は九州の王朝の名前 ご本家の苗字ですね
>そっから分家した天皇のもとの職分は、「うがやふき」だろ

>うがやふき が天皇家のもとの姓だよ

> 336 :天之御名無主 :2007/01/12(金) 16:02:50
>今の天皇家の名字なら
>東久慈(ひがしくじ) だよ。

> 337 :336 :2007/01/12(金) 16:05:45
>学習院出身のオイラが書いたんだから間違いなし。
>学習院大学のOB会の会長は東久慈和爾侍従(天皇陛下)。

>401 :天之御名無主 :2009/01/12(月) 09:28:04
>そういえば学習院に行ってた友人が天皇家の○子と同じクラスで、苗字が無いから
>名簿一番最初で、出席取るときもいきなり「○子」で面白かった、って言ってたな~。
>ふと思い出したw


まあ真偽はともかく、ここまで出揃うと、今後聞くことになるたいていの話について、ああ
聞いたことがあると対応できそうで、ある意味心強い。


ええと、そして、日テレ『スクール革命』の方に話を戻すと、「Q.江戸時代には武士に
しか名字が無かった」という○×式の問題。これは設問自体が変というか不自然という
か……「公式の場で名乗る事が出来なかっただけで少数ではあるが名字を持っている
者もいた」という解説をくわえたかったのならば、「武士や公家にしか名字がなかった」
という問題を出すべきだったのでは。

http://ja.wikipedia.org/wiki/名字
>古代の氏族制度が律令制に移行した後に、氏族格式そのものよりもその本人が属す
>る家系や家族の方が重要になってきており、従来の氏(うじ)の中でもその家を区別
>する必要が現れた。例えば、同じ藤原氏でも藤原北家と藤原式家、藤原北家の中で
>も道長・頼通流とそれ以外といった様に同じ氏の中でも格の違いが現れている。
>そのため、その家を現すためにその出身地を付けたのが名字の始まりと言われてい
>る。平安時代の貴族は母親の邸宅で育つため、その母方の邸宅のある地名などを
>名字につけた。貴族の初期の名字は一代限りのもので、号といい家名を現すもので
>はなかったが、平安時代後期から家名となりその家系を示す様になってくる(近衛家、
>九条家、西園寺家など)。
〈略〉
>名字(苗字)は、姓(本姓)と違って天皇から下賜される公的なものではなく、近代まで
>誰でも自由に名乗る事が出来た。家人も自分の住む土地を名字として名乗ったり、あ
>る者は恩賞として主人から名字を賜ったりもした。
>江戸時代には幕府の政策で、武士、公家以外では、平民の中で、庄屋や名主など特
>に許された旧家の者だけが名字(苗字)を名乗ることを許されるようになった。これを
>もって「江戸時代の庶民には名字が無かった」という具合に語られることがある。だが
>庶民といえども血縁共同体としての家があり、それを表す名もある。また先祖が武家
>で後に平民になった場合に先祖伝来の名字が受け継がれる場合もあった。ただそれ
>を名字として公的な場で名乗ることはできなかった。


「庄屋や名主など特に許された旧家の者だけが名字(苗字)を名乗ることを許されるよう
になった」という話はよく聞くところではあるが、番組ではいっさいふれられていなかった
ような……。

まあ、Wikipedia でいう「名乗ることを許されるようになった」を認めてしまうと、番組の
サイトに書いてある「公式の場で名乗る事が出来なかった」と矛盾するのだけど。番組
では、「公的な場で名乗ることはできなかった」名字と、「名乗ることを許され」ていた
「庄屋や名主」などの名字の両方が存在していたことを、断固として認めない方針なの
だろうか。

http://aries.hp.infoseek.co.jp/myouji/kiso/edo.html
>亨和元年(1801年) お触書の発布
> 領主により苗字・帯刀を許可された庶民
> 1.郷士のように由緒あって以前から許されていたもの
> 2.奇特の行為によって褒賞として新たに許されたもの
> 3.町年寄・庄屋・名主・御用商人・本陣などの役柄によるもの


http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa3057989.html
>江戸時代に武士以外で苗字帯刀を許される人について伺いたいのですが、
>自分でも調べてみたところ、
>「豪農」、「藩に多額のお金を納めた」等いくつかの例を知りました。
>また、苗字帯刀に加えて「裃着用」、「麻上下着用」等プラスアルファが許されている
>家があることも分かりました。


そして、『スクール革命』のサイトでは、「公式の場で名乗る事が出来なかっただけで
少数ではあるが名字を持っている者」の「例:井原西鶴、小林一茶 など」となっている
のも首をひねりたくなる。その流れで本名ではない筆名の方を出すのかと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/井原西鶴
>井原 西鶴(いはら さいかく、本名:平山藤五(ひらやま とうご)、1642年(寛永19年)
>- 1693年9月9日(元禄6年8月10日))は、江戸時代の浮世草子・人形浄瑠璃作者、
>俳人。


http://ja.wikipedia.org/wiki/小林一茶
>小林 一茶(こばやし いっさ、宝暦13年5月5日(1763年6月15日)- 文政10年11月19
>日(1828年1月5日))は、江戸時代を代表する俳諧師の一人。本名を小林弥太郎。
〈略〉
>25歳のとき二六庵小林竹阿に師事して俳諧を学ぶ(論拠不詳であるが、藤沢周平著
>『一茶』では小林竹阿には実際あったこともなく弟子というのは一茶の詐称との記述が
>ある)。



うーん、前のエントリーにも書いたけど、あまり頭がよさそうにはみえないネタの料理の
しかたとかが、いかにも唐沢俊一的だなあという気がする。一から十までスタッフが用意
したものだとするなら、もっとソツのない無難なネタの切り出し方、そして解説になっても
よいような気がするのだけど……。


追記: 本文の編集をしくじっていて、一部の表示がごっそり抜けていた件を修正。


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2010.09.13 (Mon)

オードリー踊るなら

2010 年 9 月 5 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

小ネタ。「『光宇宙 (ピカチュウ)』は非実在?」の続きみたいなもの。

2ちゃんねるのスレに、YouTube の URL を書き込んでくれた人がいたので、せっかく
だから、聞き逃していた分を――ということで。

http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/books/1284039393/587
>587 :無名草子さん:2010/09/12(日) 22:45:51
>スクール革命HQ 2010年9月5日放送

>Part1 http://www.youtube.com/watch?v=bJ4_bFOxCN4&feature=related
>Part2 http://www.youtube.com/watch?v=98ag9VBvqQ0&feature=related
>Part3 http://www.youtube.com/watch?v=cMa2gOdkXnE&feature=related
>Part4 http://www.youtube.com/watch?v=3ZtgfyvYDVk&feature=related

>唐沢テンテー最新出演作



http://www.youtube.com/watch?v=bJ4_bFOxCN4

ちなみにですね、コンビ名のオードリー。このオードリーってのはオードリー
ヘップバーンからコンビ名つけたといいますけど、 「オードリー」の語源は
何かというと、「貴族がもっている精神の強さ」っていうのが語源です。


×貴族がもっている精神の強さ ○高貴な力

「からコンビ名つけたといいますけど」の部分は、聞き取りに自信なし。今回のテレビも
そうだったが、唐沢俊一、しゃべりがあまりに下手すぎないか。

で、唐沢俊一のいう語源は、「貴族がもっている精神の強さ」とのことだけど、「貴族が」
というのは、下でいう「"aethel"(高貴)」からきていると解釈するにしても、「精神の強さ」
の「精神」というのは、どこからきたものか、よくわからない。

ÆÐELÞRYÐ (æðel "noble" 高貴 + þryð "strength" 力)

Aethelthryth ("nobel strength" 高貴な力)

Audrey

「7世紀のノーサンブリア(イングランド北部の古王国、七王国のひとつ)の女王「聖オー
ドリー」(本来の名は゛St Etheldreda")に由来」という話になると、高貴は高貴でも、貴族
というより、王族または聖人というべきではないかと思うし。

http://sekainohanko.com/jindex5.htm
>オードリー ヘップバーン
>オードリーという名前は、古英語(アングロサクソン語)で"Aethelthryth"「高貴な力」
>という意味です。
>この"Aethelthryth"のさらなる語源は "aethel"(高貴)と"thryth"(力)から成り立って
>います。これは、7世紀のノーサンブリア(イングランド北部の古王国、七王国のひと
>つ)の女王「聖オードリー」(本来の名は゛St Etheldreda")に由来してそれにちなんで、
>広く知られるようになりました。
>しかし中世になって、聖オードリーの短縮型「トードリー」が市(定期市の市)などで売っ
>ている安物の装飾品の名前につけられてそれと混同された為、人気がなくなったそう
>です。
>20世紀初め頃までは、現在のかたち「オードリー」で広く使われることは、ありません
>でした。


http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1128262556
>「オードリー」という言葉は、「オードリー・ヘップバーン」のように女性の名前で使われ
>ています。イギリスに多い。
>もとは古英語(アングロサクソン語)で、"Aethelthryth"と表記され、意味は「高貴な
>力」 ("aethel"(高貴)と"thryth"(力))という意味です。


http://en.wikipedia.org/wiki/Audrey
> Audrey is a given name meaning "noble strength" from the old Anglo-Saxon
> Ethel.[1]. It was the name of Saint Audrey or Saint Æthelthryt, a 7th century
> saint.[2] Audrey was the 51st most popular name for girls born in 2007 in the
> United States and was the 173rd most common name for females in the United
> States in the 1990 census. It was also ranked in the top 100 most common
> names for girls in France, Belgium, and Canada in the past five years.[3] The
> name has gained some popularity due to the fame of the actress Audrey Hepburn.

http://www.behindthename.com/name/ae32th30elth31ryth30
> ÆÐELÞRYÐ
> Gender: Feminine
> Usage: Anglo-Saxon
> Derived from the Old English elements æðel "noble" and þryð "strength".


正確さに難がありそうというだけの話ではなく、「貴族がもっている精神の強さ」だと、
「高貴な力」などと比べて、ややぎこちなく不自然な言いまわしのため、ムダに意味が
わかりにくくなっているという問題もあると思う。

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2010.09.12 (Sun)

「光宇宙 (ピカチュウ)」は非実在?

2010 年 9 月 5 日 11:45 からの日テレ『スクール革命』

以下は、唐沢俊一も出演した、その番組の感想ツイート。

http://twitter.com/enisyi/status/23026817933
>スクール革命見てて思ったけど、子供に光宇宙(ピカチュウ)とか七七七(ななみ)とか
>原子(あとむ)とかの名前付ける親って何考えてんだろ。全く子供の気持ちなんて考え
>てないんだろうな
>12:10 PM Sep 5th webから


http://twitter.com/zonotaicho/status/23026416315
>光宇宙と書いてピカチュウだって!子供にそんな名前つけるやつは親じゃねえ!
>#ntv
>12:04 PM Sep 5th ついっぷるから


http://twitter.com/S_M_Gaia/status/23026404760
>光宇宙(ピカチュウ)って名前つけた人って本当にいるのかなぁ? 唐沢俊一だから
>信用ならない.
>12:04 PM Sep 5th webから


その他参考 URL:
- http://desktop2ch.net/tv/1279510693/

で、「光宇宙(ピカチュウ)って名前つけた人って本当にいる」かどうかについては、

×光宇宙 (ピカチュウ) ○光宙 (ピカチュウ)

なのか、それとも、どちらも存在しないのかは不明。少なくとも「光宇宙 (ピカチュウ)」は、
「光宙」に間違って「宇」を挿入してしまったのだろうということで。

2ちゃんねるのスレで指摘があった (Read More 参照) が、子どもにつけられた変わった
名前を収集している http://dqname.jp/ というサイトがあり、そこには「光宙」や「光中」
で「ぴかちゅう」と読ませる例は載っているが「光宇宙」の方はない。

http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/books/1283099732
>940 :無名草子さん:2010/09/05(日) 21:01:29
>DQNネーム(子供の名前@あー勘違い・子供がカワイソ)
http://dqname.jp/
>↑
>このサイト、テンテーの大好きなウィキペたんにも確か紹介されてるんだけど、
>番組スタッフにチェック入れさせなかったのかね?
>“光宇宙”を検索しても「ぴかちゅう」は出てこない、
>つーかそもそも“光宇宙”じたいが無い。

>“光宙”で「ぴかちゅう」は載ってた↓。
http://dqname.jp/index.php?md=view&c=hi1
>キレイに表示されなかったら済まない。


http://dqname.jp/index.php?md=view&c=hi1
>(漢字)   光宙 ( 14画 )
>(読み)   ぴかちゅう ( pikachu )
>(性別)   男
>(メモ)  ・光が本当にピカと読むとは知らなかったよ。
>      ・もともと「光一(ぴかいち)」は花札用語。1枚だけ高得点の札があること
>       から転じて、1つだけ抜きん出て優れている意味になった。
>      ・読めない事はないが、、かわいそすぎだよね。。。


では「光宙 (ぴかちゅう)」の方は実在しているのかというと、それも怪しいのではないか
という話が、それより前に書き込まれていて……。

http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/books/1283099732
>924 :無名草子さん:2010/09/05(日) 18:32:18
>『光宇宙』→「ぴかちゅう」

>唐沢w
>それを「実在する子供の名前」として紹介しちゃったよ。
>最近変な名前を付ける親がいるな、という5年ぐらい前のスレッドで
>途中から「ムチャしてこんな名前付けたら笑うよな」という事で
>ギャグで書かれたことで有名な、非現実名だよww

>939 :無名草子さん:2010/09/05(日) 21:01:06
>珍名さんなどの名字も、この数年ネット経由でどんどん誕生していて
>学者がそれに振り回される事が異常に多くなっているらしいね。
>いくら捜しても見つからない名前として。

>光宇宙も、光宙も実在しないらしいよ。


まあ字面だけなら、「光宙」はもちろん、「光宇宙」という人が存在していたとしても、そう
おかしな名前とは思えない。ていうか、個人的には、あんまり DQN ネームだ何だと、
他人様の名前をあげつらうのはどうかと抵抗を感じないでもないのだけど……それは
おいておくとして。

問題は、「ぴかちゅう」とか読ませることの是非とか、それはどのような書類 (戸籍、住民
表など) に記載されるものか、変更は容易なものかあたりではないかと。

http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa58559.html
>なお,一般には出生届の読みは自由と言われていますが,実は全くの自由ではあり
>ません(でした)。
>「傍訓が名に用いた文字の音訓又は字義に全く関連を有しないときは、これを付した
>届出は受理することができない。」となっていました。
>(前出,昭和56年9月14日付け5537号通達)
>今手元にないので確認できませんが,確か前例集に「高」と書いて「ひくし」と読ませよ
>うとしてハネられた例が載っていました。昭和30年代の実例だったかな。
>また,疑問がある時は受付を保留にしておいて上部機関に問い合わせをしていました。
>現在は,傍訓そのものを付けなくなってしまったので,この規定自体もなくなっています。
>「高」で「ひくし」と読ませることが可能になったかどうかはわかりませんが,「悪魔」君
>という名前に一旦ストップがかかった(結局,字を変えて決着した)という例もありますし,
>おそらく従来と同様の運用がなされていると思われます。


上の引用では、「『高』と書いて『ひくし』と読ませようとしてハネられた例について言及
されているけど、記憶だけを頼りにいえば、自分が小学生くらいの頃 (1970 年代?) に、
「雨」を「あまみ」と読ませるのが受理されたとかいう話が新聞に載っていたような……。
上でいう「『高』と書いて『ひくし』」よりも後、「昭和56年9月14日付け5537号通達」より
は前の話。

そして、「傍訓」 (戸籍のふりがな) というものは、1994 年 (平成 6 年) 以降は戸籍に
記載されないようになったとのこと。それ以前でも、届け出る側が「傍訓記載希望」など
と特に書いていた場合のみ戸籍には記載されていたものであったし、後になって削除を
希望すれば簡単に消すことができるものだったようだ。

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/219026.html
>一応、戸籍事務を担当しております。

>#2のkawakawaさんが仰いますように戸籍にはよみがなは存在しません。氏名というの
>は、漢字がその氏名そのものです(女性などでひらがな名前の方はもちろん除きます)。

>かつては届出人が「傍訓」(戸籍のふりがな)を記載されたい旨の申し出でがあった
>場合には記載しなければならないとされておりましたが、平成6年11月16日付の
>法務省民事局(簡単に言えば戸籍事務の上級官庁です)からの通達によりまして、
>その扱いが改められました。

>よって、過去に傍訓が記載された戸籍は現在においても相当数残っておりますが、
>これから(平成6年以降に)作成される戸籍にはふりがなの付いている戸籍というもの
>は存在しません。また、現在傍訓の付いておられる方でも申し出があればそれを消除
>することは可能です。

>出生届等にはふりがなをふって頂いておりますが、それは住民基本台帳事務上の
>事務処理に必要であるから便宜上お願いしているだけでそれ自体には法的拘束力は
>ありません。他の自治体での取り扱いは存じませんが、私のところでは住民表上の読
>みを変更するのに一切書類を必要としません。窓口に来て頂いて口頭で申し出をして
>頂ければ何時でも変更します(あまりにも非常識な読み方ですとわかりませんが)。

>こだわっておられる方が聞けば怒られるかもしれませんが、氏名の読み方なんてその
>程度の軽い扱いしかされていないです。


http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa58559.html
>従来は,出生届の「その他」の欄に「傍訓記載希望」などと書いておくと,戸籍上も傍
>訓(振り仮名)が記載されました。また,この傍訓は婚姻などで新たに戸籍を作るとき
>もそのままついた形で転記されました。
>(昭和6年4月24日民事第469号民事局回答)
>ただし,傍訓はあくまでも「名の読み方を明らかにするために戸籍に記載するもので
>あって、名の一部をなすものではない」(昭和56年9月14日付け法務省民事局第2課
>第5537号民事局長通達)ので,他の人の戸籍に出てくる場合は傍訓は付けません。
>(たとえば,Aさんの夫がBさんで,Bに傍訓がついているとき,Aさんの戸籍に「何年何
>月何日Bと婚姻届出」と書かれますが,Bには傍訓はつきません。)
〈略〉
>なお,傍訓を消したいという申し出があれば,消すことはできました。

>しかし,1994年11月より,戸籍にはいっさい傍訓を記載しないことになりました(平成6
>年11月16日法務省民事局第2課第7005号民事局長通達)。
>94年12月から戸籍のコンピュータ化が認められるようになったので,それとの関連で
>あろうと思われます。


戸籍にはふりがなが存在しなくなったとして、次は住民票はどうかというと、これも実は
「フリガナは住民票に登録しなければならない必須事項ではありません」「便宜上記載
してあるという程度」ということで。

http://www004.upp.so-net.ne.jp/hitosen/ujina/ujina5.html
> さて、戸籍ではなく、住民票には氏名にフリガナが記載されている市区町村が多い
>のですが、じつは、このフリガナは住民票に登録しなければならない必須事項ではあ
>りません。便宜上記載してあるという程度で、実際にフリガナは住民票には記載して
>いない市区町村もあるはずです。なので、フリガナの修正は住所地の役所で簡単に
>手続きできる場合が多いのです。
> 私の市でも、本人からの申し出があれば、即行、直します。

> 住民票のフリガナに関しては必須事項ではないだけに各市区町村で取り扱いが若
>干違うかもしれません。でも、申し出れば簡単に修正されるとしたら、名前の読み方は
>簡単に変更できるということになります。
> たぶん、日本全国には、このように読み方だけでも名前を変更したいという人がたく
>さんいるのではと思います。
> いくら文字が同じだといっても名前を変更することはできないと信じている人もいるで
>しょう。
> また、変更できるとしも、その手続はいろいろな書類を揃えて許可申請してというよう
>に複雑なものと想像している人も多いでしょう。そして、許可されれば変更できるけど、
>許可にならず、変更できない場合もあるのではと考えている人もいるでしょう。どんな
>理由なら変更できるのだろうと心配している人もいるかもしれません。
> いえいえ、住所地の役所で「名前のフリガナを修正してください」と申し出れば(申請
>書に記入していただきます)、簡単にその場で(約10分)、手続完了です。とくに理由
>なんて聞きません。(これは1人でも仙人の市の通常の場合です。住民票に関しては
>住所地の役所でご確認ください。)

> いくら文字が同じだといっても「ようこ」と「ひろこ」では、同じ名前とは思えませんね。
>ただ、この読み方を正式(公的)に登録しているものが何もないというのは、不思議な
>気がしませんか。そんなところから、住民票のフリガナが実際にはとても便利で効果
>的なものになってしまうのだと思います。


そもそも「フリガナは住民票には記載していない市区町村もあるはず」ということだが、
記載されている場合の変更の容易さは、市区町村によって違いがでるかもしれないし、
上からの通達によってここら辺の事情はコロコロ変わる可能性もあるかも。しかし、
「光宙」に「ピカチュウ」というふりがなのついた子どもが実在するとして、それをもっと
普通っぽい読みに変更するのが困難になる事態は……あんまり考えなくてよさそう
かな、と。

戸籍の傍訓も、もしあれば削除すればよいだけだろうけど、前述の通り 1994 年以降は
なしということなら、ポケモンの発売が 1996 年なのだから、傍訓に「ピカチュウ」と記載
されている子どもというのは、実在しなさそう。せいぜい住民票とか住基ネットに、検索用
として参考記載されている程度では。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ポケットモンスター
>1996年2月27日にゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』が発売された。
>この作品が小学生を中心に、口コミから火が点き大ヒットとなった。



その他参考 URL:
- http://www2.realint.com/cgi-bin/tarticles.cgi?hitosen+17070
- http://q.hatena.ne.jp/1083755294

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2010.02.07 (Sun)

どうしてエジソンについて唐沢俊一先生に聞いたりするのですか日テレさん

http://www.ntv.co.jp/don/don_02/contents_01/2010/02/post-75.html

「それって常識!クイズ"知ってるつもり"」
〈略〉
Q、発明王エジソンの名言。
  「発明とは、1%のひらめきと99%の汗」の意味は?
A、・エジソンが談話で語っているが、あれは記者が書き変えたんだと。
  言いたかったのは"99%の努力しても、1%ひらめきがないと
  発明はできない。ひらめきが大事ということ。 (コラムニスト 唐沢俊一先生)


日テレの番組『おもいッきりDON!』のサイトより。最初に2ちゃんねるのスレで情報を
提供してくれた人の書き込みは Read More を参照のこと。そこでもいわれている通り、
1月 30日の裏モノ日記で「某テレビ局インタビュー」とか書かれているのは、多分この
番組のためのもの。

裏モノ日記 2010年 01月 30日(土曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20100130172514.html

1時、部屋で某テレビ局インタビュー。
1時間ほど。
仮仕事場のシチュエーションを絶賛してくれた。


しかし、この番組の名は『おもいッきりDON!』であって『おもいッきりDQN!』ではない
のに、どうしてまた唐沢俊一をここに使うのか、理解に苦しむ。

http://www.ntv.co.jp/don/don_02/contents_01/2010/02/post-75.html に載っている
他の Q&A を見ると、「缶コーヒーの容量表記は?」との質問に「全国清涼飲料工業会」
のような当事者っぽい人を選んでいたり、「『憮然』ってどういうときに使う言葉?」の質問
には「筑波大学名誉教授 北原保雄」のような偉い人に回答させたりしているのに。
「唐沢俊一先生」だけ、当事者でも関係者でも研究者でも専門家でも何でもない。

さて、「唐沢俊一検証blog」の「フラーアンニ、と同意。」のエントリーには、「まあ、ウィキ
ペディアに書いてあることそのままなのだが」と書かれている。確かに、以下に引用する
文章に書かれていることと似たようなことが、「唐沢俊一先生」の言葉として紹介されて
いる。……ちょっとイヤな気分になるのは、考え過ぎかもしれないが、出典は Wikipedia
だとは堂々といえないテレビ局が、雑学ロンダリングみたいな用途で「唐沢俊一先生」を
使っているのではないかという疑惑が頭をよぎるせい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/トーマス・エジソン
>しかし、本人が後年語ったところによると、「取材した若い記者は私の言葉を聞いて
>落胆したのか、大衆受けを狙ったのか、努力の美徳を強調するニュアンスに勝手に
>書き換えて発表してしまった」ものであった。
>実際は「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄である」との発言だった。言い換
>えれば、「1%のひらめきさえあれば、99%の努力も苦にはならない」ということである。
>それこそが、竹のフィラメントを発明するのに1万回失敗しても挫折せずに努力し続け
>るよう彼を支えたものであったと思われている。つまり、エジソンにはひらめきに裏付
>けられた確信があったのであろう[5]。
>最高級のひらめきは突然やってきては一瞬のうちに消え去ってしまうものが多い。よ
>いアイデアほど、自分の深層意識のより深いところからやってくるものであり、それが
>深ければ深いほど、表層意識では意識できないので、いとも簡単に忘れてしまうという。
>エジソンは、ペンと紙を常時携帯し、思い浮かんだ瞬間には面倒くさがらずに書き留
>めていた。ちなみにアインシュタインもメモ魔として有名であった[6]。
〈略〉
>5. ^ 出典: 浜田和幸『快人エジソン - 奇才は21世紀に甦る』日経ビジネス人文庫、
> 2000年 ISBN 4-532-19020-7


しかし、2ちゃんねるのスレの「努力も必要なんだよ」との書き込みを頭において見直す
と、「唐沢俊一先生」の言葉はもちろん、Wikipedia の記述も、どうかなあと思えてくる。
出典が『快人エジソン - 奇才は21世紀に甦る』とか、題名だけで判断するのも申し訳
ないけど、何か微妙かなあという気がしてくるし。

ちなみに、英語版 Wikipedia の方の記述は、以下のみ。

http://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Edison
> "Genius is one percent inspiration, ninety-nine percent perspiration."– Thomas
> Alva Edison, Harper's Monthly (September 1932)


もう少し詳しい記述があるのが、下に引用する Wikiquote。

http://en.wikiquote.org/wiki/Thomas_Edison
>・Genius is one percent inspiration, ninety-nine percent perspiration.
> ・Spoken statement (c. 1903); published in Harper's Monthly (September 1932)
> ・Variants:
> ・None of my inventions came by accident. I see a worthwhile need to be met
>  and I make trial after trial until it comes. What it boils down to is one per cent
>  inspiration and ninety-nine per cent perspiration.
>  ・Statement in a press conference (1929), as quoted in Uncommon Friends:
>   Life with Thomas Edison, Henry Ford, Harvey Firestone, Alexis Carrel &
>   Charles Lindbergh (1987) by James D. Newton, p. 24.
> ・Variant forms without early citation: "Genius is one per cent inspiration and
>  ninety-nine per cent perspiration. Accordingly, a 'genius' is often merely a
>  talented person who has done all of his or her homework."
>  "Genius: one percent inspiration and 99 percent perspiration.


「私の発明品のどれも偶然にできあがったものはありません。私は出会うべき価値の
あるものを理解し、それを得るまで試行錯誤を繰り返します。結局それは何かというと、
1パーセントのインスピレーションと99パーセントの汗なのです。

「天才は1パーセントインスピレーションと99パーセントの汗です。」 「したがって、'天才'と
はしばしば、単に自分の宿題を全部すませている、才能ある人にすぎません。」

……って、訳す途中で以下の 2 サイトを発見。同じようなことを考え、同じ文章の訳に
トライしているような……。

http://d.hatena.ne.jp/rhb/20090410
>「天才("a 'genius'")ってのは、たいていの場合("often")、単に("merely")才能が
>ある人("a talented person")が取り組むべき課題をすべてこなしている("has done
>all of his or her homework.")ってだけなんだよ。」
〈略〉
>まずは"I see a worthwhile need to be met"という「目の付けどころ」が大事であっ
>て、あとはそれが解決されるまで試行錯誤を重ねる("I make trial after trial until it
>comes")ってことか。うーん。でも、これなら、努力の価値は否定してないような気も
>するんだけど。まずはきちんと問題点を把握しておき、それに向けて試行錯誤していく
>んだよ、と当たり前のことを言ってるような。


http://www.tired-life.jp/old/282
>それについてこの友人が言ったんです。
>「日本人はそれを勘違いしているが、その言葉には前後の文脈があって、1%のひら
>めきがなければ、99%の努力に意味はない、というのが真意だ」
〈略〉
>しかし、その後にいろいろ調べた結果、友人の論も実は全然見当はずれということが
>発覚。発覚したことが2点あります。
>まず、「日本人は勘違いしてる」という点についてですが、勘違いしているのはあなた
>です。 外国ではむしろ友人の論を唱える人は少数派でした。
>そしてもう1点、肝心の真意ですが、友人の言う「前後の文脈」を見て分かりました。
>引用します。
>「None of my inventions came by accident. I see a worthwhile need to be met and
>I make trial after trial until it comes. What it boils down to is one per cent
>inspiration and ninety-nine per cent perspiration. 」
>(訳:私の発明で偶然によって生まれものは何一つとしてない。私はひらめきに出会う
>ため必要なものを知っており、そしてその発明ができるまで何度も何度も実験を繰り
>返しているのだ。天才は1%のひらめきと99%の汗から成る)
>私の訳で一部直訳が難しいので意訳しましたが、大意は通ると思います。
>さて、この前後の文を見て「1%のひらめきがないと99%の努力は意味がない」という
>意味にどうやったら取れるんですかね?


この線で解釈するとすれば、最初に引用した「唐沢俊一先生」の言葉に戻ると、「言いた
かったのは"99%の努力しても、1%ひらめきがないと発明はできない。ひらめきが大事
ということ」とかいうのはガセとみなしてよいだろう。Wikipedia の記述の方もまあちょっと
まずいのではないかという感じ。

つまり、努力の大切さのみばかりを強調するのは、なるほどエジソンの発言の意図とは
少しはずれるかもしれないが、「99%の努力しても、1%ひらめきがないと」との意訳は
飛躍が過ぎるということで。


しかし、2ちゃんねるのスレに書き込まれていた「リトルピープル」バージョン (?) の方を
とるとするならば、話は厄介になるかも。

「リトルピープル エジソン」で捜してみたかぎりでは、エジソンがこういう発言をしたとする
元ネタは、Wikipedia の出典としてもあげられている「浜田和幸著『快人エジソン』」のよう
なのだ。(さらに、それを村上春樹著『1Q84』に出てくる「リトルピープル」と関連づけて
いるブログその他も結構多い)。

http://www.radiance.gr.jp/mm/mm15.htm
> 今回は、あの発明王エジソンについての面白い記述を見つけましたので報告しま
>す。日経ビジネス文庫の浜田和幸著「快人エジソン」です。この本は、著者が実際に
>エジソンゆかりの地を訪ね、彼の書き残した日記や、彼を事直接知っている人から
>聞いた話を元にして書いたものだそうです。
〈略〉
> また、その延長線で、輪廻の概念を自分なりに追求しているのも 興味深い。エジ
>ソンの仮説は、人間の記憶は電子と同じような構造でできている、というものである。
>しかも、この電子構造物は、時空を超えて移動する性格のものである。また、他の宇
>宙からの知性を地球上にもたらす役割をも果たしている。そして、人間の肉体や魂に
>性格や知能を植え込む作業を繰り返している。それ以外には「自分の発想や発明
>の、真の理由が全く見当たらない」とまで言い切っ ている。エジソンは、これらの地球
>外生命に「リトル・ピープル・イン・マイ・ブレイン(私の脳に住む小人)」とあだ名を付
>けている。

> 世界の名言集に必ず出てくるエジソンの「天才とは1%のひらめ き(インスピレー
>ション)と99%の努力(パースピレーション) のたまものである」という言葉は、彼の
>本心通りには解釈されていない。この名言がいつ、どんな場所で語られたかについて
>は不明で ある。ただ、エジソンの日記を調べると、1929年2月11日、 彼の82歳の
>誕生日に、フーバー次期大統領も臨席しての記者会見ですでに一人歩きしていた名
>言の真意を明らかにしている。「それは赤ん坊の頭脳の中に天才を見いだしたこと
>だ。生まれたての頭脳ほどリトル・ピープルにとって住みやすい場所はない。つまり、
>年が若いほど、自分の脳に宿っているリトル・ピープルの声に素直に耳を傾けることが
>できるのである。大人になってからでは至難の業になるが、それでも何とか1パーセン
>トのひらめきと99パーセン トの努力があれば不可能ではない」
>  それが、この有名な台詞の本当の意味するところであった。残念ながら、当時の新
>聞記者たちは、エジソンの真意を理解できず、「ひらめきだけでは天才となれず努力
>が肝心」といった勝手な解釈を一層広めてしまったのである。そのため、エジソンは
>後に、「たとえ1パーセントでも、ハイヤー・パワーの知性の存在を確認できれば、
>努力も実を結ぶ。それがなければ、いくら努力をしても無駄なこと。この発想の原点で
>あるリトル・ピープルの声、すなわち、1パーセントのひらめきが最も重要なのだが、皆
>このことがわからないようだ」と語っている。
〈略〉
> どうだったでしょうか、エジソンは輪廻転生や魂の存在を肯定していただけでなく、
>実験までもしていた。そして、ハイアーセルフのことを肯定しハイアーパワーという
>名前を付けたり、ガイドからのメッセージをリトルピープルからのメッセージとして肯定
>している。「エジソン文献研究プロジェクト」からの発表が楽しみですね。


……何か読んでいて頭がクラクラしてくるが、おいといて。

上でいうように、もしエジソンが「たとえ1パーセントでも、ハイヤー・パワーの知性の存在
を確認できれば、努力も実を結ぶ。それがなければ、いくら努力をしても無駄なこと」だと
本当にいったとすれば、「99%の努力しても、1%ひらめきがないと発明はできない。
ひらめきが大事ということ。」という「コラムニスト 唐沢俊一先生」の言も嘘ではなくなる。

ただし、その場合、inspiration というのは、日常会話でいうところの「ひらめき」などという
生やさしいものではなく、「地球外生命」「ハイヤー・パワーの知性」といったものにより、
人類にもたらされるものということになる。

……まあ確かに、エジソンはオカルトに傾倒していたという話も、よく耳にするところでは
あるけれど。

http://ja.wikipedia.org/wiki/トーマス・エジソン
>エジソンにはオカルト・超自然的なものに魅せられていたという一面もあった。ブラヴァ
>ツキー夫人やバート・リーズの降霊術を信じていて、ブラヴァツキー夫人の開く神智学会
>に出席したこともある。また、来世を信じ、後半生は死者と交信する電信装置 (Spirit
>Phone) を研究していた。ただし、あくまでエジソンは合理主義者を自負しており、
>1920年代を通じて常に自由思想家協会を支持していた。


では、件の名言は、エジソンが「オカルト・超自然的なものに魅せられていた」からこそ
発せられた言葉――ということにして終わりにしようにも、「ハイヤー・パワーの知性」とか
いう文章の、元の英文がなかなか見つからないのだから困る。

「Edison "Higher Power"」で捜しても該当しそうな文章が見つけられないわ、「エジソン
ハイヤー・パワー」では「浜田和幸『快人エジソン』」のみを出典としているページしか
見あたらないわ……ということで、現時点では、やっぱりガセらしいということにさせて
もらおうかと。

さらに、先に述べた、どうして専門家でもない唐沢俊一に聞いたりしたのかという問題。
ネタが先行していたとすれば、放映にあたって誰かにお墨付きをもらおうとしたけれど、
大学の先生などにはすべて断られた――という推測も成り立つ。推測でしかないし、なぜ
浜田和幸に声をかけなかったのかという疑問は残るけど。


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2010.02.03 (Wed)

夏夕介氏に何か恨みでもあるんですか唐沢俊一先生

裏モノ日記 2010年 01月 27日(水曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20100127151438.html

夏夕介氏・胃ガンで死去。59歳。
こないだ『突撃! ヒューマン』(72)のことが話題になった
ばかりというのに。
公開番組という特異な性格の番組だった故に、フィルムの中でだけ
ヒーローでいればいい、というわけにはいかなかった。
終演後、ちびっ子ファンたちのサイン攻めに応じながら、
「来週も応援してね!」
と叫び続けていた姿が印象に残っている。
後には東映で『宇宙鉄人キョーダイン』の主役・スカイゼルこと
葉山譲治を演じており、ヒーロー役者として記憶されるべき、
なのではあるが、藤岡弘、佐々木剛、誠直也、宮内洋といった
昭和東映ヒーローの“濃さ”の中では、イマイチ線が細い
ように感じた。初主演でヒットを飛ばした上記のヒーロー役者たちに
比べ、やはり初主演番組が二ヶ月でコケた、ということがトラウマと
して出ていたのだろうか。後に『特捜最前線』で藤岡弘と共演した
とき、夏は藤岡に
「裏でしたが、負けました」
と話したそうだ(『ヒューマン』は『仮面ライダー』の裏番組)。
わざわざそんなこと持ち出すというのは、やはり気になっていたのだろう。

実は私が夏夕介で強烈に印象に残っているのが、『純愛大河・愛と誠』
(74)で主役を張った直後に彼が出演した、あのカルト監督・
石井輝男が全くのルーティンで撮った(のであろうと思われる)
暴走族映画、『爆発! 暴走族』(75)。
確か星正人主演の『男組』の併映だった。岩城滉一主演の作品で、
『メカゴジラの逆襲』の藍とも子も出ている。
当時の実在の暴走族をゾロゾロ登場させるというキワモノぶりが
いかにも石井らしいのだが、そこで夏は、藍をチキンレース勝負で
一匹狼ライダーの岩城と取り合う暴走族のリーダー役をやっていた。
金持ちのぼんぼんで二枚目で、暴走族のリーダーとしてバイク技術でも
それなりの尊敬を受けていたのだが、チキンレースで敗北したことで
一切の地位も恋人も失い(ここらが70年代的単純さ)、最大の勢力を
誇っていた暴走族のリーダーに岩城の悪口を吹き込んでやっつけ
させようとする、という絵に描いたようなコソクな手段をとる
チンピラ役だった。仮にもヒーローを演じていた役者がこういう役を
引き受けるということに当時高校生だった私は愕然とした(いや、
もっといろんな例がある、ということは大学に入って名画座めぐりを
するようになってからわかったのだが)。

代表作でも主役でもないこんな役がなんで印象に残っていたか
というと、その役が実に似合っていたからである。
つまりはこういうヒネクレた役も楽々出来てしまう人だったと
いうことだ。本人自身は極めて明るく、ノリのいい人だったと
いうことだから、全くその本質と異る役を演じていたわけで、
演技派だったのだろう。平成の今なら、影のあるヒーローや
美形の悪役を演じて、若い女性(ママさん)たちに取り巻かれて
いたのではあるまいか。残念ながら、昭和のヒーローにはそのような
影は必要とされなかった。

役者として致命傷である、顔面マヒで表情が出せないという
ハント症候群に長くなやまされ、そのキャリアに影を落として
いたのも残念だ。やっと回復し、これからというところでの死。
無念だったとは思うが、今は安らかな眠りを祈りたい。黙祷。

http://megalodon.jp/2010-0203-0055-20/www.tobunken.com/diary/diary20100127151438.html

×『突撃! ヒューマン』 ○『突撃! ヒューマン!!』

それと「『突撃! ヒューマン』(72)」の「(72)」という表記は、何のことかわかりにくい
ので、1972 年といいたいのなら別の書き方にしてほしいと思ったり。

「こないだ〈略〉話題になったばかり」というのも唐沢俊一のこの日の日記だけ読んでも
よくわからないが、一般家庭からの映像の発掘、仙台放送からの DVD 発掘の件か。

http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1263461968/
>1972年、当時の一部のチビっ子たちをトリコにしながら、
>「映像は現存しない」(特撮関係者)とされていた
>幻のヒーローの雄姿が、仙台市の一般家庭から偶然にも“発見”された。
>映像は地元テレビ局がDVDに収録し、昨年末に発売された。


- http://maki555.blog88.fc2.com/blog-entry-1574.html
- http://www.ox-tv.co.jp/shopping/dvd-showa.shtml

で、「残念ながら、昭和のヒーローにはそのような影は必要とされなかった。」について、
2ちゃんねるのスレには多数の異論反論が書き込まれて――という様子は Read More
を参照のこと。

非オタクの自分でさえ、初代仮面ライダーは? キカイダーは? ガルーダハイネルは?
――とか瞬時に頭の中が疑問符でいっぱいになったくらいだから、「平成の今」ではない、
昭和の時代の「影のあるヒーローや美形の悪役」の例が多数書き込まれるのは、当然
すぎることといえるだろう。

「仮面ライダー旧1号もライダーマンもキカイダー・ジローもザビタンも ロボット刑事K」、
「『悪魔のようなあいつ』の沢田研二」、「日本版スパイダーマン」、「レインボーマンも割と
悩むヒーロー」、「時代劇だって座頭市やら必殺やら」、「ヤマトの古代進だって悩むヒー
ローじゃん」、「矢吹ジョーを忘れてませんか」、「カゲスターとベルスター」、「百鬼丸なん
てまさにそのダークヒーロー」等々。

これもスレで名前があがっていたけど、美形の悪役は少なくても手塚治虫が 1960 代に
発表した作品のキャラクターにまでさかのぼることが可能なのだし。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ロック・ホーム
>ロック・ホームは、手塚治虫の漫画作品に登場する架空の人物である。作品によって
>は間久部緑郎(まくべ ろくろう)という名で登場することもある。
〈略〉当初はあまり人気がなかったが、『バンパイヤ』で悪役になったら、若い娘がファン
>レターを山のように送ってくるほどの人気になった[1]。


スレでは名前があがってなかったかもだけど、デビルマンとか、もろ「影のあるヒーロー」
じゃないかと思うし、飛鳥了の方は「美形の悪役」といえそうだし。

で、スレへの書き込みで個人的に一番受けたのは、「真樹日佐夫原作・影丸穣也作画
『ワル』
」だったり。最後に女教師が「連れて行って」とか電車に飛び乗るんだったっけ。

そして、「影のあるヒーロー」といえば、唐沢俊一が日記の中で、題名だけあげている
『純愛山河・愛と誠』はどうなるんだろうという疑問もわく。


実は、唐沢俊一のこの日の日記は、長々と語っている『爆発! 暴走族』の話以外は、
『純愛山河・愛と誠』などのタイトルの列挙、「藤岡に『裏でしたが、負けました』と話した
そうだ」というエピソード、「ハント症候群」の話など含め、Wikipedia の記述をひょいと
もってきたような感じなのだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/夏夕介
>オックス解散後の1972年には舞台番組『突撃! ヒューマン!!』で主役に抜擢された。
>1974年に『ラブラブライバル』、『純愛山河・愛と誠』でヒロインの相手役を務め、お茶
>の間の人気者となり、1976年には、『愛のなぎさ』で映画初主演する。その後も『赤い
>絆』、『人はそれをスキャンダルという』、『特捜最前線』などの人気ドラマに出演する。
>大病から復帰まで
>その後、ハント症候群という病気に罹り、しばらく表舞台から姿を消していたものの、
>克服し劇団「シアタージャパン」の俳優代表として活躍した。
>2004年、創価学会に入会(盟友・真木ひでとも会員である)[1]。[2]。
>『ヒューマン』の裏番組であった『仮面ライダー』で仮面ライダー1号(本郷猛)役を演じ
>た藤岡弘とは『特捜最前線』、2号(一文字隼人)役を演じた佐々木剛とは『宇宙鉄人
>キョーダイン』で共演している。『特捜最前線』で、夏が藤岡と出会った時、藤岡に「裏
>番組でしたが負けました」と語ったという逸話が伝えられている。


このような材料プラス『爆発! 暴走族』の話で、唐沢俊一の日記のような故人をひどく
貶めるような文章ができあがってしまうことに驚く。

『爆発!暴走族』で「絵に描いたようなコソクな手段をとるチンピラ役」をしていたと書く
その一方で、「その役が実に似合っていたからである」と書くのはあんまりな話し方だろう。

「ハント症候群に長くなやまされ、そのキャリアに影を落として」と書いて、Wikipedia で
いう「克服し劇団『シアタージャパン』の俳優代表として活躍した」をスルーしているような
感じなのもひどいんじゃないかと思う。

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