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他サイトでのパクリとガセ (P&G) その他の指摘


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2009.11.19 (Thu)

唐沢俊一の脳内で「市橋容疑者のアイドル化、ますます進み」……

裏モノ日記 2009年 11月 15日(日曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20091115114018.html

市橋容疑者のアイドル化、ますます進み、Tシャツや缶バッジなどまで
大人気のようだ。もっとも、あの整形前の指名手配書の写真が
いい男とはツユ思わない。ブレイクしたのはやはり、逮捕後のあの
護送用ウインドブレーカーの写真以降、なのではないか。
あのフードかぶった顔でも、移送用の毛布をかぶせられた顔でも、
目は髪に隠れているか、つぶっているかでしかと見えない。
あれで開けっ広げに全部見えていたらこんな騒ぎにはなっていまい。
顔というのは一部分が隠されてさえいれば、そこは見る者の好奇心
が実物の3割増しで想像で補ってくれる。
恋愛感情(疑似含ム)とは好奇心の発展系の感情である。
絶食、自白拒否、そして全貌があきらかにならない(見えている
部分だけを言えばイケメン)顔。これだけ好奇心を刺激されれば、
女性も騒ぐというものである。影ある男がモテるのは、見えない
部分を何とか見てみたい、という好奇心が、いつの間にか脳に
恋と認識(誤認)されるからである。

ちなみに、こういう犯罪者(とは言っても市橋はいまだ容疑者
であり、容疑も殺人ではなく死体遺棄に過ぎない)のアイドル化に
いきりたつ人々の決まり文句に
「被害者のアン・ホーカーさんのご両親の心の痛みがわからない
のか。日本人として恥ずかしい」
というのがある。まさにお説ごもっともではあり、深い弔意を
示すことにやぶさかではないのだが、しかし犯罪者のヒーロー化、
アイドル化の本家はホーカーさんの出身国、イギリスである。
切り裂きジャック、ガイ・フォークス、ジャック・シェパード、
クロード・デュバルといった犯罪人たちを小説にし、舞台にし、
フォークソングにして、自国の誇る民間伝承文化として伝える
というのは、ある意味庶民意識のたくましさを物語るものである。

日本だって、阿部定事件が起ったときには、暗い世相を忘れさせて
くれたということで国中が沸き立ち、世直し大明神とあがめられ、
獄中の定には400通以上の結婚申し込みがあったという。
こういうヒステリー現象が起きる背景を考えれば、、定の場合は
戦争の足音、市橋の場合は深刻な経済不況という背景がある。
犯罪者のアイドル化は、たぶん大衆の、社会全般に対する不信と
不満のエグゾースト、という意味合いがあると思う。


×考えれば、、定の場合は ○考えれば、定の場合は

「切り裂きジャック」、「ジャック・シェパード、クロード・デュバル」については、「お得意の
イギリスネタの続き
」を、「ガイ・フォークス」については、「イギリスの知識は問題ガイ?
を参照のことという感じで。

こちらには、唐沢俊一の、以下の発言が引用されているが……。

いわば国家転覆を図った重大犯なのだが、彼はまた伊達男として
有名で、いわゆる“ナイス・ガイ”のガイというのは彼の名前から
取られたといわれているくらいのハンサムだった。その一事で、
本来大逆罪犯の、天も許さぬこの男を、イングランド人はヒーロー
としてまつり上げ、彼の名を冠した祝日を設けて、爆弾テロに
ちなんで花火をどっかんどっかん打ち上げて祝うのである。


藤岡真blog」でいう「その事件の猟奇性と犯人が遂に捕まらなかったことが、色々な
好奇心を刺激するから」なんてことは、このときの唐沢俊一の頭にはなかっただろう。
11月 15日の裏モノ日記の記述もそうだが、重要なのは、ハンサム、イケメンかどうか
――ひたすらそれだけらしい。

……ていうか、「あの整形前の指名手配書の写真がいい男とはツユ思わない」のはよい
として、じゃあ唐沢俊一自身は、「護送用ウインドブレーカーの写真」は「いい男」と思っ
ているということかと。いや、思ってなければ、「見えている部分だけを言えばイケメン」
という記述も、12 日の日記の「頬のやつれがこれまたクール」、「高い鼻、(整形のおか
げか)薄くなってひきしめられた唇をみるに、存在感はそこらのアイドル顔負け」なんて
絶賛もないだろうけど。

んで、「目は髪に隠れているか、つぶっているかでしかと見えない」では、個人的には
伏せ目がちで記者会見していた金賢姫を思い出したりするけど、唐沢俊一の場合は、
お得意の (?) 阿倍定にいく。

阿倍定関連のガセビア:
国会でも大受けだったそうだの阿倍定事件
阿部定 5 人では総まくりされて壮観というほどでもないような

まあ、今回の記述は、割と『無限回廊』の記述のままだから、ガセではないだろうけど。

http://samidare.jp/higetono/note?p=log&lid=49501
>『無限回廊』では、事件=『愛のコリーダ』が終わったところからの文章に、そうだった
>のかと認識を新たにすることを読んだ。ひとつは、2.26事件の勃発があった昭和11
>年という世相のなかで、『阿部定』が事件後、大変な人気者になったという報告であ
>る。例として1部の新聞などで「世直し大明神」とまでよばれたこと、また獄中の『阿部
>定』に、400通以上の結婚申し込みが来たこと、などが書かれている。


http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/abesada.htm
>こうした重苦しい時代背景の中で、世間の人々は社会の不安を吹き飛ばすような阿
>部定事件にかっこうの息抜きとして飛びついたらしい。当時の新聞の中には阿部定の
>ことを“世直し大明神”と呼んだものさえあったとか。当時はこの事件がなければやり
>きれないような暗澹たる時代で、それゆえに、当時のマスコミはセンセーショナルにこ
>の事件のことを報じたようだ。
〈略〉
>定の人気は刑務所収容後もいっこうに衰えず、刑務所に送られてきた定への結婚申
>し込みは400通以上、出所後は1万円(当時で約1600万円)でスカウトしたいと申し
>込んできたカフェーが2つ、映画会社がひとつ、なにかの拍子に外に出て来るかもし
>れないと期待して刑務所の門前に弁当持参で来る常連もいたという。



「被害者のアン・ホーカーさんのご両親の心の痛みがわからないのか。日本人として
恥ずかしい」うんぬんは、これ↓からきていると思われる。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1116&f=national_1116_047.shtml
>皆、唖然…『mixi』に「市橋容疑者応援ファンクラブ」登場
〈略〉
>   コミュニティ説明として、「市橋達也『公式』ファンクラブです。東スポ揺れるハート
>で紹介されました。超イケメン市橋達也さんを応援しましょう! ☆我々は市橋達也さ
>んの無罪を心から信じています☆無罪であって欲しいです…☆ 逃げろ市橋。完全黙
>秘なのだわーいわーいわーい。警察のでっちあげに負けるな。でもイッチーの健康が
>心配です…」と記述されている。ただただ、ア然である。
>   このコミュニティに対して激怒した一人の人物がいた。テレビゲーム『Dの食卓』や
>『エネミーゼロ』の開発者として有名なゲームクリエイター飯野賢治さんである。飯野さ
>んはインターネットサービス『Twitter』で『頑張れ市橋達也応援ファンクラブ』に対して
>言及。「この人たち、頭ぶっこわれてるのか?」と猛烈批判をしているのである。
>   このことは『オレ的ゲーム速報@刃』に掲載された事により広くゲームユーザーに
>知れ渡り、「これは酷い…被害者が可愛そう過ぎる。父親がどんな気持ちかわかって
>んのか」などの『頑張れ市橋達也応援ファンクラブ』に対する批判コメントが書き込みさ
>れている。このような不謹慎コミュニティに対して『mixi』側がどのような対処をとるの
>か?
> そのあたりにも注目が集まりそうだ。(情報提供:ロケットニュース24)


「『オレ的ゲーム速報@刃』に掲載」というのは、「Mixiの市橋達也を応援するコミュニティ
に飯野賢治さんが一言物申す
」のエントリーのことで。コメント欄は大盛況。

そこでは、NEVADA、カーラ・フェイ・タッカー、上祐、アンドレイ・チカティロに言及して
いる人はいたけど、「切り裂きジャック、ガイ・フォークス、ジャック・シェパード、クロード・
デュバルといった犯罪人たち」を思い出す人はさすがにいなかったと。

唐沢俊一は、以前の日記に「日本人女性のDNAに、こういう“負の物語”を背負った男
をカッコいいと認識する遺伝子が含まれているのだ」と書いた手前、金賢姫、NEVADA、
カーラ・フェイ・タッカーといった女性への言及は避ける作戦か――というのなら、まだよい
んだけど、だったら阿部定に言及するべきではなかった気がするし、その点は「『日本人
女性のDNA』の話はどこへ行ったの?」と、2ちゃんねるのスレでも突っ込まれていたり
する (Read More 参照) し。

(DNA については、「竹内久美子から生物学の素養を抜いたみたいな文章ですね。」
とか書き込まれていたり、「唐沢俊一検証blog」で突っ込まれていたり)。

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2009.11.17 (Tue)

喪女の奇妙な週末 (?)

http://www.tobunken.com/diary/diary20091114161700.html
裏モノ日記 2009年 11月 14日(土曜日)

土日は市橋容疑者の取り調べも休みで、喪女たちも静かな
模様。


あ、「喪女」と明記してる。2ちゃんねるの喪女スレなら、全然静かじゃなかったけど。

市橋容疑者がタイプの喪女★14
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258130525/
2009/11/14(土) 01:42:05 〜 2009/11/14(土) 08:12:04

市橋容疑者がタイプの喪女★15
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258157339/
2009/11/14(土) 09:08:59 〜 2009/11/14(土) 16:38:07

市橋容疑者がタイプの喪女★16
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258183166/
2009/11/14(土) 16:19:26 〜 2009/11/14(土) 20:46:54

市橋容疑者がタイプの喪女★17
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258199392/
2009/11/14(土) 20:49:52 〜 2009/11/14(土) 23:40:06

市橋容疑者がタイプの喪女★18
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258209123/
2009/11/14(土) 23:32:03 〜 2009/11/15(日) 03:08:52

市橋容疑者がタイプの喪女★19
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258220903/
2009/11/15(日) 02:48:23 〜 2009/11/15(日) 11:06:34

市橋容疑者がタイプの喪女★20
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258232790/
2009/11/15(日) 06:06:30 〜

市橋容疑者がタイプの喪女★21
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258250476/
2009/11/15(日) 11:01:16 〜

市橋容疑者がタイプの喪女★22
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258280661/
2009/11/16(月) 01:28:45 〜 2009/11/16(月) 01:28:45

〈略〉

【親にはry】市橋容疑者がタイプの喪女★26
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258370264/
2009/11/16(月) 20:17:44 〜

というか、「2009年 11月 14日(土曜日)」付けの日記なのに、「土日は」と先取りして
書いているのは、予想のつもりか、土曜日の日記という設定を忘れているのか……。


http://www.tobunken.com/diary/diary20091114161700.html

今回の喪女たちの市橋おっかけや、腐女子という存在も、基本はこの
疎外感を共有する者への親近感、という感情をその基本とするだろう。


まあ、これは主観の問題だけど、何かそういうノリとも違う気はしている。個人的に気に
なるのはジャンプ関連だけど。

http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258209123/
>41 :彼氏いない歴774年:2009/11/14(土) 23:50:04 ID:hI33gF81
>おもちゃの拳銃所持
>ジャンプの一週間遅れを買う

>仕事一生懸命etc...


>かわいすぎだろ
〈略〉
>56 :彼氏いない歴774年:2009/11/14(土) 23:54:25 ID:k9v0enzr
>イッチーってジャンプの漫画だとブリーチとハンターハンターとワンピースが好きなんだよね
>他は何が好きなんだろ


http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258370264/
>99 :彼氏いない歴774年:2009/11/16(月) 20:49:35 ID:TxtbuBkJ
>弁護士にジャンプ送ったら
>イッチーに渡してくれるかなあ
〈略〉
>111 :彼氏いない歴774年:2009/11/16(月) 20:54:18 ID:+n6t7XsO
>>>89
>そこはむしろさすがと思うべきじゃないか
>いっちーはこれからLみたいに生きるのが1番の罪滅ぼしになるだろうし
>それにリンゼイさんの霊がしっかり監視してるから今回はいっちーの完敗だったんだろ
>うし、彼女は今後もいっちーに卑怯なマネはさせないと思う
>正当に抵抗するのはいいんじゃないかな


もっと気になるのは、実際何が起きたんだろうかということ。
- http://society6.2ch.net/test/read.cgi/soc/1258227013/
- http://society6.2ch.net/test/read.cgi/soc/1258304331/

本来の唐沢俊一の守備範囲からいうと、謎解き関係に興味がいってもおかしくないはず
なんだけど、市橋容疑者萌え〜で、それどころではないらしい。事件の詳細や容疑者の
動機や内面に深く突っ込むより、容疑者の外見や容疑者のファン (唐沢俊一本人も当然
含まれる) のことを語るのに忙しくてしょうがないって感じ。

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2009.11.15 (Sun)

唐沢&村崎 ―― 今回はやたら燃えてる二人です

社会派くんの Web 連載
結婚詐欺連続不審死事件について

http://www.shakaihakun.com/vol094/04.html

★8 結婚詐欺連続不審死事件
 埼玉県警に詐欺容疑などで逮捕された無職女(34)の交際相手で、
今年8月に埼玉県内の駐車場で遺体で見つかった男性の死因に不審
な点があることが10月27日、県警幹部への取材で分かった。
〈略〉
 県警によると、女は大出さんの遺体が見つかる前日、この駐車場で
大出さんと会っていたことを認めているという。大出さんは遺体で見つ
かる約20時間前、ブログに近く結婚することなどを書き込んでいた。
 女がヘルパーとして出入りしていた千葉県野田市の安藤建三さん=
当時(80)=は5月15日、自宅が全焼する火事で死亡。安藤さんの遺体
からも睡眠薬の成分が検出された。息子と2人暮らしで火事は息子の
留守中に発生していた。



http://www.shakaihakun.com/vol094/04.html

唐沢 「かなえキッチン」だっけ。クックパッドっていう料理レシピサイトで
やってたんだけど、今は見れなくなってるね、さすがに。


自分も http://d.hatena.ne.jp/bohemian_style/20091027/p1 を見て知ったんだけど、
Google のキャッシュのリンクをクリックすれば、今でも見れる。

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4GGLD_jaJP310JP310&q=site%3Acookpad.com+p_sakura_2000+ごはん日記&btnG=検索&lr=&aq=f&oq=

んで、このキャッシュに残っている内容をながめていると、村崎百郎、唐沢俊一のいって
いることは何かハズしているんじゃないかという気が。まあ、ガセビアにはカウントしない
けど。

村崎 地味で太っていて、でも料理はうまいっていうところが気立てがいい
とでも思われたのかね。それで毎日あれだけレシピをたくさんブログにアップ
してりゃ、こりゃルックスすら目をつぶれば、最高の女房になるって男どもは
思っちゃうよな。


唐沢 あ、“料理好きな女は家庭的”って昭和40年代の妄想だから。今の
女子の間では料理はまず、男を引っかけておくためのテクニックなんだか
らね。


p_sakura_2000 というのが今回逮捕された女性のハンドルだったなら、2008 年 3 月から
始めて、「レシピ (82)」というのは、そんな多くないような……。少なくとも、村崎のいう
「毎日あれだけレシピをたくさんブログにアップ」というのは、なしということで。

社会派くんの方を先に読んでいたので、夕飯のおかずっぽいもののレシピが満載だった
のかというイメージがあったけど、キャッシュを参照するかぎり、「ごはん日記」の方には
プルーツパーラーでとった飲み物とお菓子の写真だの、どこそこで購入したお菓子や
ジュースだの、まず甘いものがどっさりで。次に目につくのが、やはりどこかで購入した
パンとかハムとか塩とか。

日記はどうも、家庭的アピールにはとても見えないので、レシピにしぼって検索しようと
したけど、やや挫折ぎみ。やたら凝っているっぽいケーキのレシピとかもアップしていた
ようなのはわかったけど、そういうのがどれだけ、「男を引っかけておくためのテクニック」
として有効かどうかは、よくわかんない。

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4GGLD_jaJP310JP310&q=site%3Acookpad.com+p_sakura_2000+レシピ&btnG=検索&lr=&aq=f&oq=

で、今回、ちょっと気になるのは、まあ唐沢俊一はどうせ「かなえキッチン」の内容まで
チェックしていなかっただろうけど、村崎の方はどうなのかなと。これ↓を見ると、意外と
読み込んでいた可能性もありそうな。

http://www.shakaihakun.com/vol094/05.html

村崎 いや、これ、徹底してネットを利用した犯罪なんだよ。ブログを読む
限り、そんなことをする女だとはとても思えないってみんな言うんだけど、
オレみたいな根性が曲がっている人間から見ると、「何だコイツ、いいもん
食ったり買ってもらったりをやたら自慢しやがって」としか読めないんだよ。
憧れの有名人が叶姉妹とか君島十和子だとか書いてる時点で、これは
捻じ曲がったセレブ志向の持ち主だと、誰も見抜けなかったのかね。




追記: 以下の過去スレ等を読んだだけかも<村崎
- http://unkar.jp/read/gimpo.2ch.net/recipe/1245190541
- http://mimizun.com/log/2ch/net/pc11.2ch.net/net/kako/1246/12460/1246096712.html
- http://unkar.jp/read/gimpo.2ch.net/wildplus/1256970580

唐沢俊一は、こちらしか見ていなかったりして……。
- http://blogs.yahoo.co.jp/odyy8924/32899464.html

ついでといってはアレだけど、

http://www.shakaihakun.com/vol094/04.html

唐沢 また、その挨拶用に持っていったお土産のお菓子っていうのが、
アキバで売っていそうな萌えキャラの包装紙のついたメイド・クッキー
(泣)。可哀想だとは思うけど、墓場からよみがえらせて小一時間、
説教してやりたい気分だよ。“あれはギャグだ”って擁護もあるけど、
いや、オレは七分、マジだったと思うな。


これには、いや“あれはギャグだ”と思う――と擁護してあげたい……。


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2009.11.15 (Sun)

串刺しにして血で煮込む、もつ煮込み

裏モノ日記 2009年 11月 05日(木曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20091105124941.html

モツとかスジなどの煮込みを食うと、何となく身体にパワーが
宿るような気になってくる。
こういう料理の記述で最も心に残っているのは松原岩五郎の
『最暗黒の東京』の獣肉食の件で、原文をぜひ引用したいのだが
引っ越し荷物の中にまだまぎれているので、雑賀恵子『空腹に
ついて』(青土社)の中の(たぶん雑賀による)現代語訳を
引くが

「馬肉飯は、深川飯と同じ調理法で、種は馬肉の骨付きを
 こそげ落としたものであり、一杯一銭、脂の臭いが強く鼻
 を突いて食べられたものではないが、労働者は三、四杯を
 かき込む。
 煮込みは労働者の滋養食で、屠牛場の臓腑、肝、膀胱、
 舌筋などを買い出して細かく切ったものを串刺しにして、
 醤油と味噌を混ぜた汁で煮込んだもの。一串二厘で、嗜み
 食うものは立ちながら二〇串を平らげたが、腥さが鼻の辺
 りまで漂い、味も異様でとても常人の口にするものではな
 い」

などとある。最初にこの文章を読んだのは十八か九のときだった
と思うが、明治人の松原が臓物食を徹底して汚らわしがっている
のが逆にユーモラスで、何か食欲がわいてきてしまったもの
だった。いまやモツ料理は美容にいい、と良家の子女まで
“嗜み食う”。時代なるかな。


2ちゃんねるのスレでも指摘されていた (Read More 参照) 通り、『最暗黒の東京』での
松原岩五郎は、「明治人」だから「臓物食を徹底して汚らわしがっている」のとは少し
違うし、「ユーモラスで、何か食欲がわいてきてしまったものだった」などと書いている
唐沢俊一は、「その調理法の不潔なる」と恐れをなしたようなことを書いてある原文を、
本当に読んでいるかは疑わしいということで。

日記に引用されている「現代語訳」だけ読んでいた時点も、これで「何か食欲がわいて
きてしま」うものかなあ、そりゃ「嗜み食うものは立ちながら二〇串を平らげた」などとも
書いてあるけど……と思ったが、『最暗黒の東京』を実際に読んでみると、これで食欲が
わいたというのは、無理があり過ぎという感じで。

「原文をぜひ引用したい」とホザいていた唐沢俊一の代理で、該当個所を引用してみる。

『最暗黒の東京』 P.144 〜 145
> 馬肉飯――これは甚だ風韻を損じたる名目なれども、現今下等食店第一の盛景を
>以て賑わう。料理の法は深川飯と同じ按排なれども、その種は馬肉の骨附をコソゲ
>落としたものなれば、非常なる膏膩の香強く鼻を撲て喰うべからざるが如し。一杯
>一銭にて健啖なる労働者は嗜みて三、四杯を襲ぬ。
> 煮込み――これは労働者の滋養食にして種は屠牛場の臓腑、肝、膀胱、あるいは
>舌筋等を買い出してこれを細かに切り、片臠となして田樂のごとく貫串し、醤油に味
>噌を混じたる汁にて煮込みし者なり。一串二厘にして嗜み喰うものは立ながら二十串
>をたいらぐるを見る。腥臭鼻辺に近くべからず。牲味異にしてとても常人の口に容べ
>からず。加うるにその調理法の不潔なる、ほう汁に血液を混じて煮出となし、あたかも
>籠城糧竭たる窮卒が人肉を屠り煮るが如く見えて悚然たる心地す。〈略〉しかして、
>これを煮売者はまたいずれも片輪の如き廢人にして、元より貧窟の老耄なれば、塩
>梅するに完全な器具を有せず。鍋は古銅鉄屋に十年も曝されたるが如き破器にて
>渋くさび付き、我楽多屋の檐下に雨曝しとなりし下駄箱の砕けたるを僅かに補ろいて
>鍋を支う。

(「ほう汁」の「ほう」、「さび付き」の「さび」は漢字が出せなかった……)

牛もつを細かく切るまではよいとして、それを串刺しにして血を混ぜた汁で煮出すという
のは、唐沢俊一が「良家の子女まで“嗜み食う”」という現在のもつ煮込みとは、まったく
別の料理と考えた方がよさそう。『最暗黒の東京』の煮込みには、大根やコンニャクも
なければ、ショウガやニンニク、ネギのような臭みを消すための材料もない様子だし。

もつ煮込みのレシピ例:
- http://www.e-2929.com/resipi/motuni/motunikomi.html
- http://recipe.gourmet.yahoo.co.jp/E211051/
- http://www.ajinomoto.co.jp/recipe/card/701500/701145.asp

で、唐沢俊一のいう「明治人の松原が臓物食を徹底して汚らわしがっている」は、臓物を
材料としない「深川飯」を「磯臭き匂いして食うに堪えざるが如し」、「田舎団子」を「咽喉
を通る品にあらず」、「沸騰散の四、五杯も傾けざれば消化しがたき心地」――と散々な
ことを書いている一方、臓物食として紹介している「焼鳥」の匂いや味については何も
貶していないことから、ガセに数えてよいのではないかと。

『最暗黒の東京』 P.144
> 深川飯――これはバカ〔貝〕のむきみに葱を刻み入れて熟烹し、客来れば白飯を丼
>に盛りてその上へかけて出す即席料理なり。一椀同じく一銭五厘、尋常の人には
>磯臭き匂いして食うに堪えざるが如しといえども、彼の社会においては冬日尤も簡易
>なる飲食店として大に繁昌せり。


『最暗黒の東京』 P.146
> 焼鳥――煮込と同じく滋養品として力役者の嗜み喰ふ物。シャモ屋の庖厨より買出
>したる鳥の臟物を按排して蒲燒にしたる物なり。一串三厘より五厘、香ばしき匂い忘
>れがたしとて先生たちは蟻のごとくに麕って賞翫す。
> 田舎団子――饂飩粉を捏て蒸焼にし、これに洋蜜またはキナ粉を塗したる物。舌障
>り悪くしてとても咽喉を通る品にあらず。もし誤まって食えば沸騰散の四、五杯も傾け
>ざれば消化しがたき心地す。しかれども、健胃なる労働者はこれを中食の代用として
>微かな草蛙銭を蓄積するなり。


また、松原は、煮込みにも焼鳥にも「滋養」という言葉を使っている。臓物食は、ホルモン
と呼ばれるようになった時代 (第二次世界大戦前後?) よりも、ずっと前から、元気のでる
滋養食と認識されていたのかなと思うと興味深い。

参考:
- http://ja.wikipedia.org/wiki/ホルモン焼き
- http://zarutoro.livedoor.biz/archives/50373145.html

とにかく、『最暗黒の東京』の「車夫の食物」の章は、料理の材料と簡単な調理法を説明
する最初の一文だけ読むと、それなりにおいしそう (特に田舎団子) にも思えるけど、その
部分の記述は特にユーモラスとはいえない。続く文章の多くは、常人にはとても食べら
れるものではないとか、松原の貶し方は「逆にユーモラス」といえるかもしれないけど、
刺激されかけた食欲はしぼむばかりとなるもの。


ところで、今回参照した岩波文庫版『最暗黒の東京』は、奥付けに「1988 年 5 月 16 日
第 1 刷発行」と書かれているのだけど、1958 年生まれの唐沢俊一はなぜか、「最初に
この文章を読んだのは十八か九のときだった」と書いている。

岩波文庫の解説によると、「『最暗黒の東京』(明治二六年)の発刊」であり、唐沢俊一
は、明治の古本はほとんどもっていないと、どこかに書いていた気がするんだけど。


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2009.11.14 (Sat)

あ、唐沢俊一は市橋容疑者に惚れたな、と読んでいてもわかった。(←ヤケ)

日記 2009年 11月 12日(木曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20091112104022.html

まだ市橋容疑者のニュースばかり。視聴率を稼ぐにしても、
同じことばかり延々やるのは能がない。オウムのときだって
もう少し各局工夫があったはずだが。

それにしても、各マスコミの発表する写真の市橋は決まり過ぎ
というくらいに決まっている。指名手配書の写真は単に凶悪な
だけだったし、整形予想図見たときはマヌケで笑ってしまったが、
逮捕されたときの様子を見ておッ、と画面に目が釘付けになった。
180センチという長身に加え、スポーツ万能だっただけあって
動きがいちいちシャープなのである。
なるほど、2ちゃんやミクシィで彼のファンになる女性たちが
続出しているのも無理はない。

しかも、逮捕以来固形物の食事を一切とってないことからくる
頬のやつれがこれまたクール。今日の昼、取り調べのために車に
乗り込む彼の、フード付きウインドブレーカーから覗く乱れた
長髪、高い鼻、(整形のおかげか)薄くなってひきしめられた
唇をみるに、存在感はそこらのアイドル顔負けかも、と思える。
〈略〉
しかし、大衆というものは基本的にアナーキーであり、反逆者を
ヒーロー視する。これは当然のことである。体制を逸脱した
犯罪者である鼠小僧や国定忠次に、日本の大衆は長いこと
喝采を送ってきた。身一つで千葉県警の取調べから脱走した市橋は
その行動力のみから言えばルパンなみのヒーローだ。

しかも彼はかなりいい家のお坊ちゃんである。
エリートの家系に生まれた貴公子が罪を犯し、故郷を離れ忌子として
流浪の生活を送る……というところで思い当たった。
折口信夫を引くまでもない、現代の貴種流離譚なんですねえ、
この話。

相手の女性の似顔絵をスラスラ描き、ハナミズキがどうしたとか
牙がこうしたとかいうポエムまで作る。こういう気恥ずかしく
なる行為を臆せず出来るのがいい家の坊っちゃんの特権である。
その彼が日雇い労働者にまで身を落として逃亡生活を続ける。
こりゃシビれますわ。

「犯罪者をカッコいいとか、お前ら社会的に問題ありすぎ」
という“まっとうな意見”は、こういう場合イミがない。
日本人女性のDNAに、こういう“負の物語”を背負った男を
カッコいいと認識する遺伝子が含まれているのだ。
それは、遺伝子の多様性を欲する生物の種族的本能からも
正しいと言える。数%は異端のタネを混じらせておく必要が
あるのである。

一方で心理学的に言えば、これは社会の治安とか道義性とか
に反する人物に託して、社会機構に押さえつけられている
自分のストレスを発散させる代償満足行為である。
女性はそれが社会的対面を重んずる男性よりストレートに
出るだけだ。……そう言えばオウム事件のときも、上祐ギャルズ
という連中が出現していたなあ。


×ルパンなみのヒーロー ○ルパン三世なみのヒーロー

いやまあ、「ルパン」とはアニメの『ルパン三世』の間違いではないかとでも思わないと、
「日本人女性のDNAに」とかいうあたりの説明がつかなくなるので。

もちろん、ルパンだろうとルパン三世だろうと、「身一つで千葉県警の取調べから脱走
した」というだけで、何で彼を連想しなければいけないのかという疑問は決して消える
ものではないのだけれど。ルパンじゃなくて、「鼠小僧や国定忠次」でも、それは同じ。

「反逆者をヒーロー視する。これは当然のことである」とかいうのは……「スーパーモー
ニングでの金嬉老はヒーロー発言
」と同様の、唐沢俊一ならではのヒーロー大安売り
発言と考えてよいのかな。人質をとって立てこもる殺人犯だろうが何だろうが、「体制を
逸脱した」「反逆者」であればヒーローになれるといわんばかりのトンデモ発言……。


そして、前のエントリーコメント欄でも指摘のあった「貴種流離譚」問題について。
唐沢俊一って、貴種流離譚の意味を何か勘違いしているのではないか――というのは、
以前、「チンなら他にもいろいろ――賃陳朕枕狆沈椿亭塵闖鴆疹砧丁」で取り上げた
こともあった。そのときにも、以下の Wikipedia の記述を引いたのだけど:

http://ja.wikipedia.org/wiki/貴種流離譚
>折口信夫が一連の「日本文学の発生」をめぐる論考のなかで、日本における物語
>文学(小説)の原型として論じた概念で、その説くところは時期によって細部が異なる
>が、基本的には「幼神の流浪」をその中核に据える。
〈略〉
>それゆえ日本における散文文学・物語類には、祖形として「高貴な生まれの、弱く、
>力ない人間が、遠い地をさすらう苦悩を経験する。(それを護持する有力な随伴者を
>設定する場合もある)」という説話型が組みこまれているとするのが、貴種流離譚に
>ほかならない。


「折口信夫を引くまでもない」って、折口信夫を引いたら、「『幼神の流浪』をその中核
に据える」という貴種流離譚に、市橋容疑者が該当するはずもなく。いや、折口信夫を
引かなくたって、彼の逃亡劇を「貴種流離譚」とするのは、無理があり過ぎだけど。

http://ja.wikipedia.org/wiki/貴種流離譚
>その一方で、広義の定義として、『高貴の血脈に生まれ、本来ならば王子や王弟など
>の高い身分にあるべき者が、「忌子として捨てられた双子の弟」「王位継承を望まれ
>ない(あるいはできない)王子」などといった不幸の境遇に置かれ、しかし、その恵ま
>れない境遇の中で旅や冒険をしたり巷間で正義を発揮する』という話型を持つ文芸作
>品についてもこの概念に含めるという考え方も存在するなど、決して狭小な範囲に限
>定された概念ではない。


で、「『市橋容疑者に女性たちの人気が集まっている』――明日はどっちだ? 」のコメント欄
にも書いたけど、貴種流離譚の主人公でもあり、「鼠小僧や国定忠次」、「ルパンなみの
ヒーロー」って……唐沢俊一は市橋容疑者に、どれだけ自分の夢を注ぎ込めば気がすむ
のかと。

唐沢俊一は、11 月 11 日の裏モノ日記に、「ちょっと言いたいこともあるのだがそれは
また明日」と書いている。それを受けて、このブログには以下のように書いた。

http://tondemonai2.blog114.fc2.com/blog-entry-294.html
-------
さらに予想すると、犯罪者、ゲイシーン、女性のオタクの三題噺みたいな感じで、唐沢
俊一が昔『カルト王』に書いていた、「やおい少女たちがオウム真理教に恋する理由」の
使い回しをやるんじゃないかと思っていたりする。

-------

で、唐沢俊一は、「オウム事件のときも、上祐ギャルズという連中が出現していた」とか
書いているので、上の予想は、三分の一くらいは当ったといってよいのではないかと。

……予想外だったのは、唐沢俊一本人が、ここまで市橋容疑者に入れ込んでいるような
ことを書いたということ。まあ、こうで、これで、あれで、そうだったりする人なので、予想
できてもよかったのかもしれないが。

要するに、「反逆者をヒーロー視」とか、「貴種流離譚」とか、唐沢俊一以外の人間に
とってはもちろん、唐沢俊一自身にとっても実はどうでもよい、一種の照れ隠しで (?)
とってつけたゴタクでしかないのではないだろうか。

「逮捕されたときの様子を見ておッ、と画面に目が釘付けになった」、「180センチという
長身に加え、スポーツ万能だっただけあって動きがいちいちシャープ」、「頬のやつれが
これまたクール」、「ウインドブレーカーから覗く乱れた長髪、高い鼻、(整形のおかげか)
薄くなってひきしめられた唇をみるに、存在感はそこらのアイドル顔負け」である。

他人の書いたものの丸ごとコピペが常の唐沢俊一が、ここまで熱心に、自分の言葉で
自分の思いを語るというのは、すごくめずらしいことではないかと思う。他人を貶したり
逆ギレで難癖をつけたりするときはまた別だが、今回の市橋容疑者に関しては、何だか
ひたすらほめているし。その主語はもうネット上の女子ではなく、唐沢俊一自身になって
いるし。

ええと、そして、唐沢俊一の書いている「相手の女性の似顔絵」というのは、
http://news109.com/archives/738187.html で見ることのできるこれのことで、
「ハナミズキがどうしたとか牙がこうしたとかいうポエム」とは、パソコンに録音していた
という「ハナミズキ 夏には白い花を 秋には赤い実」というのと、文集に書いていたという
「牙が欲しい。誰にかみついても折れることのない、強い牙が欲しい」のこと、と。

http://g-g.seesaa.net/article/132536934.html
>市橋容疑者が自宅のパソコン録音していた肉声、
> 「ハナミズキ 夏には白い花を 秋には赤い実・・・」
〈略〉
>一青窈の「ハナミズキ」をテーマにした映画がつくられるそうです。
>主演は新垣結衣と生田斗真、
>10年愛を描いた純愛映画で、2010年夏公開されるようです。

>何というタイミング、
>タイミングがよかったのか? 悪かったのか?


http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1257872406/
>文集には「牙が欲しい。誰にかみついても折れることのない、強い牙が欲しい」などと
>書いていたという。


まあ、ハナミズキや、文集に「牙がこうしたとかいうポエム」が、別に良家の子息のしるし
とも思えないが、唐沢俊一にかかると、「こういう気恥ずかしくなる行為を臆せず出来る
のがいい家の坊っちゃんの特権である」ということになる。その坊ちゃんが「日雇い労働
者にまで身を落として逃亡生活」するのが、「こりゃシビれますわ」だそうで。

……ハナミズキや牙のポエムについては、特に「気恥ずかしくなる行為」とは思わない
が、唐沢俊一の「こりゃシビれますわ」な妄想を読んでいると、何かイヤな意味で気恥ず
かしくなってたまらなくなるのはなぜだろうというか、もてない中年ホモと腐女子のキメラ
みたいな内面をもつ人はさすが違うなというか。果して唐沢俊一の自己イメージは「いい
家の坊っちゃん」かどうかとあわせて考えると、ひとしおである。

追記: 女子の皆さんのポエムも何だかすごいことになってきている模様 (?)
http://news109.com/archives/767484.html


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2009.11.14 (Sat)

向精神薬を服用していなくても何だか怖い唐沢俊一先生

社会派くんの Web 連載
http://www.shakaihakun.com/vol094/01.html

唐沢 “事件性はない”との発表だったけど、もし中川が酒も飲んでいたと
したら、これはもうアウトだね。毎晩酒と向精神薬一緒にやってるっていう
のはそれだけでアウト。……今は記載されてないようだけど、発売当時の
デパス(抗不安薬)の能書には、副作用のところに“発狂”と書いてあった
(笑)。最近はクスリ信仰が進んでいて、精神病なんか何にも怖くない、
向精神薬のんでいれば大丈夫、って書いてある本まで出てるけど、実は
向精神薬というのは極端に言えば発狂と隣り合わせで服用するもの、と
思ってほしいんだな。最も一般的な向精神薬のひとつのバキシルでも、
副作用事例には自殺念慮、自傷行動、殺人念慮、譫妄、錯乱状態なんて
ケンノンな言葉がずらり、だぜ。アルコール類と併用すると、その効果が
加速する。オレなら怖くて飲めないねえ。


×バキシル ○パキシル

まあ、何も考えないで上記の文章からコピペして、「バキシル 副作用」でググったら、
あっさりと「もしかして: パキシル 副作用」と表示されてしまったわけだが。

「副作用事例には自殺念慮、自傷行動、殺人念慮、譫妄、錯乱状態」などと、何だか
薬には詳しいんだぞというアピール (?) の前に、「バキシル」とやってしまっているのだ
から、しょうがない。で、副作用事例とかいうのは、どうせ下に引用するサイトの文章
あたりからのコピペと思われるし。

http://blog.livedoor.jp/manavinoheya/archives/51070140.html
>塩酸パロキセチン水和物(商品名:パキシル)―抗うつ剤SSRI
>【2007年度】
>死亡:1件
>突然死:2件
>自殺既遂:13件
>自殺念慮:6件
>自殺企図:6件
>自傷行動:6件
>殺人念慮:1件
>アクティベーション症候群:10件
>攻撃性:3件
>激越:3件
>譫妄:5件
>錯乱状態:1件
>衝動行為:1件
>悪性症候群:6件
>セロトニン症候群:8件


このサイトは http://www.info.pmda.go.jp/fsearchnew/jsp/menu_fukusayou_base.jsp
から情報をとっているという。でも、唐沢俊一が直接そこから情報を拾ったとは、まず
考えられない。

この「副作用が疑われる症例報告に関する情報」のページで「パキシル」を検索すると、
「塩酸パロキセチン水和物」の症例へのリンクが表示され、さらにそこで「報告副作用
一覧 (最新年度) へ」のボタンを押せば、「報告副作用一覧」を参照することができる。

しかし、そこで表示される 2009 年度の一覧には、唐沢俊一があげている「殺人念慮」
の文字はない。先に引用したブログは 2007 年度のデータを列挙したもので、確かに
右上のプルダウンメニューで 2007 年のデータを見れば、「殺人念慮」の文字はあるの
だけど。

というか、そもそも唐沢俊一がここを直接参照するような人だったら、「パキシル」を
「バキシル」と間違えるはずもなく……。「バキシル」で検索すると、ちゃんと (?) 「該当
する副作用情報はありません。」と表示されるし。

ついでに、酒といっしょに飲んでいたら「アウト」「アウト」と連発している理由も、よくわか
らない。確かに、「アルコール類との併用」はよくないだろうけど、「“事件性はない”との
発表だったけど」に続けて「アウト」とかいっているので、じゃあ「“事件性はない”」を
否定したいのか、自殺とでもいいたいのかと思えば、そうでもないようだし……。


そして、読んでいて少し怖いなと思ったのは、「最近はクスリ信仰が進んでいて、精神病
なんか何にも怖くない、向精神薬のんでいれば大丈夫、って書いてある本まで出てる」
の部分。

この唐沢俊一の言葉で思い出すのは、鶴見済の『人格改造マニュアル』だったりする
けど、この本のことだとすると、出たのが 1996 年だから、もう 10 年以上も経っている
ことになる。普通はそれを「最近は」とはいわないと思うが……唐沢俊一時空において
は、そんなのはつい最近のことだという可能性も完全には否定できないし、なあ。

http://www.amazon.co.jp/dp/4872333098
>人格改造マニュアル (単行本(ソフトカバー))
>鶴見 済 (著)
〈略〉
>単行本(ソフトカバー): 278ページ
>出版社: 太田出版 (1996/11)
〈略〉
>一歩踏み出させる力を持つ本, 2005/2/7
>By dryice
>「覚せい剤は素晴らしい」「いざとなったら自殺しよう」さらには、朝起きるために危険な
>合法ドラッグをすすめるなど、不謹慎かつ無責任な記述が非常に多く、情報を取捨選
>択できない人には危険な本ではある。
>しかし、著者自身が受験時に不安に襲われ、抗不安薬を服用して不安を克服した話
>などを含めた、実体験で心を楽にしていった記述は、筆者の熱意を感じたし、実際に
>今現在心の問題で苦しむ人にとっては非常に価値ある内容だと感じた。



で、こんな唐沢俊一の書く「発売当時のデパス(抗不安薬)の能書には、副作用のところ
に“発狂”と書いてあった」というのも、信用しないのが無難ではないかと。

前述の http://www.info.pmda.go.jp/fsearchnew/jsp/menu_fukusayou_base.jsp
「デパス」を検索すると、「エチゾラム」と表示される。そこからたどって報告副作用一覧
を参照しても、「発狂」またはそれに相当する副作用は見つからなかった。「意識変容
状態」、「譫妄」、「離脱症候群」を「発狂」ということにしてしまえば別だけど。

その他参考 URL:
- http://ja.wikipedia.org/wiki/エチゾラム


ええと、それから、唐沢俊一のいっていることで気になるのは、「狭義には、麻薬及び
向精神薬取締法で個別に指定された物質」と定義される「向精神薬」と、向精神薬の
一種とはいえ、「抗精神病薬と呼ばれるメジャートランキライザーと比べても作用や副作
用は弱い」とされている「抗不安薬」とを、いっしょくたにしているところ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/向精神薬
>向精神薬(こうせいしんやく、Psychoactive drug)は、広義には、中枢神経系に作用
>し、生物の精神活動に何らかの影響を与える薬物の総称である。狭義には、麻薬及
>び向精神薬取締法で個別に指定された物質である。


http://ja.wikipedia.org/wiki/抗不安薬
>抗不安薬(こうふあんやく、antianxiety drugs)は、マイナートランキライザー(minor
>tranquilizer)とも言い、精神疾患に使われる向精神薬の一種である。弱い安定剤と
>言われている様に抗精神病薬と呼ばれるメジャートランキライザーと比べても作用や
>副作用は弱い。


文脈によっては、抗不安薬は向精神薬の一種でしかないという視点で語ってもよいと
思うけど、「実は向精神薬というのは極端に言えば発狂と隣り合わせで服用するもの、
と思ってほしいんだな」という流れでそれは、ちょっとどうかと。あえて「抗精神病薬」と
呼ばれるもんと、まぎらわしい書き方を選択したのかという疑問もわくし。

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2009.11.14 (Sat)

「市橋容疑者に女性たちの人気が集まっている」――明日はどっちだ?

裏モノ日記 2009年 11月 11日(水曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20091111135930.html

巨星乙
森繁さん、長いこと乙。 (2ちゃんねる邦画板住人一同)
〈略〉
朝のワイドショーでみたら、市橋容疑者の両親の顔にモザイクが
かけられていた。声も変えられている。ゆうべあれだけ露出して
いたのだが、視聴者の抗議か、本人たちの要望か。
父親が外科医で、母親が歯科医で、母方の祖母も歯科医という
医者家庭で医者になれなかった市橋容疑者の悲劇を思う。
また、息子のやったことを認め、堂々とテレビの前で被害者と
世間に対し謝罪を述べる、立派な両親を持ってしまった息子の悲劇。
人を殺すという行為は許してはいけないが、彼がグレる要因については
わかりやすすぎるくらいである。
そして、ネット内ではどうもこの市橋容疑者に女性たちの
人気が集まっているということで、これに関してはまた
ちょっと言いたいこともあるのだがそれはまた明日。

http://s01.megalodon.jp/2009-1114-0946-58/www.tobunken.com/diary/diary20091111135930.html

×邦画板 ○懐かし邦画板

「×: 邦画板 ○: 懐かし邦画板」と2ちゃんねるのスレに書き込まれていたけど (Read
More
参照)、実際、2ちゃんねるには「懐かし邦画板」はあっても「邦画板」はない、と。

http://menu.2ch.net/bbstable.html
> 【文化】〈略〉 /映画一般・8mm /映画作品・映画人 /懐かし邦画 /懐かし洋画 /オカ
>ルト /超能力 /特撮! /昭和特撮 /演劇・舞台役者 /宝塚・四季 /


まあ小ネタかもしれないけど、唐沢俊一の日記などの傾向からして、「懐かし邦画」や
「懐かし洋画」あたりは一応は専門分野かなと思っていたら、2ちゃんねるのスレなんて
チェックしてもいなかったという話かな。だったら、「2ちゃんねる邦画板住人一同」などと
書かなければいいのに……。

そして、市橋達也容疑者について。まあ、2ちゃんねるのスレ (Read More 参照) では、
「医者家庭で医者になれなかった」や、「立派な両親を持ってしまった息子の悲劇」、
「グレる要因についてはわかりやすすぎるくらい」に対して、「立派な薬局店主の息子で
ある」唐沢俊一が、「浪人の末入った薬学大学にろくに通わず しかたがなく薬局で使っ
てやったら、白衣の下に黒パンはいて結局使い物にならずに、現在は金にもならない
演劇道楽 そして盗作とガセと被害者の名誉毀損をしてしまう」要因と同様、別に「わかり
やすすぎる」話でもないし、そもそも市橋容疑者がグレていたという話も聞かないとか
突っ込まれていた。

確かに、市橋容疑者がグレていたと唐沢俊一が書くにいたった経緯は不明。ただまあ、
「医者家庭で医者になれなかった」うんぬんは、多分以下のような記事からきているの
だろう。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20091113ddm041040119000c.html
> 千葉県市川市で07年に英国人女性の他殺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑
>で逮捕された市橋達也容疑者(30)が県警行徳署捜査本部の取り調べの際、職業に
>ついて「(医者に)なれませんでした」と供述していることが捜査関係者への取材で分
>かった。市橋容疑者の両親は医師で、捜査員が「医者にならなかったのか」などと問
>いかけた際に答えたという。容疑については依然黙秘している。

> 捜査関係者によると、取り調べ時の市橋容疑者は自ら話をすることはないが、家族
>構成や出身地を問われると答える時がある。捜査員が両親の職業について「医師か」
>と聞くと「そうです」などと応じたという。
> 関係者によると、市橋容疑者の父は医師、母は歯科医師。市橋容疑者自身は岐阜
>県の高校を卒業後、東京都内の私立大に進学したが中退。千葉大園芸学部を卒業
>後も定職についていなかった。


「医者家庭で医者になれなかった」とか「父親が外科医で、母親が歯科医で」とか、この
記事だけを見て書いたのかとも思った――唐沢俊一の日記に含まれる情報は、これと、
テレビを数分ながめていれば得ることのできるものでしかない――けれど、「母方の祖母
も歯科医」というのだけが少し違う。

本当に「母方の祖母も歯科医」だったのかどうかは、ググってもよくわからなかった。
「代々歯科医一家の、母親の実家」というのは見つかったけど、その場合、母方の祖父
が歯科医だったという話じゃないのかと思うし。祖母も歯科医だった可能性は否定しない
までも、祖父はどうなったんだと。

http://genkinagochan.blog.ocn.ne.jp/doranyanko/2009/11/post_5ae5.html
>市橋達也1979/1/5 本籍: 岐阜県羽島市竹鼻町、
>幼少期まで、父親が都内の某病院勤務のため、
>祖父母名義の犯行現場で過ごした・・・土地勘が抜群・・・が、
>名古屋市内の某病院への転勤に伴い、
>代々歯科医一家の、母親の実家が在る羽島市竹鼻町へと移住した。



で、唐沢俊一は、「ネット内ではどうもこの市橋容疑者に女性たちの人気が集まっている
ということで」とも書いているが、これは「市橋容疑者がタイプの喪女★」スレをさしている
のではないかと予想。

市橋容疑者がタイプの喪女★14
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258130525/

市橋容疑者がタイプの喪女★15
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1258157339/

さらに予想すると、犯罪者、ゲイシーン、女性のオタクの三題噺みたいな感じで、唐沢
俊一が昔『カルト王』に書いていた、「やおい少女たちがオウム真理教に恋する理由」の
使い回しをやるんじゃないかと思っていたりする。

http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20091111-01/3.htm
> 捜査本部が以前、作成した指名手配ポスターには市橋容疑者の奇妙な女装モン
>タージュが交じっている。ここにヒントがある。
>「実は市橋の自宅マンションの捜索で女性用のカツラと新宿2丁目にあるゲイバーの
>レシートが押収されている。市橋はリンゼイさんをつけ回すなど女性にも興味を持って
>いたが、男性もいける口だった。捜査本部には、事件直後は新宿2丁目に潜り込み、
>大阪など関西出身のゲイ人脈に一時期かくまわれ、次々と客を紹介してもらい逃走
>資金を荒稼ぎしていたという情報も寄せられている。今回の整形手術で大阪の住所
>が使われたのは偶然ではない」(捜査関係者)


おまけ:
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/323911/
> 死体遺棄容疑で逮捕された市橋達也容疑者が、名古屋市の美容整形外科医院の
>ほかに、大阪市内のクリニックでも整形を受けた可能性があることが、捜査関係者へ
>の取材で分かった。このクリニックは男性6人の不審死への関与が指摘されている東
>京都豊島区の無職女(34)が手術を受けており、世間を騒がせる2人の意外な“接
>点”が出てきた。


追記: 329 の比較画像に受けたw
- http://news109.com/archives/738187.html



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2009.11.12 (Thu)

ジンギスカン鍋に名を残すのが「粋である」って発想が何か野暮

『キッチュワールド案内』 P.44

そう言えばチンギス・ハーンも、当時知られていた世界地図の五分の四を
征服しながら墓も残さず、今彼の業績を伝えるのはジンギスカン鍋ばかり
という寂しさである。いや、世界を支配するより、そういうところに名を残す
方が粋である、と晩年の彼なら思ったかもしれない。


「ジンギスカン鍋」は別にチンギス・ハーンの「業績を伝える」ものではない、そもそも
チンギス・ハーンをはじめモンゴルの人たちは、肉を焼いて食べる習慣はあまりないし、
兜で羊肉を焼いて食べていたというのは後世の作り話だと『トリビアの泉』でもやって
いた――という話は、「モンゴルの人は焼肉を愛好してません」のエントリーに書いた。

そして「墓も残さず」というのもガセだという話は、「ジンジンジンギスカーン♪」の方で。

その他関連ガセビア
お願いだから食物としての羊を大切に使いましょうよ

で、今回、「豪快ガセ本 『キッチュワールド案内』徹底検証 その5」のエントリーおよび
2ちゃんねるのスレへの書き込み (Read More 参照) を読んで気になったのは、「世界を
支配するより、そういうところに名を残す方が粋である、と晩年の彼なら思ったかもしれな
い」の部分。

これではまるで、チンギス・ハーンは晩年、隠居して茶でもすすりながら、趣味人として
生きたお爺さんのようだ。……たとえそうだとしても、13 世紀のモンゴルに生きた人間
が、その方が「粋である」と「思ったかもしれない」とは、どこから出てきたか理解に苦し
むばかりだけど。

実際のチンギス・ハーンは、死ぬ間際まで戦闘意欲も征服意欲も満々で、死の床に
ついたのも陣中での話。遺言は、戦っていた相手である金や西夏の攻略・殲滅の方法
についてであったという。

「世界を支配するより、そういうところに名を残す方が」どころの話ではない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/チンギス・カン
>翌1227年、チンギスは興慶攻略に全軍の一部を残し、オゴデイを東に黄河を渡らせ
>て陝西、河南の金領を侵させた。自らは残る部隊とともに諸都市を攻略した後、興慶
>を離れて南東の方向に進んだ。『集史』によれば、南宋との国境、すなわち四川方面
>に向かったという。同年夏、チンギスは夏期の避暑のため六盤山に本営を留め、ここ
>で彼は西夏の降伏を受け入れたが、金から申しこまれた和平は拒否した。
>ところがこのとき、チンギスは陣中で危篤に陥った。このためモンゴル軍の本隊は
>モンゴルへの帰途に就いたが、西暦1227年8月18日、チンギス・カンは陣中で死去し
>た。『元史』などによると、モンゴル高原の起輦谷へ葬られた。これ以後大元ウルス末
>期まで歴代のモンゴル皇帝たちはこの起輦谷へ葬られた。
>彼は、死の床で西夏皇帝を捕らえて殺すよう命じ、また末子のトルイに金を完全に滅
>ぼす計画を言い残したという。チンギス・カンは一代で膨張を続ける広大な帝国をつく
>り、その死後には世界最大の領土をもつ帝国に成長する基礎が残された。


ちなみに、「晩年のジンギスカン」でググったら、こういうのも↓ あくまで小説の話だけど。

http://www.orionnet.jp/blog/index.php?UID=1109639732
>蒼き狼(井上 靖著 新潮文庫)
〈略〉
>晩年のジンギスカンはジュチのことを除けば、すべて至極満足の状態にありました。
>〈略〉ジュチが実際に長く病床にあって、ついにその果てに異境に没したということを
>知ると、彼は独り部屋に篭もり激しい慟哭の涙を流すのでした。いまこそジンギスカン
>は自分が誰よりもジュチを愛していたことを知るのでした。その思いは皇子ジュチの
>死を公表する詔勅に現れていました。
>『皇子ジュチ、キプチャック草原の一角に薨ぜり。そこはモンゴルの祖、上天の命あり
>て生まれたる蒼き狼と惨白き(なまじろき)牝鹿が、その昔来れる美しく大いなる湖の
>畔なり。その名をカスピ海という。皇子ジュチ性勇敢にして、幾多の戦闘に臨みて、常
>にモンゴル将兵の範たり。アラル、カスピ、黒海の北方にキプチャック王国を建て、そ
>の第一祖となる。ジュチの裔、長くキプチャック王国を統べるべし』
>1227年、ジンギスカンは西夏と金国の国境で没しました。遺言は『西夏がもし期限
>が来ても開城しなければ、総攻撃に移って、西夏王を殺し、首都寧夏の住民を悉く滅
>却すべし』というものでした。ジンギスカンは最後の最後まで蒼き狼であり続けたので
>す。


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2009.11.11 (Wed)

歌の文句ならば、消えない薔薇だったりするけど

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.36

 先日、覚醒剤中毒者で、それを利用されて取り引きの手先に使われ、
逮捕されて二年、刑務所暮らしをしていた女性と会って話を聞く機会が
あった。〈略〉
 幸い彼女は人の手を借りて更生に成功し、いまでは家族とのつながり
も復活して、実の弟さんの経営している店で元気に働いている。しかし、
彼女は覚醒剤をやっていたとき、逃げられないように、と背中に彫り物を
入れられた。それは一生、消えることはない……。


「逃げられないように、と背中に彫り物」とか、「それは一生、消えることはない」とか、
昔のおどろおどろしいタイプのレディコミに、たまにあったかなというストーリーではある
けど、『トンデモ一行知識の逆襲』が出たのは 2000年 9月。その時点での「先日」の
話なのに、刺青は「一生、消えることはない」の一言ですませているのには首をひねる。

暴力団から完全に縁を切るための、「手指の再生手術や刺青を消す手術」について
話題になったのは、暴対法の施行開始 (1992 年) から、そう年月の経っていない頃と
記憶しているのだけど……。

http://www1a.biglobe.ne.jp/boutsui/category/iken/center02.html
> 各都道府県にある暴追センターは、暴力団に関する相談を受ける駆け込み寺とし
>て、専門的知識経験を有する相談委員により様々な相談に応じている。離脱のため
>の交渉援助、脱退妨害の排除、離脱の意志を固めた者に対する採用面接等への同
>道等の支援をはじめ、転居費の貸付や、当面の食費、交通費など緊急の援助を必要
>とする場合には援助金を支給している。
> また、離脱者が手指の再生手術や刺青を消す手術等を受けるための指導も行って
>いる。


で、唐沢俊一といえば「あぁルナティックシアター」といえるくらい (?)、このお笑い劇団
での活動には非常に熱心だが (「あぁルナ掲示板 (ルナティック BBS) でのヒドい削除
も参照のこと)、その演劇祭には高須クリニックがスポンサーになっていたりする。

http://www.tobunken.com/news/news20090427134251.html
>ルナティック演劇祭、無事終了!
〈略〉
>スポンサーである高須クリニックのCMまでを芝居の中に取り込んでしまう


そして、その高須クリニックでも、「入れ墨除去」の治療はメニューに入っていたりする。

http://www.takasu.co.jp/about_operation/faq/otherope/22.html
>Q. タトゥー(刺青)を消したいのですが。背中にタトゥー(刺青/入れ墨)をいれていま
>したが、消すことはできますか?
>A. 黒色の部分はレーザー治療で比較的簡単に取れます。赤、青、黄等の色が入って
>いる場合、レーザーは効果がありません。色彩のついている所は皮膚の縫縮や、面
>積の広い場合は植皮等の手術で改善します。黒色の部分はレーザー治療で薄くして
>いくことができます。レーザーをあてたところは状態によりますが、回数は1回でもかな
>り薄くする事が出来る状態もあります。個人差が有りますがだいたい5〜6回以上の通
>院が必要になるケースが多いです。入れ墨の除去は、状態によってはとても難しい治
>療ですから、医師と十分ご相談下さい。


まあ、高須クリニックがスポンサーといっても、それで美容ネタを積極的に収集・取材
するような唐沢俊一だったら、2007 年刊の『地上最強のムダ知識』で、「ボツリヌス菌を
直接注射
」とか、やらかしたりするはずもなく……。

まあ、刺青を消すには費用もかかるという (刺青を入れるときの 20 倍とか) し、完全に
綺麗に消すのは難しいケースもあるようだ。

http://www.loft-prj.co.jp/interview/0501/12.html
>川崎タツキ

>プロになるためには、ハードなトレーニングは当然として、どうしても背中の大きな刺青
>を消す必要がった。200万円の手術費はすべて友人・知人からのカンパで賄われた。
>古川、カズ、コウジもカンパ集めに尽力した。刺青は完全には消えなかったが、ジム
>の有澤会長の熱心な説得で、最初は難色を示した日本ボクシングコミッションもファン
>デーションを塗るという条件でプロデビューのOKを出した。


レーザー照射が有効なのは黒っぽい色の部分のみで、刺青の種類や面積によっては、
「皮膚の縫縮」、植皮などが必要となる。

http://ladys.tokyoisea.com/tattoo/index.html
>・単純切除術
>・分割切除術
>・削皮+術中レーザー術
>・切除+シート植皮術
>・切除+パッチ植皮術
>・切除+メッシュ植皮術


その他参考 URL:
- http://www.tt-c.jp/tattoo/TATTOO
- http://crutonpapa.at.webry.info/200901/article_140.html
- http://kirei.xsrv.jp/archives/cat3/post_93/

しかし、高額であるとか、困難であるというのは、現時点の技術では不可能ということ
とはイコールではないし……唐沢俊一のように「それは一生、消えることはない……」
の一言で終わりにするというのはダメでしょう、ということで。

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09:29  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

2009.11.09 (Mon)

「全く害はない」というのなら「ボツリヌス菌を、筋肉に直接注射」してみれば?

『史上最強のムダ知識』 P.95

 食中毒を引き起こす、ボツリヌス菌の毒素には、筋弛緩状態を引き起こ
す作用がある。
 そこで、顔のシワの回りに、ボツリヌス菌を直接注射し、筋肉をマヒさせ
てシワをなくす、という美容法を、カナダの医師が考えついた。
〈略〉
 ちなみにボツリヌス菌を、筋肉に直接注射しても、全身には広がらず、
数ヶ月で筋肉中に吸収されて消滅するので、全く害はない(そのため
顔面神経痛などの治療にも使われる)。


×ボツリヌス菌を直接注射 ○ボツリヌス菌毒素を抽出した製剤を注射
×ボツリヌス菌を、筋肉に直接注射しても ○ボツリヌス菌毒素を、筋肉に直接注射しても

何か、「青酸カリを注射しても死なない」というガセの件を思い出すが、そちらについては
青酸カリを注射すると死ぬ」の方を参照のこと。

それと、細かいことをいえば、「顔のシワの回り」というより、シワのできやすい箇所で、
シワをつくりたくない部分が対象になるんじゃないかなあ、予防というのも考えると……。
また、「顔のシワの回り」なら、どの箇所にも使用できるわけでもない。「表情筋には麻痺
させてはいけないものもありますので、注射できる部位は限られます」 [3] という。

で、唐沢俊一も書いているように、「ボツリヌス菌の毒素」には、「筋弛緩状態を引き起こ
す作用」があり、それが顔のしわを改善する治療に使われ、「顔面神経痛などの治療に
も使われる」――というか、「本来は眼瞼けいれんや顔面けいれんを治療するための注射
療法」 [1] だったとのこと。

しかし、唐沢俊一が書いているように「ボツリヌス菌を直接注射」したりはしない。治療に
使われるボトックスという製剤は、「ボツリヌス菌の毒素」 [2] ではあるが、ボツリヌス菌
そのものではない。

「ボツリヌス菌を、筋肉に直接注射しても、全身には広がらず」というのは唐沢俊一が
デタラメを書いているだけのことで、実際には「菌が体内で繁殖してしまうと、全身マヒ等
の中毒症状に襲われる」 [2] 危険があるため、「菌が出す毒素だけ」 [2] を注射すること
により、体内で菌が繁殖する心配がないようにしているのだ。

さらに、繁殖の心配なしのボトックス製剤を使用してさえいれば「全く害はない」と安心
していられるかといえば、そうでもなく、「規定量の100倍以上の薬を投与すると、死に
いたるほど強い薬」 [3] でもあるので、専門の医師による注意深い取り扱いが必要と
なる。

[1] - http://blog.livedoor.jp/shiho20062/archives/50240347.html
>ボツリヌス菌毒素を注入してシワを改善する治療で、ボトックスという製剤名で知られ
>ています。

>額にできる横ジワや眉間にできる縦ジワ、目尻にできるシワは、その部分の筋肉を
>収縮させることによりできるものです。ボツリヌス菌毒素は神経毒の一種で、これを
>注入すると表情筋が麻痺して、その部分の筋肉が動きにくくなるため、自分で顔をし
>かめてシワを作ろうとしても、シワの表情が作りにくくなります。本来は眼瞼けいれん
>や顔面けいれんを治療するための注射療法です。

>効果が現れるのは治療後3日目くらいからです。効果の持続期間も3〜4ヶ月程度と
>されています。コラーゲン、ヒアルロン酸同様、定期的な治療が必要となります。


[2] - http://www.apart7.net/biyou/waka.html
>美容整形によるシワ取りには、ボツリヌス菌注射という方法もあります。目尻の笑い
>ジワや、眉間のシワ、額のシワなどは、筋肉の収縮と関係があるため、除去は難しい
>とされていました。そこで、ボトックスという、ボツリヌス菌の毒素を注射して、筋肉を
>マヒさせ、筋肉の収縮を抑える方法が考え出されました。

>ボツリヌス菌自体は、食中毒の原因としても知られる猛毒で、菌が体内で繁殖してし
>まうと、全身マヒ等の中毒症状に襲われることがあります。しかしこのボトックスで注
>射するのは、ボツリヌス菌そのものではなく、菌が出す毒素だけです。ですので、菌が
>繁殖するという心配は全くありません。

[3] - http://health.goo.ne.jp/column/woman/kotoba/0054.html
> では、首のしわやほうれい線も消せるのでしょうか?
> 「どのしわにも効くというわけではありません。表情筋には麻痺させてはいけないもの
>もありますので、注射できる部位は限られます」(吉村先生)
> 認可された、ボトックスビスタという薬にも規定があります。
>「左右の筋と筋の3カ所に使用でき、65歳未満の成人のみです。施術できるのは、
>講習を受けて資格を取った医師のみに限られます」(吉村先生)
> 毒素から作られた薬…と聞くと、副作用が心配になりますが。
>「たしかに規定量の100倍以上の薬を投与すると、死にいたるほど強い薬です。だから
>こそ、医師しか使えない医療用に限定されています。正しく治療に使えば、副作用が
>なく極めて安全な薬。顔面の激しい痙攣や頭の筋肉の緊張による頭痛、多汗症(ワキ
>ガ)、顔のエラを細く見せるなど、広い用途があります」(吉村先生)今後、ストレスに
>よる肩こりや腰痛の特効薬になる可能性も秘めている薬です。


その他参考 URL:
- http://kogao-bt.seesaa.net/article/101981165.html
- http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/51066383.html
- http://blog.livedoor.jp/wisteria55/archives/438469.html

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2009.11.08 (Sun)

Wikipedia からのほぼ丸ごとコピーと「幼い頃に」はムンクもいいたくなります

『史上最強のムダ知識』 P.34

エドヴァルド・ムンク
 19世紀から20世紀にかけて活動した画家。表現主義的(作品中に「感情」
を反映させ、実像をねじまげて表現する傾向)な作風の画家として知られる。
 幼い頃に、母親や姉、弟をなくしたことが、人格形成に強い影響を与え、
芸術家となって以降は、「死」や「孤独」、「不安」などをモチーフに絵筆を
取る。
 代表作は『叫び』をはじめとした「フリーズ・オブ・ライフ」と呼ばれる連作。
 なお、ムンクは、生地であるノルウェーでは、国民的な画家であり、1000
ノルウェー・クローネ紙幣には、彼の肖像が描かれている。


×幼い頃に、母親や姉、弟をなくした ○幼い頃に母親、思春期に姉をなくした

間違いが含まれているのは 2 段落目の「幼い頃に」以降だけど、他の段落も上に引用
したのは、「ムンクは叫び、唐沢俊一はガセり、そしてパクる」のときと同様、Wikipedia
からの丸ごとコピーが、いっそすがすがしいくらいに (?) 豪快であるため。

『史上最強のムダ知識』は 2007 年 4 月に出た本であるため、以下に引用するものは、
2007 年 3 月時点の版を使ってみた。まあ、該当個所は、最新版とそう変わらないけど。
・Wikipedia のエドヴァルド・ムンクの項……2007年3月16日 (金) 16:04 の版
・Wikipedia の表現主義の項……2007年3月13日 (火) 08:19 の版

http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=エドヴァルド・ムンク&oldid=11297599
>19世紀〜20世紀のノルウェー出身の画家。〈略〉 表現主義的な作風の画家として
>知られる。


http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=表現主義&oldid=11224303
>表現主義(ひょうげんしゅぎ)または表現派(ひょうげんは)とは、〈略〉感情を作品中に
>反映させ、現実をねじまげて表現する傾向のことを指す。


http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=エドヴァルド・ムンク&oldid=11297599
>おもに1890年代に制作した『叫び』、『接吻』、『吸血鬼』、『マドンナ』、『灰』などの一
>連の作品を、ムンクは「フリーズ・オブ・ライフ」(生命のフリーズ)と称し、連作と位置
>付けている。


http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=エドヴァルド・ムンク&oldid=11297599
>ノルウェーでは国民的な画家である。現行の1000ノルウェー・クローネの紙幣にも
>彼の肖像が描かれている。


以上については、誰が書いても同じような表現になるとはかぎらない部分である。

表現主義の説明に「ねじまげて」を使うのは、Wikipedia やそのコピーと思われるものの
特徴だし、「生命のフリーズ」とのみ表記して、「フリーズ・オブ・ライフ」を登場させない
資料は少なくないというか、そちらの方が多い感じ。

最後の段落の「国民的な画家」、「1000ノルウェー・クローネ紙幣には、彼の肖像が描か
れている」の一致は、感動をおぼえるくらいのものであるし。


以下は、Wikipedia 以外での「表現主義」の定義 (比較対象用)。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C9%BD%B8%BD%BC%E7%B5%C1
>表現主義ひょうげんしゅぎ(アート)
>狭義には20世紀初頭の「ブリュッケ?」や「青騎士」といった、「ドイツ表現主義」を指す。
>広義には表現する対象の正確な再現よりも表現の力強さのほうを優先する芸術思想
>のこと。


http://art.pro.tok2.com/T/Twenty/Expression.htm
>表現主義
>  外の印象ではなく、画家の内面を表現しようとした。
>そのため今までの絵画法則(遠近法や解剖学、
>明暗法など)を無視して、情緒的に輪郭を強調したり、強烈な色彩の画面を作り上げ
>た。
>フィーヴィズムは理知的に色彩構成を考えたのに対し、
>表現主義はあくまでも情緒的に色彩を使用した。



で、ムンクの母親と姉の死についての、2007 年 3 月時点の Wikipedia の記述は、下記
の通り。ここまで記述が複雑 (?) になると、唐沢俊一の処理能力を超えてしまうらしい。

http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=エドヴァルド・ムンク&oldid=11297599
>ムンクは1863年12月12日、ノルウェーのヘードマルク県ロイテンで生まれた。〈略〉
>1868年、エドヴァルドが5歳の時に母が結核のため30歳の若さで死に、1877年には
>15歳の姉がやはり結核で死ぬ。エドヴァルド自身も虚弱な子供で、生き延びられない
>のではと心配されていたという。こうして身近に「死」を実感したことは後のムンクの
>芸術に生涯影響を与え続け、特に『病室での死』(1893頃)、『病める子』(1886)と
>いった彼の初期の諸作品では直接のモチーフになっている。


姉の死亡した 1877 年は、1863 年生まれのムンクは 14 歳。これを「幼い頃」といって
しまうのは、無理がある。

また、弟が死亡したのは、1895 年のことで、ムンクは 32 歳のとき。若くして死亡とは
いえるかもしれないが、どう考えても「幼い頃」ではない。ちなみに、『叫び』を含む『生命
のフリース』は 1893 年の発表。弟の死の 2 年前である。

http://www.g-bianca.jp/buy/sakka/foreigner/sakka203.html
>1895年(明治28年)
>パリを2回訪れ、ロートレックやボナールの影響を受ける。
>弟・アンドレアスが死去。
>石版画「叫び」をパリのルヴュー・ブランシュに掲載。


(なお 1877 年に姉が死亡、1895 年に弟が死亡というのは、スー・プリドー著『ムンク伝』
の年表とも一致するので、上記引用の資料の記述ミスの可能性は考えなくてよいかと)。

まあ、唐沢俊一が間違えた理由も何か見当がつくというか、ネット上で検索すると、
「姉と弟も若くして死んでしまう」と書いてあるものが結構多い。それ自体は、嘘でも
ガセでもないんだけど……。

http://geijutsuhiroba.com/dvd/documentary/52070901011923.php
>5歳のときに母が結核で死去、姉と弟も若くして死んでしまう。ムンク自身も体が
>弱かったことで、生涯“死”の影がつきまとう人生を送ることになる。


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22:07  |  その他の雑学本 間違い探し編 (324) +  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.11.08 (Sun)

まさか黄金列車と呼ばれたから黄色は「そのなごり」と書いたのではあるまいな

『トンデモ一行知識の逆襲』 P.97

西武鉄道の前身は「西武農業鉄道」といい、都心部で出た人糞を肥料と
して、練馬の大根畑に運んでいた。

西武の電車が黄色く塗られているのはそのなごりである。


「糞尿輸送列車」を運転していたのは、「西武農業鉄道」のそのまた前身の「武蔵野
鉄道と西武鉄道(旧)と食糧増産の3社」が合併する前の 1944 年に始まり、1945 年
の合併および西武農業鉄道への改称、翌年 1946 年の西武鉄道との改称を経て、
1951 年頃までの話 (書類上は 1953 年まで)。

一方、「西武の電車が黄色く塗られている」というのは、1969 年の「101系」が最初で
ある。何をどうすれば、15 年以上も前に終了した糞尿の輸送の、「そのなごりである」
なんてことになるのかと。

http://ja.wikipedia.org/wiki/西武鉄道
>また1944年には、東京都からの委託によって糞尿輸送が開始された。当時都内の
>糞尿処理は、トラックで湾岸へ運び船で東京湾へ捨てていたが、人手不足とガソリン
>統制により、処理が追いつかなくなっていた。そこで東京都長官の大達茂雄からの要
>請で、武蔵野鉄道と西武鉄道(旧)と食糧増産の3社が一体となり、専用貨車と積込
>所・貯溜施設を造って大規模な糞尿処理にあたることとなったのである。同年9月10
>日夜から普通貨車による糞尿運搬の臨時運転を開始し、11月21日には専用貨車を
>用いた本運転に入った。この糞尿輸送列車は、「汚穢電車」[7]「黄金電車」「黄金列
>車」などと呼ばれた。
〈略〉
>しかし衛生面などで問題が続出してしまい、糞尿輸送は次第にその輸送量を減らして
>行った。書類上は1953年(昭和28年)3月30日までの契約であったが、実際には1951
>年に輸送が休止して以降再開されないままの廃止で、堤の輸送拡大構想は結局実
>行されないまま終わった。
>なおこの糞尿輸送が行われている最中に武蔵野鉄道と西武鉄道(旧)と食糧増産の
>3社が合併しているが、社名に「農業」を付して「西武農業鉄道」とした由来はこのよう
>なことにある。
〈略〉
>1945年(昭和20年)9月22日 - 武蔵野鉄道は西武鉄道(旧)と食糧増産を吸収合併
>して西武農業鉄道に改称。これは陸上交通事業調整法に基づくものであったが、実
>際の合併は食糧増産に対する運輸通信省の査定に時間が掛かり、終戦後となった。
>1946年(昭和21年)11月15日 - 西武農業鉄道は現在の西武鉄道に改称。バス事業
>を武蔵野自動車(現:西武バス)に譲渡、分社化。


http://ja.wikipedia.org/wiki/西武鉄道
>昭和44年(1969年)には他社より一足早く、自社のイメージの確立に乗り出し、現在
>でも利用者の西武鉄道のイメージである「黄色い電車」の第1号となる101系[2]が登
>場する。


西武鉄道のサイトにあるページによると、黄色の 101 系 (ここから壁紙をダウンロード可)
が登場したのは、「西武秩父線開業に合わせて」であり、「山岳区間の運転からラッシュ
輸送まで幅広く対応」できる車両にしたとのこと。都心から埼玉方面の農業地帯 (?) への
貨物輸送とは、まったく関係がない。

http://www.seibu-group.co.jp/railways/unyu/zukan/zukan.html#301kei
>●101・301系
>1969年の西武秩父線開業に合わせて登場しました。3ドア車体の通勤車両で、山岳
>区間の運転からラッシュ輸送まで幅広く対応できる車両性能を備えています。



で、黄色の 101 系の登場前は、西武鉄道の車両は、「通称赤電色」とも「黄色と茶色の
2トーン」ともいわれていたみたいで。

http://wiki.chakuriki.net/index.php/西武鉄道
>02. 大昔には都心から武蔵野までウンコを運んでいた。ウンコ色か、道理で。
>・戦後直後の西武農業鉄道のこと。肥溜め電車と呼ばれていたらしく、1年で社名を
> 変えた。
>・「黄金電車」とも…
> ・だが、くどいようだがそのころ電車は赤かった
>  ・いや、通称赤電色になったのは昭和30年代半ば以降だよ。それ以前は黄色と
>   茶色の2トーンだった。501系(初代)の保存車を見てくれ。
>   ・赤電→黄色(一部のみ窓周り薄茶)だよ
>    ・ちなみにうんこ電車は事故って貨車の中身をぶちまけたことがあります....


この 501 系というのは、101 系の 1969 年より 15 年も前の 1954 年に製造開始されて
いて、淡い黄色 (101 系の黄色とは違いクリーム色に近い) と赤茶色に塗られた車両で
あった。ただ、1954 年というと、糞尿輸送の契約終了の 1953 年よりも後なので、この
型の車両がそれに使われたわけでもなさそう。

http://www.asahi-net.or.jp/~jy2t-ikze/501.htm
>501系2代目として1957年に登場。

http://www.g-gauge.jp/prototype/seibu/seibu.html
>1954年(昭和29年)より所沢工場で製造された車輌で、17m級車体の電動車です。
>当初はクモハ501を名乗っていましたが、後に新型車に追われてクモハ501→クモハ
>411→クモハ351と名前を変えて行きます。



ということで、捜していたら、「西武鉄道の貨物輸送に乗務員(機関士)として22年余りの
間付き合い、退職して10年近くにもなる」という人のブログを発見。それによると、「糞尿
輸送専用の貨車」は木製だった模様。

http://41-31.at.webry.info/200810/article_1.html
> また、糞尿輸送専用の貨車は、自社所有の無蓋貨車(ト31形)を改造(台枠と走行
>部を利用)し、別途作られた木製のタンク体(船底形の立方体)を載せたものであっ
>た。ちなみに、車体部分(タンク部分)は東京都の所有であったとか。


これは、Wikipedia 中の、以下の記述とも合致する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/西武鉄道
>戦後、西武鉄道の復興は他社に比べ目覚ましいものだった。大手他社が国鉄モハ
>63形の割当てにより体制を整えようとしている中、西武鉄道では国鉄の戦災車や事
>故車、これらが枯渇すると老朽廃車となった木製車を大量に譲り受け、自社(当時は
>復興社のちに西武建設経営)の所沢車輌工場で改造、修繕や木造車体の鋼体化を
>実施した。


ブログに掲載の写真はモノクロで、色まではわからないが、黒っぽくうつっていることから
判断して、黄色く塗られてはいなかったことは確かだろう。

- http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/012/208/46/N000/000/000/122363026653816407108.jpg
- http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/012/208/46/N000/000/000/122363049801516206278.jpg


ところで、唐沢俊一の書いている「練馬の大根畑に運んでいた」というのもまた、ガセ
ではないかと思うのだけど……。以下の引用を見ると、糞尿列車の「取り卸し設備」の
あったという場所は、練馬区と隣接することはあっても、練馬区の中にはないような。

http://41-31.at.webry.info/200810/article_1.html
>糞尿輸送にあたって武蔵野・西武両鉄道では、専用の設備と貨車を用意した。糞尿
>の積み込み設備が長江(当時東長崎〜江古田間の下り線から分岐していた貨物駅)
>と井荻に作られ、その取り卸し設備が清瀬、狭山ヶ丘、高麗、田無、東小平(廃止・花
>小金井〜小平間)、東村山、入曽、南大塚、小川の各駅にあった。こうした設備構築
>の状況から、本格的な輸送体制で臨んでいたことが覗える。


そうでなくとも、「練馬の大根畑」というのは、限定し過ぎで、少し変だと思うし。

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11:22  |  『トンデモ一行知識の逆襲』間違い探し編 (138) +  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.11.07 (Sat)

いそうでいない? マジョリティの魔女

『史上最強のムダ知識』 P.61

 ついでに言えば、魔女裁判(正確には、裁判前の拷問)も、有料だった。
「このような拷問をしたので、いくら払え」という請求が、魔女の遺族にきた
そうだ。


不器用な死刑執行人ジャック・ケッチがケチだったかどうかは不明」の引用では、
「〈略〉」と書いたところに、この記述が入る。で、この部分もガセといってよいのでは
ないかと。

「魔女裁判(正確には、裁判前の拷問)も、有料」という書き方では、まるで「裁判前の
拷問」にかぎって有料だったかのように読める。しかし、毎日新聞社の『話のネタ』という
本 (この本については、ここここを参照) によると、魔女裁判とはそんな甘いものでは
決してなくて……。

『話のネタ』 P.264 〜 P.265
> 密告によって容疑者が逮捕されると、すばやく管財人が家宅捜索して、全財産を
>没収する。もし、人に金を貸していたら、その債務者を呼びつけて借金を取り立てる。
>そして、その没収財産の中から、逮捕や尋問、拷問の経費、獄中での食費、火刑の
>ロープ代、たき木と油代、裁判官や下役人、処刑吏の日当と旅費まで、一切合財が
>細かく計算されて差し引かれる。処刑がすんだあとの慰労会費まで含まれていた。
>そして、余った財産は、ローマ教会、国王、異端審問官、司教たちが、それぞれ山分
>けしたのである。囚人は自分で費用の全額を支払って殺されたのである。
> だから、これほど儲かる裁判はない。生産力の低い中世にあっては、ぬれ手であわ
>式に、巨大な利益をあげる。魔女狩りは、人血から金銀をつくる錬金術だったのである。


要するに全財産没収であり、逮捕から処刑までにかかった費用は細かく計算され分配
されて、「余った財産は、ローマ教会、国王、異端審問官、司教たちが、それぞれ山分け」
だったという。なお、この財産没収については、1970 年刊の岩波新書『魔女狩り』の中
でも言及されている。

http://plaza.rakuten.co.jp/1492colon/diary/200908020000/
>『魔女狩り』森嶋恒雄 岩波新書
〈略〉
> 著者は、このような「魔女裁判」の目的が、財産没収ではなかったかと推測していま
>す。このことは、財産没収が禁じられてから魔女の摘発が格段に減少したことからも
>裏付けられています。


http://www.amazon.co.jp/review/RUH7R4R5WHC2N/
>魔女は、逮捕されてから処刑され、その後の係官が催す慰労会までを含めた魔女
>裁判に関わる全ての費用を自弁することになっていて、聖職者同士が魔女の財産没
>収権をめぐり、醜い争いを繰り広げることもあったそうである。神聖ローマ帝国が財産
>没収を禁じた年は魔女の摘発が急減するという現象が起きたのだが、このことからは
>魔女狩りのもう一つの面が見えてくる。


唐沢俊一は、こちらに引用したように、前後の文章では首切り役人の賃金だの、彼に
渡すチップだのという話をしているのに、どうして処刑にかかる諸経費 (?) をすっとばし、
わざわざ「正確には、裁判前の拷問」などと書いたのか、理解に苦しむ。個人的には、
「慰労会費まで含まれていた」も興味深いポイントと思ったが、唐沢俊一はスルーの
法則を発動させているし。


ちなみに、Wikipedia の記述では、「金銭目当て」説には、やや否定的。しかし、まあ、
こちらは他に決定的な要因をあげているわけでもなく、魔女とされた者の財産没収や、
裁判に関係する費用の全額負担を否定しているものでもない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/魔女狩り
>たとえばドイツの歴史家ヴィルヘルム・ゾルダン(Wilhelm Soldan)は魔女狩りとは権
>力者や教会関係者が金銭目当てで行ったものだという説を唱えた。つまり封建制度
>時代によく行われていた私的徴税の一種を行うための詭弁として魔女狩りが行われ
>たというものであるが、被告のほとんどが財産をもたない貧しい人々であったことや、
>告発者が利益を得る仕組みがなかったことが明らかになっているため、現在では受け
>入れられていない。


その他参考 URL:
- http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/yaziuma/essay2.html
- http://astore.amazon.co.jp/code-jp-22/detail/4004130204
- http://ginyobi-moon.s10.xrea.com/WITCH/Hunt/whdata1.html
- http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=189545

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2009.11.07 (Sat)

ピアノと呼ばれるその楽器を別の名前で呼んだとしても、その甘美な音色に変わりはない

『史上最強のムダ知識』 P.136

ピアノの正式な名称は「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」。


×ピアノの正式な名称 ○ピアノの名称の由来

『史上最強のムダ知識』 P.137

「グラヴィチェンバロ」とは、チェンバロのこと。そして「ピアノ・エ・フォルテ」
は、イタリア語で「弱い音と強い音」の意味。「弱い音と強い音の出せる
チェンバロ」という意味である。
 そもそも、大きな音量が出せるが、強弱をつけた音を出すのが難しいチェン
バロと、強弱をつけられるが、音量が非常に小さいクラヴィコードという、2種
類の鍵盤楽器を合体させて誕生したのがピアノなのである。


前エントリーとは「正式」つながりというか、2ちゃんねるへの書き込み風にいえば、
「唐沢俊一、お前もう、『正式』って書くの禁止な」といいたくなるというか。

唐沢俊一の定義する「正式な名称」とは、多くの場合、いくつかある呼び名のうち、
一番長ったらしい名前をさしているのにすぎないのではないかと疑いたくなる。

で、「ピアノの正式な名称」については、「ピアノ」「piano」でよいかと思う。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ピアノ
>「ピアノ」という名の由来は、イタリア語の「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォル
>テ」(Clavicembalo col piano e forte)、もしくはそれに類する表現である。
>現代では、イタリア語・英語・フランス語では “piano” と呼ばれる(伊・英では
>“pianoforte” も使用)。〈略〉
>20世紀後半以降、あえて「フォルテピアノ」「ハンマークラヴィーア」「ハンマーフリュー
>ゲル」などと呼ぶ場合は古楽器(およびその復元楽器)、すなわち現代ピアノの標準
>的な構造が確立される以前の構造を持つ楽器を指す場合が主で、モダンピアノが普
>及する以前に作曲された作品を、当時のスタイルで演奏する古楽派などに用いられて
>いる。これに対して19世紀半ば以降のピアノを区別する必要がある場合には「モダン
>ピアノ」などと呼ぶ。


「ピアノ」は「ピアノフォルテ」の略で、正式には「ピアノフォルテ」――という話ならば、耳に
したことがある。実際、プログレッシブ英和中辞典では、piano は「PIANOFORTEの短縮
形」としている。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=piano&stype=1&dtype=1
>[PIANOFORTEの短縮形. 「強い音(FORTE2)も弱い音(PIANO2)も出せる楽器」の意]

一方、新グローバル英和辞典では、その定義を採用していなくて、こちらの辞書では
piano の項目に pianoforte の文字はなく、pianoforte という語の項目自体も存在しない。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=piano&dtype=1&stype=1&dname=1ss


さらに、今回の唐沢俊一の文章で引っかかるのが、「『グラヴィチェンバロ』とは、チェン
バロのこと」という部分。

その一方で、唐沢俊一自身、「チェンバロと、〈略〉クラヴィコードという、2種類の鍵盤
楽器を合体させて誕生した」と書いているため、「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エフォ
ルテ」とは「『弱い音と強い音の出せるチェンバロ』という意味」だというなら、

1. クラヴィコードの方は、その長ったらしい名前のどこにも反映されていないの?
2. 「グラヴィチェンバロ」の「グラヴィ」って何?

という疑問がわいてくる。

実は、上の方に引用した Wikipedia では「クラヴィチェンバロ」「Clavicembalo」のみの
記載であったことから、このエントリーを書きかけのときには、

×グラヴィチェンバロ ○クラヴィチェンバロ

としていた。しかし、以下の記述を見ると、「グラヴィチェンバロ」「gravicembalo」という
こともあるらしいので、それはナシにした。

http://en.wikipedia.org/wiki/Piano
> The word piano is a shortened form of the word pianoforte, which is seldom used
> except in formal language and derived from the original Italian name for the
> instrument, clavicembalo [or gravicembalo] col piano e forte (literally harpsichord
> with soft and loud).


「clavicembalo」なら clavi の部分はクラヴィコードからきているっぽい (素人考え) し、
「gravicembalo」だとすれば、「重さがあるチェンバロ」といった意味合いか。

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=gravity&stype=1&dtype=1&dname=1ss
>〔[語源]GRAV「重さがある, 重い」: aggravate, gravitate, gravity; grave; grief, grieve
>(‘..に重荷を負わせる’)〕


ただ、「gravicembalo」という語自体、イタリア語の「clavicembalo」がなまって変化した
もの (corruption、corrupt form) とされているので、その点でも「ピアノの正式な名称」
っぽくはない。

http://en.wikipedia.org/wiki/Gravicembalo
> The harpsichord (a corruption of the Italian term clavicembalo)

http://en.wikipedia.org/wiki/Harpsichord
> The type of instrument now usually called harpsichord in English is generally
> called a clavicembalo (sometimes in the corrupt form gravicembalo, both
> masculine) or simply cembalo in Italian, and this last word is generally used in
> German as well (Cembalo, neuter).


http://ja.wikipedia.org/wiki/チェンバロ
>チェンバロ(独: Cembalo, 伊: Clavicembalo)は、鍵盤を用いて弦をプレクトラムで弾い
>て発音する楽器で、撥弦楽器(はつげんがっき)、または鍵盤楽器の一種に分類され
>る。英語ではハープシコード(Harpsichord)、フランス語ではクラヴサン(Clavecin)と
>いう。



また、呼び名はともかく、ピアノという楽器自体が「2種類の鍵盤楽器を合体させて誕生
した」ものといえるかどうかは微妙な気が。

ピアノは、ハンマーで弦を上から叩くことによって音を出す。この点で、絃を弾いて音を
出す方式のチェンバロ (ハープシコード)、弦を下から突き上げて音を出す方式のクラヴィ
コード、どちらとも異なるため。

http://www.wound-treatment.jp/next/dokusyo/279.htm
> ピアノが産声を上げたのは1709年で,クラヴィコード(水平に張った弦を下から突き
>上げて音を出す)やハープシコード(弦を弾いて音を出す)のように鍵盤を持った楽器
>の一つとして考案された。前二者と異なっているのは「弦を上から叩く」ことであり,発
>明当初は優れた楽器としては考えられていなかった。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ピアノ
>ピアノに先行する弦を張った鍵盤楽器としてはクラヴィコードとチェンバロが特に普及
>していた。クラヴィコードは弦をタンジェントと呼ばれる鉄の薄い板で突き上げるもの
>で、鍵盤で音の強弱のニュアンスを細かくコントロールできる当時唯一の鍵盤楽器で
>あったが、音量が得られず、狭い室内での演奏を除き、ある程度以上の広さの空間で
>演奏するには耐えなかった。一方のチェンバロは弦を羽軸製のプレクトラム(ツメ)で
>弾くものである。


http://www.cakewalk.jp/MC/glos/html/glos1ld5.shtml
>クラビ/clavi《鍵盤楽器》
>クラビというのは省略した名称なのですが、この語源となる言葉(楽器)はふたつあり
>ます。ひとつはクラビコードという古くからある打弦楽器、そしてもうひとつは一般的に
>クラビネットと呼ばれている電子楽器です。
>クラビコードの方は、ピアノと同様に弦を叩いて音を出す楽器ですが、ピアノがハン
>マーで弦を叩くのに対して、クラビコードは金属の板で弦を叩きます。ですから、ピアノ
>に比べて繊細できらびやかな音色となります。


- http://www.seibupiano.com/column/column6.html
- http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0444.html


追記: 「『clavicembalo』なら clavi の部分はクラヴィコードからきているっぽい」とか
書いたけど、やはり素人考えの間違いでした。(_ _);

http://www.yamaha.co.jp/himekuri/view.php?ymd=20000504
>ちなみに、「クラヴィチェンバロ」とはイタリアでのチェンバロの正式な呼び方で、
>「クラヴィ」は“鍵盤”を意味するラテン語の「クラヴィス」に由来します。フランスで
>チェンバロが「クラヴサン」と呼ばれるのも同じ由来からです。


で、これ↑は、下記のはてなブックマークをたどって見つけたもの。

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.encount.net/naruhodo/14_2017.php
>ネタ記事のあとは普通の記事を読む。正確性はネタ記事には求めない。
> http://www.yamaha.co.jp/himekuri/view.php?ymd=20000504


「【話のネタ学部】略語を許すな!ピアノの本名は何?|おもしろコミュニティ 縁count」
というブックマーク先は、現在存在しない。2007 年 4 月に、唐沢俊一の本を見て、
内容をそのままコピペしたようなエントリーを書いたみたいと推測。

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2009.11.07 (Sat)

唐沢俊一の脳内でのみ「正式」<インクレディブル・ハルク・ホーガン

『史上最強のムダ知識』 P.154

ハルク・ホーガンの正式なリングネームは、「インクレディブル・ハルク・
ホーガン」


『史上最強のムダ知識』 P.155

 ホーガンのリングネームは、人気コミックの「超人ハルク」にちなむのは
有名な話(正確には「超人ハルク」のテレビドラマ版にインスパイアされた
名前)。『超人ハルク』の原題は(コミック、ドラマ版共に)『インクレディブル・
ハルク』。故にホーガンの方も、正式には「インクレディブル」がつく。


まあ、そもそも、唐沢俊一が「正式」とかいっているものについては、まずガセビアを疑う
のが無難ではあるのだけど。

特殊○○○とはどういう○○○か
博多四十日という地方品種もあり
「疲労をポンと捨てる」がある「ちゃんとした薬品辞典」とは?
タケコプターも「回転翼航空機」なんだろうか
「ひっそぎ」が「正式名称」となった経緯は謎
「腸」の読みはひとつじゃない
「絶対サー・ロクストンではない」←ロードにしたらいいと思うよ
「万歳三唱令」ってのは偽書だし、「かなり奇妙な万歳ポーズ」ですよ唐沢俊一先生

で、何をもって「正式なリングネーム」とするのかという話もあるけど、ハルク・ホーガンの
場合、日本語版および英語版の Wikipedia、IMDb (The Internete Movie Database) の
どれをとっても「ハルク・ホーガン」または「Hulk Hogan」。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ハルク・ホーガン
>ハルク・ホーガン(Hulk Hogan、1953年8月11日 - )は、アメリカ合衆国のプロレスラー。

http://en.wikipedia.org/wiki/Hulk_Hogan
> Terry Gene Bollea[6] (born August 11, 1953)[1] better known by his ring name
> Hulk Hogan, is a professional wrestler currently signed to Total Nonstop Action
> Wrestling.[7]


http://www.imdb.com/name/nm0001356/
> Hulk Hogan

それに何より、The Official Website の http://www.hulkhogan.com/ で Hulk Hogan と
なっているので、「正式なリングネームは、『インクレディブル・ハルク・ホーガン』」という
のは、立派な (?) ガセということでよいだろう。

また、ホーガンが Incredible Hulk Hogan というリングネームを使ったことがあるかどうか
は微妙。英語版 Wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/Hulk_Hogan に列挙されている
Ring name(s) には一応 Incredible Hulk Hogan も含まれているものの、他の名前と違い
http://www.onlineworldofwrestling.com/profiles/h/hulk-hogan.html のような出典が
明記されていない。IMdb の biography http://www.imdb.com/name/nm0001356/bio
に列挙されている Nickname の中にも Incredible Hulk Hogan はない。

http://www.onlineworldofwrestling.com/profiles/h/hulk-hogan.html
> Wrestler: Hulk Hogan
〈略〉
> Previous Gimmicks:
> Super Destroyer (masked)
> Sterling Golden
> Terry "The Hulk" Boulder
> "Immortal" Hulk Hogan
> Hulk Machine
> The Hulkster
> "Hollywood" Hulk Hogan
> Mr. America -masked-



そもそも、『超人ハルク』の原題が『インクレディブル・ハルク』だから、「故にホーガンの
方も、正式には『インクレディブル』がつく」という理屈も、よくわからないし……。リング
ネームの由来が『超人ハルク』からだからといって、「正式なリングネーム」にも「インク
レディブル」をつけなきゃいけないわけではないと思うが。本家 (?) のスーパーヒーロー
の Hluk にだって、常に Incredible がつくわけではないので、なおさら。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ハルク_(コミック)
>ハルク(The Hulk)、又の名を超人ハルク(The Incredible Hulk)は、マーベル・コミック
>刊行のアメリカン・コミック(アメコミ)に登場する架空のスーパーヒーロー。ハルクの
>キャラクターは、スタン・リーとジャック・カービーにより生み出され、1962年5月のマー
>ベル・コミック『The Incredible Hulk vol. 1, #1』で初登場した。
>漫画のキャラクターとしては初めて蝋人形館マダム・タッソー館への展示を果たし、
>プロレスラーハルク・ホーガンのリングネームの由来になるなど、彼はマーベル・コミッ
>クのもっとも知られたスーパーヒーローの一人となっている。


http://en.wikipedia.org/wiki/Hulk_(comics)
> Hulk Vol. 1, #1–11 (#475-485) (Marvel Comics, April 1999–February 2000)
> Hulk 1999 (Marvel Comics, 1999)


まあ、唐沢俊一のいう「正確には『超人ハルク』のテレビドラマ版にインスパイアされた
名前」というのは――「正確には」の使い方には疑問があるものの――一応本当らしくて、
そのテレビシリーズ (実写版) は、確かに『The Incredible Hulk』なのだけど。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ハルク・ホーガン
>1979年12月にニューヨークのMSGに初進出したのを機にリングネームをテレビシリー
>ズ「超人ハルク」にあやかり、ハルク・ホーガンに改名した。


http://en.wikipedia.org/wiki/Hulk_Hogan
> During this time, he appeared on a talk show, where he sat beside Lou Ferrigno,
> star of the television series The Incredible Hulk.


http://en.wikipedia.org/wiki/The_Incredible_Hulk_(TV_series)
> The Incredible Hulk is an American television series based on the Marvel comic
> book character of the same name.


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10:28  |  その他の雑学本 間違い探し編 (324) +  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2009.11.05 (Thu)

不器用な死刑執行人ジャック・ケッチがケチだったかどうかは不明

『史上最強のムダ知識』 P.61

 処刑の代金の支払いを渋った場合、首切り役人による、世にも恐ろしい
イジワルが待っている。わざと処刑を失敗し、死刑囚をなかなか絶命させず
におくのである。このため、みんな素直に賃金を支払っていた。
〈略〉
 なお、イギリスでチャールズ2世に反乱を起こし処刑されたモンマス公
ジェームズ・スコットは、処刑時に、首切り役人に気前よくチップをはずん
だ。が、チップの額に興奮した首切り役人の手が震えて狙いがそれ、何度
も失敗してしまったという。


×チャールズ2世 ○ジェームズ2世

モンマス公ジェームズ・スコットは、チャールズ2世とその愛妾との間に生まれた子で
あり、父の「チャールズ2世に反乱を起こし」たのではなく、チャールズ2世の死後に、
叔父のジェームズ2世に「反乱を起こし処刑された」人。

また、「首切り役人の手が震えて狙いがそれ、何度も失敗」した理由が、「チップの額に
興奮した」からだとはいわれていない模様。

執行人のジャック・ケッチは、もともと技術に難があるというか、「処刑技術の拙劣さで
悪名高い」執行人だったため、モンマス公ジェームズ・スコットは彼に 6 ギニーを渡し、
先に処刑されたラッセル公のときのように「3、4回も滅多打ち」するのはやめてくれと
頼んだという。

そのラッセル公の方は、ジャック・ケッチに心付けをはずんだという話も伝えられていな
いようなので、金を多めに払おうが払うまいが、処刑される側がおそろしい苦痛を味わう
はめになるのは同じ――といえそう。

さらに、処刑の不手際は、「司法長官の叱咤」や「群集から罵声」を受ける理由となった
そうでもあるので、唐沢俊一の書いているような、「イジワル」で「死刑囚をなかなか絶命
させずにおく」処刑人がそもそも存在していたかどうかも疑問に思う。

http://ja.wikipedia.org/wiki/モンマス公爵ジェームズ・スコット
>チャールズ2世と愛妾ルーシー・ウォルターの子として、ロッテルダムで生まれた。
〈略〉
>母と死に別れ、1663年に14歳のジェームズはイングランドへ渡り、父親の元に名乗り
>出た。美男で聡明だったというジェームズに、チャールズは早速ドンカスター伯・タイン
>デイル男爵という称号を与え、自分の子として認知する(いったん認知すると、食いは
>ぐれずに済むよう、称号と領地を与えるのがチャールズの常だった)。
〈略〉
>1665年、叔父ヨーク公ジェームズ(のちのジェームズ2世)指揮下で第二次英蘭戦争
>を戦ってから、彼は功績を重ね、軍人として昇進を重ねていった。
〈略〉
>1683年のライハウス陰謀事件で、モンマス公の名前が出たため、ジェームズはオラ
>ンダへ亡命した。チャールズが没すると、反乱を起こし叔父の即位阻止に動くが、
>1685年のセッジムーアの戦いで完敗。自ら出頭したジェームズは、同年7月にタワー
>・ヒルで断頭刑にされた。


http://www.ff.iij4u.or.jp/~yeelen/system/howto/behead.htm
> もっとも、事が斧の一閃で済むという保証はどこにもなかった。むしろ、死刑執行人
>の不手際による無用な惨劇は日常茶飯事であり、受刑者にとっては死そのものより
>も、執行人の失態によってもたらされるおぞましい苦痛こそが恐怖の的であった。
> その処刑技術の拙劣さで悪名高い「初代」ジャック・ケッチが1685年7月15日にモン
>マス公の首の上で繰り広げた有名なエピソードは、その恐怖が極めて至当なもので
>あったことを示している。自分こそチャールズ2世の正統の後継者と主張し、ジェーム
>ズ2世に対する叛乱を企てたモンマス公ジェームズ・スコットは、その日、タワーヒル
>で斬首刑に処されるにあたり、執行人であるケッチに6ギニーの心付けを与えて首尾
>よく事を済ませるように重ねて頼んだ。にもかかわらず、ケッチの最初の一撃は公の
>首の肉をえぐっただけであった。さらに、二度、三度と斧を振り下ろしても公の頭部を
>切り落とすどころか絶命させることすらできず、挙げ句には血だまりの中でのたうち回
>る公をそのままに斧を放り出し、「俺にはできない」と泣き出す醜態をさらけ出した。結
>局、司法長官の叱咤を受けてさらに二度斧をふるった末に、痙攣する胴体からナイフ
>で首を切り落としたのであった。(注2)


http://www.kingdom-rose.net/history39-monmas.html
>7月15日、ロンドン塔の前で、モンマス公は処刑されます。
>その時の様子を、ホーンという人物がTable bookという本の中に書き残しています。

>「モンマス公を担当した死刑執行人は、格別仕事が下手だった。
> 公は執行人に言った。『この6ギニーはおまえにやる。頼む、うまくやってくれ。
> ラッセル公 (注1)の時には3、4回も滅多打ちしたそうじゃないか。そんな目に
> あうのはごめんだ。召使いに残りの金を渡しておく。首尾良くやったなら、そちらも
> 受け取るがいい』公は斧の切れ味を確かめて、『今ひとつだな。』(中略)

> 執行人はいよいよ仕事にとりかかった。公があれほど注意したのが、かえって
> 裏目に出てしまった。気が動転している執行人が最初にふりおろした斧は、
> 首をかすっただけだった。公は顔をあげて執行人をにらみつけた。
> さらに二回、斧が振り下ろされた。が、首を切断するまではいかず、公は
> 血の中でうめき声をあげていた。とうとう執行人は斧を放りだし、『だめだ、
> 俺にはできない!!』と叫んだ。しかし気を取り直して斧を拾い上げ、さらに
> 二回振り下ろして、ようやく首を切断した。」


http://www.kingdom-rose.net/tyu8.html
>注1)ラッセル公1683年、チャールス2世暗殺計画に連座して処刑される。この時も処
>刑人はモンマス公と同じジャック・ケッチ(?〜 1686)でした。ラッセル公の首を切り
>落とせず、数回斧を振り下ろしたが、うまく切断できなかったと伝えられています。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ジャック・ケッチ
>その死刑執行の手際は非常に不器用で残酷だったと伝えられている。
〈略〉
>1685年7月15日にモンマス公爵ジェームズ・スコットの処刑を行った際にも、一撃での
>斬首に失敗。〈略〉最終的には斧ではなくナイフで首を落としたが、あまりの不首尾に
>より、見物していた群集から罵声を浴びた。



で、唐沢俊一の書いた文章に近い感じのものも存在する。この2ちゃんねるへの書き込み
が元ネタの可能性は結構高そう。

http://occult.blog62.fc2.com/blog-entry-356.html
>15 :世界@名無史さん:2006/08/23(水) 18:19:48 0
>十六世紀のイギリスでは、死刑は斧による斬首だった。しかし一撃で安楽死とはいかず、
>腕の悪い首切り役人に当たると悲惨だった。
>1684年、謀反の罪で断頭台に送られたモンマス侯爵は首切り役人のジャック・ケッチ
>に6ギニーのチップを手渡した。
>手際よくあの世に送ってくれ、という意味である。しかしこれが逆効果、ジャックは緊張
>し、最初の一撃は首の肉を多少削ぎ落としただけ。モンマス侯爵に睨まれて再度斧を
>振り下ろしたがまた失敗。
>さらに二度三度と振り下ろしたが首は落ちない。
>血塗れで痙攣を起こすモンマス侯爵。ジャックは斧を諦め、ナイフでようやく首を落とした。
>見物人の民衆はあまりの腕の悪さに激怒し、袋叩きにされかねない状況だったという。

>二年後、ジャックは首切り役人をクビになった。


これが元だとすると、唐沢俊一は、出典が怪しげなもの (処刑の年など、他の資料との
食い違いがみられる) をベースに、「緊張」を「興奮」と劣化コピーしたり、「イジワル」とか
妄想を追加したりすることにより、さらにガセ度を高くして発表した――ということになる。

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2009.11.04 (Wed)

http://www.alcor.org/ くらいはチェックしておけばよかったのに

以下のエントリーの続きのようなもの
冷凍を例にすると唐沢俊一の史上最強の単細胞生物ぶりがよくわかる……?
不死にまつわる不思議な計算 (←題名負け)
おっしゃる通り『不死テクノロジー』を参照してみましたが?


『史上最強のムダ知識』 P.89

 現代の医学ではどうにもならない「死」も、未来には克服できるかもしれ
ない。それまで遺体を冷凍保存しておき、蘇生手段が発見されたら解凍
する、というのがこの会社の目的。
 現在、予約者は数百人、実際に保存中の人も数十人いる。予算はひとり
1450万円ほどだが、「頭部のみ」のコースなら600万円程度ですむ。
 未来には、頭部を他の肉体につなげて蘇生する技術もできる、という
希望的観測によるものだが、さて……?


×1450万円 ○1800万円
×600万円 ○960万円

上の数字は、1 ドル 120 円と計算しての費用。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1211488497
>アメリカドルは1ドル=120円くらい
〈略〉
>回答日時:2007/5/3 18:40:03


「遺体を冷凍保存しておき、蘇生手段が発見されたら解凍する」という「この会社」とは、
「アルコー延命財団」をさす。この会社の価格設定では「冷凍保存のプロセスそのもの」
に「全身保存で約15万ドル、頭部のみの保存で約8万ドル」かかる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/アルコー延命財団
>人体を冷凍保存するには、本人が財団の登録メンバーとなり年会費を払う必要があ
>る。年会費は冷凍保存をした後(つまり死後)も払う必要があり、生命保険などを充て
>る者もいる。冷凍保存のプロセスそのものには全身保存で約15万ドル、頭部のみの
>保存で約8万ドルかかる。冷凍保存の費用に関しては、ライバル企業(団体)と目され
>るクライオニクス研究所は約2万8000ドルという価格を設定している。


http://www.alcor.org/FAQs/faq01.html#cost
> Q: How much does cryonics cost?
> A: Most people pay for cryonics with life insurance, and since the actual cost of
> that depends on your age and health, to find out your specific cost you would
> need to shop for life insurance. Alcor offers two options: for whole body
> preservation you would need a minimum policy of $150,000, and for
> neuropreservation you would need a minimum policy of $80,000.


$150,000 が「1450万円」になっているのは、1 ドルを約 96.7 円で計算したため――と
仮定するとしても、$80,000 が「600万円」になってしまっているのはおかしな話だ。

実は、WebArchive をたどってみてわかったんだけど、2004 年の 12 月頃までは、全身
保存が $120,000 で、頭部のみの保存が $50,000 になっていた。1 ドルを 120 円として
計算すると、1440 万円に 600 万円と、かなり近い値になる。

http://web.archive.org/web/20041210091258/http://www.alcor.org/FAQs/faq01.html
> Alcor offers two options: for whole body preservation you would need a minimum
> policy of $120,000, and for neuropreservation you would need a minimum policy
> of $50,000.


しかし、2005 年 2 月の時点ではもう、現在と同じ $150,000 の $80,000 となっている。
『史上最強のムダ知識』が 2007 年なので、これは使用したデータが古過ぎだろうという
ことで。

http://web.archive.org/web/20050207073719/http://alcor.org/FAQs/faq01.html
> Alcor offers two options: for whole body preservation you would need a minimum
> policy of $150,000, and for neuropreservation you would need a minimum policy
> of $80,000.



ついでにいえば、「頭部を他の肉体につなげて蘇生する技術もできる、という希望的観
測によるもの」という唐沢俊一のまとめ方も、ちょっとどうかと思う。全身に比べ頭部だけ
の方が「維持費がずっと安上がり」だし、死ぬほど (?) 痛んだ肉体は冷凍処置のみを
考えても手間がかかる。「体の他の部分にも、大切な情報があるにちがいない」という
信念がないかぎり、全身の冷凍を選ぶ理由がないという考え方もあるし、実際の冷凍
睡眠希望者の多くは、そのように考えるとのこと。

『不死テクノロジー』 P.172
>頭部だけの方が、維持費がずっと安上がりだからである。ソウル・ケントの説明による
>と、「全身を一つ入れるカプセルの中に、頭だけならおそらく二〇は入りますからな」と
>いうことである。


『不死テクノロジー』 P.191
> ボブは「ニューロ」志望ではなかった。脳だけではなく、体の他の部分にも、大切な
>情報があるにちがいないと思ったのか、(これはクライオニシストのあいだでも問題に
>なっている点だが)全身の冷凍を選んだのだ。こうなるとやや面倒な問題がもちあがっ
>た。この患者はもう二回も動脈バイパス手術を受けており、アルコーの連中が心臓の
>ところまでメスを進めてわかったように、心臓周囲はひどい状態だったのである。結局
>主要な構造だけ見分けるたのに、なんと三時間も解剖作業をするというありさまだった。


『不死テクノロジー』 P.195 〜 P.196
>ダーウィンはじめ「アルコー人」のほとんどは、「ニューロ」方式を選ぶ。正気なら誰も
>自分の使い古した体が欲しいなどと思う者はいないはずだ、と彼らは信じているのだ。


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2009.11.04 (Wed)

おっしゃる通り『不死テクノロジー』を参照してみましたが?

『史上最強のムダ知識』 P.88

 生物の肉体を低温で保つと、細胞内の水分が凍ってしまい、膨張した氷
が細胞を破壊してしまう(冷凍マグロを解凍した時にしみ出る、赤い液体を
思い浮かべるといい)。
 この問題のために、SF小説のように人間を人工冬眠させる技術は、困難
だとされている(精子などの単細胞生物なら、現代でも冷凍保存できるが)。
 トリビアで紹介している、死体の保存業者の場合、血の変わりに不凍剤
を入れて、特製の低温維持装置に遺体を入れて保存している、というが、
はたして、どの程度、細胞の冷凍を防げているのだろうか……。


×血の変わりに ○血の代わりに
×細胞の冷凍を防げて ○細胞の破壊を防げて

2 番目の段落に書かれている「精子は単細胞生物」問題については、「冷凍を例にすると
唐沢俊一の史上最強の単細胞生物ぶりがよくわかる……?
」を参照のこと。そちらのエン
トリーを書いた時点では見逃していたけど、「細胞の冷凍」自体を防げてしまっては、ダメ
なんじゃないかと。

で、こちらのコメント欄でもふれたけれど、唐沢俊一はかつて『トンデモ本の逆襲』で、
五島勉のスパイ小説の冷凍描写に突っ込んだついでに、このようなことを書いていた。

『トンデモ本の逆襲』 P.135

(大いなる蛇足とは思うが肉体の低温保存 (クライオニクス) については
エド・レジスの『不死テクノロジー』などを参照のこと。


しかし、「エド・レジスの『不死テクノロジー』」を参照して、それをベースにするならば、
「細胞の冷凍」どころか、細胞の破壊ですら致命的な問題にはならないともいえる。
ナノテクノロジーで修復できさえすればよいのだから。

『不死テクノロジー』 P.152
> ドレクスラーもまだMITの学生だったころ、クライオニクスを調べたことがあったが、
>最初は彼もまたヘンソンと同じ反応を示した。そんなことがうまくいくものか! とまず
>思ったのだ。そもそも凍らせるべき人間は、まず死んでいなくてはならないのだから、
>あまり感心できた材料とはいえない。おまけに冷凍による(そして生き返るときには
>解凍による)損傷があることを考えれば、ドレクスラーがクライオニクスに魅力を感じ
>なかったのは当然のことだった。〈略〉
> ところが彼はその後、分子サイズのロボットを考えついたのだ。ここにいたって、
>クライオニクスに対する彼の懐疑的態度は、がらりと変わった。まず原子一個一個を
>あつかえるロボットなら、傷ついた細胞をわけなく修復できる。凍傷を例にとると、細胞
>はもちろん傷ついているが、全体の構造は低温で保存されており、超ミニ細胞修復
>マシンの一群が修復して、元の機能にもどせるほどの材料が残っているはずだ。
> それができるというなら、クライオニクス・サスペンション過程で受けた冷凍・解凍時
>の損傷を修復できないはずはない。もちろんロボットどもにそれをさせるには、今まで
>の何乗という大変なプログラミングと、従来試すはおろか想像もできなかったほどの、
>高度で膨大なソフトウエアが必要だ。どう考えても、これは確かに至難のわざである。
>だが肝腎なのはそれが可能だということなのだ。


以前に、「不死にまつわる不思議な計算 (←題名負け)」のエントリーに書いた内容から
判断するに、唐沢俊一は一応、『不死テクノロジー』を読んではいるとは思うのだが……
ナノテクノロジーに関する記述を含む部分までは、読んでいないのかも。

ちなみに、『不死テクノロジー』 P.168 〜 P.169 では、体外受精した「受精卵が何個か
の細胞に分裂したあと二か月のあいだ、液体窒素に漬けこまれ、摂氏マイナス一九六
度という低温状態におかれたもの」が、その後で母親の胎内に移植され、9 か月後には
無事に出産されたこと、「一九八七年ともなると、冷凍した胎児などちっとも珍しくなくなっ
てしまい」、バチカンが「人類の尊厳に対する罪とみなされる」という声明を発表するまで
になったことも紹介している。

また、この本には、「クライオニクスの患者もまったく同じ温度下で同様の液体の中に
保存される」とも書かれている。

まあ、生きている状態の受精卵と、死んだあとに冷凍される成人の肉体とは違うという
意見もあるとは思うが、唐沢俊一の書いた「細胞の冷凍を防げて」うんぬんは、「『不死
テクノロジー』などを参照のこと」とふいた割には、半分くらいしか読んでいないだろうと
いうものでしかない、と。

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2009.11.03 (Tue)

輝きが一瞬だったのは三遊亭圓楽のことではなくて……

裏モノ日記 2009年 10月 30日(金曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20091030133250.html

三遊亭圓楽死去、肺ガン、76歳。
〈略〉
なお、円楽については四年ほど前に、追悼みたいに見える
文章を日記に記している。
http://www.tobunken.com/diary/diary20051014000000.html
その中で
「正直言って、今、圓楽さんが亡くなったとして、私に何か
慨が浮かぶかというとあまり期待できそうにない」
とシニカルなことを書いたが、やはりそんなことはない。
自分が最も落語を熱意もって聞いていた時代に、一番人気の
あった人だもの。
『近日息子』ではないが、先回りで追悼文を書いていたのかも
知れない。

http://s02.megalodon.jp/2009-1103-2121-08/www.tobunken.com/diary/diary20091030133250.html

略した部分に書かれている『円楽のプレイボーイ講座12章』、“星の王子様”、「実家が
寺で、名前も寛海」、「中原弓彦脚本の『すすめ! ジャガーズ敵前上陸』での色男の刑
事役」――等々については、唐沢俊一の日記なんかより、以下のページ等を読んだ方が
よさそうだとして。

- http://ja.wikipedia.org/wiki/三遊亭圓楽_(5代目)
- http://plaza.rakuten.co.jp/cinemaopensaloon/diary/200910310000/
- http://numbers2007.blog123.fc2.com/blog-entry-749.html

10月 30日の日記では、唐沢俊一は特に印象に残るようなことも書いていないようだが、
気になるのが、「四年ほど前に、追悼みたいに見える文章を」とかいうリンク先の内容と、
「自分が最も落語を熱意もって聞いていた時代に、一番人気のあった人」という記述。

で、唐沢俊一がわざわざ自らリンクまでしている「先回りで追悼文」とは……


裏モノ日記 2005年 10月 14日(金曜日)
http://www.tobunken.com/diary/diary20051014000000.html

タクシーで仕事場。白夜書房のレトロムックの原稿を書いて送る。三遊亭
圓楽が脳梗塞で倒れた(実際は倒れたわけでなく自分で歩いて病院まで
行って脳梗塞の症状が発見されたらしい)との報。命に別状はないらしい。


「実際は倒れたわけでなく自分で歩いて病院まで」には、夏コミの頃のこういうの↓を
思い出したり (あ、冬コミ当選、おめでとうございます>kensyouhan さん)。

http://d.hatena.ne.jp/kensyouhan/20090820/1250781295
>>toronei otaku, blog このブログの人に関しては、どっちもどっちという思いしかないで
>>すわ。少なくとも唐沢さんが倒れたときのエントリーは、このブログの中に出てくる人
>>よりドン引き言動でしたし

>“toronei”さんがどのような感想を持っても自由だし、妖怪「どっちもどっち」と仲良くさ
>れるのも自由なのだが、唐沢俊一っていつ倒れたんだろう? 入院したときのことを
>言いたいなら、唐沢は自力で病院まで行って医者から「入院しろ」と言われているの
>だから間違いですよ。どんな感想を書かれてもかまわないけど事実誤認はよくないと
>いうことで。


唐沢俊一定義でも、こういうのは「実際は倒れたわけでなく」――であるということで。
唐沢俊一の場合はさらに、「自分で歩いて」というだけでなく、タクシー使って自宅と病院
を往復までしているのだし (「2 度の入院手続き、そして 2 度の帰宅」を参照のこと)。


それはともかく、さすが唐沢俊一自身が「先回りで追悼文」などと表現しているだけのこと
はあって、この日の日記にはロクなことが書かれていない。

http://www.tobunken.com/diary/diary20051014000000.html

しかしながら、正直言って、今、圓楽さんが亡くなったとして、私に何か感慨
が浮かぶかというとあまり期待できそうにない。最後にお仕事をしたのが
もう二十年くらい前の横浜の落語会であったが、楽屋の椅子(教育会館の
応接室を使っていたので豪華なソファがあった)にすぐ横になって寝てしまっ
たので、
「ああ、ホントに体が弱いんだな」
と思ったものだ。

とはいえ、そこでの高座(『短命』)はさすが自家薬籠中のものという感じ
だったし、特別企画での談志との対談では若竹をネタにして丁々発止と
やりあって、なかなかのものだった。そのすぐ後、私は行かなかったが
学校寄席の仕事で一緒に行った事務所の者によると、高座に上がった
ものの落語などやらず、中学生を前にしてえんえんと教育論を語り、それ
が面白いならまだしも今の教育はなっていない、という年寄りの管巻きに
近いもので、生徒たちは不満でブーブー言う、主催者の学校からは文句を
言われるで、さんざんだったそうだ。

それ以来、うちのプロダクションは圓楽さんに仕事を頼まなくなってしまっ
た。体調不良が神経をいらだたせて、現代日本への不満を口走らせた
のだろうか。また、コアな落語ファンには弟弟子の圓丈が書いた『御乱心』
の中での悪役のイメージが染みついてしまい、ついにそれを払拭できな
かったことも、イラつきの原因だったかもしれない。


「高座(『短命』)はさすが自家薬籠中のもの」とか、「特別企画での談志との対談では
若竹をネタにして丁々発止とやりあって、なかなかのもの」とか、すごい上から目線の
褒め言葉 (?) が少々で、あとは何だか悪口めいた記述だけというか……。

気になるのは、2005 年時点の日記で、「最後にお仕事をしたのがもう二十年くらい前の
横浜の落語会であった」、「それ以来、うちのプロダクションは圓楽さんに仕事を頼まなく
なってしまった」などの記述である。2005 引く 20 は 1985 年で、その頃の唐沢俊一は、
仙台の東北薬科大学に通いつつ、イッセー尾形の劇団の「木戸御免になり、 スタッフ
まがいのことなど」をしていた
はずの頃。

さらに、1986 年になると、北海道の実家に戻り、黒ブリーフに白衣の姿でひたすらデータ
打ち込みとボディビルにはげむようになった頃のはずでもあって。

叔父の小野プロを手伝っていたにしても、このような状況で、「うちのプロダクション」も
「最後にお仕事をしたのが」もないものだと思うが。

参考
結局何歳のときに白衣に黒のブリーフでボディビルしてたんですか唐沢俊一先生
うちのうちの詐欺


そして、2005 年時点の日記を読んでいくと、唐沢俊一の「自分が最も落語を熱意もって
聞いていた時代」とは、何のことはない、彼の高校時代だったということがわかる。

http://www.tobunken.com/diary/diary20051014000000.html

高校生のころ、ラジオ局主催で行われる札幌のホール落語会に足しげく
通い、談志の『風呂敷』や『権兵衛狸』、圓楽の『悋気の火の玉』『阿武松』
『短命』などを聴くのが本当に楽しみだった。思うにあの頃が圓楽さんの
全盛期だったろう。『阿武松』は以前ラジオで聴いた師匠の圓生のものより
はるかに面白く、その日の鑑賞日記に
「談志より大衆性があり、しかもスケールが大きい。ずっと気になっていた
言いよどみや噛みも驚くほど少なくなった。そのうち圓生を継ぐのだろうが、
やはり将来の落語界を背負っていくのは圓楽師の方かもしれない」
と書きつけたくらいだ(実際、師匠の圓生は教えはしたが自分では『阿武松』
は高座にかけておらず、圓楽がやってあまりに受けるので自分もやりはじ
めたらしい)。で、半可通な高校生の私でもわかったくらいであるからかなり
評判になったのだろう。
〈略〉
・・・・・・とにかく、今の圓楽しか知らない人には信じられないだろうけど、次代
の落語界のエース争いで圓楽が談志や志ん朝に一馬身の差をつけていた
次代が本当にあったのだ。

今思えば一瞬の輝きだったが。原因は、やはりあの三遊協会設立騒動だろ
うか。あそこで談志のように機を見るに敏で、これはこっちに不利だ、と見る
とさっさと袂を分かってしまうことが、フットワークの遅い圓楽には出来なかった。

http://s04.megalodon.jp/2009-1103-2041-49/www.tobunken.com/diary/diary20051014000000.html

×次代が本当にあった ○時代が本当にあった

(次代ではなくて) 時代が本当にあった、「一瞬の輝きだった」については、他人事ながら
少々胸が痛む。

……いや、5 代目三遊亭圓楽に対してではなく、唐沢俊一が対象だけど。「落語会に
足しげく通い」、鑑賞日記をつけていたりした時代が、唐沢俊一にもあったのだなあ、と。
「一瞬の輝き」だったにしても……。

三遊亭圓楽に対しては、落語にくわしくない自分からみても、「一瞬の輝き」というのは、
そりゃないでしょうという感じ。笑点でおなじみの人でもあったし、手元にある『一個人』
編集の『落語入門』では、「現代の噺家列伝 この10人の名人芸をきけ!」のコーナーに
取り上げられている 10 人のうちのひとりになっている。

『落語入門』P.131
> ダンディズムを貫いた三遊亭圓楽にとっては、二〇〇七年二月の「引退宣言」は、
>苦汁に満ちた決断だった。
> 身体は大丈夫、噺の中身もしっかり理解できる、ファンも聞きたがっている――なのに
>である。
>「ろれつが回らない。自分の芸に納得できない」が、理由であった。周囲はその引退を
>押し留めようとした。だが、圓楽の美学はそれを許さなかったのだ。
> 圓楽の師、六代目三遊亭圓生は常々、人情噺・こっけい噺・怪談噺が出来てはじめ
>て一人前の噺家、と言っていた。圓楽もそれを目指し、人情噺については到達点に、
>こっけい噺も境地に近づいた。特に、人情噺には、圓楽独特の感情を盛り込んだ名演
>を披露した。
>「薮入り」で見せる子どもへの愛情、「中村仲蔵」で示した師弟・夫婦の絆の強さなど、
>圓楽の場合は感情を惜しげもなくさらし、激情が涙となってあふれることもある。
> 一人で何役も演じる落語では、演者の涙はご法度である。他の人物描写に影響する
>からだ。だが、圓楽はかまわず泣いた。それが人情噺の圓楽を創り上げた。まだまだ
>聴けるはずの噺家だった。


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2009.11.03 (Tue)

ムンクは叫び、唐沢俊一はガセり、そしてパクる

『切手をなめると、2キロカロリー』 P.110

「叫び」は、描かれている人物が叫んでいるのではなく、まわりにいる人間
たちが叫んでいる状況の絵である。


題名からしてガセの『切手をなめると、2キロカロリー』という本から。

「叫び」とは、ムンクの『叫び』のこと。「描かれている人物が叫んでいるのではなく」という
のは正しいとして、「まわりにいる人間たちが叫んでいる」って……その「まわりにいる人
間たち」とは誰のことで、どこにいるのかと。

『叫び』の中には、耳を押さえている人物のすぐ近くには誰もいない。少し離れた場所に、
2 人の人物が小さく描かれているが、静かに歩いているだけという感じで、どう見ても
叫んでいるようには見えない。

munchscream.jpg


大きな画像を見たい人は、http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/munch/ の縮小画像
をクリックして、http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/munch/munch.scream.jpg や、
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/munch/munch.scream2.jpg を参照のこと。

で、以前に、「はやく真人間になりたい――とか?」のエントリーにも書いたことがあるけど、
『切手をなめると、2キロカロリー』 (2003 年) に収録のネタは、『史上最強のムダ知識』
(2007 年) に多数使い回しされている。

『史上最強のムダ知識』 P.263

*本書は、『切手をなめると2キロカロリー』(サンマーク出版)、『本の中の
トンデモ職業大発見(北海道アルバイト情報誌『CLUE』連載)、『唐沢俊一
トリビアな日々』(講談社『FRIDAY』連載)などのほか、著者の既存原稿に
新たな材料を加え、加筆、改稿し、再構成したものです。

×『切手をなめると2キロカロリー』 ○『切手をなめると、2キロカロリー』

自分の出した本の題名くらい、間違えないで書けないものか、というのはおいといて。

実は、『史上最強のムダ知識』では、ムンクの『叫び』についての記述は訂正 (?) されて
いる。

『史上最強のムダ知識』 P.35

 ムンクの代表作『叫び』は、中央の人物が「頬に手を当てて叫んでいる」
と思われがちだが、実はそうではない。そもそもこの『叫び』は、ムンクが
体験した幻覚を絵にしたもの。
 ムンクの日記によれば、その幻覚は、
「突然、空が血のような赤色に染まった。私は立ちすくみ、疲れ果てた身体
を柵にもたれかけさせた。青黒いフィヨルドと街の上に血と炎の舌が覆い被
さるようであった。そして、自然を貫く、果てしない叫びを聞いた」
 と、いうようなものだった。つまり、『叫び』とは、ムンクが体験した「果てし
ない叫び」のことなのだ。中央の人物は、この叫びを感じて、耳を押さえて
苦悩しているのである。


上に引用した唐沢俊一の文章は、Wikipedia の記述を下手クソにリライトしたような感じ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/叫び_(エドヴァルド・ムンク)
>この絵は、ムンクが感じた幻覚に基づいており、このときの体験を日記に次のように
>記している。

>>  私は二人の友人と、歩道を歩いていた。太陽は沈みかかっていた。突然、空が
>>  血の赤色に変わった。私は立ち止まり、酷い疲れを感じて、柵に寄り掛かった。
>>  それは炎の舌と血とが、青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。友人は
>>  歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え、戦いていた。そして私
>>  は、自然を貫く果てしない叫びを聞いた。

>しばしば誤解されるが、「叫び」はこの絵の人物が発しているのではなく、「自然を貫く
>果てしない叫び」のことである。絵の人物は、「自然を貫く果てしない叫び」に恐れ慄い
>て耳を塞いでいるのである。


さらに、ググってみたら、こういう↓のを発見。

http://mblog.excite.co.jp/user/hamburg/entry/detail/?id=4597163
>“夕暮れ時、私は二人の友人と共に歩いていた。
>すると、突然空が血のような赤に染まり、私は立ちすくみ、
>疲れ果ててフェンスに寄りかかった。
>それは血と炎の舌が青黒いフィヨルドと街に覆い被さるようだった。
>そして、自然を貫く果てしない叫びを感じた。”
>(※Wikipedia「叫び」から引用)


唐沢俊一の文章の「突然、空が血のような赤色に染まった。〈略〉自然を貫く、果てしない
叫びを聞いた」の箇所と、そっくりである。

実は、Wikipedia の「2007年1月12日 (金) 15:44」の版では、ムンクの日記の記述は下記
の通り。唐沢俊一は、これをほぼ丸ごとコピーしただけという可能性が非常に高い。

http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=叫び_(エドヴァルド・ムンク)&direction=next&oldid=9417234
>>  夕暮れ時、私は二人の友人と共に歩いていた。すると、突然空が血のような
>>  赤に染まり、私は立ちすくみ、疲れ果ててフェンスに寄りかかった。それは血と
>>  炎の舌が青黒いフィヨルドと街に覆い被さるようだった。そして、自然を貫く果て
>>  しない叫びを感じた。


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